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2025/01/01
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「大手に転職して収入を上げたい」
「でも、大手の税理士法人って激務なの?」
大手税理士法人への転職を検討するにあたり、年収や業務内容を把握しておくことは重要です。
しかし公式サイトや面接で理解できる部分は少なく、転職を足踏みしている人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、大手税理士法人の年収や業務形態等について解説いたします。
求める年収や働き方が叶うかどうかの検討材料にお使いください。
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大手税理士法人とは
大手税理士法人とは、中規模税理士法人や小規模税理士事務所と比較した際の呼び名です。 ここで税理士法人等の違いについて目安をまとめます。名称 | 規模 | 年収や福利厚生 | 業務内容 |
---|---|---|---|
大手税理士法人 | 500〜1,000人前後 | 大手一般企業並 | 幅広い分野で活躍 |
中規模税理士法人 | 100〜500人程度 | 一般企業並 | 事務所により受注する線引きはまばら |
小規模税理士法人 | 1〜100人程度 | 事務所により千差万別 | 顧問先が求める業務に対応 |
あくまでも目安であり、厳密に「大手税理士法人は500人以上」と決められているわけではありません。本記事における便宜上の分類であることをご理解ください。
日本には無数の税理士法人が存在しますが、数百人以上の規模になるとそれほど多くはありません。ほとんどは小規模税理士事務所であり、数人規模で運営されています。 一般的に、大手になるほど年収は高く、福利厚生も優れたものになる傾向にあるようです(後述)。また業務内容についても、小規模事務所とは一線を画しています。その理由は主要クライアントが異なるためです(後述)。
大手税理士法人の例
大手税理士法人といえば、まずはBIG4を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
・KPMG税理士法人
・PwC税理士法人
・EY税理士法人
・デロイトトーマツ税理士法人
上記の4社がBIG4と呼ばれる税理士法人です。知名度と実績が非常に高く、クライアントからの信頼も高いことが特徴です。
また、辻・本郷税理士法人や税理士法人山田&パートナーズ等も大手税理士法人に該当します。
年収
令和5年賃金構造基本統計調査によると、公認会計士・税理士の企業規模別年収は以下のような結果でした。
企業規模 | 平均年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額) |
---|---|
1,000人以上 | 約922万円 |
100〜999人 | 約719万円 |
10〜99人 | 約706万円 |
企業規模合計 | 約747万円 |
表から分かるように、企業規模が大きい方が平均年収も上がっています。 10人程度の小規模事務所の平均年収よりも、1,000人を超える大手事務所の平均年収の方が200万円以上高額です。 規模の大きな大手税理士法人に転職することで、大幅に年収アップできる可能性が高いのです。
業務内容
大手税理士法人で携わる業務は多岐にわたります。 小規模事業所の場合、クライアントは地域の中小企業であり、そのため月次決算や巡回監査、法人税決算処理等が中心です。
一方で大手税理士法人のクライアントには大企業も含まれます。 上場企業や大企業は、中小企業よりも高度で複雑な税務業務をこなす必要があり、その業務を担うのが大手税理士法人なのです。
たとえばM&Aや国際税務、連結決算等、地域密着型の税理士事務所ではあまりお目にかからないような業務を日常的にこなします。 また業務はチーム制で行うことが多く、1人の担当者がすべての業務に携わるというよりも、分野ごとにチームで取り組みます。
クライアントからM&Aに関する依頼があればM&Aの専門チームが、連結決算の依頼があれば連結決算チームが担当する、というものです。 チーム制なので1人で抱え込まなくて良いというメリットがある反面、クライアントと二人三脚で歩んでいくことはできません。
業務量の面で比較すると、中小の事務所よりも担当業務が増える傾向にあります。 そもそも大手税理士法人には、管理職やバックオフィスの社員が在籍しています。売上を出しませんが必要な役職です。彼らの給与を捻出するために、中小の税理士法人等よりも業務量は増加するのです。
残業時間
残業時間は削減傾向にあります。 少し前までは、規模によらず長時間残業が当然の業界でした。 しかしながら最近では労働環境の改善が進んでいます。
特に大手税理士法人での改善は進んでおり、残業時間が20〜30時間程度ですむ法人もあるようです。 ただし多忙を極める大手税理士法人もありますし、業界の特性上、繁忙期には残業時間が増加します。 大手税理士法人でも残業時間が多いことは珍しくありませんので、公式サイトや面接時によく確認しておきましょう。
中規模税理士法人との違い
中規模法人との大きな違いは、知名度でしょう。 中規模税理士法人は「税理士や経理系職種に就いた人なら知っているけれど、一般の人は知らない」というケースが多いものです。
一方で大手税理士法人は、BIG4等、非常に知名度が高く、税理士業界に詳しくない人でも知っている人が多いのです。 そのため社会的な信用度が高いのは大手税理士法人と言えるでしょう。 また独立開業を目指す場合でも、前職が名の知れた大手税理士法人なのか、無名の中規模税理士法人なのかで新規顧客獲得の難易度が変わります。
小規模事務所との違い
大きな違いはクライアントでしょう。 小規模税理士法人は地域密着型が多く、クライアントの多くは地域の中小企業です。 業務は中小企業の法人税決算等が中心となり、その他は巡回監査や年末調整等の細かい作業を担います。 時にはクライアントから相続や事業承継等の業務を依頼されることもありますが、所長の判断によって依頼を断るケースもあるようです。
大手税理士法人がおすすめの税理士の特徴
大手税理士法人は、給与や福利厚生が整備されており、長く働き続けられる環境が整備されています。大人数でコミュニケーションを取りながら切磋琢磨していきたい人におすすめです。
チームで働きたい
大手税理士法人で働く場合「法人税部門」「国際税務部門」のようなチームに配属されることになり、その分野の業務を専門で担います。 同じチームには同僚や上司が在籍していますので、分からない点や不安なことはいつでも相談できます。 チームワークを大事にしながら働きたい人には、大手税理士法人が適しているでしょう。
福利厚生がしっかりした企業で働きたい
育休や産休、介護休暇、夏季休暇、試験休暇、残業代全額支給等の福利厚生が整備された税理士法人で働きたいとお考えでしたら、大手税理士法人が適しています。 一般の大企業並みの福利厚生が整備されていることもあり、快適なワークライフバランスが叶います。
中小の税理士法人では、企業体力の都合でそこまで整備できていないこともあるようです。 長く働くにあたり、福利厚生は給与に次ぐ大切なポイントです。福利厚生にもしっかり注目して転職先を選びましょう。
体力に自信がある
大手税理士法人は給与も高く福利厚生もしっかりしており、働きやすい環境になりつつあります。しかしながら多忙であることは中小の事務所と変わりません。 むしろ1人あたりの業務量は増加すると考えられ、繁忙期には激務となることもあるようです。 激務に対応するためには、チームで休暇を取り合う等の処置も必要です。しかしまず体力がなければ務まりません。
体力があれば、残業が多少続いてもストレスフルになることなくクライアントとも対話できるでしょうし、質の良い仕事が続けられます。
高度な業務に携わりたい
専門的で高度な業務に挑戦したい人にも、大手税理士法人はおすすめです。 大手税理士法人はチーム制になっており、チームで高度な業務を担います。 取り組んだことのない業務であっても、知識と経験を持った複数人で協力するため、不安を感じることもないでしょう。
高度な業務に携わりたいけれど、現在の職場ではチャンスが回ってこないと感じるならば、大手税理士法人への転職を早めに検討してください。
大きな仕事に挑戦したい
規模の大きな仕事はワクワクするものです。 大企業もクライアントとする大手税理士法人では、規模の大きな業務に携わることもできます。
たとえば海外展開を検討中である企業からの依頼でその国の税務を調査する、大規模なM&Aを成功させる、創業者一族の相続問題を解決する等です。 大規模な依頼は中小の事務所には降りにくいものですし、仮に依頼されても、事務所の規模的に受けられないかもしれません。 高度で専門的な知識と経験を持つ税理士が何人も在籍している大手税理士法人だからこそ、大きな仕事が担えるのです。
大手税理士法人が向いていない税理士の特徴
大手税理士法人は働きやすい反面、下記のような人には向いていないかもしれません。 あなたの性格や希望する働き方に合致しているかを考えてみましょう。
クライアントと二人三脚で進みたい
顧問先の売上アップや経営者の悩みに応えられた時、税理士として大きな喜びを感じるのではないでしょうか。 大手税理士法人で働く場合、チームに所属することになるため、経営者と直に接する機会は激減します。
担当制を採用している中小規模の事務所であれば、クライアントに寄り添い、伴走し、喜びを分かち合えます。 クライアントの喜びにやりがいを感じている人は、担当制を採用している中小税理士法人が適しているでしょう。
同じ業務を粛々とこなしたい
大手税理士法人で働く場合、大規模なプロジェクトをいくつもこなすことになります。 携わる企業も様々ですので、取り組む業務は日々異なりますし、来年の同じ時期に再び同じ業務に携わるかも不明です。
一方で中小の事務所では、巡回監査や法人税決算を中心として年間スケジュールが比較的決まっています。 決算時期が近づけば決算準備、12月には年末調整、3月には個人の確定申告等、業務は大体決まっており、大きな変更とはなりません。
このように、あらかじめスケジュールが決まっており年単位の同じ業務をこなして働きたい人は、大手よりも中小の事務所が向いているでしょう。
大手税理士法人が求める人材
大手税理士法人に転職するならば、どのような人材が求められているのか分析しておくことが大切です。 十分身についているものはさらに磨きをかけて、不足しているものは身につけましょう。
税理士資格
科目合格者や税理士を目指している人は、税理士資格取得を目指しましょう。 税理士法人で働くにあたり、税理士資格を取得しているかどうかは大きな差になります。 税理士資格の有無は転職活動でも採用に直結します。 税理士試験合格を目指して頑張ってください。
公認会計士資格
公認会計士資格も大きな武器になります。 税理士法人ではあるものの、公認会計士の監査業務を担える人材は重要なポジションを任せられるでしょう。
なお公認会計士は、税理士試験を受けることなく税理士の資格を取得できます。 公認会計士と税理士のダブルライセンスを狙っているならば、まずは公認会計士から取得してはいかがでしょうか。
英語力
国際税務や外資系企業との取引等で英語力が必要になります。 日本国内で完結する業務ならば英語はほとんど不要ですが、世界規模で活躍する企業もクライアントとしている大手税理士法人では、英語力も評価の対象となるのです。 求められるのはビジネスで通用する語学力。まずはTOEIC600点を目指しましょう。
コミュニケーション力
チーム制で活動することの多い大手税理士法人では、コミュニケーション能力が欠かせません。たとえ税理士としての知識や経験が豊富であったとしても、それを同僚と共有できなければ宝の持ち腐れになってしまいます。 コミュニケーションに自信がない人は、相手に興味を持つことから始めてください。
体力
残業時間は減少傾向にあるとはいえ、定時で退社できることは稀です。 繁忙期には激務と呼んで差し支えない程度の残業が発生するかもしれません。そのため体力は必須です。 税理士は事務作業が多いので、油断するとすぐに運動不足になり体力が激減してしまいます。 転職後も定期的に体を動かし、体力低下を回避しましょう。
大手税理士法人の実態-まとめ
大手税理士法人は、高収入で福利厚生も充実しており、働きやすい環境が整備されていることが多いようです。
一方で、業務内容は高度で専門的です。チーム制で経営者と直に関わる機会は減少するでしょう。 このように、大手税理士法人も一長一短です。あなたが求める働き方にマッチしているかを本記事で確認してから転職するかご判断ください。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長