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税理士 転職理由 転職先
2025/01/01
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会計事務所に転職する際には、給与や働き方、社風等を押さえておきましょう。
求人票の内容だけで判断し入職しても「こんなはずでは…」と後悔することになるかもしれません。
今回は、転職前に知っておきたいポイントについて解説いたします。
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会計事務所とは
まず、会計事務所の概要について本項で確認しましょう。
会計事務所は
税理士を代表社員としており、別名「税理士事務所」とも呼ばれています。
なお会計事務所が法人化すると「○○税理士法人」とすることがほとんどで「○○会計法人」とはなりません。
規模別の違い
会計事務所は 規模別に大きく3段階に分けられます。
BIG4税理士法人
EY税理士法人、デロイトトーマツ税理士法人、KPMG税理士法人、PwC税理士法人の4法人を指します。
世界最大規模の税理士法人で、
従業員数もクライアント数もトップクラスです。
求められるレベルが極めて高く、専門知識と経験を生かした高度な税務業務等に携われます。経営コンサルティングの側面が強いのも特徴です。
また、高度な業務内容に見合うだけの高収入が得られることも大きな特徴と言えます。
他の会計事務所ではクライアントに対して1〜2人の担当者がつく「担当制」が採用されているのに対し、
BIG4では複数の「○○税チーム」によるチーム制が採用されています。
大手税理士法人
従業員数20人程度〜の税理士法人です。
数は多くありませんが、主要都市にいくつか支店を持っており、事務所自体もアクセスの良い綺麗なオフィスビルに入居していることが多いようです。
BIG4ほどではないものの
業界平均を上回る報酬を設定していることが多く、優秀な人材が集まる傾向があります。
福利厚生も充実しており、ある程度の人数がいるので有給休暇が取得しやすいのも特徴です。比較的高度な業務を担うこともありますが、一般的な法人の巡回監査も行います。
多くは担当制が採用されていますが、一部の税理士法人はBIG4同様にチーム制です。
一般的な会計事務所
地域密着型の小規模事務所です。
税理士が1〜3人程度在籍し、入力担当者が1〜10人程度という規模感です。
地域の中小企業を主要クライアントとして、巡回監査と決算業務、確定申告が主な業務になります。
少数ではありますが、相続専門、IPO専門、事業承継専門といった
業務内容特化型事務所や、クリニック専門、飲食店専門といった業種特化型事務所も存在します。
ほとんどの会計事務所で担当制が採用されており、
1人で数十件のクライアントを担当します。
業務内容
税理士法により、税理士には独占業務が認められています。
そのため
税理士の中心業務は独占業務です。しかし独占業務以外の業務を積極的に実施している会計事務所も存在します。
ただし提供しているサービス内容は会計事務所によって異なりますし、中心としている業務にも差があります。たとえば記帳代行を積極的に受ける会計事務所もあれば、ほとんど受けない会計事務所も見受けられます。全国の事務所が同じように業務を担っているわけではありませんので、会計事務所のサイトや求人票で確認しましょう。
<独占業務>- 1.税務書類の代行
- 2.税務代理
- 3.税務相談
貸借対照表や損益計算書といった財務諸表の作成や各種申告業務、確定申告全般等です。
これらの業務は税理士でなければできないうえに企業にとって欠かせない作業ですので、どの会計事務所でも必ず実施しています。
- 1.記帳代行
- 2.決算業務
- 3.巡回監査
- 4.税務調査の立会
- 5.事業承継サポート
- 6.経営コンサルティング業務 他
税務に関連する様々な業務を実施します。
記帳代行はその最たる例です。具体的には、売上や仕入れを会計ソフトに入力していきます。しかし現在は会計ソフトの進化に伴い、自計化している企業も多く見られます。
法人税決算業務、毎月の財務状況の報告等を行う巡回監査も大きな仕事です。
また数年に1度入る税務調査の立会や事業承継のサポート、税務という枠に囚われない コンサルティング業務を提供することも少なくありません。
給与・年収
厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると、令和4年度における
税理士の平均年収は746.6万円でした。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概要」によると、一般労働者の平均賃金は311,8000円。年収換算で約374万円です。
平均賃金のおよそ2倍の高収入が得られることが示されています。
基本的にBIG4を頂点として、
事務所が大手であるほど高収入となる傾向が見られますが、会計事務所の所在地や給与規定によって増減します。
また基本給とは別に、税理士資格手当てが支給されるケースが多く、ほとんどの場合で科目合格にも資格手当てがつきます。
反対に考えれば無資格者には資格手当がつきませんので、給与は期待値ほど高くならないかもしれません。
応募資格
基本的に、大手になるほど応募資格は厳しくなります。
未経験者 | 経験者 | |
---|---|---|
BIG4税理士法人 | 税理士科目2科目以上 〜30歳前半 経理の経験や簿記資格 語学力 |
法人担当3年以上 税理士資格 〜40歳 |
大手税理士法人 | 税理士を目指していること 〜30歳前半 経理の経験や簿記資格 コミュニケーション能力が高いこと |
法人担当3年以上 税理士科目2科目以上 〜40歳(管理職候補は40代でも可能) |
一般的な会計事務所 | 基本的に採用しない |
法人担当2年以上 税理士科目2科目以上 新規営業ができる 〜40歳 |
上記はあくまでも例であり、各事務所によって応募条件は異なります。詳細は求人票を確認してください。
BIG4税理士法人に語学力が必要となるのは、外資系企業やグローバル企業をクライアントとしているためです。英語で作成された財務諸表を読んだり、時には英語でクライアントとコミュニケーションを取ったりすることになるため、語学力が高いと優遇されます。
大手税理士法人では、教育体制を整備して新卒採用を積極的に実施していることもあります。しかし事務所ごとに教育体制の差が激しいので、必ず事前にチェックしておきましょう。
一般的な会計事務所が未経験者をあまり採用しないのは、教育体制が整っていないためです。中には教育に注力している会計事務所もありますが、実務と売上を優先する事務所が大半です。未経験から会計事務所に転職するのならば、教育体制が整っている事務所が適しています。
転職する会計事務所の選び方やブラック事務所の見分け方
経済産業省による「令和3年度経済センサス活動調査」によると、税理士事務所(公認会計士事務所を含む)の総数は30,479でした。
これほど多くの中から手探りで理想的な事務所を探し出すのは困難ですので、下記のポイントを参考にしてください。
社風や経営理念
税理士事務所のサイトから、
社風や経営理念を確認しましょう。
社風はあなたが馴染めるかどうかの判断材料になります。
経営理念からは、代表が何を重視しているのかが分かります。
一度転職すれば1日8時間はその事務所で働くことになるのですから、「環境」は数値化できないものの非常に重要です。
自分が事務所の一員として働いている姿を想像してみると判断しやすくなります。
クライアントの属性
会計事務所の主なクライアントは中小企業です。
しかし「ベンチャー企業」「飲食店」「美容室」といったように、クライアントを選別している事務所もあります。また「富裕層」「個人事業主特化」のような特化型事務所も存在します。
クライアントの属性によって業務内容は異なりますし、強化される能力も異なります。
たとえばベンチャー企業特化型事務所ならば、開業手続きや補助金申請等の業務に強くなるでしょう。対して相続税特化型事務所ならば、相続税関連に強くなれます。地域密着型の一般的な会計事務所の場合は法人税決算が中心です。
税務業務の幅は広いので、どの分野で活躍したいのかによって選択すべき事務所は変わります。
税理士試験サポートの有無や内容
これから税理士を目指す人は、税理士試験サポートがあるかどうか、あるならばその内容を押さえておきましょう。
試験前にまとまった特別休暇を取得できる事務所もあれば、大学院または専門学校の費用を一部負担してくれる事務所もあります。
会計事務所は税理士がいないと成り立ちませんから、税理士試験にチャレンジする人を後押しする制度が整備されていることがほとんどです。
しかし上記のようにそのサポート体制は事務所によって大きな差があります。
どのようなサポートが必要かを考え、また事務所ごとのサポート体制を比較しておきましょう。
税理士の人数
税理士資格を有する人が、会計事務所内に何人いるかを把握しましょう。
税理士人数が少ない場合、実務で不明点が発生した時に相談できる相手が少ないということです。
そのため実務経験が浅い人は、ある程度の人数が揃っている事務所の方が良いでしょう。
一方で税理士ならば、事務所の税理士資格者数が少なくても問題ありません。
それどころか歓迎される傾向にあります。
会計スタッフの人数
内勤の
会計入力スタッフの人数も確認しておきましょう。
スタッフ人数が多い場合、記帳代行等の作業を一任でき、税理士はコンサルティング等の高度な業務に注力できます。反対にスタッフ人数が少ない、またはいない場合、担当企業の記帳代行や書類作成も税理士が担うことになります。
どちらが良いというわけではありませんが、 高度な業務を担いたい場合は入力スタッフの多い事務所を、記帳代行等の作業まで一括して担当したい場合は入力スタッフが少ない事務所を選択してください。
将来のキャリアプランが叶うか
中長期におけるキャリアプランが叶うかどうか検討してみましょう。
たとえば転職して実務経験を積んだ後、独立開業を考えているのならば、満遍なく業務を担当できる一般の会計事務所が良いでしょう。
一方で、 勤務税理士としてキャリアアップしていきたいならば、キャリア制度や評価制度が充実しているBIG4や大手税理士法人が適しています。
未経験者を採用しているか
一般的に、 未経験者や新卒を採用している事務所は教育制度が充実しています。 会計事務所の未経験者や経験の浅い人は、未経験者を積極的に採用している事務所を選択しましょう。会計事務所経験者の場合は、キャリアに応じた研修制度が用意されているかを確認してください。
評価制度があるか
明確な評価制度があれば、今後何をすれば昇給・昇格できるのか一眼でわかります。
そのため長く働くためのやりがいにつながるでしょう。
一方で評価制度がない場合、昇給や昇格を決めるのは所長です。営業成績等とは関係なく所長のお気に入りになってしまえば昇給・昇格しやすい傾向があります。 評価制度がない事務所は所長のワンマン決定になりやすいので、事務所を見極める1つの基準としてください。
求人を年中出していないか
1年を通じて求人が出ている事務所は要注意です。
採用してもすぐに辞めてしまう、待遇が良くないので応募数が少ないためかもしれません。
ただし事務所拡大に伴う増員の場合も同様の状況になります。
あまりに長い間求人情報が掲載されている事務所は、検討のうえご応募ください。
繁忙期の残業時間
会計事務所は
12〜3月が繁忙期と言われています。
この期間の残業時間も確認しておきましょう。60時間を超える事務所はご注意ください。
人によって残業に耐えられる時間は異なります。自分が何時間程度ならば無理なく働けるのかを考えておきましょう。
会計事務所に転職する際のポイント
繁忙期を避ける
年末調整や法人決算、確定申告が重なる
12〜3月の転職活動は控えた方が良いでしょう。
会計事務所は繁忙期ですので、書類選考や面接にかけられる時間があまりありません。この時期に採用されるのは即戦力に限定されます。
閑散期の方が採用に時間も労力もかけられますので、 転職を急いでいなければ4月以降に転職活動を開始することをお勧めします。
無資格・未経験でも応募できる求人はある
税理士資格を取得していなくても
未経験で、応募できる求人はあります。
多くはありませんが、長く働いて欲しい事務所では、教育体制を整えて無資格者や未経験者を採用しています。
もちろん
資格取得者や経験者の方が優遇されますので、無資格者や未経験者は税理士資格に挑戦することをおすすめします。
1科目でも合格すれば加点要因になり、他の無資格者や未経験者よりも採用されやすくなるでしょう。
会計事務所への転職-まとめ
会計事務所に転職する際には、本記事で解説したポイントを中心にサイトや求人票を読み解きましょう。
会計事務所の数自体は非常に多いため、働き方も千差万別です。理想の働き方やキャリアが実現する会計事務所の選択に、本記事をお役立てください。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長