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税理士試験は独学でも合格できる?合格を目指せる勉強法を解説!

2024/09/05

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国の三大国家資格として知られている税理士資格。税理士試験の合格率は約20%程度であることから、高難易度な資格であることがわかります。

今回は高難易度な税理士試験を独学で合格することが可能であるのか、独学で合格を目指すための勉強法についても徹底解説していきます。

税理士試験の概要

まずは、税理士試験の概要について説明いたします。

税理士試験は毎年8月に実施されます。令和6年度(第74回)税理士試験の日程は8月6日(火)から8月8日(木)に実施し、合格発表は約3か月後に行われる予定です。

税理士試験は、税理士法に定められた国家資格であり、国家資格のなかでも難関といわれています。
最新の令和5年度の税理士試験では、受験者数が32,893名に対して、合格者は7,125名となっており、合格率は21.7%でした。
引用:令和5年度(第73回)税理士試験結果表

上記の合格率は、5科目合格に達した人を表すパーセンテージとなっており、科目別の合格率は大体11%から14%となっております。
合格基準点は6割の点数をとることとされていますが、実際には得点上位者順に合格となることから各科目で上位11%から14%に入ることが求められます。

税理士資格を取得するためには、会計学の2科目と税法の3科目の5科目合格が必要であり、そのうち会計学の2科目は必須科目、税法3科目は9科目からの選択式となっています。
科目の種類は、以下の表をご参照ください。

科目分野 科目名 必須/選択
会計学 簿記論 必須
財務諸表論 必須
税法 所得税法 所得税法・法人税法から1科目選択
法人税法 所得税法・法人税法から1科目選択
相続税法 7科目からいずれか2科目を選択
消費税法 7科目からいずれか2科目を選択
酒税法 7科目からいずれか2科目を選択
国税徴収法 7科目からいずれか2科目を選択
住民税 7科目からいずれか2科目を選択
事業税 7科目からいずれか2科目を選択
固定資産税 7科目からいずれか2科目を選択

一度の試験で5科目全てを合格する必要はなく、一度取得した科目は生涯有効となっています。
そのため、時間をかけて税理士資格取得を目指す方が多く、資格取得までの平均年数は8年といわれています。

では、高難易度で資格取得までにかなりの時間を要する税理士資格は独学で取得が可能なのでしょうか?

独学で税理士試験に合格することは可能か?

結論から言うと、実際に独学で税理士試験に合格した人がいるため独学合格は「可能である」と言えます。

しかし、知識ゼロから税理士試験の合格を目指す場合は、よほどのセンスが無い限り平均年数の8年以上がかかるということを念頭に置いておきましょう。

それでは、独学で合格するためにおさえておくポイントについて解説していきます。

独学で税理士試験の合格を目指すメリット

独学で税理士試験の合格を目指す場合には、かなりの時間がかかるということが分かりました。
もちろん、都合により独学でしか勉強ができない方もいらっしゃいますが、望んで独学合格を目指す方もいらっしゃいます。

では、独学合格にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは3つご紹介いたします。

自分のペースで勉強ができる

予備校や専門学校へ通う場合は、既にスケジュールが設定されていることがほとんどです。
そのため、「この科目は得意だから他の科目に時間を回そう」、「この科目は苦手だから学習時間を増やそう」といった勉強時間の融通が利かない可能性があります。
その点、独学で勉強を進める場合には、どの科目にどれくらいの時間を使うか自身のペースで勉強を進めることが可能となります。

学習費用を抑えられる

予備校や専門学校へ通うためには、かなりの金額が必要となります。
どの科目に対しての予備校に通うかで金額に変動がありますが、受験する5科目全てを受講する場合は、80万から100万円程度はかかると言われています。
必須科目である「簿記論」「財務諸表論」の2科目を受講する場合には、20万から40万円程度はかかってくると言われています。
また専門学校に通い税理士を目指す場合には、学費のみで150万から400万円程度がかかってくると言われています。

その点、独学で合格を目指す場合には受講料や学費はかからずテキスト代のみとなるためかなり費用を抑えることができると考えられます。
1点注意が必要であると言えるのは、税制は年々変化しているためテキストについても毎年新しく購入する必要があることです。とは言え、受講料や学費を考えるとかなり安価に抑えられるでしょう。

仕事、育児、家事との両立が可能

予備校や専門学校に通う場合、どうしても時間に縛られてしまうため、仕事や育児と両立することは少し難しいかもしれません。
その点、独学の場合は仕事をしながらでも、空き時間や休日に時間をとって勉強をすすめることが可能ですし、育児の空き時間に勉強をすることも可能となります。
現実的に予備校や専門学校に通う時間が無い方は、独学で合格を目指すことを視野にいれることも、効率よく合格するための手段となるでしょう。

ですが、やみくもに勉強をしているとかえって時間を無駄にしてしまう場合もあります。
次のセクションでは、独学で税理士試験に合格するために抑えるべきポイントについて解説していきます。

独学で税理士試験に合格するために抑えるべきポイント

時間を無駄にしないためには、合格するために抑えるべきポイントをしっかりと把握してからスケジュールを設定することが必要となります。

基礎的な会計、税務知識の習得

税理士試験に合格するためには、基礎的な会計、税務知識の習得が必要です。
会計・税務知識がゼロの状態から合格を目指す場合にはまず、日商簿記2級の合格を目指すと良いでしょう。簿記2級の勉強をすることで税理士試験の必須科目である「財務諸表」を読み解く力が身につけられるほか、工業簿記や経理業務をするための実用的なスキルを身につけることが可能となります。簿記2級への合格が、税理士試験合格のスタートラインといっても過言ではありません。いきなり科目合格を目指すのではなく、会計、税務知識の基礎を習得することが独学合格への近道であると言えます。

また、もう既に簿記2級以上を取得している場合には、必須科目である簿記論から合格を目指すことをおすすめします。簿記論は、会計・税務の基礎知識を勉強することが出来るほか、他科目との親和性も高く、受験資格が定められていないことから、誰でも受験可能です。

また、令和4年度の科目別合格率を見てみると、他科目の合格率が11%から18%となっているなかで簿記論合格率は23%と、各科目のなかで1番高い合格率となっています。
基礎を固めつつ他科目の内容もかじることができるため、独学で税理士を目指す方には特に簿記論が初めに学習すべき科目であると言えます。

税理士資格合格に必要な勉強時間とは?

では、独学で合格を目指すためには一体どのくらいの時間を要するのでしょうか。

日商簿記2級に合格していることを前提とした科目別必要勉強時間を以下にまとめてみました。

科目名 必須/選択 必要勉強時間
簿記論 必須 500から800時間程度
財務諸表論 必須 500から800時間程度
所得税法 所得税法・法人税法から1科目選択 900から1,500時間程度
法人税法 所得税法・法人税法から1科目選択 900から1,500時間程度
相続税法 相続税法・国税徴収法・固定資産税から2科目まで選択可能 900から1,100時間程度
国税徴収法 相続税法・国税徴収法・固定資産税から2科目まで選択可能 300から450時間程度
固定資産税 相続税法・国税徴収法・固定資産税から2科目まで選択可能 300から450時間程度
消費税法 消費税法・酒税法から1科目を選択 600から900時間程度
酒税法 消費税法・酒税法から1科目を選択 300から450時間程度
住民税 住民税・事業税から1科目を選択 300から450時間程度
事業税 住民税・事業税から1科目を選択 300から450時間程度

必要な勉強時間はあくまで目安となります。
上記の表から読み解けるポイントとして、以下の2つが挙げられます。

POINT1 所得税法と法人税法は多くの勉強時間が必要

比較的多くの勉強時間を要するものは「所得税法」と「法人税法」です。
この2つは、税法科目の中でもかなり難易度が高いとされており、必要な勉強時間は他科目と比べてかなり多い時間を要するとされています。

POINT2 酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税は比較的勉強時間が少なめ

表をみて分かる通り、「酒税法」「国税徴収法」「住民税」「事業税」「固定資産税」の5つは、比較的勉強時間が少なく設定されています。

効率重視で合格を目指す場合には、比較的勉強時間が短い酒税法や国税徴収法などを選択することが鍵となります。
自身のキャリアプランをよく考えたうえで、科目を選択しましょう。

また、科目に対しての目安勉強時間を参考にスケジュールを立ててから勉強を進めることも、税理士試験に合格するカギとなります。
独学合格を目指すためには、テキスト選びも重要です。次のセクションでおすすめなテキストについてご紹介いたします。

独学で税理士試験に合格するためにおすすめなテキスト

Amazonにて「税理士 テキスト」と検索すると、1,000件以上もの教材が表示されます。
このなかからテキストを選ぶだけでもかなりの労力を使います。
今回は、必須科目である「簿記論」の上位3位をご紹介いたします。

簿記論テキストランキング

1位:みんなが欲しかった! 税理士 簿記論の教科書&問題集 (1)~(4) 資産会計編 2024年度 [門外不出のTACメソッドを書籍化](TAC出版) (みんなが欲しかった! シリーズ)

みんなが欲しかった! 税理士 簿記論の教科書&問題集 (1)~(4) 資産会計編 2024年度

どのサイトでもおすすめされているテキストが、大手資格予備校TACが出版している、みんなが欲しかった!シリーズの書籍になります。

このテキストは、簿記論の中でも「損益会計編」「資産会計編」「資産・負債・純資産会計編」「構造論点・その他編」と4つのシリーズに分かれており、シンプルで分かりやすく解説されていることが特徴です。学習計画のタイムマネジメントから多くの受講生がつなづいてきたポイントについての深掘り、教科書と問題集が1つのテキストにまとめて入っている点がおすすめできるポイントです。
また、答案用紙のダウンロードサービスもしており、何度も繰り返して勉強することが可能です。
引用:Amazon_みんなが欲しかった! 税理士 簿記論の教科書&問題集 (1) 損益会計編 2024年度

2位:税理士 1 簿記論 個別計算問題集 2024年度版 税理士受験シリーズ(TAC出版)

税理士 1 簿記論 個別計算問題集 2024年度版 税理士受験シリーズ(TAC出版)

第2位に選ばれたこちらの書籍は、税理士簿記論の論点ごとの知識を定着させるための問題集となっています。また、答案用紙も付いており、解答用紙についてもダウンロード型となっているため何度も繰り返して問題を解くことが可能となります。この書籍も大手資格予備校TACから出版されており、Amazon内の評価も4.0とかなり高評価です。
引用:税理士 1 簿記論 個別計算問題集 2024年度版 税理士受験シリーズ

3位:税理士 簿記論 総合計算問題集応用編 2024年 (税理士受験対策シリーズ)(資格の大原出版)

税理士 簿記論 総合計算問題集応用編 2024年 (税理士受験対策シリーズ)(資格の大原出版)

こちらは資格の大原から出版されている書籍となっており、過去の試験傾向や出題実績を徹底的に分析を行い、難易度の高い総合問題を中心に合格に必要な項目を絞った問題集となっています。すでに簿記論の学習経験があり、応用力を身につけたい方にはおすすめな本となっています。

専門学校を設ける大原が出版しているため、ノウハウを活かした総合問題の解き方を掲載しており、試験の注意点や主な出題形式の解答方法、解答へのアプローチ方法など合格に必要なテクニックが確認ができます。
引用:税理士 簿記論 総合計算問題集応用編 2024年 (税理士受験対策シリーズ)

以上が、おすすめのテキストになります。
税理士試験は非常に難易度が高い資格となっています。テキスト選びにはしっかりと時間をかけることが大切で、自分が勉強をすすめるうえで読みやすいテキストを選択するように心がけましょう。

まとめ:独学で税理士試験に合格するためには

独学で税理士試験に合格するためには、重要なポイントを押さえることが必要です。
まず、自分に合ったテキストや参考書を選ぶことが肝心です。適切な教材を選ぶことで、効率的に学習を進めることができます。

次に、計画的な学習スケジュールを立てることが大切です。毎日の学習時間を確保し、目標を設定することで、モチベーションを維持しやすくなります。また、税理士試験は範囲が広いため、過去問や模擬試験を活用して実践力を養うことで、自分の弱点を把握し、重点的に対策を講じることができます。
さらに、最新の税法改正や経済動向にも目を向けることが求められます。これらの知識は試験対策だけでなく、実務においても役立つため、日々のニュースや専門誌をチェックする習慣を身につけましょう。

最後に、健康管理も忘れずに行うことが大切です。長時間の勉強は体に負担をかけるため、適度な休息や運動を取り入れてリフレッシュすることが必要です。これにより、集中力を持続させることができます。以上のポイントを押さえつつ、継続的な努力を怠らずに取り組むことで、独学でも税理士試験に合格することは可能です。自信を持って、計画的に進めていきましょう。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。