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税務申告とは?初心者でもわかる基本と手続きの流れ【2025年(令和7年)最新版】

公開日:2025/02/27

最終更新日:2025/02/27

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「税務申告、なんとなく面倒そう…」そんなふうに思っていませんか?
実は、税務申告を正しく理解すれば、節税のチャンスをつかめるかもしれません。
会社員でも、副業収入があれば申告が必要なケースがあるってご存じですか?

また、医療費控除やふるさと納税を活用すれば、払いすぎた税金が戻ってくることも。
最近ではe-Taxを使えば、自宅から簡単に申告できるようになりました。
でも、「自分が確定申告しなきゃいけないのか」「どうやって手続きすればいいのか」迷いますよね。
この記事では、税務申告の必要性や手続き方法を分かりやすく解説します。

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税務申告とは何か?

税務申告とは、個人や法人が一定期間の所得や経費を計算し、税務署に申告して納税額を確定させる手続きのことを指します。日本では、個人は「確定申告」、法人は「法人税申告」として行われます。

確定申告の必要性と対象者

確定申告とは、個人が1年間(1月1日~12月31日)の所得を計算し、所得税の過不足を精算するために行う手続きです。確定申告を行うことで、所得税の納付還付が適切に行われます。

誰が確定申告を行うべきか

以下の人は確定申告が必要です。

① 給与所得者

会社員や公務員でも、以下に該当する場合は確定申告が必要です。

年収2,000万円を超える人
副業などで20万円以上の所得がある人
給与が1カ所からでない人(複数の会社から給与を受け取っている)
年末調整を受けていない人(年の途中で退職し、再就職していない場合など)

② 個人事業主・フリーランス

個人で事業を行い、所得(売上-経費)が48万円を超える人は確定申告が必要です。

③ 不動産所得がある人

賃貸収入などの不動産所得が48万円を超える場合、確定申告が必要です。

④ その他の所得がある人

株式売却益、FX・仮想通貨取引で利益を得た場合なども、一定額以上で確定申告が必要になります。

確定申告が不要な場合

以下の場合は確定申告が不要です。

① 会社員で年末調整済み

会社からの給与のみで、年収2,000万円以下であれば、通常年末調整で税金の精算が完了するため、確定申告は不要です。

② 副業収入が20万円以下

副業の収入(給与以外の所得)が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です(ただし住民税の申告は必要)。

③ 公的年金のみで年間400万円以下

公的年金を受給している人は、年金収入が400万円以下で、かつ他の所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。

④ 所得控除や税額控除の適用が不要な人

医療費控除や寄付金控除(ふるさと納税)、住宅ローン控除を適用しない場合は、確定申告をしなくても問題ありません。

以下の表にまとめると以下の様になります。

分類 確定申告が必要な人 確定申告が不要な人
給与所得者(会社員・公務員) - 年収2,000万円超の人
- 副業所得が20万円以上の人
- 給与を2カ所以上から受け取っている人
- 年末調整を受けていない人(退職後未就職など)
- 年収2,000万円以下で、会社で年末調整を受けた人
- 副業所得が20万円以下の人
個人事業主・フリーランス - 所得(売上-経費)が48万円超の人 - 所得が48万円以下の人
不動産所得者(賃貸収入など) - 所得が48万円超の人 - 所得が48万円以下の人
投資・副業収入がある人 - 株式売却益や仮想通貨取引の利益が一定額以上の人 - 副業所得が20万円以下の人
年金受給者 - 公的年金が400万円超の人 - 公的年金が400万円以下で、他の所得が20万円以下の人
その他 - 医療費控除・寄付金控除(ふるさと納税)・住宅ローン控除を利用する人 - これらの控除を利用しない人


補足:
・確定申告期間は 毎年2月16日~3月15日(土日の場合は翌営業日)。
・副業所得が20万円以下でも、住民税の申告は必要。

所得の種類と税務申告

日本の税法では、個人の所得は10種類に分類され、それぞれ異なる税務申告のルールが適用されます。

所得の分類と申告方法

所得の種類ごとに、申告方法が異なります。

所得の種類 概要 申告の必要性
給与所得 会社員・公務員の給与 原則、年末調整で完結。年収2,000万円超や副業収入が20万円以上の場合は確定申告が必要。
事業所得 個人事業主の売上から経費を差し引いた所得 確定申告が必要(青色・白色申告の選択あり)。
不動産所得 賃貸収入・不動産売却益など 家賃収入や不動産売却利益がある場合、確定申告が必要。
配当所得 株式・投資信託の配当収入 確定申告不要だが、申告すると配当控除が適用できる。
利子所得 預貯金・債券の利子 源泉徴収済みのため、原則申告不要。
譲渡所得 株式・不動産・ゴルフ会員権の売却益 一定額を超える場合、確定申告が必要。
一時所得 生命保険満期金、懸賞金など 50万円の特別控除あり。超える場合は確定申告が必要。
雑所得 FX・仮想通貨・副業の収入など 20万円以上なら確定申告が必要。
山林所得 山林の売却による所得 所有期間5年以上で確定申告が必要。
退職所得 退職金など 退職所得控除後の額が課税対象。通常は源泉徴収で完了。


事業所得とその申告

事業所得は、個人事業主やフリーランスの所得を指し、確定申告が必須です。
確定申告には2つの方法があります。

① 白色申告

・申請手続き不要。
・帳簿作成の義務が軽い(簡易簿記)。
控除なし。

② 青色申告

事前に税務署へ申請が必要(開業から2ヶ月以内が望ましい)。
複式簿記の記帳が必要(ただし、簡易簿記でも可能)。
最大65万円の控除が受けられる。
・赤字を最大3年間繰り越せる。

e-Taxを利用した申告方法

電子申告のメリットとデメリット

e-Taxは、国税庁が提供する電子申告システムで、インターネットを通じて確定申告ができます。

電子申告のメリット

24時間申告可能(期限内なら深夜でもOK)
税務署に行かなくて済む(郵送不要)
還付金が早く振り込まれる(紙申告より2~3週間早い)
青色申告の控除が10万円増加(55万円→65万円)

電子申告のデメリット

マイナンバーカードが必要(カードリーダーまたはスマホ対応)
初回設定がやや面倒(ID・パスワード登録が必要)
システムがやや分かりにくい(慣れれば簡単)

e-Taxの利用方法と国税庁のサポート

e-Taxを使うには、以下のどれかの方法が必要です。

1.マイナンバーカード方式(おすすめ)
 ◦マイナンバーカード+ICカードリーダーor対応スマホでログイン。
 ◦もっとも便利な方法。

2.ID・パスワード方式
 ◦税務署で事前に発行してもらう。
 ◦マイナンバーカード不要だが、税務署に行く手間あり。

3.税務会計ソフトを利用
 ◦「freee」「マネーフォワード」「弥生会計」などの会計ソフトと連携。
 ◦初心者でも簡単に申告できる。

国税庁のサポート

e-Taxの公式サイト:国税庁 e-Tax
税務署での相談(混雑するため早めの相談推奨)
チャットボット・電話相談(確定申告時期は繋がりにくい)

令和時代の税務申告制度の変化

令和時代に入り、税務申告制度はデジタル化の推進や税制改正により大きく変化しています。主なポイントは以下の通りです。

電子申告(e-Tax)の普及
国税庁はe-Taxの利用を推奨し、オンラインでの申告を基本とする方向へ移行しています。紙の申告書を使用する場合でも、一部控除が適用されないケースがあります。

インボイス制度の導入
2023年10月より消費税の仕入税額控除の適用に「適格請求書(インボイス)」が必要になりました。個人事業主やフリーランスも適格請求書発行事業者として登録するかどうか判断を迫られました。

青色申告の電子帳簿保存義務化
2024年1月から、青色申告特別控除(65万円)を適用するには、電子帳簿保存が必須となり、紙の帳簿のみでは控除額が減額されます。

給与所得控除・基礎控除の改正
2020年の税制改正により、給与所得控除額が10万円引き下げられ、同時に基礎控除額が10万円引き上げられました。これにより、給与所得者と事業所得者の税負担が調整されています。

副業・フリーランスへの課税強化
副業収入が増加する中、個人の申告漏れを防ぐため、プラットフォーム事業者に支払調書の提出が義務付けられるなどの対応が進んでいます。

なお、2025年改正である定額減税を受けるための書き方については以下をご参照ください。

税務申告書類の作成と提出方法

必要な用紙と記入方法

個人の税務申告において主に使用される書類は以下の通りです。

確定申告書(A・B)
 ◦確定申告書A: 給与所得者や年金受給者向け。
 ◦確定申告書B: 事業所得者や不動産所得者などが使用可能。

青色申告決算書(または収支内訳書)
 ◦事業所得者や不動産所得者向け。青色申告者は「青色申告決算書」を、白色申告者は「収支内訳書」を作成。

各種控除関連の証明書
 ◦生命保険控除、医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税)などの証明書を添付。

申告書類の提出先と期限

提出方法等は以下の通りです。

提出方法
 ◦e-Tax(電子申告)
 ◦税務署へ持参または郵送

提出期限
 ◦所得税の確定申告: 毎年3月15日
 ◦消費税の確定申告: 毎年3月31日(個人事業主の場合)
 ◦贈与税の申告: 毎年3月15日

納税の方法とスケジュール

納税金額の計算方法

所得税額の計算は、以下のステップで行われます。

1.総所得金額の算出
 ◦事業所得、給与所得、不動産所得、配当所得などを合算。

2.所得控除の適用
 ◦基礎控除(48万円)、配偶者控除、扶養控除、医療費控除、社会保険料控除などを差し引く。

3.課税所得の計算
 ◦総所得金額 ー 所得控除 = 課税所得

4.税額の計算
 ◦課税所得に応じた累進税率(5%〜45%)を適用。

5.税額控除の適用
 ◦住宅ローン控除、外国税額控除などを差し引く。

納税のスケジュールと注意点

1. 納税方法
確定申告で算出された税額を納付する際、以下の方法が利用できます。それぞれの特徴や注意点を解説します。

納税方法 特徴 注意点
インターネットバンキング 24時間利用可能。自宅やオフィスで手続き完了。 事前に金融機関のネットバンキング契約が必要。
クレジットカード 一括払いが可能で、ポイント還元を受けられる。 決済手数料がかかる(例: 10万円の納税で約800円)。
コンビニ払い 5万円以下の場合、バーコード付き納付書で支払い可能。 5万円を超えると利用不可。納付書が必要。
口座振替(ダイレクト納付) 申告時に振替日を指定でき、自動引き落としされる。 事前に税務署で口座登録が必要。振替日を忘れやすい。
ペイジー(ATM・ネットバンキング) 収納機関番号を入力するだけで簡単に納付。 金融機関の対応状況を事前に確認する必要あり。
窓口納付(銀行・郵便局) 窓口で現金納付でき、領収書が即時発行される。 窓口の営業時間内に行く必要がある。


2. 分割納付の選択肢(延納)
所得税の確定申告後、納税額が大きい場合には、一括納付だけでなく「延納制度」を利用することが可能です。

延納の条件
・確定申告期限(3月15日)までに、納付税額の半分以上を納付する。
・残りの半分を 5月31日 までに1回目、6月30日 までに2回目として分割納付する。

注意点
・分割納付の選択は申告書の提出時に「延納を希望する」にチェックを入れる必要がある。
分割2回目の納付分には利子税(約1.6%)が発生するため、金額が大きい場合は一括払いと比較して負担増となる。

3. 滞納のリスク(延滞税)
期限内に納税しなかった場合、未納税額に対して「延滞税」が課されます。

延滞税の計算方法
・納付期限の翌日から2か月以内:年約2.4%
2か月を超えると増額:年約8.7%

具体的な例

納付期限 税額 遅延日数 延滞税率 延滞税額 合計納付額
3月15日 50万円 30日 2.4% 約1,000円 50万1,000円
3月15日 50万円 90日(2か月超) 8.7% 約10,750円 50万10,750円


滞納によるリスク
督促状の発行
期限を過ぎると税務署から「督促状」が送付される。

財産の差押え
長期間の滞納を続けると、銀行口座や不動産の差押え対象になる。

信用情報への影響
差押えが公示されると、社会的信用が低下する可能性がある。

税務申告は税理士に依頼すべき?

税務申告は個人で行うことも可能ですが、税理士に依頼することで得られるメリットが多くあります特に、所得が多い人、複雑な収入源がある人、税務知識に自信がない人は、税理士に依頼することで節税や手続きの効率化が可能になります

依頼するメリット

① 節税対策の提案を受けられる

税制の専門知識を活かし、控除や特例を最大限活用できる。
・青色申告65万円控除の適用や、必要経費の適正な計上、法人化のタイミングなど、長期的な節税戦略を立てられる
・ふるさと納税や住宅ローン控除、医療費控除などの最適な活用方法をアドバイスしてもらえる。

② 申告ミスを防ぎ、ペナルティを回避

誤った申告による追徴課税(税務調査による修正申告・加算税・延滞税)を回避。
・インボイス制度や消費税申告などの複雑な税制改正にも対応

③ 手間を大幅に削減

確定申告にかかる時間を大幅に短縮でき、本業や投資に集中できる。
・領収書の整理や帳簿作成を税理士が代行することで、事務作業の負担を軽減

④ 税務調査のリスクを軽減

税理士が関与していると税務調査の対象になりにくい傾向がある(記帳の正確性が高いため)。
・万が一、税務調査が入った場合も税理士が代理対応してくれる。

⑤ 最新の税制改正に対応

・税制は毎年改正されるため、自分で把握するのは困難。
・税理士に依頼すれば、最新の税制を活用し、最も有利な方法で申告が可能。

依頼すべき人

以下の方は依頼することを検討したほうが好ましいものと考えられます。

タイプ 税理士に依頼すべき理由
① 事業所得者(個人事業主・フリーランス) 青色申告の帳簿作成、控除の最適化、消費税申告が必要になるため。
② 副業収入が増えた人 会社員でも副業収入が20万円を超えると確定申告が必要。経費計上や節税対策をアドバイスしてもらえる。
③ 不動産所得がある人 不動産所得の税務は複雑。減価償却費、修繕費、借入金利子の適正な計上が求められる。
④ 株式・FX・仮想通貨などの投資をしている人 損益通算や繰越控除などの申告が必要になり、計算ミスを防ぐため。
⑤ 相続税・贈与税の申告が必要な人 相続税は控除や特例が多く、適切な申告が必要。税理士のアドバイスで税負担を軽減できる。
⑥ 海外取引がある人 海外所得の申告、外国税額控除、国際税務の知識が必要。
⑦ 会社経営者(法人) 法人税、消費税、給与計算、決算処理など、申告業務が多岐にわたるため。


逆に、以下のような人は税理士に依頼しなくても、会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生会計など)を活用すれば十分な場合があります。

給与所得のみの会社員(年末調整で完結する場合)
副業収入が年間20万円以下(確定申告不要)
税務知識があり、会計ソフトを活用できる人
シンプルな白色申告をする個人事業主(控除額が少なくても良い場合)

個人・法人の場合の申告費用の相場については以下の記事をご参照ください。


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税務申告とは? -まとめ

本記事では税務申告についてお話させていただきました。

この記事が皆様のお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

平川 文菜(ねこころ)

熊本出身。2018年京都大学卒業。在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。