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税理士は何歳からなれる?上限年齢も解説

2024/09/27

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税理士は高齢男性のイメージが強いうえに試験合格まで数年かかりますので「若いと税理士になれないのでは?」と不安を感じることもあるでしょう。
結論から申しますと、税理士には何歳からでもなれます。若くして税理士試験に合格し活躍している人も全国にいますのでご安心ください。

本記事では税理士になれる年齢や、年齢別税理士試験突破へのルート等を解説しています。
これから税理士を目指す人も、勉強を始めている人も、ぜひ一度お読みいただき今後の指針としてください。

税理士は何歳でもなれます

税理士は何歳からでもなれます。
そもそも税理士に年齢制限はありません。そのため何歳であっても税理士になれるのです。
ただし税理士になるためには、原則として税理士試験に合格しなければなりません。
税理士試験の受験資格を満たすためには相応の学歴や職歴が必要になりますので、通常は20代以上で受験することになります。

ただし「日商簿記検定1級合格者」等でも受験資格を満たせるため、10代以下で税理士試験に挑戦する人もゼロではありません。
令和5年度(第73回)税理士試験結果表(学歴別・年齢別)によると、20歳以下の受験者が1,328人、そのうち科目合格者が481人でした。
難関資格ではありますが、何歳からでも目指せるのが税理士の特徴の1つと言えるでしょう。

税理士の上限年齢

一度税理士の資格を取得した後は、何歳でも働けます。
税理士には上限年齢の定めがありませんので、生涯現役で働き続けられるのです。

ただし、会計事務所や税理士法人で働く場合、就業規則により定年が決められているケースはあります。この場合、税理士資格はそのままですが、会計事務所や税理士法人を定年退職することになります。定年退職後は退職金でのんびり暮らしたり、税理士資格を活かして独立したりできます。
自身で会計事務所を立ち上げて独立した場合は、定年を気にせずいつまでも働き続けられます。60歳でも80歳でも、税理士資格は一生涯有効です。

税理士試験の概要

税理士試験は11科目中5科目に合格する必要があります。
1〜4科目合格の状態を科目合格と呼び、5科目に合格すると税理士試験合格です。
税理士試験は年1回、例年8月の連続する3日間、各国税局・国税事務所の所在地等で実施されます。

令和5年度税理士試験における受験申込者数は41,256人、一部科目合格者数6,525人、5科目合格到達者600人でした。
非常に難易度が高く、司法書士試験、公認会計士試験と並んで3大難関試験の1つに数えられているほどです。

会計学に属する科目は誰でも受験できますが、税法に属する科目は厳しい受験要件が定められています。
科目合格制を採用しており、1度合格した科目は翌年以降の再受験は不要です。そのため多くの受験生は1〜2科目合格×数年単位での合格を目指します。
なお弁護士や公認会計士の資格を有する人は、税理士試験を受験することなく税理士になれます。

何歳で税理士試験に合格するべきか

何歳でも税理士試験に挑戦できるので、いつまでに合格すべきかの区切りは確かに必要です。
合格すべき年齢は、個人のライフプランによります。税理士になれば資格で一生食べていけますが、それまでは多大な苦労を背負うことになります。
結婚や出産等のライフイベントや留学等の予定があるならば、それに合わせて予定を立てるべきです。

一般論を述べると、当然ですが合格する年齢が早い方が良いでしょう。
大学卒業までに税理士資格を取得できれば、2年間の実務経験を積むだけで税理士として活躍できるようになります。

しかし社会人になってから税理士に挑戦する人も少なくはありません。
社会人の場合は35歳までの合格を目指しましょう。
ただし40代でも受験する人は少なくありません。また税理士業界は平均年齢が高いため、40代で税理士になっても若手と認識されることもあります。

税理士になるためのステップ

税理士になるためには、通常、税理士試験に合格し、2年間の実務経験を積む必要があります。
これら2ステップについて詳しく見ていきましょう。

税理士試験に合格する

税理士試験は、11科目中5科目に合格することが求められます。
この5科目は完全な自由選択制ではなく、指定科目が含まれます。
1科目あたりの勉強時間は200〜800時間と言われており、難易度もまばらです。しかし最も難易度の低い科目であっても、一夜漬けや数日間の勉強で合格できるような内容ではありません。
長期間、コツコツと勉強を続けることで合格を手にできるのです。
なお一定の要件を満たした大学院を修了することで一部の科目が免除されます。

2年間の実務経験を積む

税理士試験合格だけではなく、2年間の実務経験も不可欠です。
通常は会計事務所や税理士法人等で働くことになりますが、一般医業の税務部門等での経験も実務経験にカウントされることがあります。
無給での業務は実務経験にはなりませんので、確定申告のために自分の所得税計算等を行ってもカウントされません。

また税理士法人等で働いていたとしても、単純な入出力業務等は実務経験とはみなされませんのでご注意ください。
実務経験となるのは、「仕訳帳等から各勘定への転機事務」「決算手続に関する事務」「財務諸表の作成に関する事務」等です。
なお試験合格前の実務経験もカウントできます。

年齢別、税理士になるためのルート解説

現在の年齢から税理士になるためのルートを解説いたします。
年齢に合った学習方法を選択して、効率よくスムーズな税理士試験突破を目指してください。

20代以下で税理士を目指す

まずは受験資格を満たしましょう。
会計学に属する科目の受験資格はなくなりましたが、税法に属する科目については受験資格を満たす必要があります。

20代以下の人が満たしやすい受験資格は「大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得」「一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修」または「日商簿記検定1級合格」「全経簿記検定上級合格」でしょう。
受験資格が得られたら、税理士試験5科目に合格し、その後で実務経験をクリアしましょう。

30代で税理士を目指す

税理士法人や会計事務所に転職し、実務経験が積める環境を整えてから税理士試験に挑戦しましょう。
税理士になるための実務経験を積むためには、税理士補助等として働いた実績がなければなりません。一定の基準を満たせば一般企業であっても実務経験としてカウントされますが、一般的には会計事務所等で実務経験を積むことになります。

30代から税理士を目指す場合、ネックになるのは税理士試験よりも実務経験です。実務経験を満たせる職場にまず転職し、そこから税理士試験合格を目指しましょう。

40代で税理士を目指す

可能ならば会計事務所等に転職してから税理士試験合格を目指しましょう。
30代よりも実務経験を積める環境を手に入れることが難しくなるので、会計事務所等での地位を確保してから税理士試験に挑戦してください。

なお税理士試験合格まで通常は8年程度かかると言われていますので、40歳から挑戦する場合は48歳付近で税理士試験に合格できる見込みです。少しでも合格までの期間を短縮したい人は、大学院進学も念頭において計画を立てましょう。

50代以上で税理士を目指す

50歳以上で税理士試験を目指すならば、大学院に進学し一部科目の免除を受けることをおすすめします。通常は5科目受験ですが、大学院進学により3科目合格で税理士試験に突破できるようになります。

もちろん勉強が好きで、何年かかっても官報合格を目指すなら無理に進学する必要はありません。学習時間を削減し早く税理士になりたい人のみ、大学院への進学を検討してください。
実務経験がない人は、会計事務所への転職を検討しましょう。所長の年齢があなたより年上であれば、雇用してもらえるチャンスはあります。

税理士を目指す前の準備

税理士を目指す前に、必要となる準備についてまとめました。
どの項目も非常に重要ですので、必ず検討してから税理士試験に挑戦しましょう。

勉強時間の捻出

税理士試験は数年に及ぶ長期間の勉強が必須です。
この勉強時間をどのように捻出するかが非常に重要になってきます。
たとえば残業のない職場に転職して毎日夜に数時間の勉強時間を確保する、土日に遊ぶ時間を減らして勉強する、予備校に通って強制的に勉強する等です。

なお税理士試験の勉強時間は合計4000〜6000時間程度が目安と言われています。たとえば毎日3時間勉強したとして、4000時間勉強するには3年強かかる計算になります。
無理のないスケジュールを立てて、長期間の勉強に耐えられるようにしましょう。

大学院進学の検討

大学院に進学し一定の要件を満たした場合、税理士試験の一部が免除されます。
税理士試験は受験しても不合格になる恐れがありますが、大学院に進学すれば確実に2科目合格が取得できます。
そのため現在では、大学院に進学して税理士を目指すことが一般的です。 ただし大学院に進学するには、大学院の費用捻出と受講時間の確保が欠かせません。

会計事務所への転職

通常、税理士になるには2年間の実務経験が必要になります。実務経験を積むためには会計事務所へ転職するのが一般的です。
会計事務所での業務はかなり専門的なので、無資格・未経験者が転職するのは容易ではありません。

経験者であれば年齢はあまり関係しませんが、未経験者の場合は若いうちに転職しておくことをおすすめいたします。
税理士になった後の働き方を垣間見られるという点でも、早いうちに転職することは大変おすすめです。

家族の説得

税理士試験は年単位で勉強を続けなければなりません。また受験すれば全員が合格できるものでもないので、家族から反対されることもあるでしょう。扶養家族がいる人はなおさらです。家族からすれば収入源や家族団らんの時間が減ってしまうことが危惧されます。このような不安をいかに解消できるかがポイントになるでしょう。
家族からのサポートが受けられれば受験の励みにもなります。家族の説得も重要な項目なのです。

税理士は何歳まで転職できるのか

晴れて税理士になれたとして、何歳までなら税理士法人等に転職できるのでしょうか。
35歳を境に転職活動の難易度は大きく異なります。

〜35歳

未経験者でも転職しやすい年齢です。
次代を担う税理士として期待されています。
あなたが興味のある専門分野で活躍できる事務所や法人を選択しましょう。

35歳〜

経験者ならば転職は比較的スムーズに進むでしょう。実務経験以外に語学力やマネジメントスキル等を持っていればさらに転職しやすくなります。
未経験者の場合は、転職活動が長引く恐れがあります。
会計事務所や税理士法人では、実務経験が高く評価されます。反対に言うと、未経験者は税理士の資格を取得していても評価されにくいのです。そのため転職活動にかかる時間は長めに見積もっておきましょう。

なお税理士は、一般企業でも募集されています。あまりに決まらない場合は、会計事務所や税理士法人だけでなく一般企業にも視野を広げてみましょう。

税理士は何歳から独立すべきか

独立を目指す場合、何歳からでも独立は可能です。
「若いうちから独立するのは難しそう…」という声も聞きますが、20代で独立する税理士もいます。
税理士業界は高齢化が進んでいるため、若い税理士は非常に少ないこと、若い税理士を探している経営者もいること等から、需要は少なくありません。

また「独立してもお客さんがつかなかったら…」という不安もあるでしょう。しかし失敗してもさほど問題はありません。
独立が失敗に終わっても、また勤務税理士に戻ればよいだけです。税理士は難関国家資格ですので人数がそれほど多くありません。そのため求人が途切れることはないのです。

まとめ

税理士には何歳からでもなれます。そして税理士資格は一生涯有効です。
10代でも税理士にはなれますし、60歳を過ぎても80歳を超えても税理士として働き続けられるのです。
取得までの道のりは易しいものではありませんが、一度取得してしまえば一生ものの資格になります。
税理士になりたいと思ったら今すぐ勉強を始めましょう。1日でも早く税理士資格を取得し、あなたの未来を切り開いてください。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。