INDEX
おすすめ記事
-
税理士のキャリアプランとは?キャリアアップや理想キャリアの実現方法も解説
-
税理士を目指す方必見!資格取得支援制度のある税理士事務所の特徴とは?
税理士 試験勉強支援 見つけ方 -
経理職でスキルアップするためには?経理プロフェッショナルへの道を解説
-
【2024年版】税理士の就職先をご紹介!
-
税理士事務所から一般企業への転職。税理士資格は活かせるの?
税理士 一般企業
税理士が経理部へ転職。税理士資格は役に立つ?
2024/08/20
INDEX
税理士の転職先で人気であるものの一つに企業経理があります。
一般的なイメージでは、どちらも「数字に関わる仕事」という共通点があるかもしれませんが、実は全く異なる役割を果たしています。
この記事では、税理士事務所と企業経理の様々な違いと税理士が経理部に転職するメリットについて解説していきます。
税理士事務所と経理の仕事内容の違いとは
税理士事務所と企業経理は、それぞれどのような仕事をしているのでしょうか。
税理士事務所の仕事
税理士事務所の仕事内容は多岐にわたります。主には、企業や個人の税務に関する相談を受け、税務申告書の作成や税務調査の対応、税務相談などを行います。また、経営に関する様々なアドバイスや、事業計画、経営計画の策定なども行います。
つまり、税理士は税に関する専門知識や資格が必要な税務を、クライアント企業に代わって行っています。
経理の仕事
一方、経理の仕事内容は、企業の金銭の出入りを管理し、財務状況を把握することが主な業務です。例えば、収支の計算、予算の策定、決算業務などがあります。また、経理部では企業の財務状況を把握し、経営陣に対して財務に関するアドバイスを提供する役割も果たします。
税理士事務所と経理の仕事の大きな違いは、誰に向けて動くのかといった点です。
税理士事務所はクライアント企業に向けて動き、経理職は、自社の経理業務のみ行っています。
では、共通点はどこにあるのでしょうか?
共通点
以下は、税理士事務所および一般企業経理で共通して行われている業務になります。
-
1. 会計記録の管理
・財務取引の記録を正確に行い、適切な会計帳簿を維持する
・売上、仕入れ、経費、資産、負債などの取引を日々の会計システムに入力 -
2. 財務諸表の作成
・月次・四半期・年度末における財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)を作成 -
3. 税務申告
・税務申告に関する業務も共通しています。税理士事務所ではクライアントのために、企業の経理部門では自社のために、法人税、消費税、所得税などの申告書を作成および提出 -
4. 経費管理
・経費の管理や報告、支出の承認、経費精算
・経費の適正性や会社の規定に基づく処理 -
5. 予算管理と予実分析
・予算の作成、予算に対する実績の分析、および予算と実績の差異分析
・将来の財務状況を予測し、適切な資金計画を立てる。 -
6. 内部統制の維持
・取引の正確性や信頼性を保つために、内部統制を維持し、改善する業務
・不正防止や業務効率化のためのプロセス改善
これらの業務は、税理士事務所と一般企業の経理部門のいずれにおいても共通して重要です。
経理部へ転職するメリット
ここまで、仕事内容の違いについて詳しく解説いたしました。
近年、税理士事務所から一般の経理職へ転職する税理士の数は増加傾向にあると言われています。
では、税理士が企業経理へ転職するメリットはあるのでしょうか?
資格を持つことで好待遇が期待できる
経理業務を行うにあたり税理士資格は必須要件ということはありません。しかし、税理士資格を持つことで、税務や経理への専門性を示すことができ、即戦力としてアピールすることが可能です。
また、企業にとっても税理士資格を持つ経理担当者を雇うことで、外部に依頼するコストを削減でき、社内で税務申告や税務相談を完結することができるメリットもある点から、資格を有することで、高い報酬を得られる可能性があります。
複数の税目に対する経験値を上げることができる
企業経理として勤務することで、複数の税目に対する経験値を上げることができます。
一般的に経理部では「法人税」「消費税」「法人事業税」「法人住民税」について担当していますが、中小企業の経理部で勤務することで、他部署が担当する場合が多い、「事業所税」「固定資産税」「所得税」など、複数の税目について経験を積める可能性があります。
ワークライフバランスの実現が可能
経理部は、数多くある職種の中でも、ワークライフバランスが良いと言われています。
経理職の多くは、決算業務が多くなる3月から5月、年末調整が多い11月~1月が繁忙期であると言われるように、ある程度繁忙期は決まっていることが多いです。そのため、比較的予想可能な業務スケジュールとなっており、その間の作業計画が立てやすいといわれています。
また、会社にいなくともパソコンがあれば仕事が出来ることから、リモートワークの経理担当者も増加しており、ワークライフバランスの実現が可能であると言われています。
ベンチャー企業でCFOを目指せる
経理部への転職は、安定した職務を求めるだけでなく、キャリアアップのチャンスを広げる大きなステップとなることがあります。特に、ベンチャー企業では、経理部門の一員として多様な業務を経験しながら、財務戦略の立案や経営意思決定に直接関与する機会があります。これは、企業の財務状況を直接把握し、最前線でビジネスを支えるCFO(最高財務責任者)を目指すためには、価値ある経験となるでしょう。
ベンチャー企業は、大企業とは異なり、組織がフラットで、自由度が高く、多様な経験を積むことが可能です。そのため、経理部門で働く人々は、通常の経理業務だけでなく、財務戦略の立案や資金調達、マネジメント等、多岐にわたる業務を担当することがあります。これらの経験は、経営者の視点で物事を考え、企業全体の業績改善に貢献できる能力を養うための重要なステップとなります。
また、ベンチャー企業では、自社の成長とともに役職が上がるチャンスもあります。このような環境では、自分の成果が直接会社の成果に反映され、その結果としてCFOへの昇進の道が開かれる可能性があります。このように、経理部への転職は、自己実現とキャリアアップの大きなチャンスを提供してくれるのです。
税理士事務所と経理で求められるスキルとは?
税理士事務所と経理部では求められるスキルが異なることをご存知でしたか?
それぞれに求められるスキルを詳しくご紹介いたします。
税理士事務所で求められるスキル
税理士事務所では主に、「計算・分析力」「営業力」「コミュニケーション力」が求められています。
税理士事務所で求められるスキルについて深掘りしていきましょう。税理士事務所では、会計・税務に関する業務を行うため、計算力は必須となります。税金計算、財務分析など、細かい計算が求められるため、高度な計算能力と分析力も必要です。
次に、顧客獲得やマーケティング活動などに関わるため、営業力も必要とされます。顧客に対する提案力や交渉力を養うことで、より良い業績を上げることが可能となります。
顧客やチームメンバーとの円滑なコミュニケーションを図るためのコミュニケーション力も重要となります。
税法や経理に関する複雑な内容をわかりやすく伝える力は、顧客満足度向上につながります。これらのスキルは、税理士事務所での仕事を効率的かつ効果的にこなすために必要なスキルです。
経理で求められるスキル
経理職では主に、「PCスキル」「マネジメント能力」「コミュニケーション力」が求められています。
経理の仕事は、会社の財務状況を把握し、正確な報告を行うことが求められます。そのため、まず必要となるのが「PCスキル」です。特にExcelを使ったデータ分析や、会計ソフトの操作は欠かせません。
「マネジメント能力」も重要なスキルの一つです。部下の指導や、業務の進行管理、また予算の管理など、多角的に業務を進めていくための能力が求められます。
さらに、経理部門は他部門とのコミュニケーションが欠かせない部署です。そのため「コミュニケーション力」も必要とされます。他部門との調整や、上層部への報告など、円滑な人間関係を築ける能力が求められます。
これらのスキルを持つことで、経理部への転職を有利に進めることができるでしょう。
年収の違い
では、税理士事務所勤務と企業経理勤務の年収に違いはあるのでしょうか?
以下は、令和4年賃金構造基本統計調査に基づく税理士事務所と企業経理の年代別平均年収です。
年代 | 平均年収(万円) |
---|---|
20代 | 約462万円 |
30代 | 約626万円 |
40代 | 約1,041万円 |
50代 | 約957万円 |
年代 | 平均年収(万円) |
---|---|
20代 | 約340万円 |
30代 | 約442万円 |
40代 | 約488万円 |
50代 | 約520万円 |
統計結果をみると、企業経理の方が平均年収は比較的低く見えますが、これは企業規模や役職により大きく変動があります。
例えば、大手企業に勤める経理課長(50代)の年収は1,100~1,300万円であったり、大手企業(20代)経理事務の年収は400万円~500万円と、平均よりも高い年収を狙える可能性は大いにあります。
まとめ
この記事では、税理士事務所と経理の仕事内容の違い、経理部へ転職するメリット、求められるスキル、そして年収の違いについて詳しく解説してきました。税理士事務所と経理では、具体的な仕事内容や求められるスキルが異なり、その違いを理解して、自分のキャリアプランにあった転職先を探すことが重要です。
この記事が、あなたが次のキャリアステップを考える際の参考になれば幸いです。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長