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税理士は激務?残業少なめの事務所の選び方

2024/12/23

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一般的に、税理士業界は激務と言われており、長時間残業が常態化しているイメージがついています。
たしかに激務で長時間残業が強いられる事務所も存在します。しかし、すべての税理士事務所が激務かと言われるとそうではありません。
本記事では、税理士事務所が激務になりやすい理由や、残業時間が短めのホワイト事務所の選び方等をまとめました。

激務な職場を抜け出したい人、転職先の選び方で困っている人は、ぜひ本記事を参考にしてください。理想的な事務所と出会うコツが理解できますよ。

税理士が激務と言われる理由

そもそも、税理士はなぜ激務なのでしょうか。
それは、締め切りが伸ばせないこと、そして仕事に偏りがあることが主な理由です。

納期が伸ばせない

税理士の主な仕事に、税金の計算や決算書等の作成があります。
クライアント企業から受け取った資料を元に、法人税額や消費税額、相続税額等の税額を計算し、決算書等にまとめ、クライアントが納付すべき税額を示すのです。

ところで、税金の納付期限は厳密に定められており、遅れると延滞税等の余計な税金が上乗せされてしまうことになります。
たとえば、個人の確定申告は原則として毎年3月15日が期限です。この日までに確定申告書と所得税を納付しなければ、延滞税等がかかってしまいます。

延滞税等の負担をクライアントに負わせないためにも、税理士は納付期限に必ず間に合うように書類の作成と税額の計算を終わらせなければなりません。
納期限は税理士の一存で動かせないため、どうしても納期限の前は激務になってしまいます。

クライアントに偏りがある

激務になるもう1つの理由は、クライアントが偏るためです。
納期限までに作業を完了させるべきクライアントは膨大な数に及ぶため、納期限の少し前には激務になってしまうのです。

たとえば上記の例で考えてみましょう。確定申告の期限は3月15日です。
この日までに前年1月〜12月までの資料を受け取り、確定申告書等を作成し、所得税等を計算することになります。
クライアントとなる個人事業主が1人ならば、特に問題なく仕事は進むでしょう。
2月上旬ごろに資料の提出を受けて、それから計算を始めても難なく納期日に間に合います。

ところがクライアントとなる個人事業主が100人いた場合はどうでしょうか。
100人のクライアントが一斉に資料を提出してくるので、その資料を納期限までに一気に処理しなくてはなりません。
12月までの資料が必要になりますので、資料提出は1月初旬までしか前倒しできません。
つまりクライアントが偏っていると業務が集中するタイミングが重なるため、激務になりやすいのです。

税理士が激務になりやすい時期

税理士が激務になりやすい時期、いわゆる繁忙期は下記のとおりです。
税理士事務所によっては別の時期が繁忙期になり得ますので、あくまでも参考としてご覧ください。

12月〜1月

年末調整と法人決算が集中する時期です。
年末調整とは、年の最後に従業員1人1人の所得税を計算するものです。
年末調整は法定調書に記載することになるため、法定調書の提出期限に間に合わせなければなりません。なお法定調書の提出期限は1月31日です。

法人決算とは、1年間の財務状況を決算書等にまとめて法人税等を確定させるものです。
決算期は法人によって異なりますので、理論上は12カ月にバラつくことになります。しかし実際には、3月、9月、12月を決算月とする法人が大多数を占めています。
法人決算の期日は、原則として決算月から2カ月後。一部は3カ月後です。

そのため1月中旬ごろから、12月決算の法人の決算処理が集中し始めます。
先にお伝えした法定調書の作成と共に、期日に間に合うよう全クライアントの書類を作成し、納税額を計算しなければなりません。

3月〜5月

個人事業主の確定申告、12月決算の法人決算、3月決算の法人の決算処理を行う時期です。
まず個人事業主の確定申告の期日は、原則として毎年3月15日です。
12月末日までの書類が必要になるため、現実的な作業開始は1月中旬以降になります。

次に、12月が決算月で、3カ月後を期日とする法人の決算処理です。
法人決算の申告・納税の期日が末日であることが多いため、3月上旬から中旬にかけて業務が集中します。
3月には個人事業主の確定申告の期日も迫っているので、多忙を極める事務所が多いようです。

これらの業務が終わると、次は3月決算の法人の決算処理が始まります。
4月中旬以降に資料が集まり始め、5月上旬〜中旬に作業が集中するイメージです。

税理士の閑散期

上記以外の時期は、繁忙期に比べて仕事量が落ち着きます。
具体的には2月、6月〜11月です。
とはいえ、閑散期であっても毎月実施している業務は続行しますので、暇になるほどの時間はありません。 なお閑散期でも行う業務は、記帳代行や巡回監査、各月の決算業務、税務コンサルティング等です。

記帳代行とは、クライアント企業に代わってレシート等から会計ソフト等に売り上げや支出を入力する業務です。
巡回監査とは、クライアント企業の会計帳簿等を定期的にチェックする業務です。主にクライアントが自社内で記帳している場合に行います。
決算業務も毎月発生します。クライアント企業の決算月に合わせて決算業務を行うためです。たとえば7月を決算月としているクライアントがいた場合、9月または10月までに法人決算処理を完了させます。

また税務コンサルティングも時期によらず提供します。クライアント企業の悩みが発生した時点で税務コンサルティングの需要が生まれるため、年中対応することになるのです。

激務になりやすい税理士事務所の特徴

繁忙期には激務かつ長時間残業になりやすいのですが、激務になるのはそれ以外にも理由があります。 どのような事務所が激務となりやすいのか確認しましょう。

顧問料や報酬が低い

クライアントからいただく顧問料や報酬額が低く設定されている事務所です。
1社あたりの売上が低ければ、たくさんのクライアントを抱えなければ売上が立ちません。
結果として担当するクライアント数が膨れ上がり、激務へとつながるのです。
このタイプの事務所では、繁忙期も閑散期も関係なく常に長時間残業となるでしょう。

また報酬が低いため、長時間残業に見合わない給与しか受け取れないかもしれません。

人間関係が悪い

事務所内の人間関係が悪い事務所は激務になりがちです。 まず事務所内のスタッフとの連携が取れないので、業務がスムーズに進まず遅れ気味になります。 また人間関係が悪い事務所は、新しい人が入ってもなかなか定着しません。そのため採用活動や育成に時間を取られて、本来すべき業務が進まないのです。
結果として長時間残業につながり、激務な事務所と認定されてしまいます。

RPA等の合理化に無関心

RPAとは、コンピューター上で行われる作業を自動化するソフトのことです。
税理士事務所における記帳代行等の作業は、RPAに置き換えられます。
すでにRPAを導入して自動化を推進している事務所もみられ、作業時間の圧縮の動きが活発になりつつあります。
RPAを導入すれば人間が行う作業量が軽減されるので、残業時間は短縮されるのです。

一方で、RPAやAI等の導入に消極的な事務所もみられます。こちらは単純作業もスタッフがすべて行うことになるため、長時間残業が解消されず激務の状態が続いているようです。

離職率が高い

「人間関係が悪い」にも通じるところですが、離職率の高い事務所は激務である確率が高いと考えて間違いありません。
まず長時間残業が続くことで、耐えられずにスタッフや税理士が辞めてしまいます。
離職理由が、長時間残業ということです。

反対に、離職率が高いために長時間残業を余儀なくされるという悪循環が発生します。
スタッフが減ったとしても、クライアント企業に対するサービスは低下させられません。納期日も変更できません。そのため、在籍しているスタッフにのしかかる業務量が増加し、激務となってしまうのです。

税理士が残業少なめの事務所を選ぶコツ

それでは激務の事務所を避けて、残業が少なめのホワイト企業を選ぶにはどうすれば良いのでしょうか。
優良な事務所を選ぶコツをお伝えいたします。

求人票から残業時間を読み取る

求人票に平均残業時間が記入されていないか確認してください。
残業時間ゼロの事務所は少ないものですが、20時間未満程度ならば探せば見つかるでしょう。 あなたが希望する残業時間以内の時間が記載されている事務所を選択しましょう。
なおみなし残業時間も併せて確認してください。

フレックスやリモートOKの事務所を選ぶ

一般的に、フレックス制度やリモートを取り入れている事務所は残業時間が短い傾向にあります。
リモートならば多少残業時間が発生しても、心の持ちようが異なります。
またフレックスなら遅刻という概念があいまいになりますので、寝坊しても問題ありません。
残業時間で稼ぐよりも、実力勝負で稼ぎたい人におすすめです。

入力業務を行うスタッフが別にいる

税務を担当する税理士とは別に、記帳代行等を行う入力スタッフが在籍している事務所です。
入力スタッフがいる事務所では、記帳代行等の単純作業を税理士が行う必要がありません。
もちろん書類のチェックは行いますが、単純作業に時間を取られないので残業時間は比較的抑えられます。

また入力スタッフはいないけれどもRPAを導入している事務所でも同様の効果が見込まれます。
この場合、税理士はより高度な業務に注力することになりますので、業務量は減りますが難易度は上がります。

複数名の税理士が所属している

税理士が所長1人のみの事務所が激務になりやすいものです。
税務の疑問点や質問に応えられる人が1人しかいないので、その1人に業務が集中して作業がスムーズに進みづらくなるためです。
複数名の税理士が所属している事務所であれば、質問も複数名で対応できるのでスピーディに仕事が進むでしょう。

なお税理士事務所を立ち上げたばかりで所長しか税理士がいないというケースもみられます。
この場合はクライアント数がさほど多くはないため、激務とはなりにくいかもしれません。求人に応募するか迷ったら、転職エージェントに相談しましょう。

事業を拡大しない方針を取っている

たとえば所長が高齢で事業承継も考えていない事務所、あまり大きくしすぎない方針の事務所等では、クライアント数も業務もさほど変動しないことから激務になりにくい傾向があります。
事業を拡大するということは、業務量やクライアント数を増やすことに他ならず、スタッフ数が増加するまでの間は激務になることが予想されます。

また今後採用してもスタッフが定着するかは分かりませんので、事業拡大を掲げる事務所は長時間残業となりやすいのです。
気になる事務所が事業拡大すると公言しているならば、一段落してから求人に応募するのが良いのかもしれません。

大手税理士法人は慎重に判断

大手の方が残業時間が少ないようなイメージを持ちますが、実際はそうでもありません。
なぜなら、大手税理士法人では利益を直接出さない中間管理職やバックオフィサーが増加するためです。

小規模な事務所ならば、全員が売り上げを出します。

一方で大手税理士法人の場合は、中間管理職やバックオフィサーの給与分まで売り上げなくてはなりません。 そのため1人あたりの業務量は、大手税理士法人の方が多くなる恐れもあるのです。
一般企業では大手の方が残業時間が短いイメージですが、税理士法人においてはそのイメージに当てはまらないのです。

大手一般企業に転職する

先ほども触れたとおり、大手の一般企業は残業時間が少ない傾向にあります。そこで、企業内税理士として一般企業に転職するのです。

ただし、平均残業時間が低いとはいえ、企業における税理士はあなたしかいませんので、あなたにしかできない仕事が大量に降ってくる可能性は否めません。
たとえば海外進出に向けて、その国の税法をまとめて実地調査を行うとなれば、あなた以外に適任がおらず、海外出張や長時間残業を断れない状況も考えられます。
一般企業に転職する場合は、業務内容や税理士資格保持者人数等まで確認しておくことをおすすめします。

転職エージェントに相談する

最も楽に、理想的な転職先が探せる方法です。
あなたの希望を転職エージェントに伝えることで、希望に合った求人を提案してくれます。 自分自身で転職先を探す必要がないため、非常に効率的ですし精神的な疲労も軽減されます。
現在、激務の長時間残業が続いており、転職活動に時間を割けない人におすすめです。

ブラック事務所診断

税理士は激務?-まとめ

税理士業界は激務で長時間残業というイメージがあるものの、ホワイトな業界に生まれ変わろうとしています。
本記事の内容を参考に、激務な事務所を避け、残業時間が短い事務所を選びましょう。理想的な働き方ができる事務所が、きっと見つかりますよ。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。