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経理の年収は本当に低い?実態から年収アップの方法までご紹介!

2024/09/05

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インタビュー
まとめ

経理の年収は低いと言われていますが、職業全体で見ると高収入です。経理は専門職種であり、高度な専門知識がないと業務を遂行できないことがその理由でしょう。

では、実際どの程度の収入なのか、これ以上に収入を上げるにはどうすれば良いのかについて解説いたします。
経理に転職するか悩んでいる人、在職中で年収アップを目指している人はぜひ最後までお読みください。

経理の年収は本当に低いのか?

厚生労働省が提供する職業労働情報サイトjobtagによると、経理の年収は全体の平均よりも高いことが分かります。具体的に分析してみましょう。

経理の一般的な年収

上記サイトによると、令和5年における経理事務の平均年収は484.6万円でした。
国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、全体的な平均給与は458万円。
つまり経理事務は、全体的な平均よりも高収入を得られる職種であることが分かります。

会計従事者の年代別平均年収

次は令和5年賃金構造基本統計調査の結果から、会計従事者に限定した平均年収をお伝えします。
賃金構造基本統計調査は経理事務の調査結果が存在しませんので、会計従事者の調査結果になります。

年齢 推定平均年収(万円)
〜19歳 237.4万円
20〜24歳 303.3万円
25〜29歳 374.3万円
30〜34歳 433.8万円
35〜39歳 474.8万円
40〜44歳 514.4万円
45〜49歳 527.0万円
50〜54歳 517.8万円
55〜59歳 502.7万円
60〜64歳 434.9万円
65〜69歳 356.9万円
70歳以上 397.4万円
年齢合計 460.3万円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査

年齢が上がるに連れて年収もアップしていることがうかがえます。
最高年収は45〜49歳の527万円です。以降は少しずつ年収が下がりますが70歳以上でも会計従事者として働いている人もいます。
高年齢でも年収400万円程度の収入が得られるのは、それだけ会計従事者が専門的な知識を有しているためでしょう。

会計従事者の企業規模別平均年収

企業規模の違いも年収に反映されます。
会計従事者の企業規模別平均年収を確認しましょう。

企業規模 推定平均年収(万円)
1,000人以上 526.2万円
100〜999人 444.0万円
10〜99人 422.6万円
企業規模10人以上合計 460.3万円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査

上記より、企業規模が大きくなるほど平均年収が高くなることが示唆されています。
最も高いのは企業規模1,000人以上で526万円。

10〜99人規模の平均とは100万円以上の差が見受けられます。
企業規模が大きくなれば業務内容も難しくなるかもしれませんが、高収入を狙うなら企業規模の大きな法人が狙い目です。

経理の年収が低いと言われる理由

上記より、実際の年収はそれほど低くはないという結論が出ました。
しかしながら経理の年収は低いと考えられがちです。
その大きな理由は下記の3つが該当します。

バックオフィス業務だから

経理の仕事は売上に直結しません。そのため給与が上がりにくいという理由です。
売上に直結する仕事といえば、営業ですよね。
営業で契約が取れれば企業の売上は一気に上がります。インセンティブが設けられていることも珍しくありません。

企業によっては売上No. 1の営業マンを朝礼で称賛しますし、営業マンごとの売上を張り出していることもあります。もちろん売上によってインセンティブは上がり、給与はどんどん増えていくでしょう。

一方で、経理が正確に作業を実施しても売上には影響を与えません。ミスをすれば企業に多大な損害を与えることも考えられますが、経理は「正確に業務を遂行して当たり前」と思われています。
そのため、正確な業務をすることで給与アップとはならないのです。

仕事の成果が伝わりにくい

営業マンなら契約数や売上等で、頑張りや貢献度を数値化しやすいですね。
しかし経理にはそのような分かりやすい指標がありません。
なぜなら正確な業務遂行が求められており、その業務も変化しないためです。

そのため、最も伝わりやすい成果は「残業時間」になります。
残業時間は計測しやすいため、残業時間が長いほど頑張ったと評価されがちなのです。
本来ならば残業時間削減の方が企業に利益をもたらすはずが、なぜか逆の方が評価されることが多いのです。

残業時間以外では勤続年数で測られるのみになってしまいます。
本来、経理の成果は正確性やスピード、丁寧な資料作成等になるはずが、定量化できないために正当な評価が受けられない状況です。

自動化しやすい

一昔前までは手書きで帳簿を作成し、電卓で計算をしていましたが、現在は会計ソフトへの入力が一般的になりました。
さらに会計ソフトも進化を遂げ、最低限の経理の知識さえあれば、専門的な知識がなくとも記帳や申告書作成等が行えるようになりました。

このような画期的な進化は喜ばしい反面、経理事務そのものの価値を下げてしまっているのです。要するに「パソコン等で自動化できる仕事」と認識されるようになったために、高い給与を出さなくても良いのではないかと考えられているのです。

たしかに会計ソフトの進歩と普及により、経理知識が少なくとも記帳程度ならば誰でもできるようになりました。
しかし自動化できない業務、たとえば減価償却を定率法にするか定額法にするか決める等の高度な業務は、会計ソフトに任せられません。
ですがやはり定量化しにくいため、評価につながりにくいのです。

経理の仕事内容

経理の仕事は企業によって大きく異なります。
「経理事務が実施する業務範囲はここからここまで」と定められていませんので、企業によって「経理を専門とする仕事」であったり「経理も労務も人事も仕事のうち」と定められていたりします。

<一般企業における経理事務の仕事の例>
  • ・現金出納管理
  • ・経費精算
  • ・伝票の作成
  • ・売掛金や買掛金の管理
  • ・給与決算
  • ・月次決算
  • ・顧問税理士との連絡
  • ・年末調整
  • ・賞与計算
  • ・株主総会の準備
  • ・棚卸し 等

通常は会計ソフトを使用して記帳等の入力作業を行うことになります。
仕事内容は企業によって異なりますが、「一般事務」ではなく「経理事務」として採用された場合は、経理に携わる割合が高い傾向にあります。
しかし「一般事務」として入社したにもかかわらず、経理事務の業務に携わることも少なくありません。

給与が上がりにくい人の特徴

経理事務で給与が上がりにくい人の特徴をまとめました。
あなたが該当しないかチェックしてみてください。

正確な仕事のみが給与アップにつながると考えている

前述のとおり、経理は正確に仕事をして当たり前と考えられています。
そのため、与えられた仕事をこなすだけでは給与アップにつながりません。

たとえば後輩の育成に力を入れる、DX化を推進して経理部全体の残業時間を削減する、マニュアルを作成する等の、一歩踏み込んだ行動が必要です。

また取り組みについては、いつ何をやったか等を記録に残しておき、評価の際のプレゼン資料に使いましょう。
ただ待っていても、勤続年数以外で給与アップとなることはほぼありません。
確実に給与を上げるならば、積極的な行動が必要なのです。

スキルアップしない

資格取得をしない、企業から勧められている講座を受講しない人です。
スキルアップしなければ、できる業務の幅は変わりませんから、給与も上がりません。
経理が給与アップするのは、上記の理由により、かなり大変です。目立つことをしたり、企業の利益に貢献したりしなければなりません。

スキルアップはその中でも取り組みやすい施策の1つです。しかし給与アップの第一歩となるスキルアップに着手しないならば、給与アップは遠のくでしょう。

経理と関係しない資格取得に励んでいる

資格取得のために勉強することは素晴らしいことです。
社会人になっても年齢を重ねても、勉強して着実に自分を鍛える姿を揶揄する人はいません。

しかし給与アップに結びつくかどうかはまた別問題です。
経理で給与アップしたいなら、経理と関連性のある資格を取得すべきです。
現在簿記資格を取得していないならば、まずは簿記から手をつけるべきでしょう。 決してMBAや中小企業診断士ではありません。

もちろん、これらの資格は企業に歓迎されるはずです。別部署で活躍できるチャンスを生み出してくれるかもしれません。
しかし経理としての給与アップを叶えてくれる資格とは言い難いのです。

このような無関係の資格取得に勤しんでいる人は、会社からの評価が高くとも経理としての評価は変わらないので給与アップはされづらいのです。

経理の年収を上げる方法

経理が年収を上げるための方法をいくつか紹介いたします。

資格を取得する

最も取り組みやすいのは、経理系の資格を取得することです。

簿記

日商簿記検定が有名です。商業簿記の基礎から応用まで身につきます。
1〜3級まであり、3級が最も簡単で、1級が最難関です。
企業の経理として働く場合、最低でも3級の取得をおすすめします。

<日商簿記検定3級の概要>
日本商工会議所によると「基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル」とされています。

  • 試験科目:3題以内
  • 試験時間:60分
  • 合格基準:70%以上
  • 勉強時間目安:100時間程度

1日1時間の勉強を3カ月継続すれば取得できる計算です。
簿記資格を取得していると、転職時にも有利に働きます。

3級を取得している経理の人は、2級の取得を検討しましょう。
1級は取得しても良いですが、膨大な勉強時間が必要になりますので、よく検討したうえでチャレンジするかご判断ください。

税理士や公認会計士資格もおすすめ

簿記1級取得者や経理を極めたい人には、税理士や公認会計士の資格取得もおすすめです。
企業内税理士となり、経理とは別格扱いされます。
資格手当が出るかどうかは企業によりますが、業務内容がより高度になります。

また独立や転職も可能になり、経理という枠組みを超えたライフステージを切り開けます。
取得に数年かかる超高難易度の資格ではありますが、税理士や公認会計士として転職すれば年収は確実に上がります。ぜひご検討ください。

管理職になる

管理職になることも給与アップにつながります。
管理職は一般社員を束ねる立場として、責任やリーダーシップ等が求められます。
一般の経理事務よりも求められることが多いので、給与も当然アップします。

しかし企業によっては、残業代がつかなくなる等の弊害もあるようです。社内規定をよく読み、管理職になると給与アップするかどうかをしっかり確認しておいてください。

勤続年数を増やす

長く勤めることも給与アップにつながります。
多くの企業では、勤続年数が長いほど給与が上がる年功序列制度が採用されています。
経理は仕事を定量化しにくいため、成果主義の評価制度を取り入れにくいためです。

そのため、現在勤めている企業で長く働き続けることも、給与アップの方法と言えます。
しかし勤続年数による給与アップはさほど多くはありません。
月1,000〜5,000円程度のアップにとどまるでしょう。
資格取得等の行動を取りたくない人は、勤続年数を増やして少しずつ給与アップしてください。

転職する

上手に転職することで、給与アップすることも可能です。
上手な転職とは、自分の想像どおりの仕事ができて、なおかつ給与が上がる求人を選択することです。

たとえば、企業規模が大きいほど平均給与額は上がる傾向にあります。ですから、現在よりも大規模な企業に応募することも1つです。
また資格を取得して、自分の価値を高めた上で転職を有利に進めることもできます。
経理ができる人材は、実は希少なのです。

売上にはつながらないものの、経理がいなければ入出金を正確に把握できません。ですから、資格取得者や一定以上の経験者を高く評価してくれる企業もあるのです。まずは求人票に目を通してみましょう。

まとめ

経理の平均給与は、全国平均よりも高収入です。
しかし社会からは給与の低い職業とみなされがちですし、仕事を定量化しにくいので勤続年数以外での給与アップが難しい職種でもあります。

本気で給与アップを願うならば、本記事で紹介した方法をぜひお試しください。
特に税理士資格はおすすめです。きっとあなたの希望する高収入が叶いますよ。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。