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【40代のための税理士転職ガイド】未経験者でも税理士になる方法とは?

2024/09/11

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税理士の平均年齢は60歳以上となっており、40代から税理士を目指す人も少なくありません。
しかし、税理士事務所への転職を考えると20代、30代より難しいというのが現状です。
この記事では40代、実務未経験者が税理士を目指す道のりから、転職を成功させるポイントまで、40代の税理士転職にフォーカスを当てて解説していきます。

40代で税理士を目指すことは可能?

結論から申し上げますと、40代から税理士を目指すことは可能です。
日本税理士会連合会が平成26年に発表している税理士実態調査の結果によると、税理士の年齢層は以下の表のとおり60代が30.1%と一番高い割合を占めており、税理士割合の半数以上が60歳以上ということで、税理士の平均年齢は60歳以上であることが分かります。

年齢 割合 人数
20代 0.6% 187名
30代 10.3% 3,358名
40代 17.1% 5,599名
50代 17.8% 5,817名
60代 30.1% 9,868名
70代 13.3% 4,343名
80代 10.4% 3,421名

そのため40代の税理士は、業界ではまだまだ若い分類に入るのです。

しかし、40代前半で税理士を目指したとして、合格するには長い年月がかかることを念頭に置いておく必要があります。次の章では、税理士になるための具体的な道のりについて説明いたします。

税理士になるための具体的なステップ

税理士になるためには「税理士試験に合格すること」及び「2年間の会計業務に関わる実務経験」が必要となります。

必要な資格と試験の概要

前述したとおり、税理士になるためにはまず、国家資格である税理士国家試験に合格する必要があります。
税理士試験に合格するには、税法に関する項目及び会計学に関する項目の合計5科目に合格する必要があります。受験する際は、必須科目や選択科目、任意科目が分かれているため、自分の得意分野やキャリアプランを検討したうえで科目の選択をする必要があります。
以下が、税理士試験の科目一覧です。

所属 科目名 必修もしくは選択
会計学科目 簿記論 必修
財務諸表論 必修
税法科目 所得税法 所得税法と法人税法のいずれか必修
法人税法 所得税法と法人税法のいずれか必修
相続税法 選択
消費税法 酒税法と消費税法のいずれか選択
酒税法 酒税法と消費税法のいずれか選択
国税徴収法 選択
住民税 事業税と住民税のいずれか選択
事業税 事業税と住民税のいずれか選択
固定資産税 選択

上記に示した「会計学科目」についての受験資格は定められておらず、誰でも受験可能となりますが、税法科目については”学識”、”資格”、”職歴”等のいずれかの受験資格を取得する必要があります。
※詳しい受験資格要項については、「 税理士試験の難易度は?資格取得までの学習の仕方」についての記事を参考にしてみてください。

無事に受験資格要項を満たし、5科目の合格までにかかる平均年数は3~5年と言われており、税理士試験合格までには長い道のりがかかることを理解しておく必要があります。
また、税理士として勤務をする場合には、日本税理士連合会に登録する必要があり、登録条件として「会計に関する業務の2年以上の実務経験があること」が定められているのです。

実務未経験者の場合

税理士試験は実務未経験者であっても合格を目指すことが可能です。
実務未経験者が税理士試験合格および税理士登録を目指すためにおすすめな方法としては、税理士事務所で働きながら税理士試験の合格を目指す方法です。

税理士事務所で働くことで、税制について触れる機会が増えるほか、実際に税理士試験を乗り越えてきた税理士が働いていることから、試験近くには勉強時間の確保を優先してくれる事務所や資格取得支援をしてくれる事務所も多くみられます。
そのため、一般企業で勤務しながら税理士試験の合格を目指すより周囲の理解を得られるため、短期間で集中して資格合格を目指すことが出来るでしょう。

また、財務諸表作成事務や記帳代行などの会計に関する業務に携われるため、税理士試験に合格した後の税理士登録もスムーズに進めることが出来るのです。

40代での転職のメリットとデメリット

実務未経験者が税理士試験に合格するためには、税理士事務所で働くことをお勧めすると前述しましたが、40代での転職はなかなか勇気がいるものです。
ここでは、40代で税理士事務所に転職するメリットとデメリットについて解説していきます。

メリット

40代での転職には、多くのメリットが存在します。
まず、これまで培ってきた豊富な経験と専門知識を新しい職場で活かすことができる点が挙げられます。40代はキャリアの中でもピークを迎える時期であり、これまでの仕事で得たスキルや知識は、即戦力として高く評価されるでしょう。特に税理士のような専門職では、実務経験が非常に重要であり、過去の職務での実績が大きなアドバンテージとなります。

次に、40代の転職は新たなチャレンジの機会ともなります。例えば、税理士として独立開業を目指す場合、これまでのビジネス経験や人脈を活用して成功する可能性が高まります。また、40代は家庭や経済的な安定が得られていることが多く、リスクを取って新しい道を進む勇気が持てる時期でもあります。

また、転職することでワークライフバランスの改善にもつながる可能性があります。これは40代に限った話ではありませんが、新しい職場や働き方を選ぶことで、より柔軟な勤務形態やストレスの少ない環境を手に入れることができるかもしれません。特に税理士業務はフレキシブルな働き方が可能で、在宅勤務やフリーランスとして働く選択肢も広がります。

総じて、40代での転職は新たなキャリアのスタートとして、多くのメリットがあると言えます。これまでの経験を活かしつつ、新しい挑戦や働き方を見つけることで、充実したキャリアを築くことができるでしょう。

デメリット

40代での転職には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。 まず、年齢という要素が一つの障壁となる可能性があります。
40代は一般的に若手と比べて体力や柔軟性に欠けると見なされることがあり、企業側が採用を躊躇する場合があります。

また、これまで築いてきたキャリアやスキルが新しい職場で完全に活かせるとは限らないため、適応期間が長くなることがあります。特に、新しい分野や業界に挑戦する場合、業務内容や企業文化に馴染むのに時間がかかるでしょう。

さらに、転職によって収入が一時的に減少したり、勤務地が遠くなったりすることで、家族に対する負担やストレスが増えることも考えられます。経済的なリスクも無視できません。新しい職場での試用期間中に期待通りの成果を出せなかった場合、再び転職活動を余儀なくされるリスクもあります。

最後に、周囲の理解やサポートが得られにくいこともデメリットの一つです。親しい人々からは「今さら転職するのは危険だ」という意見が多く寄せられることがあり、それが精神的なプレッシャーとなることがあります。周囲の期待や社会的なプレッシャーを乗り越えることが求められるため、強い意志と計画性が必要です。

このように、40代での転職には注意すべきデメリットがいくつか存在しますが、これらを理解し、対策を講じることで成功への道を切り開くことも可能です。

40代の税理士転職を成功させるポイントとは

では、40代の税理士転職を成功させるポイントについて解説していきます。
思い切って転職を目指す際に、是非参考にしてみてください。

転職を成功させるためのポイントと注意点

40代での税理士転職を成功させるためには、いくつかの重要なポイントと注意点を押さえておくことが不可欠です。

まず第一に、自己分析をしっかり行い、なぜ税理士を目指すのか、その目的を明確にすることが大切です。
これにより、転職活動をブレずに進めることができます。

次に、40代という年齢は経験と知識を豊富に持っている反面、新しい分野への転職には慎重さが求められます。業界の最新トレンドや法律の変更点など、常に情報をアップデートする習慣を持つことが重要です。

また、税理士としてのスキルや知識を証明するために、資格取得はもちろんのこと、研修やセミナーに積極的に参加することも推奨されます。
また、税理士業界は人脈が非常に重要です。同業者のほか異業種や顧客との関係を築くことで、新しいビジネスチャンスや情報を得ることができます。

特に40代での転職であれば、以前の職場や業界で築いた人脈を活用することも考慮に入れるべきです。
注意点としては、転職先の企業文化や職場環境に合うかどうかを慎重に見極めることが挙げられます。40代という年齢は柔軟性に欠ける場合があるため、新しい環境にスムーズに適応できるかどうかを事前に確認することが大切です。さらに、家族のサポートも重要な要素です。
特に転職に伴う生活の変化が大きい場合、家族の理解と協力が不可欠です。家族とのコミュニケーションを密に取り、転職に対する意見やサポートを得るようにしましょう。

以上のポイントと注意点を押さえておくことで、40代での税理士転職を成功させる可能性は大いに高まるでしょう。
また、自分の理想条件に合った転職を目指す場合には様々なリソースを有効に活用する必要があります。

40代の税理士転職に役立つリソース

では、税理士転職に役立つリソースについて見ていきましょう。

求人サイトの活用

求人サイトの活用は、40代で税理士として転職を目指す際に非常に有力な手段です。
まず、求人サイトは多種多様な求人情報を提供しており、自分に合った職場を見つけるための重要なツールとなります。特に、税理士専門の求人サイトや転職サイトを活用することで、より的確な情報を手に入れることができます。

これらのサイトでは、税理士としての経験が無い場合にも応募できる求人情報が掲載されている媒体も多数あり、効率的に自分に合った求人を見つけることができます。

求人サイトを利用する際のポイントとしては、まず複数のサイトに登録することです。一つのサイトだけに頼るのではなく、複数のサイトを併用することで、より多くの求人情報にアクセスでき、選択肢が広がります。また、サイトによっては独自の求人情報を持っている場合もあるため、情報の幅を広げることが重要です。

次に、自分のスキルや経験をアピールするためのプロフィールを充実させることも大切です。求人サイトでは、企業が求職者のプロフィールを閲覧し、直接アプローチしてくることもあります。そのため、自己PRや職務経歴書を丁寧に作成し、自分の強みやアピールポイントを明確にしておくことで、企業からの関心を引きやすくなります。税理士試験の合格を目指しながら働く場合には、その旨を記載することで転職を有利に進めることが出来る場合もあるため、記載することをお勧めします。

さらに、求人サイトの検索機能を活用して、条件に合った求人を効率的に見つけることも重要です。勤務地、給与、勤務時間、企業の規模など、自分の希望条件に合った求人情報をフィルタリングすることで、無駄な時間を省き、効率的に求人情報を収集することができます。また、新着求人情報をいち早くキャッチするために、メール通知機能やRSSフィードを活用することもおすすめです。

最後に、求人サイトに掲載されている企業の口コミや評価も参考にすることが重要です。実際にその企業で働いた経験のある人々の意見を確認することで、企業の内部事情や職場の雰囲気を把握することができます。これにより、転職後のミスマッチを防ぎ、より適切な職場を選ぶことができるでしょう。

以上のように、求人サイトを上手に活用することで、40代での税理士転職を成功させるための強力なサポートとなります。しかし、希望条件にマッチした事務所を探すこと、事務所の内情について調べること、自己PRや職務経歴書の作成を自分一人で行うにはかなりの労力が必要となります。
そこでおすすめなのが、転職エージェントの活用になります。

転職エージェントの活用

まず、転職エージェントの活用によって得られる主なメリットとして、求人情報の質と量が挙げられます。一般の求人サイトでは見つからないような非公開求人を紹介してもらえることが多く、より条件にマッチした職場を見つけられる可能性が高まります。

また、エージェントが企業と直接コミュニケーションを取り、あなたの希望条件やスキルに合致する求人をピックアップしてくれるため、効率的な転職活動が可能です。

次に、エージェントは履歴書や職務経歴書の作成、面接対策などのサポートも提供してくれます。特に40代での転職は、これまでのキャリアをどのようにアピールするかが転職を成功させる鍵となります。エージェントのアドバイスを受けることで、自分の強みや経験を最大限に引き出し、企業に魅力的に伝える方法を学ぶことができます。

さらに、転職エージェントは市場価値の適正評価や給与交渉のサポートも行います。
自分の価値を正確に把握することは、適切な給与を得るために不可欠です。エージェントは業界の給与水準や最新のトレンドを熟知しているため、あなたが納得できる条件での交渉を手助けしてくれます。

もちろん、エージェントの選び方も重要です。信頼性のあるエージェントを選ぶためには、口コミや評判をチェックし、複数のエージェントに登録して比較することが推奨されます。また、士業に特化した専門性の高いエージェントを選ぶことで、より適切な支援を受けることができるでしょう。

転職エージェントの活用は、40代で税理士を目指す方にとって非常に有益なリソースです。エージェントの専門知識とサポートを最大限に活用し、自分に最適なキャリアパスを見つける手助けをしてもらいましょう。

まとめ

この記事では、40代で税理士を目指す際の具体的なステップやメリット・デメリット、そして転職を成功させるためのポイントについて詳しく解説してきました。

この記事を通じて、40代で税理士を目指す方々が、転職活動を成功に導くための具体的なステップやリソースを理解し、実践できるようになることを願っています。どんな年齢であっても、新たなキャリアに挑戦する意欲と努力があれば、必ず道は開けるでしょう。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。