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公認会計士の平均年収は?高年収の理由や仕事内容まで徹底解説!

2024/08/09

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国家3大資格である公認会計士は、高年収であるとイメージされる方は多いのではないでしょうか。 この記事では、 公認会計士が高年収である理由、転職先から仕事内容まで詳しく解説していきます。

公認会計士の平均年収は?

厚生労働省が出している賃金構造基本統計調査では、2024年の 公認会計士の平均年収は約750万円と言われています。

国民の平均年収が約460万円であることから、高年収であると言えます。

参照:厚生労働省_令和5年賃金構造基本統計調査_結果の概況

では年収は、性別や年齢でどれくらいの差があるのでしょうか?

男女別平均年収では、男女別で平均年収に大きな差はあるのでしょうか?

厚生労働省が発表した「令和5年賃金構造基本統計調査」に基づき、男女別の平均年収を算出いたしました。

  平均月収 年収合計
男性公認会計士 約737,700円 約8,852,400円
女性公認会計士 約567,800円 約6,813,600円

参照:厚生労働省_賃金構造基本統計調査

統計を見ると、 女性会計士は男性会計士に比べ平均年収は約200万円ほど低くなっていることが分かります。

年代別平均年収

年代別平均年収は以下の通りです。

年代 平均年収
20代 5,196,150円
30代 7,558,450円
40代 8,576,950円
50代 7,763,550円
60代 7,965,500円
70代以上 6,860,800円

上記の表より、 一番平均年収が高い年代は40代であることがわかります。 公認会計士は、資格取得後5年から10年で独立開業する人が多いと言われており、30代半ばで独立する人が多い背景から、20代と30代の平均年収に大きく差が開いていると考えられます。

公認会計士が高年収である理由

公認会計士という職業は、その高い専門性と堅牢な信頼性から、多くの企業や個人にとって重要な役割を果たしています。そのため、公認会計士は高い評価とともに高年収を得ることができます。このセクションでは、 公認会計士がなぜ高年収を獲得できるのか、その理由を大きく3つ解説します。

公認会計士試験の難易度が高い

公認会計士の資格は、医師や弁護士と並ぶ国家3大資格であり、難易度が非常に高い資格であると言われています。 公認会計士・監査審査会が発表している2024年の公認会計士合格率は7.6%となっています。 また、必要な勉強時間は2,500〜3,000時間といわれており、かなりの時間と労力を費やすことが分かります。 公認会計士試験は非常にハードなもので、一度に全ての科目を合格することは稀で、多くの受験生が何年もの歳月を掛けて合格を目指します。試験の内容は、経済、法律、会計に至るまで幅広く、その深い知識と理解が求められます。また、試験の形式も複雑で、論文式の問題や、具体的なビジネスシーンを想定したケーススタディなど、単純な知識の記憶だけではなく、それを実際の場面で適用できる能力が問われます。これらの要素が公認会計士試験の難易度を高めています。

この 難易度の高さが公認会計士の資格の価値を保ち、その結果として公認会計士は高年収を得ることが可能となっています。

公認会計士だけに認められる独占業務がある

公認会計士の資格は、その有資格者だけに認められる特権的な業務を持つことで知られています。これらの業務は「独占業務」と呼ばれ、主に監査業務を中心としています。具体的には、 上場企業の財務諸表監査や公取引の証明等、一般の会計士や税理士では行えない業務が含まれます。

監査業務には様々な種類があり、主な業務は次の通りです。

法定監査

  • ・金融商品取引法に基づく監査
    特定の有価証券発行者等が提出する有価証券報告書等に含まれる財務計算に関する書類(貸借対照表や損益計算書等)には、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならないとされています(金融商品取引法第193条の2第1項、同第2項)。
  •  ・会社法に基づく監査
    大会社及び委員会設置会社は、会計監査人を置くことが義務付けられています(会社法第327条、同第328条)。 また、会計監査人を置く旨を定款に定めれば、すべての株式会社は会計監査人を置くことができます

国際的な監査

  • ・海外の取引所等に株式を上場している会社又は上場申請する会社の監査
  • ・海外で資金調達した会社又は調達しようとする会社の監査
  • ・日本企業の海外支店、海外子会社や合弁会社の監査
  • ・海外企業の日本支店、日本子会社の監査

参照:日本公認会計士協会_公認会計士の仕事内容

公認会計士は監査業務以外に、税理士登録を行うことで税理士の独占業務である「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」も行うことが可能となります。

これらの 独占業務の需要は非常に高く、それが公認会計士の高年収につながっています。

需要が高い

公認会計士は、企業の経営者だけでなく、株主や取引先、金融機関など、様々なステークホルダーに対して企業の財務状況を適切に伝える役割を果たします。企業の財務会計だけでなく、税務会計、管理会計、監査など、多岐にわたる専門的な知識が求められるため、全ての会社や個人事業主が経営していくうえで公認会計士の業務が必要不可欠となっています。

また、 近年では企業のグローバル化や規制強化に伴い、企業の内部統制やリスクマネジメントの重要性が増しており、その実現には公認会計士の専門的な知識が不可欠となっています。 そのため、公認会計士の需要は更に高まりつつあり、これが高年収を支える要因となっています。

高年収が狙える公認会計士の転職先をご紹介

公認会計士の資格を持つことで高年収が期待できるのは周知の事実ですが、転職を通じてさらなる年収アップを目指すことも可能です。 ここでは、 公認会計士のスキルを活かし、高年収を実現できる転職先を幾つかご紹介します。

監査法人は、 公認会計士が5人以上集まって設立された法人のことを指します。 主な業務内容としては、大手企業や上場企業などのクライアントに対して、公認会計士の独占業務である財務書類の監査業務または監査証明などがあります。監査法人の業務は、会計に対する専門的かつ高度な知識が求められることから高年収が狙える転職先と言えます。 また、BIG4と呼ばれる4大監査法人では、事業規模が大きく手掛ける案件も大規模であることが多いため、国内の監査法人と比較して年収が高くなる傾向にあります。

監査法人では、企業の内部情報を把握し、適切な監査を行うために様々な人とのコミュニケーションが必要となるため、 人と話すことが好きな人や、クライアントごとの様々な問題に対して柔軟に対応できる人が向いていると言えます。

大手企業の経理部門

公認会計士としての高年収を実現するための一つの手段として、大手企業の経理部門への転職が考えられます。大手企業の経理部門では、その規模と業種特性により、 多様な会計処理や複雑な税務調整に対応するための専門知識が求められます。 例えば、売上管理や決算書作成などの企業活動に関わるお金の計算や管理が主な仕事となる可能性もあり、場合によっては、給与計算や保険管理などの従業員に関するお金の管理、計算を担当する場合もあります。 その他、会社全体の財務状況を把握し、経営陣に対する助言や意思決定の補佐も求められる業務を任されることもあります。これらの公認会計士がもつ専門知識の活用が必要な業務を果たすことで、年収アップの実現が可能となります。

大手企業の経理部門への転職を考える際には、自身のスキルと経験、そしてキャリアビジョンを明確にすることが重要です。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームは、 企業の経営課題を解決するための専門的なアドバイスを提供する企業で、その中には経営戦略、財務改革、リスク管理などの幅広い領域が含まれます。公認会計士の持つ財務知識や経営分析力は、これらの課題解決に大いに貢献できるため、コンサルティングファームからの需要が高く、それに伴い高年収が見込める職場であると言えます。

また、多様な業界や企業の課題に取り組むことで、幅広い知識と経験を積むことができるため、キャリア形成においても魅力的な選択肢となるでしょう。

しかし、コンサルティングファームで働くためには、ただ公認会計士の資格を持つだけでは不十分です。 課題解決のための論理的思考力や、クライアントとのコミュニケーション能力など、ビジネススキルも求められます。 これらのスキルを持つ公認会計士は、コンサルティングファームで活躍し、高年収を得ることが可能です。

公認会計士がキャリアアップのために取得すべき資格

公認会計士としてのキャリアをさらに飛躍させるためには、他の資格取得も視野に入れてみることをおすすめします。 ここでは、 ダブルライセンスとしておすすめな4つの資格をご紹介します。

弁護士

公認会計士のキャリアアップにおいて、弁護士の資格取得が有効であることは意外に知られていません。

弁護士の資格を持つ公認会計士は、法律と会計の両方の専門知識を活かして、企業の法的問題や会計問題を一手に解決できます。特にM&A(企業の合併や買収)や企業再編などの複雑なビジネスシーンでは法務デューデリジェンスが可能になることや企業の粉飾決算対応が可能となり、大きな強みとなります。

さらに、弁護士の資格を持つことで、企業法、税法、労働法などの幅広い法律領域についての理解を深めることができ、公認会計士として働く上で必要な法律知識をより深めることができます。これにより、会計だけでなく法律的な問題も解決できるトータルアドバイザーとしての地位を確立でき、キャリアアップにつながるのです。

行政書士

公認会計士は、 試験を受けずとも行政書士へ登録することが可能です。 行政書士に登録することで、 官公署に提出する書類作成やその他権利義務または事実証明に関する書類の作成、企業の法務やコンプライアンス面でのアドバイスが可能となります。そのため、顧客が官公署への許認可申請が必要となった際でも、他の行政書士に依頼する手間が省けます。

公認会計士と行政書士のダブルライセンスは、専門的な知識とスキルの習得、キャリアの幅を広げるという観点から見ても有益であると言えます。

不動産鑑定士

公認会計士が不動産鑑定士の試験を受ける際には、民法と経済学が免除されます。そのため、他受験者に対して比較的優位に取得できる資格となっています。 不動産鑑定士は、不動産の価値を正確に評価する専門家であり、不動産取引や金融商品の評価に必要な存在です。不動産関連の業務に携わる機会が増えることで、より幅広い知識と経験を身につけることができます。これは、 公認会計士としての専門性を更に深め、専門知識を活かしたコンサルティング業務などにも活用できます。

公認会計士として専門性を高めるには、不動産鑑定士の資格取得はおすすめの一つです。

USCPA(米国公認会計士)

USCPAは、 アメリカ合衆国の公認会計士資格であり、世界最大の経済大国であるアメリカの会計・税務に精通していることを証明する資格となります。この資格を取得することで、グローバルな視野を持つ企業や、海外展開を行っている企業からの需要が高まる可能性があります。

また、USCPAは国際的な会計基準(IFRS)にも精通することが求められるため、国際的なビジネスシーンで活躍する上での知識やスキルを身につけることができます。さらに、USCPAは英語での試験となるため、英語力も同時に身につけることが可能です。 この資格を持つことで、 国際税務にも対応できる公認会計士となることが可能になります。

国際税務の基礎知識はこちらをご覧ください(国際税務について詳しく記入している税理士5を添付)

なお、USCPA以外にも、 CFA(証券アナリスト)、税理士など、公認会計士のスキルを活かし、さらにキャリアアップを目指すための資格は数多く存在します。自身のキャリアパスや目指す職業により、取得すべき資格は異なるため、自身のキャリアプランに合った資格を選択することが大切です。

まとめ

公認会計士は高年収が狙えるほか、幅広いキャリアプランの形成が可能であることをご紹介しました。 公認会計士としてさらなる飛躍を目指す皆さんにとって、これらの情報が参考になれば幸いです。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。