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巡回監査士補の需要と今後の展望|業界の最新情報

公開日:2025/04/23

最終更新日:2025/04/23

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「数字に強い」だけでは通用しない時代。あなたの会計スキルを、真に価値あるものにする資格があります。
それが『巡回監査士補』――中小企業の現場に寄り添い、経営のかじ取りを支える専門職です。
帳簿のチェックから税務のアドバイス、経営者との対話まで、その活躍の幅は想像以上。
税理士を支えるパートナーとして、企業の「今」を把握し「未来」をつくる仕事です。
資格取得を通じて、実務力と信頼を兼ね備えたプロフェッショナルへと成長できます。

さらに、経営支援やコンサル、IT導入など、キャリアの広がりも魅力のひとつ。
TKC全国会のサポート体制も充実しており、初学者からでも安心して挑戦できる環境が整っています。
この記事では、そんな巡回監査士補の役割・試験・キャリア展望までをわかりやすく解説します。

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巡回監査士補とは?その役割と重要性

巡回監査士補(じゅんかいかんさしほ)とは、主に中小企業の会計支援を行う職業会計人で、TKC全国会(全国の税理士・公認会計士で構成される団体)が認定する資格の一つです。税理士や会計事務所の職員として、顧問先企業を定期的に訪問(巡回)し、経理や帳簿の確認、指導などを行います。

この資格は、企業の健全な経営をサポートするために、正しい会計の指導や、企業経営に関する助言ができる「信頼できる会計パートナー」を育成することを目的としています。

巡回監査士補の基本的な役割

巡回監査士補の主な役割は以下のとおりです。

1. 巡回監査の実施
・毎月または定期的に顧問先を訪問し、帳簿や領収書などの一次資料を確認。
・会計帳簿が正しく記録されているかチェックし、誤りがあれば指導・修正。

2. 経営者への会計・税務アドバイス
・月次試算表をもとに、業績の報告や課題の共有。
・税務申告や節税に向けた準備のアドバイス。

3. IT・会計ソフト導入支援
・TKCの会計システムなどを活用し、企業の業務効率化を支援。

4. 税理士の補助
・資料作成や情報収集を通じて、税理士の申告業務や経営助言を支援。

企業における重要性と影響

巡回監査士補は、企業の「数字のプロ」として以下の点で重要な役割を果たします

1. 経営の「見える化」に貢献
・会計帳簿が月次で正確に整うことで、経営者が現状を迅速に把握しやすくなります。
・正しい数字に基づいた意思決定が可能になります。

2. 資金調達や金融機関との信頼構築
・適正な会計処理が継続されることで、金融機関からの評価が向上。
・融資や取引先との関係でもプラスに働きます。

3. 税務リスクの低減
・記帳・会計処理が正しく行われていると、税務調査のリスク軽減にもつながります。

4. 経営改善のパートナーとしての役割
・月次の会計報告を通じて、売上・利益の傾向を分析し、改善点を提案。
・経営の「ブレーン」として中小企業経営者を支える存在になります。

巡回監査士補になるための資格と試験

巡回監査士補は、主に税理士事務所で働く職員が目指す専門資格で、TKC全国会が認定しています。この資格を取得することで、企業に対してより専門的な会計支援ができるようになります。

取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。

・税理士事務所または税理士法人に勤務していること
・実務経験が一定期間(6か月以上)あること
・毎年実施される「巡回監査士補試験」に合格すること

この試験に合格すると、巡回監査業務に必要な会計・税務・経営支援の基礎知識を持っていることが証明されます。

試験内容と合格基準

試験は年に1回、主に11月に行われます。全6科目に合格することで資格が付与されます。

試験科目(各科目45分)

・巡回監査Ⅰ(職業倫理・巡回監査の実務)
・巡回監査Ⅱ(企業会計・経営助言)
・所得税法
・法人税法
・消費税法
・相続税法

試験の出題形式は、〇×問題、計算問題、選択問題などが中心で、実務的な知識が問われます。

合格基準

・各科目70点以上(100点満点)
・全科目に合格して初めて資格認定される
・一部合格は翌年以降も有効(科目合格制度あり)

学習方法とポイント

試験範囲は実務に直結した内容のため、日々の業務経験がそのまま対策になりますが、専用の教材も活用するのが効果的です。

・教材は、TKCが発行するテキスト・例題集を使用するのが一般的
・特に例題集を繰り返し解くことで、出題傾向や解答スピードをつかめる
・業務時間内に先輩職員から実務のコツを学ぶのもおすすめ

表にまとめると以下の通りです。

項目 内容
資格名 巡回監査士補(TKC全国会が認定)
対象者 税理士事務所・税理士法人に勤務する職員
受験資格 実務経験6か月以上(原則)
試験時期 毎年11月頃
申込期間 10月上旬〜下旬頃
試験形式 CBT方式(各科目45分、選択・〇×・計算問題など)
試験科目 1. 巡回監査Ⅰ(職業倫理・巡回監査)
2. 巡回監査Ⅱ(会計・経営助言)
3. 所得税法
4. 法人税法
5. 消費税法
6. 相続税法
合格基準 各科目70点以上で合格
6科目すべて合格で資格付与
科目合格の有効期間あり
受験料 科目ごとに設定(例:1科目1,650円など)
学習教材 専用テキスト・例題集(TKCより提供)
学習のポイント - 実務と並行して学習可能
- 例題集で出題傾向を把握
- 時間内に解答する練習が重要
資格取得後の展望 - 会計業務の信頼性向上
- 経営助言業務の幅が広がる
- 上位資格「巡回監査士」の受験資格を得る


監査士補の需要と業界の現状

巡回監査士補は、主に税理士事務所や税理士法人に勤務する職員を対象とした資格で、事務所の職員育成およびその資質向上を目的としています。

業界の現状としては、以下の点が挙げられます:

資格者数の増加:​令和4年6月30日現在、巡回監査士が4,142名、巡回監査士補が10,399名、計14,541名が資格を保有しています。 

受験者数の増加:​令和6年度の巡回監査士・巡回監査士補試験には7,618名が受験し、1,653名が合格しています。 ​

社会的認知度の向上:​資格取得者の増加に伴い、巡回監査士補の社会的認知度も高まっており、税理士事務所の業務品質向上に寄与しています。 ​

税理士との関係と役割分担

巡回監査士補は、税理士の指導の下で業務を行い、以下のような役割分担がなされています:​

巡回監査の実施:​顧問先企業を定期的に訪問し、会計帳簿の確認や経理指導を行います。​

税務申告の補助:​税理士の指示のもと、税務申告書類の作成や必要資料の整理をサポートします。​

経営助言の提供:​財務分析や業績報告を通じて、経営者への助言を行い、企業の成長を支援します。​

これらの業務を通じて、巡回監査士補は税理士と連携し、顧問先企業の健全な経営をサポートしています。

tkcが提供するサポート

TKC全国会は、巡回監査士補の育成と資格取得を支援するために、以下のサポートを提供しています:​

① 研修プログラムの提供

巡回監査士補の育成において最も基盤となるのが、体系的に整備された研修制度です。

新入職員研修プログラム(例:新入職員研修Ⅰ・Ⅱ)
 ◦税理士事務所で働き始めたばかりの職員を対象に、基本的な会計知識やビジネスマナー、TKCシステムの操作方法を習得。
 ◦実務未経験者でも、段階的に業務を理解できるよう設計されている。

巡回監査士補試験対策講座
 ◦試験科目に対応した集中講義(対面・オンラインあり)を提供。
 ◦出題傾向や要点を効率的に学べるよう、専用教材や例題集と連動。

実務に即した演習・ロールプレイ
 ◦顧問先とのやり取りや帳簿チェックの演習を通じて、現場力を養成。
 ◦経験年数に応じてステップアップ式に学べる構成。

② 資格取得の推進と評価制度

TKC全国会は、巡回監査士補資格を事務所内の職能評価の一環としても位置づけています。

職員のモチベーション向上
 ◦資格取得者には昇給・昇格のチャンスが広がるよう、所長が制度として評価。
 ◦所内での役割も広がり、顧客対応やマネジメントへの登用例も増加。

事務所全体のスキル底上げ
 ◦資格取得が職員全体の知識レベルを一定水準に引き上げ、組織力の強化に直結。
 ◦倫理観・専門性の標準化を促進し、顧客からの信頼性も向上。

③ オンライン試験の導入と利便性向上

近年、TKC全国会はCBT(Computer Based Testing)方式によるオンライン試験を導入し、柔軟な受験環境を整備しています。

全国の受験者がアクセスしやすい
 ◦試験会場の選択肢が増え、地域格差の解消にもつながる。
 ◦受験者は都合の良い日時と場所で受験可能。

試験結果のスピーディな通知
 ◦試験終了後すぐに結果がわかるため、学習の継続や反省がしやすい。
 ◦不合格科目の再チャレンジも早期に可能。

受験管理も合理化
 ◦受験履歴や結果をTKC会員事務所が把握できるシステム連携により、職員の育成進捗も一元管理。

④ トータルで支える“人材育成のエコシステム”

TKCは資格取得だけでなく、その前後も含めた人材育成全体を支援する方針を取っています。

 ◦入社直後からの研修 → 資格取得支援 → 実務スキル定着 → 巡回監査士へのステップアップという“成長の流れ”が制度化。
 ◦教材・システム・OJT・研修が連動しており、知識と実践をスムーズに統合可能。
 ◦将来的には税理士や経営支援のプロフェッショナルへと成長していく土台づくりがされている。

巡回監査士補の今後の展望とキャリアパス

業界の変化と新たなチャンス

近年、ビジネス環境の変化に伴い、会計・税務の分野でも以下のような動向が見られます。​

デジタル化の進展:​会計ソフトやクラウドサービスの普及により、業務の効率化が進んでいます。これにより、データ分析やITスキルを持つ人材の需要が高まっています。​

法規制の複雑化:​税制改正や国際会計基準の導入など、法規制が複雑化しています。これに対応できる専門知識を持つ巡回監査士補の役割が重要視されています。​

コンサルティング需要の増加:​単なる会計処理だけでなく、経営戦略や財務アドバイスを提供できる人材へのニーズが高まっています。​

幅広い知識を活かしたキャリア構築

巡回監査士補としての経験と知識を基盤に、以下のようなキャリアパスが考えられます

巡回監査士へのステップアップ:​さらなる資格取得により、より高度な業務や大規模なクライアントを担当することが可能になります。​

税理士資格の取得:​実務経験を積みながら税理士試験に挑戦し、独立開業や法人内でのキャリアアップを目指す道もあります。​

経営コンサルタント:​会計・税務の知識を活かし、企業の経営戦略や財務改善のアドバイザーとして活躍することができます。​

IT・システム導入支援:​会計システムやERPの導入・運用サポートを行うことで、ITと会計の橋渡し役としての役割を担うことができます。

表にまとめると以下の様になります。

キャリア方向 主な業務・特徴 必要なスキル/資格 将来の展望・可能性
① 巡回監査士へ昇格 中小企業の経営助言、財務分析、巡回監査の中核を担う 巡回監査士補の実務経験、巡回監査士資格 事務所の主力人材として活躍、重要顧客の担当
② 税理士資格の取得 税務申告・節税対策・相続・事業承継などの専門支援 税理士試験合格(科目合格制)+実務経験 独立開業や税理士法人の幹部候補に
③ 経営コンサルタント 経営戦略、財務計画、資金繰り改善などの助言 会計・税務+経営分析・提案力 顧問業務にとどまらない企業成長支援が可能
④ 会計IT・DX支援担当 会計ソフト導入、業務フロー改善、クラウド化支援 ITスキル(会計ソフト、クラウド、RPA等) 税理士業界内のデジタル専門職として重宝される
⑤ 事務所マネージャー/教育担当 若手職員の育成、業務品質管理、クライアント対応管理 コミュニケーション力、業務管理力 組織内での信頼を得て管理職に昇進可能
⑥ 企業の経理・財務部門へ転職 経理実務、決算業務、税務対応、内部統制など 実務経験+日商簿記2級以上など 一般企業でのキャリアチェンジも可能(安定志向向き)


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まとめ

この記事では巡回監査士補についてまとめました。この記事がお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

税理士 平川 文菜(ねこころ)

税理士|熊本出身|2018年京都大学卒業| 在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。