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2025/01/01
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今回は、ブラック税理士事務所の見分け方について紹介します。
ブラック税理士事務所には共通点があり、その特徴を押さえれば就職で失敗することもありません。労働環境の辛い職場で働き、仕事や人間関係で疲弊し、心身を壊してしまったら、何のために税理士を目指してきたのかわからなくなってしまいます。
税理士として幸福度高く充実した毎日を過ごすためにも、ぜひブラック税理士事務所の特徴とその見分け方を理解しておいてください。「快適に働ける事務所」を選ぶ一助になれば嬉しいです!
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税理士業界がブラックに見られがちな理由
税理士業界は、一般企業とは大きく異なる部分があり、以下の理由からブラックに見られがちです。
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繁忙期と閑散期の差が激しい
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転職、独立開業が多く離職率が高い
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徒弟制度的な体質を持つ税理士事務所・法人も一定数ある
一つ一つの理由を詳しく把握し、まずは税理士業界に対する理解を深めましょう。それがブラック税理士事務所を避けるための第一歩です。
繁忙期と閑散期の差が激しい
税理士業界のスケジュールは下記のようになっています。所得税の確定申告シーズンである2〜3月、法人税の申告シーズンである4〜5月が繁忙期です。
特に税理士の重要な仕事は確定申告であり、期限に間に合わせる必要があるため、残業も増えます。税理士事務所によっても異なりますが、繁忙期中は月30~40時間の残業も珍しくないでしょう。
定時で帰れるのは閑散期(6月~10月)のみという事務所もあります。
転職、独立開業が多く離職率が高い
税理士は業務独占資格であり、社会的評価も高い職種です。能力のある人であればいくらでも転職も可能で、独立開業も選択できるため、自由度の高い職業といえます。
税理士業界的に、
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優秀な社員は独立する
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未経験でも入社して2~3年経つと、今よりも年収の高い事務所に転職する
といった傾向が強くあります。
このような背景があり、はた目から見ると「人材の流動が高い = 離職率が高い = ブラック」のイメージがついているのでしょう。
ワンマンな税理士事務所・法人も一定数ある
税理士事務所の多くは、職員4~5人の小規模事務所になります。そのため、ワンマンな所長さんも多く存在しています。ワンマンな経営になるので、そのような事務所は発言内容に一貫性がなかったり、セクハラやパワハラが実際にあります。
ブラック税理士事務所に共通する5つの特徴
就職してから後悔する前に、ブラック税理士事務所の特徴を事前に把握し、ホームページ・面接・SNSの口コミ・採用活動状況などで見分けられるようにしておきましょう。そうすればブラック税理士事務所への就職を防げ、無駄な面接も削減できます。結果として、理想的なキャリアも実現しやすくなるでしょう。
ブラック税理士事務所に共通する5つの特徴は以下の通りです。
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激務が常態化している
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思ったよりも低賃金である
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所長の人格に問題がある
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頻繁に採用活動を行っている
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専門学校や大学院への通学、税理士試験受験への配慮がない
激務が常態化している
繁忙期はどこの税理士事務所でも激務におわれますが、>中には閑散期でも長時間残業が常態化している税理士事務所もあります。土日祝日を使って研修やセミナーを頻繁に開催している事務所もあり、必然的にイベントの準備に追われ、休む暇がありません。
多忙のわりに低賃金
中小規模の税理士事務所は、多忙にも関わらず大手事務所に比べ年収が著しく低い(300万円未満)場合があります。そうなると、生活を維持するのが難しくなり、最悪の場合は税理士を続けられない人もいるでしょう。
所長の人格に問題がある
税理士事務所は、良くも悪くも所長の人柄や考え方が業務に反映されやすいです。もし所長の人格に問題があると、職員に対してのパワハラが常態化し、人間関係で常に消耗してしまいます。また、所長に意見できるようなスタッフはなかなかいないので、状況改善も難しいのが現実です。
頻繁に採用活動を行っている
頻繁に採用活動を行っている事務所は、劣悪な労働環境により、離職率が高い可能性があります。「急激な業務の拡大」などプラスの理由であれば問題ありませんが、業績もろもろ含めた上で、ブラックかどうかを慎重に判断した方がいいでしょう。
専門学校や大学院への通学、税理士試験受験への配慮がない
就職して実務経験を積みながら、税理士試験合格を目指して勉強する人は多いです。そのため、定時上がりを推進したり、試験休暇を設け、税理士試験に配慮してくれる事務所も多く存在します。
一方、ブラック税理士事務所では、定時上がりができないため、専門学校・大学院への通学が難しいです。また試験休暇制度もなく、有休を使って受験しないといけない場合もあります。
受験への配慮が無い主な理由は、人手不足により業務が回らないため、そもそも配慮する余裕がないことが挙げられます。また「ライバルを増やしたくない」という理由から、所長が従業員のスキルアップを嫌う場合もあるようです。
ブラック税理士事務所を見分けるコツは以下の通りです。
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「圧倒的な成長」「密度の濃い経験」というキャッチフレーズがある
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給与欄に「みなし残業月〇時間」という表示がある
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充実した研修制度をうたう
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「アットホームな事務所」というキャッチフレーズがある
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SNS上での評判が悪すぎる
就職先を見つける方法として、現代ではWebサイトやSNSも有効活用できます。一見良さそうに見える事務所であっても、SNSでの評判は悪いこともあるでしょう。あまりにも悪い情報ばかり目立っている事務所は、そもそも書類選考や面接を受けないことをお勧めします。
ぜひ様々な手段を有効活用し、ブラック税理士事務所を見分けられるようになりましょう。
「圧倒的な成長」「密度の濃い経験」というキャッチフレーズがある
成長できる環境であることを強調し、長時間残業や土日出勤を要求する事務所もあります。もちろん成長できるのはいいことですが、休むことも大事な仕事です。無理をしすぎるとワークライフバランスが実現できず、消耗して体調を崩してしまう可能性もあるでしょう。
給与欄に「みなし残業月〇時間」という表示がある
みなし残業があるということは、その時間分は残業しても給料に反映されません。一見すると給与は高めに見えますが、実質的な基本給は他の税理士事務所より低い可能性もあるので注意しておきましょう。
みなし残業を設定している事務所は、長時間残業が常態化している可能性が高いです。マネジメント面に多くの課題を抱えている場合があり、そのような事務所で働くと心身ともに消耗してしまいます。
充実した研修制度をうたう
基本的に、研修は勤務時間外に行われます。「充実した研修制度」は、一見すると「未経験者を手厚くサポートしている事務所」のように見えますが、拘束時間が長く残業代もつかない可能性が高いです。勤務時間内に研修を実施しているのか?は求人票や面接にて確認するようにしましょう。
「アットホームな事務所」というキャッチフレーズがある
所長が父親、副所長が息子というように、家族経営の税理士事務所も多くあります。このような経営体制だと、他の従業員が気軽に意見を言えない場合もあるのでご注意ください。理不尽なことがあっても我慢するしかない状況だと、多くのストレスを抱え込んでしまうでしょう。
SNS上での評判が悪すぎる
SNS上での評判は、誰が書いたかわからないので鵜呑みにしてはいけません。しかし、あまりにも悪い評判ばかりの事務所は、就職を避けるのが無難です。良い評判も悪い評判も、フェアに見比べた上で、どこに就職するかを決めましょう。
必ず確認すべき5つのブラックポイント
大前提として、ブラック税理士事務所かどうかは個人の考え方によることを理解しておきましょう。思考停止に「残業が少ないから良い」「残業が多いから悪い」ではなくご自身のキャリアプランに最適な事務所を選ぶことが大切です。
その前提を踏まえた上で、税理士事務所へ就職するにあたり、必ず確認すべきポイントは以下の5つです。
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求人広告の内容
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求人情報の掲載頻度
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従業員の年齢分布
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年収目安
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試験休暇の有無や福利厚生
安易に書類選考や面接を受ける前に、ぜひこちらのポイントをご確認ください。そうすれば効率よく就職活動ができ、無駄な時間を削減できます。
求人広告の内容
「未経験者可」という文言があるからといって思考停止に応募してはいけません。人が集まらない・定着しないため「誰でも良いから来て欲しい」という意味の場合もあります。
もちろん、本当に未経験者へのサポート体制が充実し、配慮がある事務所もあります。疑問に思った点は面接でかならず確認すると良いでしょう。
求人情報の掲載頻度
中小規模の事務所であるにもかかわらず、求人情報が1年中でている税理士事務所は、まず注意が必要です。「募集をかけても人が集まらない」「人が入ったとしてもすぐに辞めてしまう」といった事務所である可能性が高いです。
従業員の年齢分布
30代〜40代の中間層が存在せず、20代の若手と50代以上のベテランしかいない場合は注意が必要です。
そういった事務所は、若手が一人前になった段階ですぐ退職し、人材が定着していない可能性があります。つまり、労働環境が悪く「仕事を覚えたらさっさと転職したい」と従業員に思われている可能性があるのです。
所属するスタッフの年齢が偏っているかどうかは、求人情報や面接などで必ず確認するようにしましょう。
年収目安
複数の事務所と比較して、あまりに年収が低い場合は要注意です。規模にもよりますが、年収目安が300万円を割る税理士事務所は安すぎると考えた方が良いでしょう。また年収を確認する際は、各事務所を正しく比較検討するためにも、みなし残業代を除いて計算しましょう。
福利厚生を確認する
試験休暇や専門学校への通学支援制度の有無など、福利厚生の内容は所長の方針がダイレクトに反映されます。税理士試験合格を目指し、試験勉強をしながら働く場合は必ずチェックしましょう。
福利厚生は「従業員を大切にし、働きやすい環境を整えているか」を判断する上で、非常にわかりやすい指標です。
入った後にブラック税理士事務所と気づいたら?
どんなに念入りに情報を確認しても、実際に入ってみないとわからないこともあります。
「あれ?この事務所、もしかしたらブラックかも?」と違和感を抱いた場合はこちらの対処方法を参考にしてください。
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元気なうちに退職する
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綿密な情報収集を行う
>元気なうちに退職する
元気なうちに退職を決断すれば、うまく再スタートを切ることも可能です。自分が辞めたら仕事が回らない」と心配する必要もありません。
税理士として活躍するために努力を重ねているのに、働き過ぎが原因で、心身を壊しては本末転倒です。仮に病気で休職、退職した場合、回復にも時間がかかる上に、働き口を見つけるのも難しくなってしまいます。
退職することに罪悪感はあるかもしれませんが、事務所のためにあなたが犠牲になるのはおかしいです。ぜひご自身の身を守ってください。
綿密な情報収集を行う
情報不足は失敗のもとです。この記事で学んだ観点を元に、求人情報の中で気になる点があればさらに深く調べるようにしてください。また、税理士業界で働く知人に相談したり、転職エージェントに聞いてみるのも、有効な情報収集の一つです。
ブラック税理士事務所の見分け方-まとめ
特別な理由がない限り、ブラック税理士事務所への就職は避けましょう。
求人情報やSNSの評判だけでわかる場合もありますし、面接を通してご自身で確かめる方法もあります。完璧に見分けることは不可能でも、確認すべきポイントを抑えるだけで、失敗確率は大幅に下げられるはずです。
万が一、就職先がブラックだった場合でも「働き続けられない」と思ったら迷わず転職しましょう。自分だけで判断できない場合は、転職エージェントのキャリアカウンセラーに相談するのも有効です。
ぜひご自身に合った働きやすい事務所を選び、税理士として理想的なキャリアを実現してください。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長