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税理士補助の仕事内容とは?給料や向いてる人について解説
2024/11/20
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税理士事務所や税理士法人、BIG4の求人でよく見かけられる「税理士補助」といった仕事があります。では、税理士補助の仕事内容とはどのようなものなのでしょうか。
この記事では、税理士補助の詳しい仕事内容や年収、向いている人まで解説していきます。
税理士補助とは何か
税理士事務所や税理士法人などの求人でよく見かけられる「税理士補助」ですが、皆さんは税理士補助がどのような仕事をしているのかご存じでしょうか。
具体的な仕事内容
税理士補助はその名の通り、税理士の補助業務を行っています。しかし税理士補助は無資格であるため、税理士の独占業務である「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」以外の業務を行っています。
主な仕事内容は以下の通りです。
業務カテゴリー | 具体的な仕事内容 |
---|---|
経理・総務事務代行 | 経理処理(請求書・領収書の発行、支払業務のサポート)、経費精算の管理、労務管理(勤怠管理、給与計算、社会保険手続)、各種既定の作成・更新、福利厚生運用サポート |
巡回訪問業務 | 定期的なクライアント訪問、現地での会計資料の確認・収集、クライアントとの対面での相談対応、業務進捗状況の報告と改善提案 |
記帳代行業務 | 仕訳の入力、会計ソフトへのデータ入力、領収書・請求書の整理、月次・年次決算の補助、財務諸表の作成補助 |
基本的には、税理士補助が作業を進めた後に税理士が確認を行うといった流れで業務が進んでいます。
必要な経験やスキル
では、税理士補助にはどのような経験やスキルが求められるのでしょうか。
ここでは大きくわけた3つをご紹介いたします。
パソコンスキル
どこの税理士事務所でも必ず求められるスキルはパソコンスキルです。
税理士補助の業務には、経理・総務事務代行や記帳代行業務がありますが、これらはパソコンを用いて行われることが殆どです。資料作成にはExcelやWordが使われることが多いほか、会計ソフトに対しても抵抗なく使える状態になっておくことが必要です。
税に関する知識
税理士補助は、税理士が担当する業務の一部を補助する役割を果たします。具体的には、記帳代行業務や巡回訪問業務、また、顧客の決算書作成や税務申告、税務相談などの一部も担当することで、税理士の業務負担を軽減します。そのため税理士補助は、税法や会計の知識が必要とされ、税理士試験の科目を一部取得している人が多く求められています。税理士補助は、税理士を目指す途中のステップとしても位置づけられ、働きながら税理士試験の合格に向けての実践的な経験を積むことができます。
コミュニケーションスキル
税理士補助の業務は、税理士との連携が不可欠であるため、コミュニケーションスキルは必須となります。また、巡回業務がある場合には、クライアントと直接話をする機会が発生する為、より高度なコミュニケーションスキルが求められます。具体的には、税務申告の内容をクライアントに分かりやすく説明したり、税法の変更点を理解して適切なアドバイスを提供するなど、専門的な知識を活用しながら、相手の理解度やニーズに合わせたコミュニケーションが求められます。そのため、税理士補助を目指す人は、専門知識を身につけるだけでなく、コミュニケーションスキルも同時に磨くことが求められます。
税理士補助になるメリットとは?
それでは、税理士補助として働くメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
税理士を目指している人は働きながら勉強もできる
税理士を目指している方にとっては、税理士補助として働きながら試験の勉強ができるためおすすめです。繁忙期には残業が発生するなど勉強時間が確保しづらくなる可能性はありますが、その期間をうまく避けて勉強を行うことで、働きながら税理士試験に合格することも可能となります。
また、税理士試験合格後に2年以上の実務経験を経てからようやく税理士登録を行えますが、税理士補助として勤務しておくことで、合格後にすぐ税理士登録を行うことも可能となります。
未経験でも働くことができる
多くの場合には、経理経験者や税理士補助経験者が求められていますが、未経験であっても科目合格者であれば税理士補助として働ける場合があります。求められる条件は事務所によって異なるため求人情報を詳しくチェックする必要があります。未経験から税理士補助を目指す場合は、科目合格や簿記資格を取得することで、有利に就職・転職活動をすすめることができるでしょう。
ワークライフバランスの実現が可能
税理士補助はパートタイムや有期契約社員の求人も多いため、ワークライフバランスを実現しながら働きたい方にとってもおすすめです。また、リモートワークやフレックスタイム制度を導入している事務所も多く、家庭の事情や個人のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。例えば、子育て中の方や介護を必要とする家族がいる方でも、仕事と家庭の両立がしやすくなっています。これにより、仕事とプライベートのバランスを保ちながら、長期的に安定して働くことができる職業と言えます。
税理士補助のキャリアパス
税理士補助は、税理士事務所での重要な役割を担う職種であり、専門知識や実務経験を積むことでさまざまなキャリアパスを選択できます。以下に一般的なキャリアの流れを紹介します。
1.税理士補助(エントリーレベル)
最初のステップとして、税理士事務所で税務業務の補助を行います。このポジションでは、主に会計データの入力や書類の整理、顧客対応などの基本的な業務を担当します。ここでの経験は非常に重要で、基礎的な税務知識を身につけることが求められます。特に、税務に関する基本的な法律や規則を理解することが、将来のキャリアに大きな影響を与えます。また、社内の先輩や税理士からの指導を受けることで、実務に即した知識を効率的に習得できます。
2.税務スタッフ
数年の経験を経て、税務スタッフとしてのポジションに進むことが可能です。この段階では、より複雑な税務申告書の作成や顧客とのコミュニケーションが求められます。具体的には、法人税や所得税、消費税などの申告書を作成し、顧客に対して税務に関するアドバイスを行うことが含まれます。実務経験を通じて、実際の税務申告に対する理解を深めることが重要です。このポジションでは、顧客の財務状況を把握し、適切な節税対策や資産運用の提案を行う能力が必要です。これにより、顧客からの信頼を得て、業務を円滑に進めることができるようになります。
3.税理士資格取得
税務スタッフとしての経験を積んだ後、税理士資格の取得を目指すことが一般的です。税理士試験は難易度が高く、しっかりとした学習計画と自己管理が必要です。受験準備を進める中で、税法の各種規定や実務上の注意点を深く理解することが求められます。
資格取得後は、税理士として独立開業することや、事務所内でのキャリアアップを目指すことができます。税理士資格を取得することで、クライアントとの信頼関係が強化され、業務の幅が広がります。多くの税理士事務所では、資格取得をサポートするための制度や研修プログラムが整備されているため、積極的に活用することが大切です。
4.税理士
資格を取得後は、税理士として独立開業するか、税理士事務所に所属して活躍します。顧客の税務戦略やコンサルティング業務を担うことが多く、高度な専門知識とコミュニケーション能力が求められます。この段階では、より多くの責任を担うことになり、顧客の期待に応えるためのスキルが必要となります。特に、経営者とのミーティングや税務調査への対応など、重要な局面での判断力や説明力が求められます。顧客からの信頼を得ることで、長期的な関係を築くことができ、安定した収入を得ることが可能となります。
5.マネージャーやパートナー
経験を積むことで、事務所内のマネージャーやパートナーとしての役割も目指せます。チームの指導や戦略的な経営に関与し、事務所全体の発展に貢献します。ここでは、スタッフの育成や業務の効率化、クライアントとの関係構築に取り組むことが求められます。マネージャーやパートナーになることで、事務所の戦略を考えたり、新しいサービスを導入する機会が増えます。自身の知識と経験をもとに、若手スタッフを指導し、次世代の税理士を育成する役割も果たすことができ、非常にやりがいのあるポジションです。
このように、税理士補助から始まり、専門知識を深めながらキャリアを築くことができます。重要なのは、常に学び続ける姿勢と、実務経験を通じてスキルを向上させることです。自身のキャリアを意識しながら、目標を持って取り組むことで、充実した税理士としての人生を歩むことができるでしょう。
税理士補助の年収について
ここまでは、税理士補助の仕事内容から、税理士補助として働くメリットについて解説しました。
税理士を目指している人にとって、働き方に融通が利くことやワークライフバランスの実現が可能である点などからかなりメリットのある仕事であると言えます。 ここで気になるのが、税理士補助の年収です。
税理士補助の年収は、その役割や経験に応じて大きく異なります。税理士補助は税理士事務所において非常に重要なポジションを占めており、業務内容の多様性や求められるスキルによって給与に差が出ることがあります。ここでは、税理士補助の年収に関する具体的なデータと要因について詳しく見ていきます。
まず、税理士補助としてのキャリアをスタートした場合の年収は、一般的に約270万円から400万円程度とされています。この範囲は、未経験者や新卒者が多くを占めており、基本的な業務から始めることになります。しかし、実務を通じて知識とスキルを磨くことで、徐々に年収が上昇する可能性があります。
経験を積んだ税理士補助は、年収400万円から500万円程度に達することが一般的です。この段階では、より複雑な業務を担当し、顧客とのやり取りや申告書作成などの重要な業務に関わることが求められます。また、専門知識の習得や業務の効率化に取り組むことで、クライアントからの信頼を得て、さらなるキャリアアップが期待できるでしょう。
さらに、科目合格者や簿記資格を持つ税理士補助の場合、雇用条件や給与が優遇されることが多いです。これらの資格は、税理士業務に必要な知識や技能を証明するものであり、業務の質を高めることに直結します。そのため、企業側も優秀な人材には競争力のある給与を提示する傾向があります。
税理士補助の年収は、個人の能力や実績、業務の種類、勤務する事務所の規模や地域によっても大きく変動します。大手事務所や都市部では、給与水準が高いことが一般的です。そのため、将来的に税理士補助から税理士資格を取得し、独立開業を目指す場合には、自己投資として学習や資格取得を進めることが重要です。
総じて、税理士補助は、税務や会計の専門性を持つ職業であり、その年収は努力と実績に応じて向上する可能性があります。したがって、税理士補助としての経験を積むことで、キャリアの幅を広げ、より良い待遇を求めることができるでしょう。
専門知識の習得
税務や会計の専門知識を深めることで、業務の幅が広がります。特に、税務に関する基本的な法律や規則、最新の税制改正について理解を深めることは、今後のキャリアに大きな影響を与えます。また、税務に関する資格(例:簿記検定や税理士試験)を取得することで、自分の市場価値を高めることが可能です。さらに、関連する分野(例:財務、法務、経営)の知識も併せて学ぶことで、顧客に対する提案の幅が広がり、より高い評価を得ることができます。
実務経験の積み重ね
業務経験が豊富であればあるほど、クライアントからの信頼を得やすくなります。特に、難易度の高い案件や特殊な税務処理を経験することで、自身のスキルを高めることができます。多様な案件を担当し、実績を積むことで、給与の交渉材料となるでしょう。また、成果を上げた場合には、上司や経営陣に対して具体的な数字や成果を示し、昇給の交渉を行うことが重要です。
コミュニケーション能力の向上
顧客との良好な関係を築くことは、税理士補助の役割において非常に重要です。顧客のニーズを正確に理解し、適切な提案を行うことで、顧客満足度が向上し、リピート業務や紹介が増える可能性があります。顧客満足度を高めることで、事務所全体の業績向上にも寄与し、その結果として給与が上がる可能性が高まります。また、社内でのコミュニケーションも大切で、上司や同僚との良好な関係を築くことで、より多くのチャンスを得られるでしょう。
スキルの多様化
税務業務だけでなく、会計、経理、財務分析など幅広いスキルを持つことは、業務の効率化や価値向上につながります。特にITスキルやデジタルツールの使用に関する知識は、今後ますます重視されるでしょう。例えば、会計ソフトやクラウドサービスの活用、データ分析能力を磨くことで、業務の効率化を図ることができます。新しい技術やツールに対する柔軟性を持ち、積極的に学ぶ姿勢が求められます。
定期的な自己評価とフィードバックの活用
自分の業務やスキルについて定期的に評価し、上司や同僚からのフィードバックを受けることも大切です。自己改善に努め、明確な目標を設定することで、成長を実感しやすくなります。具体的には、毎月の業務の振り返りや、年度末の自己評価を行い、成果や課題を明確にすることで、次のステップに向けた計画を立てることができます。フィードバックを受けて改善点を見つけ、それに基づいてアクションプランを実行することで、着実にスキルを向上させていくことができます。
このように、税理士補助としてのキャリアアップや給与アップには、様々なポイントが存在します。専門知識や実務経験を高めることで、給与交渉の際に強力な根拠を持つことができ、さらなる成長を目指すことができます。自己啓発やスキルの向上に努めることで、充実したキャリアを築き上げていきましょう。
税理士補助に向いている人とは?
では、税理士補助に向いている人とは、どのような人なのでしょうか。
まず第一に、数字に強い人が挙げられます。税理士補助の仕事は、会計データの入力や財務諸表の作成など、日常的に数字を扱う作業が多いため、数字に対する苦手意識がないことが必要となります。また、細かい作業が得意な人にも向いています。税務書類の作成やチェックは非常に細かい作業が求められるため細部にまで気を配ることができる人が適しています。
さらに、向上心がある人も税理士補助に向いています。税理士補助の仕事は、将来的に税理士を目指すためのステップとして働く人も多いです。働きながら税理士試験の勉強を続けるためには、強い意志と向上心が必要です。また、税法や会計基準は頻繁に変更されるため、常に最新の情報を学び続ける姿勢が求められます。
最後に、柔軟性と適応力がある人も適しています。税理士補助の業務は多岐にわたり、時にはクライアントの急な要望に対応する必要があります。柔軟に対応できる能力と、変化に迅速に適応する力が求められる場面が多いです。
上記のような特徴に当てはまる人は、税理士補助に向いていると言えます。
税理士補助の求人情報
税理士法人の求人は数多くあります。給与や勤務条件、スキルアップできる場所であるか、様々な条件の事務所があるため、自分に合った求人を見極めることが大切です。
この章では、具体的な求人の見つけ方についてご紹介いたします。
求人の見つけ方
求人を見つける際には、まず大手求人サイトを活用することが基本となります。大手求人サイトでは、詳細条件を絞って求人を検索することができるため、自身の転職に際する優先順位や、給与基準についてもある程度把握することができます。また、自身が望む税理士事務所や税理士法人がある場合には、直接事務所HPをチェックすることもおすすめです。多くの事務所は自社サイトにて募集を行っている為、求人サイトなどよりも正確かつ最新の情報を得ることが出来ます。
その他にも、SNSやコミュニティに参加することで内部情報や非公開求人にアクセスできる可能性もありますが、数多くの求人をみていると決めきれなくなってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような場合には、転職のプロであるキャリアエージェントに相談してみるのも有効な手段となります。何人もの転職をサポートしており、業界知識も豊富であるため、あなたの条件に合った求人を紹介してもらえる可能性があります。
次の章では、円滑に就職・転職活動を進めるために、おさえておくべきポイントについて解説していきます。
求人選びのポイント
税理士補助の求人を探す際に、着眼すべきポイントを以下にまとめました。
給与と福利厚生
給与水準はもちろん、残業手当やボーナス、交通費支給などの福利厚生もよく確認する必要があります。税理士事務所や会計事務所の場合には、社会保険が完備されていない場合もあるため、入社前にしっかりと確認しておく必要があります。
勤務時間と休日
繁忙期の残業時間や休日出勤の有無についても確認が必要です。完全週休2日と記載されている場合でも、繁忙期には特別ルールを設けている可能性もあるため事前の確認が必要です。併せて、フレックス制度やリモートワークの導入状況についても確認しておくことで、自身のキャリアステージに変動があった際にも働ける場所であるのか判断することができます。
職場環境と社風
「入社してみたら聞いていた環境と違った」「職場の雰囲気と合わなかった」という話は、実はよく聞く話です。面接時などに事前に事務所見学を申し込むことで、ミスマッチを防げる可能性があります。また、転職エージェントに相談をすることで、実習期間などの試用期間を設けてくれる場合もあるため、一度相談してみてはいかがでしょうか。
スキルアップの機会
勤務先によっては、資格取得支援や研修制度を設けている場合もあります。税理士を目指している方にとっては、これらの制度があることはとても心強いのではないでしょうか。これらの情報は、会社求人情報の福利厚生欄に記載されている場合が多いです。ぜひチェックしてみてください。
勤務地
おさえるべきポイントの最後は、勤務地です。通勤時間や交通手段も働くうえで重要な要素となります。自宅からのアクセスの良さはもちろん、交通費の支給範囲までしっかりと確認しておくことで入社後のギャップが少なくなる可能性があります。また、勤務地が複数ある場合には、自分の希望する勤務地で働くことができるのか確認しておく必要があります。
これらのポイントをおさえることで、ミスマッチを防ぐことに繋がります。
しかし、全ての条件をかなえることは難しい場合もあるため、自分がより優先したい条件をピックアップしておくことが必要です。
税理士補助-まとめ
この記事では、税理士補助について、さまざまな側面から解説してきました。
この記事を通じて、税理士補助の職種に対する理解が深まり、具体的な行動に移すための情報を得られたのではないでしょうか。これから税理士補助としてのキャリアをスタートさせたいと考えている方にとって、この記事が少しでも役立つことができれば幸いです。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長