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【雇用保険】自己都合退職でもすぐに失業手当がもらえる?2025年4月から給付制限が緩和

公開日:2025/05/23

最終更新日:2025/05/23

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2025年4月、雇用保険制度が大きく変わりました
これまで自己都合退職者は、原則2か月間の給付制限を受けていましたが、今回の改正でその壁が下がります。
給付制限は原則「1か月」に短縮され、再就職活動へのハードルがぐっと下がったのです。
さらに、一定の教育訓練を受講すれば、給付制限そのものが免除される新制度もスタート。

これは、労働移動が活発化する今の時代にマッチした大きな転換点といえるでしょう。
退職後の資金繰りや再出発を支えるために、受給時期が早まることは生活支援上も極めて重要です。

税理士としては、こうした制度変更を理解し、顧問先や個人クライアントに的確なアドバイスを行うことが差別化の鍵になります。
本記事では、雇用保険制度について、制度改正の背景、具体的な変更点、注意点まで網羅的に解説します。

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雇用保険制度改正の背景と目的

従来、自己都合退職者に対する失業給付には、7日間の待機期間に加えて2か月の給付制限期間が設けられており、実際の給付開始までに約2か月半を要していました。この制度は、自己都合退職者が計画的に退職できるとされる一方で、再就職活動の早期支援が求められていました。また、労働市場の流動性向上や労働者の生活安定を図る観点から、給付制限の見直しが検討されてきました。

今回の改正は、労働者が安心して再就職活動を行えるようにするため、自己都合退職者に対する給付制限期間の短縮と、一定の教育訓練を受講した場合の給付制限解除を目的としています。

給付制限期間の短縮

従来

・自己都合退職者は、7日間の待機期間終了後、原則として2か月間の給付制限期間が設けられていました。
・給付制限期間中は、失業給付(基本手当)を受け取ることができませんでした。

改正後

給付制限期間が原則として1か月に短縮されました。
・これにより、待機期間と合わせて約1か月半で失業給付の受給が可能となります。
・ただし、過去5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合は、給付制限期間が3か月となります

注意点

・給付制限期間の短縮は、2025年4月1日以降に離職した場合に適用されます。
離職日前1年以内、または離職日後に、自ら雇用の安定および就職の促進に資する教育訓練を受講した場合、給付制限が解除され、待機期間終了後すぐに失業給付を受け取ることができます
教育訓練の受講による給付制限解除を受けるためには、ハローワークに対して所定の書類を提出し、所定の期間内に申し出る必要があります。
・給付制限期間中に再就職した場合、再就職手当の支給対象となる場合があります。

項目 改正前(~2025年3月31日) 改正後(2025年4月1日~)
原則の給付制限期間 2か月(+7日間の待機期間) 1か月(+7日間の待機期間)
教育訓練を受講した場合 給付制限は原則適用される 給付制限が免除される
短期離職を繰り返した場合 原則と同じ(2か月) 3か月の給付制限に延長される※
適用対象 自己都合退職者(正当な理由なし) 同左
その他要件 特になし 離職票の離職理由・受講申告が必要

※短期離職の繰り返し:過去5年以内に「正当な理由のない自己都合退職による受給」が2回以上ある場合。

教育訓練による給付制限の解除

2025年4月1日施行の雇用保険制度改正により、自己都合退職者が一定の教育訓練を受講した場合、失業給付の給付制限期間が解除され、待機期間終了後すぐに基本手当を受給できるようになりました。この措置は、労働者の再就職支援と生活の安定を目的としています。

対象となる教育訓練

給付制限解除の対象となる教育訓練は、以下のいずれかに該当するものです:

・教育訓練給付金の対象となる教育訓練
・公共職業訓練等
・短期訓練受講費の対象となる教育訓練
・上記に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練
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これらの訓練を、離職日前1年以内に受講した場合(途中退校は除く)または離職日以後に受講している場合、給付制限が解除されます。 

給付制限解除の手続き

給付制限を解除するためには、以下の手続きが必要です:

1.受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日までに、ハローワークに対して所定の書類を提出し、申し出る必要があります。
2.申し出の際には、訓練開始日が記載された領収書や訓練実施施設による訓練開始日の証明書などが必要です。
3.給付制限期間中に再就職した場合、再就職手当の支給対象となる場合があります。

詳細な手続きや必要書類については、最寄りのハローワークにご相談することが望まれます。

この制度改正により、自己都合退職者が再就職に向けたスキルアップを図る際の経済的支援が強化されました。税理士としては、クライアントが教育訓練を受講する際のアドバイスや、給付制限解除の手続きについて適切な情報提供を行うことが求められます。

失業保険受給の手続き

失業保険(基本手当)は、自己の意思に反して離職し、再就職の意思と能力がある人に対して支給される制度です。自己都合退職であっても、一定の条件を満たせば受給が可能です

必要書類(ハローワーク提出用)

以下の書類を準備し、離職後に最寄りのハローワークで手続きを行います:

書類名 内容・備考
雇用保険被保険者離職票(1・2) 退職後、事業主を通じて発行される
マイナンバーが確認できる書類 通知カード・個人番号カードなど
本人確認書類 運転免許証・マイナンバーカード等(写真付き)
写真(縦3cm×横2.5cm)×2枚 証明写真、最近6か月以内のもの
印鑑 認印で可。シャチハタ不可のケースもあり
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード 給付金の振込口座用(ネット銀行は不可の場合あり)

手続きの流れ(基本的なスケジュール)

①【離職】
会社から「離職票」を受け取る。

②【ハローワークにて受給資格の申請】
ハローワークに必要書類を提出し、「求職申込(求職登録)」を行う。

③【受給資格決定】
申請が完了すると、ハローワークにより受給資格が決定される。

④【待機期間(7日間)】
失業状態が続いているかを確認するための期間。
→ 給付はこの期間終了後に開始される。

⑤【給付制限期間(原則1か月・特定理由なしの自己都合退職者)】
2025年4月改正により2か月→1か月に短縮。
※教育訓練受講により免除の可能性あり。

⑥【雇用保険説明会への参加】
給付の仕組み、再就職支援等の説明を受ける。

⑦【失業認定(4週間に1回)】
ハローワークで求職活動状況などを報告し、「失業の認定」を受ける。

⑧【給付金の支給】
失業認定を受けた日から5営業日前後で振込。

実務での注意点

・離職票の発行は通常、退職後10日以内が目安。遅延すると手続き全体が遅れる。
・離職票の「離職理由」は給付制限期間に影響するため、内容に不服があれば申し立ても可能。
・会社都合退職かどうかの判断は、記載内容(例:雇用期間満了、労働条件の大幅変更等)によって異なる。

雇用保険制度改正の影響と注意点

2025年4月1日施行の雇用保険制度改正により、自己都合退職者に対する失業給付の給付制限期間が短縮され、一定の条件を満たす場合には給付制限が解除される制度が導入されました。この改正は、労働者の再就職支援を強化し、生活の安定を図ることを目的としています。

制度改正の影響と注意点

労働者への影響

給付制限期間の短縮: 自己都合退職者の給付制限期間が従来の2か月から1か月に短縮されました。これにより、待機期間と合わせて約1か月半で失業給付の受給が可能となり、早期の再就職活動が支援されます。 
教育訓練による給付制限の解除: 離職日前1年以内、または離職日以後に、雇用の安定および就職の促進に資する教育訓練を受講した場合、給付制限が解除され、待機期間終了後すぐに失業給付を受け取ることができます。

企業への影響と対応策

人材流出のリスク増加: 給付制限の緩和により、自己都合退職が増加する可能性があります。企業は、従業員の定着を図るため、労働環境の改善やキャリア支援の充実が求められます。 
退職手続きの適正化: 離職票の発行や離職理由の記載において、事実に基づいた適正な対応が重要です。不適切な記載は、労働者の受給資格に影響を与える可能性があります。

注意点

給付制限期間の適用条件: 過去5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合は、給付制限期間が3か月となります。
教育訓練受講の申し出期限: 教育訓練による給付制限の解除を受けるためには、受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日までに、ハローワークに対して所定の書類を提出し、申し出る必要があります。 

今回の制度改正により、自己都合退職者に対する失業給付の受給開始が早まり、再就職活動の支援が強化されました。税理士としては、クライアントの退職・再就職に関する相談に対応する際、これらの改正内容を正確に把握し、適切なアドバイスを行うことが求められます。

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まとめ

2025年4月から、自己都合退職者の雇用保険給付制限が原則1か月に短縮されました。
教育訓練の受講により、給付制限が免除される制度も新たに導入されました。
これにより、自己都合退職者であっても、より早期に失業給付を受け取ることが可能となります。

ただし、短期離職を繰り返した場合は給付制限が3か月に延長される点に注意が必要です。
給付制限免除には、ハローワークへの事前申告や訓練の証明書提出が求められます。
離職票の記載内容によって受給条件が変わるため、企業側の正確な対応も不可欠です。

税理士としては、制度改正の内容を正しく理解し、退職時・受給時の適切なアドバイスが求められます。
顧問先の従業員対応や、個人クライアントからの相談対応において、信頼を高めるチャンスとなるでしょう。

執筆 ・ 監修

税理士 平川 文菜(ねこころ)

税理士|熊本出身|2018年京都大学卒業| 在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。