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税理士 転職 20代
2024/11/20
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近年、税理士が一般企業に就職する「企業内税理士」が増加傾向にあります。ここでは、税理士の資格を活かせる転職先や、資格保有者が一般企業で働くメリットについて、具体的な内容を含めて詳しく解説していきます。
一般企業で資格を活かす転職の道
税理士が資格を活かして転職する道は様々です。主な転職先には「税理士事務所」「税理士法人」「一般企業」が挙げられます。一般的には税理士事務所や税理士法人で所属税理士として勤務した後に独立開業を目指す方が多くみられますが、近年では、税理士資格を活かして一般企業の企業内税理士として勤務する方も増えてきました。
この背景には、一般企業では外部の税理士に委託するより、企業内に税理士を雇った方が外部委託費用の削減になることや、業務の迅速化、内部統制の強化、機密性の向上が可能であるため、企業側も採用に力を入れている現状が挙げられます。
では、税理士は一般企業でどのような役割を担い、どのような仕事を行っているのでしょうか?次の章で詳しくご紹介いたします。
一般企業での税理士の役割と仕事内容について解説
一般企業で働く税理士は、税に関する専門的な知識を活かして様々な部署で活躍しています。部門別の仕事内容は以下の通りです。
部門 | 役割・仕事内容 |
---|---|
経理・財務部門 | 財務諸表の作成・分析、税務申告、資金管理 |
経営企画部門 | 経営戦略の立案、予算管理 |
内部監査・コンプライアンス部門 | 内部監査、コンプライアンス |
人事・総務部門 | 給与計算・福利厚生制度運用、労務管理 |
コンサルティング業務 | 税務コンサルティング、財務コンサルティング |
上記の表から、税理士はさまざまな分野で活躍できることが分かります。では、それぞれの部門の詳しい仕事内容についてみてみましょう。
1. 経理・財務部門での役割
財務諸表の作成・分析
経理・財務部にて財務諸表の作成および分析を行います。これには、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などが含まれ、自社の財務状況を正確に把握し、経営判断の基礎となるデータを提供します。
税務申告
企業の所得税、法人税、消費税などの税務申告を担当します。税法に基づく適切な申告と、節税対策の立案・実行が求められます。最新の税法改正に対応し、企業が法令遵守することを確保します。
資金管理
企業の資金繰りを管理し、適切な資金計画を立案します。これには、日々のキャッシュフロー管理や、長期的な資金調達計画の策定が含まれます。適切な資金管理は、企業の安定的な運営に欠かせません。
2. 経営企画部門での役割
経営戦略の立案
税理士は、企業の経営戦略の立案に参画します。財務データを基にした分析を行い、長期的な経営計画の策定を支援します。これには、新規事業の立ち上げや市場拡大のための戦略立案が含まれます。
予算管理
企業の年間予算を作成し、その実績を管理・分析します。予算と実績の差異分析を行い、経営改善のための提言を行います。これにより、経営陣が迅速かつ適切な意思決定を行えるようサポートします。
3. 内部監査・コンプライアンス部門での役割
内部監査
企業内部の業務プロセスを監査し、内部統制の評価を行います。これには、不正防止や業務の効率化を図るための提言が含まれます。内部監査を通じて、企業のガバナンス強化に貢献します。
コンプライアンス
企業が法令を遵守しているかを監視し、法令違反のリスクを最小化します。特に、税務に関するコンプライアンスが重要であり、適切な税務処理を行うための指導・監督を行います。
4. 人事・総務部門での役割
給与計算・福利厚生
社員の給与計算や、社会保険料の算定・支払手続きなどを担当します。税務の観点から、給与や手当に関する適切な処理を行い、社員に対する福利厚生制度の運用をサポートします。
労務管理
労働法に基づく労務管理を行い、労働条件の適正化や労使関係の改善に努めます。これには、労働契約の作成や労働条件の見直しなどが含まれます。
5. コンサルティング業務
税務コンサルティング
企業に対して、税務戦略の立案や税務リスクの評価・管理に関するコンサルティングを行います。これにより、企業が最適な税務処理を行い、税務リスクを最小化することを支援します。
財務コンサルティング
企業の資金調達や投資計画に関するアドバイスを提供します。これには、企業の成長戦略に合わせた資本構成の最適化や、投資プロジェクトの評価が含まれます。
以上のように、税理士が一般企業で果たす役割は非常に多岐にわたります。税務の専門知識を活かし、経営全般に貢献することで、企業の成長と発展を支える重要な役割を担っています。
税理士が一般企業へ転職するメリットとは
税理士が一般企業へ転職するメリットを3つご紹介いたします。
幅広い業務を行うことが出来る
税理士が一般企業へ転職する最大のメリットの一つは、幅広い業務に携わることができる点です。以下に、具体的な業務とその魅力について説明します。
1. 経理・財務部門での活躍
税理士としての知識と経験は、経理・財務部門で大いに役立ちます。税務申告や財務諸表の作成、資金繰りの管理など、専門的なスキルが求められる業務に即戦力として貢献できます。特に、税務リスクの管理や節税対策に関する知識は、企業の経営戦略に直結する重要な役割を果たします。
2. 内部監査・コンプライアンス業務
内部監査やコンプライアンス業務においても、税理士の経験は重宝されます。企業の内部統制システムの評価や、法令遵守の状況をチェックする業務において、税理士の持つ専門的な視点は大きな強みとなります。これにより、企業はリスク管理を強化し、健全な経営を維持することができます。
3. コンサルティング業務への進出
税理士は、企業のコンサルタントとしても活躍することができます。経営戦略、財務戦略、税務戦略に関するコンサルティング業務を通じて、企業の成長をサポートします。クライアントの多様なニーズに対応し、適切なアドバイスを提供することで、信頼されるパートナーとしての地位を確立することができます。
以上のように、税理士の資格は様々な場面で重宝されており、資格を活かして幅広い経験を積める可能性があると言えます。
ワークライフバランスの実現が可能
企業内税理士として働くメリットにワークライフバランスの実現が可能な点があります。税理士事務所での働き方は、繁忙期には深夜までの長時間労働が求められることが少なくありません。しかし、一般企業であれば、働き方改革により定時制度が整っていることも多く、プライベートの時間をしっかり確保することが可能です。また、各企業ごとに異なりますが、残業時間や休日出勤などの状況によっては、割増賃金の支給や代休の取得など、労働条件の充実も期待することができます。これらの条件は、転職前にご自身でしっかりとリサーチすることが大切です。
福利厚生の充実
福利厚生の面でも大きなメリットがあります。企業によって福利厚生は異なりますが、大手企業ではしっかりとした福利厚生が設けられており、これは税理士事務所にはない魅力となるでしょう。例えば、健康保険や年金制度、雇用保険などの社会保険が充実しているほか、休暇制度も整っています。
また、企業によっては子育て支援や介護支援など、ライフイベントに対応した福利厚生を設けている企業もあります。さらに、企業の規模が大きいほど、研修制度やキャリアアップ支援など、社員の成長を支える制度が充実していることも多いです。これらの福利厚生は、税理士としての専門性を活かしながら、自身の人生設計を考える上で大きなバックアップとなります。これらの要素が、税理士が一般企業へ転職する大きなメリットとなるでしょう。
一般企業と税理士事務所の平均年収
さて、これまで企業内税理士として働くメリットについてお話してきました。しかし一番気になるのは年収の違いではないでしょうか。
では早速、一般企業と税理士事務所の平均年収を比べてみましょう。厚生労働省が発表した「令和5年(2023年)賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、税理士事務所で働く税理士の平均年収は約780万円と報告されています。
国税庁「令和4年分、民間給与実態統計調査」の調査によると、2023年の給与所得者の一般年収は、平均給与458万円(男性:563万円 女性:314万円)です。
以上により、税理士事務所で働く税理士は、一般所得者の平均を上回っており比較的高年収であることがわかります。
続いて、企業内税理士の平均年収をご紹介いたします。
企業内税理士の平均年収は、約500万円~1,000万円となります。こちらも日本の平均年収より高い水準となっています。年収は、企業規模や役職、ポジションにより変わりますが、年収1,000万円を目指すことも可能となります。
企業内税理士を求める企業は比較的大手が多いことから、安定性や幅広い業務に触れたい場合は企業内税理士をおすすめします。
税理士の一般企業への転職-まとめ
この記事では、税理士が一般企業で働く際の仕事内容やメリット、平均年収まで詳しく解説いたしました。税理士としてのキャリアを考える際には、自分の興味やスキル、キャリアプランを念頭に置きながら、多様な選択肢の中から最適な道を選びましょう。
一般企業への転職を考えている方や、税理士としてのキャリアについて迷っている方にとって、この記事が有益な情報となることを願っています。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長