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フリーランス税理士になるメリットやデメリットについて解説

2024/09/05

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現在では働き方の多様化が急速に進んでおり、副業やフリーランスが増加しています。
税理士においてもフリーランスとして働くという道が開かれています。
そこで今回は、フリーランス税理士になるメリット・デメリット、必要なスキル等をまとめました。
フリーランスになるか迷っているなら、ぜひこの記事を最後までお読みください。

フリーランス税理士とは

フリーランス税理士とは、1人で働く税理士のことを指します。「ひとり税理士」とも呼ばれる働き方で、開業税理士の一種です。

働き方

自宅やレンタルオフィス、テナント等を事務所として、開業税理士として働きます。
スタッフや他の税理士等は雇用せず、全ての作業を1人でこなすことになります。
自分1人で働くので、勤務時間も、休憩時間も自由です。
他にスタッフがいないので、基本的には顧問先開拓も税務業務も請求書の発行もすべて自分で行います。

顧問先が増えてくると多忙になりますが、顧問先数も自分で調整できるので、余裕をもった働き方も、収入第一の働き方も選択できます。
また、税務業務だけでなく、SNSを利用した広告収入、講演、出版、記事の監修等、様々な仕事に取り組めます。

収入

フリーランス税理士の収入はまちまちです。
開業税理士の収入がピンキリであるように、フリーランス税理士の収入も激しい差があります。

目安としては
税理士事務所の所長の報酬>フリーランス税理士>所属税理士
とお考えください。

報酬が全額収入になるので所属税理士より高収入になりますが、誰も雇用しておらず受注できる仕事量が制限されることから、税理士事務所の所長ほどの収入は見込めません。
ただし前述のように、SNSの広告収入や講演等の業務で収入を増やし、所長並みかそれ以上にすることはできます。
つまり、収入が上がる方向に正しく努力できれば、青天井であると言えるでしょう。

クライアント

所属税理士の場合、所長の営業先を割り当てられることは少なくありません。
しかしフリーランス税理士ならば、自分と相性の良いクライアントを選択できます。
たとえば起業したばかりの若い男性経営者を中心に顧問契約をする、女性経営者に絞る、YouTuberを顧客とする等、考え方も選び方も様々です。
クライアントが税理士を選択できるように、フリーランス税理士もまたクライアントを選択できます。
フリーランス税理士には、仕事を断る自由が発生するのです。

フリーランス税理士になるメリット

フリーランス税理士は、自由な働き方が魅力です。
具体的なメリットを解説いたします。フリーランス税理士になったつもりで想像しながらお読みください。

自由な働き方が可能

何をしても構いませんので、自分の好きなように活躍できます。

  • ・勤務時間の自由
  • ・顧問料設定の自由
  • ・クライアント選択の自由
  • ・サービス範囲設定の自由
  • ・事務所の場所の自由 等

事業に関わることはすべて自由に決められますので、のびのびと働けるでしょう。
所属税理士ならば、事務所の方針や規定に従う必要がありますが、フリーランス税理士ならばそのような枠組みはありません。あなたの思いどおりに決定できます。

税務業務以外でも活躍できる

通常、所属税理士ならば手がける機会の少ない業務にもチャレンジできます。

  • ・YouTubeチャンネルの開設
  • ・書籍の出版
  • ・講演
  • ・ブログの運営 等

極論を申しますと、顧問先を持たずとも上記のような収入源を確保することもできるのです。
税務業務が税理士の独占業務ですが、税務業務にこだわらない働き方ができるのも、フリーランス税理士のメリットと言えるでしょう。

ただし税務の専門家だからと言って何の対策もせず参入しただけでは収入につながりません。内容を研究して、報酬が発生しやすい見せ方を工夫しましょう。

自分の専門分野を活かせる

税務業務だけでなく、プライベートを交えた専門分野で勝負できます。
フリーランス税理士は全国に大勢いますので、その中から選ばれるためには専門分野を打ち出す必要があるのです。それは法人税や資産税、税務調査といった税務分野だけでなく、プログラミングや仮想通貨のような分野を掛け合わせて独自の専門分野を生み出せます。

たとえば「フリーランスプログラマー専門確定申告税理士」「仮想通貨の税務調査に強い税理士」等です。
あなたの専門分野を仕事に活かせることも、フリーランス税理士の魅力なのです。

クライアントを選別できる

所属税理士でいると、事務所からあてがわればクライアントを必ず担当しなければなりません。新たな世界が開けるメリットもありますが、顧問先との相性が良くない場合はギスギスしてしまいます。

一方で、フリーランス税理士ならば、自分が仕事を受けたいクライアントを選べるのです。
たとえば、相性の良いA社の顧問は引き受けるけれど、B社は引き受けない、と決めることも可能です。仕事を引き受けなくとも、別の税理士は大勢いますから断っても問題ありません。自分が仕事をしやすい相手を選べます。

人間関係の悩みが減る

同じ事務所で働く人間がいないので、人間関係の悩みが減ります。
これまで所長との折り合いが悪かった人でも、フリーランス税理士になれば悩む必要はありません。
また会計スタッフ等への指示やフォローも発生しません。そもそも雇用していないためです。

もちろんクライアントとのコミュニケーションは発生するので人間関係の悩みが0になるわけではありません。しかし事務所内における人間関係についての悩みは解消されるでしょう。

フリーランス税理士のデメリット

メリットの多いフリーランス税理士ですが、デメリットも存在します。
フリーランスになってから後悔しないためにも、事前に確認しておきましょう。

収入が不安定

フリーランス税理士最大のデメリットは、収入が不安定になりやすいことです。
所属税理士ならば「給与」という形で毎月ほぼ決まった金額が入金されます。
ところがフリーランス税理士に給与は発生しません。クライアントからの報酬が、所属税理士における給与に該当します。

税理士は比較的安定した収入を確保しやすい職業と言われています。なぜなら中小企業等の顧問税理士になれば、毎月または毎年安定的に報酬が発生するためです。

しかしフリーランス税理士の場合、信用力が低いために新規顧問先を獲得するのが困難です。したがって顧問先獲得までは収入が不安定になりがちです。

ただし数年以上の経験と実績を積めば、収入は安定してきます。それまで持ち堪えられるかが鍵となるでしょう。

同業者と意見交換する機会が少ない

フリーランス税理士は基本的に1人で業務をこなします。
同僚も上司も部下もいませんから、他の税理士に会う機会はほとんどありません。
たまに税理士会を通じて知り合ったり、交流会で出会うことはあるかもしれませんが、毎日のように顔を合わせる機会はないでしょう。

仮に業務上で誰かに相談したくなっても、すぐに相談できる相手はいないということです。
問題が起きても自分1人で解決しなければなりません。
普段から相談できる相手を探しておき、定期的に連絡を取っておくことをおすすめします。

営業が必須

フリーランス税理士は営業も自力で行わなければなりません。
営業が得意でない人にとっては苦痛に感じるでしょう。
一昔前までは顧客からの紹介、電話や訪問、異業種交流会等が中心でした。現在でも非常に有効な営業方法です。

しかし現在ではインターネットを利用した営業、集客方法も脚光を浴びています。
たとえば税務系ブログ記事を書く、動画投稿で税制改正について解説する等です。この方法は税理士を必要としている経営者に情報が届きやすく、嫌な思いをする頻度も低いのでおすすめしています。
どのような方法を用いるにしろ、未来の顧客に見つけてもらうための営業活動は必須です。

大きな案件は回ってきづらい

フリーランス税理士は1人で業務を完結させることが前提です。
そのためチームでないと取り組めないような大きな案件は回ってきづらくなります。
仮に大きな案件の依頼が入ったとしても、仕事をお断りしなければならないケースも起こりえます。

小さな業務をいくつも処理していくのが、フリーランス税理士のイメージです。
その点、大規模な案件に取り組みたい人には不向きな働き方なのかもしれません。

自己管理が必要になる

自己管理能力とはこの場合、体力や仕事等に関する管理能力を指します。
フリーランス税理士になると、勤務時間も仕事内容も何もかもすべて自分1人で決定できます。そのため「嫌なことは後回しにしがち」になるのです。

たとえばこれまで8時出社だったのが、早起きが苦手だからと13時出社にしたり、肉体的な衰えを感じるのに仕事の忙しさを理由に体力向上に時間を割かない、新たな分野の知識が求められているのにサボって勉強しない等。
このようなフリーランス税理士は長く保ちません。自由な働き方とは、サボっても報酬が手に入る働き方ではないためです。

サボっても誰も注意してくれません。自分を律する心がなければ、早い段階で手元のお金が尽きてしまい、事務所を畳むことになるでしょう。
そうならないためにも、自己管理能力は必須なのです。

フリーランス税理士に必要なスキルとは

上記を踏まえて、フリーランス税理士に必要なスキルを解説いたします。
なお下記のうち最も必要なのは営業力です。

営業力

営業力はフリーランス税理士に必須の能力です。
どのような営業方法を取るにせよ、自分自身を売り込まなければ報酬は発生しません。
たとえブログやSNSのような、税務業務以外の分野で活躍するにしても、運営するブログやチャンネルを宣伝する必要があります。
所属税理士の場合は、所長が営業を担当してくれるケースが多いものです。しかしフリーランス税理士になるのならば、自力で営業しなければなりません。

コミュニケーション力

世界には様々な人がいます。経営者も多種多様です。
フリーランス税理士になると、その多種多様な経営者と対等に向き合わなければなりません。どのような経営者ともうまくやっていけるだけのコミュニケーション力も必要なのです。

所属税理士の時は、顧問先としての経営者としか向き合っていないことが多いでしょう。一方でフリーランス税理士になると、まだ顧問先ではない経営者とも円滑なコミュニケーションを取る必要があります。

自己管理能力

自己管理能力もフリーランス税理士にとって重要です。
特に家族等のサポーターがいない人は、完全に自分一人で自己管理を徹底しなければなりません。
仕事量や締め切り、営業先の確保等にとどまらず、食事や睡眠、体力、ストレス等の自分自身に関する管理も必要です。

自己管理を怠ると突然クライアントが激減したり、突然体が動かなくなったりするものです。
自己管理が苦手な場合は、家族や友人、専門の業者を頼りましょう。

向上心

フリーランス税理士として長く活躍し続けるためには、向上心も必要です。
現在の知識や経験が、10年後も役立つかどうかは誰にも分かりません。日本経済は急スピードで変化し続けています。税制改正も毎年のように大規模に実施されています。

フリーランス税理士として活躍し続けるために、この激変にも柔軟に対応していかなくてはならないのです。そのためには何をすべきかというと、向上心をもって新たな知識や経験を積み上げることに他なりません。
向上心がなければフリーランス税理士の継続は難しいでしょう。

フリーランス税理士に向いている人のタイプ

フリーランス税理士は、所属税理士とは若干異なる働き方になります。
どのような人が向いているのか確認しましょう。

働ける時間が限られている

最もおすすめしたいのは、働ける時間が限定的な人です。
育児や介護等の事情により、働ける時間があまり取れず社員になれないならば、フリーランス税理士として活躍しましょう。
事務所を自宅に設定できますし、働く時間も自分で決められます。
プライベートを優先できるというのも、フリーランス税理士の特権なのです。

自分の好きなように働きたい

自由に働きたい人や、こだわりの強い人もフリーランス税理士が向いています。
業務に関わることならすべて自分で決められるので、やりたいことをやりたいようにやれますよ。
所属税理士でいるよりも、ストレスなく働けるでしょう。

まとめ

フリーランス税理士は自由な働き方が叶います。
ただし収入は不安定ですし何か問題が発生しても自分で解決しなければなりません。
そのため、責任感があり経験値の高い人におすすめです。
営業は大変ですが、成功すれば収入はいくらでも伸ばせます。もしフリーランス税理士になって失敗しても、所属税理士に戻りやすいものです。
興味がある人は、フリーランス税理士という選択肢もぜひご検討ください。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。