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【高卒で税理士を目指す】税理士資格取得までの道のりを解説

2024/11/20

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高卒で税理士になることは可能です。しかし、税理士試験の受験項目を満たして税理士試験に合格する必要があります。

この記事では、高卒で税理士になり会計事務所で働くまでの道のりを解説していきます。

高卒でも税理士になることは可能?

高卒でも税理士になることは可能です。
国税庁が発表している「令和5年度(第73回)税理士試験結果」によると、高卒で税理士試験に合格している人は23.8%であり、試験を受けた4、5人に1人が高卒で難関試験に合格していることになります。

学歴 合格率
大学卒 21.1%
大学在学中 30.5%
短大・旧専卒 13.6%
専門学校卒 16.4%
高校・旧中卒 23.8%
その他 32.7%

引用:国税庁_令和5年度(第73回)税理士試験結果表(学歴別・年齢別)

しかし、税理士試験に合格するだけでは税理士にはなれません。では、どのような手順で税理士として働くことができるのでしょうか?

税理士試験について

税理士として働くにはまず、税理士試験に合格することが求められます。

税理士試験は年1回全国で実施される試験です。
全11科目中5科目に合格することで、税理士試験合格となります。

11科目のうち必修2科目を含む5科目を選択して受験します。
以下は税理士試験科目の一覧です。

所属 科目名 必修もしくは選択
会計学に属する科目 簿記論 必修
財務諸表論
税法に属する科目 所得税法 法人税法と選択必修
法人税法 所得税法と選択必修
相続税法 選択
消費税法 酒税法と選択
酒税法 消費税法と選択
国税徴収法 選択
住民税 事業税と選択
事業税 住民税と選択
固定資産税 選択

会計学に属する必修科目は受験資格に制限はなく、誰でも受験可能ですが、税法に属する科目については、「学識」「職歴」「資格」により受験資格が定められており、要件に満たさない場合受験することが出来ません。

受験資格を取得する

高卒で税理士を目指す場合には、まず受験資格を取得する必要があります。

受験資格を取得するには「学識」「職歴」「資格」のいずれか1つの要件を満たすことが必須となります。
「学識」「職歴」「資格」による受験資格について国税庁が発表している受験資格の概要を用いて読み解いていきましょう。
引用:国税庁_税理士試験受験資格の概要

学識

学識の受験資格については、以下のように示されています。

  • 1.大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
  • 2.大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
  • 3.一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
  • 4.司法試験合格者
  • 5.公認会計士試験の短答式試験に合格した者

学歴要件を満たして受験資格を取得する場合は、大学や短期大学、専門学校などで経済学部や商学部、法学部を卒業している必要があります。
そのため、高卒が税理士を目指す場合には、学識以外の要件を満たして受験資格を取得する必要があります。

職歴

職歴要件は以下の通りです。

  • 1.法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
  • 2.銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
  • 3.税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者

要件1で示している「会計に関する事務」とは複式簿記による仕訳、決算、財務諸表作成事務などを示します。また、2年以上と表記がありますが、異なる勤務先の職歴がある場合は、通算して2年以上となれば受験資格があります。

職歴による受験資格の取得は時間がかかってしまいますが、高卒で受験合格を目指す場合は、実務経験を積みながら試験合格を目指すことができる職歴要件を満たすことを視野に入れる必要があります。

資格

最後に資格要件を満たして受験資格を取得する方法です。
国税庁が定める資格による受験資格取得要件は以下の通りです。

  • 1.日商簿記検定1級合格者
  • 2.全経簿記検定上級合格者

日商簿記1級取得にかかる学習時間は500~1,000時間程度、全経簿記検定上級取得にかかる学習時間は500時間程度と、どちらも簡単に取れる資格ではありません。しかし資格要件を満たすことによる受験資格の取得は、職歴で要件を満たすよりも短期間で税理士試験の合格を目指すことができるため、高卒で税理士を目指す場合にまず検討する方法であると言えます。

しかし紹介した3つの中から受験資格を取得して、税理士試験に合格したからと言ってこのまま税理士として働くことはできません。

税理士試験に合格してから税理士になるには、一般企業での会計業務や税理士事務所、会計事務所での補助業務として2年間の実務経験が必要になります。「税理士試験の合格」と「2年間の実務経験があること」で、日本税理士連合会に登録を行うことができ、ようやく税理士として働くことができるのです。

税理士資格を得て会計事務所で働くまで

ここで、高卒から税理士資格を取得して会計事務所で働くまでの道のりを図で確認してみましょう。

高卒から税理士資格を取得して会計事務所で働くまでの道のり

高卒でも税理士資格の取得は可能

ここまでで、税理士になることに学歴は関係ないということが分かりました。
しかし、税理士試験の合格率は約20%程度とかなり高難易度な資格です。そのため、資格要件を取得する方法は、会計、税務業務を学びながら勉強を重ねることが出来る会計事務所や税理士事務所で2年の実務経験にて職歴で要件を満たす方法がおすすめです。

この方法であれば、税理士の元で働くことができるため学べる事が多い点や、自身の将来像についても考えることができるためおすすめであると言えます。
実際に会計事務所や税理士事務所で経験を積みながら税理士試験を取得している人は多くいます。

会計事務所や税理士事務所で働く場合には、簿記検定やFP(ファイナンシャルプランナー)2級などの資格がある場合有利になりますが、無資格で実務経験もない場合は、税理士試験の勉強中である旨を伝えることも内定が決まる1つの方法です。

では、会計事務所や税理士事務所の求人はどのように確認できるのでしょうか?

求人サイト

求人サイトは、税理士としてのキャリアを築くための情報収集や求人応募に非常に有効な手段です。
多くの求人サイトでは、税理士事務所や企業内の税務担当者の求人情報が掲載されており、学歴に関わらず応募可能なポジションも多数存在します。これらのサイトは、応募者が求める条件やスキルレベルに合わせて検索機能を提供しており、自分に合った求人を見つけることが容易です。

さらに、一部の求人サイトでは、税理士の資格取得を支援するための情報も提供しています。例えば、税理士試験の合格者インタビューや勉強方法、試験対策セミナーの情報などが掲載されていることがあり、資格取得のプロセスから就職活動まで一貫してサポートを受けることができます。多くの求人サイトでは、税理士を目指す人向けにキャリアアドバイスや履歴書の書き方、面接対策などのリソースも提供しています。これにより、初めての転職活動やキャリアチェンジをスムーズに進めることができます。

特に、税理士としての経験が浅い方や、異業種からの転職を考えている方にとっては、非常に有用な情報源となります。

求人サイトを利用する際の注意点として、複数のサイトを利用することをお勧めします。それぞれのサイトが持つ求人情報や提供するサービスには違いがあるため、複数のサイトを活用することで、より多くの選択肢を検討することができます。これにより、自分に最も適した職場を見つける確率が高まります。

ハローワーク

ハローワークは、求職活動を支援するための公的な機関であり、税理士を目指す方にとっても重要なリソースとなり得ます。

特に、税理士資格取得後の就職活動やキャリアチェンジを考えている場合、ハローワークの利用は非常に有益です。また、ハローワークでは職業相談も行っています。専門のキャリアカウンセラーが、あなたのスキルや経験、希望する職場環境に基づいて適切な職業を紹介してくれます。税理士としてのキャリアをどのように築いていくか、具体的なアドバイスを得られるため、自分に最適な職場を見つける手助けとなります。

加えて、ハローワークは失業給付や各種支援金の手続きをサポートしてくれます。
税理士試験の勉強に専念するために一時的に仕事を辞める場合や、転職活動中の生活費を賄うための支援を受けることができるため、経済的な不安を軽減することができます。

最後に、ハローワークでは、地域の企業や求人情報だけでなく、全国規模の求人情報も提供しているため、地方で税理士として働きたい方や、都市部でのキャリアを築きたい方にも幅広く対応しています。これにより、自分の希望する勤務地や働き方に合った求人を見つけやすくなります。

転職エージェント

転職エージェントは、税理士としてのキャリアを築くために非常に有用なリソースです。
単なる求人情報を提供するだけでなく、個々の求職者に対してカスタマイズされたキャリアアドバイスやサポートを行います。特に初めての転職や、自分に最適な職場環境を見つけたい場合には、転職エージェントの専門知識とネットワークが大いに役立ちます。

転職エージェントは、企業との強いコネクションを持っており、そのため一般に公開されていない求人情報を紹介してもらえることがあります。これは、特定のニッチな分野での求人や、高い専門性が求められるポジションなど、通常の求人サイトでは見つけにくい求人にアクセスできる大きなメリットです。

また、転職エージェントは履歴書や職務経歴書の作成、面接対策など、求職活動全般にわたるサポートを提供します。これにより、求職者は自分の強みを最大限に活かしたアプローチを取ることができ、採用される確率が高まります。

特に税理士のような専門職では、専門的な知識だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力も重視されます。転職エージェントは、これらのスキルを効果的にアピールする方法についてもアドバイスしてくれます。

さらに、転職エージェントは企業のカルチャーや働く環境についての内部情報も持っているため、求職者が自分に合った職場を見つける手助けをしてくれます。これは、転職後のミスマッチを防ぐためにも非常に重要です。税理士として長期的に安定したキャリアを築くためには、働きやすい職場環境を選ぶことが欠かせません。最後に、転職エージェントの多くは、求職者からの料金を一切取らず、企業側からの手数料で運営されています。

そのため、求職者は無料でこれらの専門的なサービスを利用することができます。税理士としてのキャリアを真剣に考えるならば、転職エージェントを活用することは非常に賢明な選択と言えるでしょう。

高卒で税理士を目指す-まとめ

税理士の資格取得に学歴は関係ないというテーマについて、これまでの内容を振り返りながら、主要なポイントを整理していきます。

まず、高卒で税理士になることは十分に可能であることが分かりました。税理士試験においては、特定の学歴が必要とされておらず、実務経験や指定された科目の勉強を通じて試験に挑むことができます。これにより、学歴に関係なく、意欲と努力次第で道を切り開けることが示されました。

また、税理士としてのキャリアは多様であり、企業に就職するだけでなく、独立開業やコンサルティング業務など、様々な道が広がっています。これにより、税理士資格を取得することで、自己実現やキャリアアップの機会が大きく広がることが分かります。

総じて、税理士の資格取得に学歴は関係なく、努力と適切な方法を選ぶことで、誰でもその道を歩むことができることが明らかになりました。
学歴や過去の経験にとらわれることなく、新たな挑戦を恐れずに進んでいくことが重要です。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。