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税理士の主な転職先と失敗しないポイントを紹介

2024/08/15

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インタビュー
まとめ

税理士業界には、長時間労働や業界の人材不足による一人当たりの業務量の多さなど、様々な課題が存在しています。

今回は、税理士の主な転職先や、失敗しない転職のポイントについてご紹介いたします。

税理士の主な転職先

税理士の主な転職先は、大きく分けて5つあります。
それぞれの転職先の特徴を見比べてみましょう。

会計事務所・税理士事務所

まず考えられるのが、会計事務所や税理士事務所への転職です。
会計事務所・税理士事務所は業務内容に大きな違いはなく、名称のみが異なり、正式名称が税理士事務所、俗称が会計事務所となります。
主にクライアントの税務・会計業務に従事し、税務相談や税務申告書の作成、決算業務などを行います。

しかし、様々な専門性を持つ事務所が存在し、働く事務所の持つ専門性によって、税理士の得意分野にも差異がでますので、事務所選びは重要となります。

たとえば、税務は税理士事務所で一般的な業務ですが、対象とする企業によって専門性が異なります。税務だけでなく、財務コンサルティングや会計コンサルティングなどもキャリアの選択肢としてあります。

さらに、資産税や相続税に特化したキャリアもあります。ここでは相続税の申告や対策などを専門とするほか、事業承継コンサルティングなども行います。

そのほかにも、医業や飲食など特定の業種専門のキャリアを積むケースや、税務コンサルティングをいった、事業継承・組織再生など、高度な税務に関するコンサルティングを行うキャリアもあります。

BIG4

税理士業界BIG4とは、税理士法人のPwC税理士法人・デロイト トーマツ税理士法人・KPMG税理士法人・EY税理士法人を指します。

これらの世界的な会計事務所では、一般的な税理士事務所ではあまり扱わない専門性の高い税務経験ができるほか、大手企業をクライアントに持つため、大幅なキャリアアップが期待できます。
グローバルな案件に携わる機会も多く、国際的な視野を広げることができます。

具体的な業務内容は以下の通りです。
・国際税務
・税務コンサルティング:M&A、組織再生等
・税務代理:税務訴訟支援サポート等

また、BIG4での職務経歴はネームバリューが高く、その後の転職活動やクライアントからの信頼を得やすいといったメリットもあります。

その一方で、業務の細分化が進んでおり、クライアント毎にチーム編集が実施されており、仕事の幅が狭くなることがあります。 そのため、税務全般のスキルを学びたい方には向いていないとされています。

また、マネージャー以上のポジションにならない限りは経営者と直接話をする機会が少なく、中小企業の経営者などと知り合う機会が減ってしまうといったデメリットもあります。

基本的にBIG4税理士法人の業務は専門性が高く、独立開業に必要なスキルを身につけることは難しいとされています。

BIG4以外の税理士法人

BIG4とは異なる大手税理士法人や中堅税理士法人とはどのようなものでしょうか? 一般的には辻・本郷税理士法人と税理士法人山田&パートナーズが大手の税理士法人とされています。

中堅に区分される税理士法人は従業員が100名以上で大手に分類されていないところとされており、基本的な業務内容としては、下記が挙げられます。
・税務代理
・税務コンサルティング
・税務調査立会業務
・年末調整業務
・個人の相続にまつわる手続き 等

個人から法人まで、様々な立場や業種のクライアントを担当できるほか、経営者と話す機会も多く、独立に必要な経験や人脈を築くことも可能です。

また、自ら考え行動することが求められ、個人の判断がクライアントの業績を左右することも少なくありません。 個人の裁量が大きく影響する点では、やりがいを求める方にとっては大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

一般企業

最近では、上場企業や大企業において、グローバル展開やグループ連結、M&A、組織再編などが進んでおり、税務の専門家を社内に採用するケースが増えています。

求められるスキルとして、グローバル展開する企業が増えており、国際税務や移転価格税務調査など、BIG4系の事務所での経験が求められることもあります。

そのため、募集の難易度は高いと言えます。もちろん、そのような経験を求めない場合もありますが、大企業ならではの税務業務には、経験とスキルが必要です。

さらに、税理士事務所と企業の立場の違いから、業務のやり方にギャップを感じることもあるでしょう。

金融機関

税理士の資格は金融機関でも評価されることがあります。
金融機関では、一般事業会社とは異なる会計や税務の専門知識が求められます。金融業界の会計・税務業務は特殊であり、他の業界への転職が難しいデメリットもありますが、複雑な処理が多いため、税理士のような専門家が評価されやすい傾向にあります。

金融機関でのバックオフィス業務には、金融機関自体の経理や税務業務の他にも、リース会社やファンド、アセットマネジメント会社での特別目的会社(SPC)の経理・税務業務、最近ではREITの決算・開示業務なども含まれることがあります。

金融機関のフロント職においても税理士の資格が評価されるケースがあります。
具体的には、組織再編や事業承継のコンサルティングを法人向けに提供するケース、富裕層を対象にした資産管理コンサルティング(プライベートバンキング)を行うケース、M&Aのアドバイザリーを行う投資銀行業務(インベストメント・バンキング)などが挙げられます。

こうした職種では、会計事務所とは異なり、税務申告書や税務意見書の作成は行いませんが、コンサルティング業務の中で税務知識を活用します。

また、金融機関のクライアントは大企業も多く、コンサルティング業務も高度なものが多い傾向にあります。そのため、貴重なノウハウを学ぶことができ、金融機関内やクライアントとの人脈を築くことができるため、将来的に独立する際に有利になるケースもあります。

税理士の転職理由

転職を考える税理士の方々には、さまざまな理由が存在します。
以下では、代表的な転職理由をご紹介します。

年収を上げたい

税理士が転職を考える理由の1つに給与面での不満があります。
担当クライアント数の増加や、業務改善に務めていても、年収が上がらない事に不満を持つ方が多いです。

ワークライフバランスを重視したい

税理士・会計事務所は仕事内容の性質上、残業が発生しやすい業種といえます。
超繁忙期の税理士事務所の1ヶ月あたりの残業時間は、平均で40時間を超えます。 さらに多いところだと、80時間を超えてしまうケースもあるようです。
プライベートの時間が確保できず、転職を視野に入れる方もかなり多いと言われています。

人間関係に悩みがある

会計事務所では、繁忙期には残業や休日出勤が必要となり、その間、上司や同僚との関係が試されることがあります。 所長や上司の意向を敏感に察知しながら仕事を進めることは、精神的にも消耗を強いるものです。

また、会計事務所では個々の裁量で業務を進める環境もあり、チームワークやコミュニケーションを求める人にとっては、孤独感や不満が生じることもあります。 これらの要因が複合的に絡み合い、人間関係に悩みを抱える税理士が多いのは、決して驚くことではありません。

勤務先の将来に不安がある

小規模な事務所で働く税理士の中には、将来の事業展開や経営の不透明さに不安を感じている人もいるのではないでしょうか。

事務所の将来性は、直接的に経営陣のビジョンや能力が関わっています。将来にわたる経営展開や事業の方向性に対する不透明感が、転職を検討する一因となることも少なくありません。

税理士の転職で失敗しないためのポイント

税理士の転職を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
下記では、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

自身の特徴や強みを整理する

税理士としてのキャリアを築く上で、自身の特徴や強みを整理することは非常に重要です。
税理士業界は、専門性が求められるため、自分の得意分野やスキルを明確に把握し、それを活かすことが成功への近道です。

転職の際には、自身の強みや経験を的確にアピールすることが大切です。特に、事業承継やM&Aなどの分野での経験は、転職市場での価値を高める要素となります。

目指す方向性を明確にする

税理士の転職において、目指す方向性を明確にすることも重要になってきます。目指す方向性については複数の選択肢があります。

税理士事務所の所属税理士や経営メンバーの一員として活躍する道があるほか、自身で税理士事務所、税理士法人を設立・開業する選択肢もあります。

独立開業を目指す場合は、税務だけでなく経営や営業のスキルを身につける必要があります。自分が将来的にどのような経営をしたいかを明確にすることが重要です。 将来の展望に合う事務所を探し、自身のキャリアプランにマッチした事務所であるかを検討することが大切です。

条件を明確にする

税理士に関わらず、転職を考える際には自身の条件を明確にすることが不可欠です。 条件を明確にすることで、入職後の条件とのギャップを減らすことができるでしょう。

転職の条件は、年収、残業時間、業務内容、勤務地、就業環境など様々です。 これらの条件を細かく挙げ、具体的にすることは入職後のギャップを減らすことに非常に重要です。

しかし、すべての条件を完璧に満たす転職先を見つけることは難しい場合もあります。 そのため、「何を最優先にするか」という優先順位をつけることが必要です。

事務所の雰囲気や方針を確認する

事務所の雰囲気や方針を把握することは、転職成功の重要なポイントとなります。 小規模な組織では、経営者の方針が強く反映される傾向があります。 各事務所の仕事の進め方や価値観は異なるため、面接や面談などで直接話を聞くことが重要です。

事務所内部の雰囲気や社員同士の関係性など、実際の現場を見ることで、自分に合った職場かどうかを判断することが重要と言えるでしょう。

転職しやすい時期を把握する

税理士業界では、税理士試験の時期などによって求人の動向が変わります。税理士試験直前の5月から8月前半は、受験生が試験勉強に集中するため、求人が少なくなります。税理士試験後の8月後半からは求人が増える傾向にあります。

監査法人や会計事務所税理士法人など、各業種ごとに求人のタイミングが異なります。 監査法人では、税理士試験後の8月後半や結果発表後の12月に求人が多くなります。一方、会計事務所税理士法人では、8月後半や12月のほかにも、4月から6月に求人が増える傾向があります。

また、コンサルティングファームや事業会社の求人も時期によって異なります。 コンサルティングファームでは、税理士試験後の8月後半や結果発表後の12月に求人が多くなりますが、その他の専門的な部署では必要に応じて求人を行います。事業会社では、事業の拡大や経理担当者の退職に伴って求人が増えるため、常に求人情報をチェックすることが重要です。

転職を考える際には、自身の希望や条件に合った時期を見極め、適切なタイミングで求人を探すことが成功への第一歩となります。

まとめ

転職を検討する際には、自分自身のキャリアプランを明確に描き、注意深く事前調査を行うことが重要です。

また、見かけだけで判断せず実際の事務所の内情を知ることが入社後のミスマッチを避けるポイントとなります。 良さそうに見える事務所でも、実際の雰囲気や働き方が合わない場合があります。そのため、事前にしっかりと情報を集め、自分に合った事務所を選ぶことが大切です。

条件に見合った求人を見つけ出すのが難しいという方は、転職キャリアアドバイザーに相談してみることも一つの手となります。

転職は今後の人生を左右するとても重要な分岐点です。 妥協せず、1つ1つの転職に真摯に取り組むことがあなたのキャリアアップに繋がると言えるでしょう。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。