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2024/09/27
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履歴書と共に提出する職務経歴書は、あなたの税理士としてのキャリアを応募先事務所に評価してもらうための大切な書類です。
しかし職務経歴書を書いた経験がなければ、ゼロから作り上げるのは難しいものです。
そこで今回は、
税理士の職務経歴書の書き方について解説いたします。
同じ職歴であっても、書き方次第でより魅力的に魅せることが可能です。
採用担当者から選ばれる職務経歴書の作成にお役立てください。
職務経歴書はなぜ必要なのか
職務経歴書の書き方の前に、なぜ職務経歴書が必要なのか、提出の目的は何なのか知っておきましょう。
この点を意識するだけでも、職務経歴書が魅力的に変化しますよ。
詳細な職歴を確認するため
職務経歴書には、これまでの業務について詳細に書き記されています。
経験した業務内容から、採用後に活躍できるかどうかが見られます。
たとえば巡回監査と法人決算のみの実務経験に対し、応募先企業が求める実務経験が相続税の申告だった場合、経験不十分として採用を見送る判断を下すかもしれません。
反対に、今後すぐに活用できる実務経験ならばプラス評価になるでしょう。
職務経歴だけで合否が決定するわけではありませんが、重要なポイントであることに違いはありません。
応募する事務所が希望している実務経験を加味した職務経歴書を作成しましょう。
読む人のことを意識した文章になっているか確認するため
職務経歴書は履歴書と異なり、自由に書ける書類です。
そのため求職者1人1人でまったく異なる職務経歴書になります。
そんななかで採用担当者は、読み人の目線に立った見やすい内容になっているかを確認します。
税理士はクライアントとコミュニケーションを取りながら業務を遂行します。ですから相手に配慮した文章作成能力は必須なのです。
職務経歴書が読みにくいと感じたら、クライアントに対しても分かりにくい説明や資料提供をするのではないか、と思われるためです。
職務経歴書を作成したら、家族や知人に一度見てもらい、読みやすいと感じるかチェックしてもらいましょう。
誤字脱字等がないか確認するため
誤字脱字の有無もチェックされます。
提出する書類に誤字や脱字があるのは大問題です。
もちろん、うっかりミスしてしまうことはあるでしょう。しかしあまりにミスが目に付くならば、それはもはやミスではなく怠慢に分類されます。
誤字脱字は悪印象になりやすいので、作成後に必ず見直しを行ってください。
履歴書との違い
履歴書は大まかなプロフィールをまとめた書類で、職務経歴書は職務に限定して具体的かつ詳細な内容を伝えるものです。
履歴書で伝えきれなかった業務内容や実績等を記載し、自己PRできるのが職務経歴書。採用担当者は履歴書で募集条件とのミスマッチがないかチェックし、職務経歴書で採用したい人材かどうかを判断します。
履歴書も職務経歴書も採用の合否に深く関わる書類であり、両方必要なのです。
役割が異なるので、重複する箇所があっても構いません。応募先から提出を指示されているなら、必ず両方作成してください。
税理士の職務経歴書の項目別書き方
目的を理解したところで、項目別の書き方について理解を深めましょう。
なお職務経歴書はパソコン作成が基本です。
手書きでも作成できますが、記載内容が多いのでパソコン作成をおすすめします。
職務経歴書は「逆編年体形式」「編年体形式」「キャリア形式」の大きく3パターンから選びますが、税理士におすすめなのは、最も一般的な「逆編年体形式」です。
本記事では逆編年体形式で解説いたします。
氏名・作成日
あなたの氏名と作成日を記入します。
作成日は履歴書の作成日と同日にしましょう。
職務要約
これまでのキャリアを3〜4行にまとめます。
学校卒業後からこれまでの職歴を簡潔に表現してください。
職務要約欄に、募集要件とマッチする経験や実績が記載されていると、採用担当者に強烈な印象を与えられます。単純な文章のまとめではなく、キラーメッセージになるよう配慮しましょう。
非常に重要な項目ですので、下記の職務経歴等を一通り書き終えた後で構想を練ることをおすすめします。
職務経歴
職務経歴書の要となる部分です。
書く順番は、直近の職場からです。現職が最上部、一つ前の事務所の業務内容をその次に、2つ前の事務所の業務内容をさらにその次に…という流れでまとめます。事務所ごと、部署ごとに枠を分けると見やすくなります。
記載する項目は、会社名、部署名、業務内容、在職期間の大きく3つ。
会社名と部署名は正式名称で記載しましょう。
業務内容は簡潔にまとめます。税理士の場合は業務内容に、関わった分野、クライアントの業種や規模、実績等を記してください。
在職期間は「○年△月〜□年×月」とします。
可能な限り応募要件とマッチする情報を書き記します。
部署移動や大幅な業務変更があった場合は、別枠を作成して記入してください。
採用担当者は、職務要約で興味を惹かれた内容を中心に読み進めますので、読み手の目線を想像しながら書き進めてください。
資格やスキル
募集条件にマッチする資格やスキルに限定して記入しましょう。
履歴書に記載している内容と被っても構いません。
特に税理士の場合は、税理士資格や税理士試験科目合格について忘れずに記載してください。
その他、簿記資格やUSCPA等の、税務や経理に直結する資格は有利に働きます。
またマネジメントスキルや語学力、パソコンスキル、営業力等も高評価につながります。
税理士科目合格を含む資格については取得年月を、その他のスキルについては根拠となる経験談を記しましょう。
なお
勉強中の資格やスキルを書き添えることも評価の対象になります。
募集条件に該当するスキルを勉強しているならば、意欲ありとみなされるためです。
自己PR
応募先が求めている人材であるとアピールするための項目です。
業務内容と親和性の高いスキルや強みについて簡潔にまとめましょう。
税理士の場合、数字に強いことはもちろんのこと、多くの経営者たちと対話するためのコミュニケーション能力や、事務所内の同僚たちと意思疎通をする協調性等が問われます。
さらに、国際税務に携わるなら語学力が、資産税に携わるなら不動産等の知識が、大企業に携わるなら連結決算の実務経験が有利に働くと考えられます。
その他、応募先事務所において優遇されそうな知識や経験についてまとめましょう。
その際は、スキル名だけでなく、具体的な経験を書き添えてください。たとえば「お客様満足度事務所内一位獲得」「新規顧客獲得件数○件/年」「決算業務を平均○時間でこなす」等です。数字を含めると具体的で伝わりやすくなります。
特記事項
応募先に伝えておくべき事項を記す項目です。
「持病がある」「扶養家族が増える予定」のように、応募段階で伝えておく必要のある内容を記入しましょう。
給与や福利厚生等については、内定が出てから詰める機会があります。「家族を養うために年収○万円以上が必要」といった状況でもない限り、給与等について言及することは控えた方が良いでしょう。
職務経歴書に書かなくて良いこと
職務経歴書は自由形式ですので、上記の他にも伝えたいことを書き記すことはできます。
ただし書かない方が良いことや書かなくて良いこともあります。
たとえば、退職理由や転職理由です。
これらはネガティブな理由になるケースが多く、また職務に関係しません。
そのためスペースを取ってまで記載する必要はないのです。
面接で尋ねられた際には回答しますが、職務経歴書に書く必要はありません。
また職務と関係しないことは記載しない方が良いでしょう。
学生時代に取り組んだ部活や、職務に関係のない特技、趣味等です。
新卒の場合はこれらの活動も採用可否に関わりますが、中途採用の場合は重視されません。むしろ「それが実務とどう関係するのか?」と疑問を生んでしまいますので、記載は控えるべきです。
税理士の職務経歴書の例文
職務経歴書 | ○年△月□日 氏名 ○○ ○○ |
■職務要約■ 大学卒業後、○○税理士法人に入社し、法人税部門第1課に配属され、法人税決算を中心に従事して参りました。クライアントはスタートアップ直前直後の小規模法人から、10億円規模の企業まで幅広く、担当数は約30社でした。スタートアップのサポート、法人税決算、事業承継の経験があります。クライアント企業の売上を10%向上させた際には非常に喜ばれました。 |
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■職務経歴■
○年△月〜現在 ○○税理士法人 資本金:○万円 売上高:×万円 従業員数:□名 法人税部門第1課 【担当クライアント】 担当数:約30社 クライアント規模:スタートアップから中堅法人 クライアント業種:様々。住宅メーカー、ネットショップ、魚卸業、スーパー、文具店等 【業務内容】 スタートアップ企業のサポート全般 行政書士と連携して各種手続き等 巡回業務 法人税決算業務、申告業務 給与計算 年末調整 法定調書の作成 税務コンサルティング 等 【実績】 書類添付を実施し、税務調査年間0.5件を達成。 税務コンサルティングにより売上10%アップ達成。 既存顧客からの紹介で新規顧客3社獲得。 |
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■資格・スキル■ 税理士資格 ○年 取得 簿記1級 △年 取得 USCPA 勉強中 |
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■自己PR■ 高いコミュニケーション能力を活かして、クライアントと密接な関係を築いてきました。その結果、税務コンサルティングを受け入れてもらい売上向上に貢献でき、新規クライアントを紹介していただきました。これらの経験は貴社でも必ず役立つと確信しています。 |
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■特記事項■ 交通事故で左手を骨折したため、入職直後はパソコン入力等に時間がかかると思われます。骨折したのは利き手ではありませんし、○月には回復する予定です。 |
税理士の職務経歴書を書く際のポイント
職務経歴書を作成する際の準備や形式について確認しておきましょう。
これまでのキャリアを細かく棚卸しする
これまでのキャリアを別紙に書き出してみましょう。
思い出せない場合は、直近の業務から過去に向けて振り返ってみましょう。
重要なことは、応募先が求める条件にマッチした実務経験を、より多く書き出すことです。
その経験が直近であればあるほど有利になります。
職務の棚卸しは時間のかかる作業ですので、腰を据えて取り組んでください。ここで書き出した経歴が少ないと、後の工程で行き詰まることになります。
転職回数が多くて入退職日が思い出せないならば、雇用保険被保険者証を確認してみましょう。前職の入退職について記されています。ハローワークでも調べられますよ。
求める人材像に合った内容に絞る
キャリアの棚卸しが完了したら、その中から応募条件にマッチした実績やスキルをピックアップしましょう。その内容を柱に据えて職務経歴をまとめます。
マッチする実務経験がそれほど見つからない場合は、自己PR欄で転職したい意欲や情熱を伝えましょう。
A4用紙2〜3枚程度にまとめる
厳密にページ数は定められていませんが、A4用紙2〜3枚までにまとめるのが一般的です。
あまり多いと読む方も大変ですので、多くても3枚に収めましょう。
反対にA4用紙1枚で収めるのも良くありません。短すぎると転職意欲が低いとみなされかねないためです。
迷ったらA4用紙2枚にまとめるようにしましょう。
離職期間が長い場合は何をしていたのか記載する
離職期間が半年以上に及ぶ場合は、その間に何をしていたのかを記載することも検討してください。
資格試験の勉強のため、家族の介護のため等で離職していた場合、記載することで離職期間の悪印象がなくなります。
ただし「遊んでいた」「ゆっくりしていた」といった理由であれば、記載しない方が良いこともあります。
提出形式を確認する
上記で一般的な職務経歴書の書き方を解説しましたが、時には応募事務所から書式等が定められているケースがあります。「パソコン作成で文字は11Pt」等です。
応募先から指定されている形式は遵守してください。一般的な形式や書き方よりも優先されます。
提出形式を無視した場合、協調性に乏しいとして内容に目を通すこともなく不採用になりかねません。必ず提出形式の指定は確認してください。
まとめ
税理士が転職を成功させるためには、職務経歴書で他の求職者と差をつけなければなりません。
本記事を参考に、誰もが採用したくなるような素晴らしい職務経歴書を作成してください。
きっと、あなたの新たな未来につながっていますよ。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長