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【税理士試験の必修科目】簿記論・財務諸表論の合格率や勉強方法を徹底解説

2025/01/15

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「簿記論や財務諸表論の勉強を始めてみたいけれど、合格率が低いと聞いて不安…」と感じている方も多いでしょう。
また、「どのくらいの学習時間が必要なのか見当がつかない…」と悩んでいる方もいるかもしれません。
これらの科目は税理士試験の中でも重要な位置を占めており、しっかりとした準備が求められます。

この記事では、簿記論や財務諸表論の勉強を考えている方に向けて、
- 簿記論の概要と合格率
- 財務諸表論の基本情報と合格率
- 両科目を同時に学ぶ利点
上記について、解説しています。ぜひ参考にしてください。

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税理士試験について

税理士試験は、以下の5科目に合格する必要があります。受験生は11科目の中から5科目 を選択することができます。

税理士試験の受験科目

以下の3つのグループに分けられます。

1. 必須科目
 ・簿記論、財務諸表論

2. 選択必須科目(1科目選択)
以下の税法科目の中から1科目を選択します。
 ・所得税法、法人税法

3. 選択科目(2科目選択)
以下の科目から自由に2科目 を選択します。
 ・相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税

簿記論とは?

簿記論は、税理士試験の必須科目の一つで、企業の経済活動を記録・計算する「簿記」の原理や手法を学ぶ科目 です。具体的には、複式簿記の原理、その記帳・計算および帳簿組織、商業簿記、工業簿記を対象としています。

簿記論の出題内容

試験は全て計算問題で構成され、以下の3問形式で出題されます:

 1.第1問(25点):個別の論点に関する問題。
 2.第2問(25点):個別の論点に関する問題。
 3.第3問(50点):決算整理を行う総合問題。

これらの問題は、試験時間内に全て解答するのが難しいほどの分量があり、迅速かつ正確な計算能力 が求められます。

簿記論の難易度と合格率

簿記論の合格率は例年12%から23%の間で推移しており、直近の2024年度試験では17.4% でした。このことから、難易度は高いと言えます。特に、計算問題が中心であるため、計算が苦手な受験生にとっては難易度が高く感じられるでしょう。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和6年 17,711名 3,076名 17.40%
令和5年 16,093名 2,794名 17.40%
令和4年 12,888名 2,965名 23.00%
令和3年 11,166名 1,841名 16.50%
令和2年 10,757名 2,429名 22.60%
令和元年 11,784名 2,052名 17.40%

簿記論の合格基準

公式には、満点の60%以上の得点で合格とされています。しかし、実際には相対評価の側面が強く、全受験者の中で上位12%から23%前後に入ること が必要です。

合格するために必要な勉強時間

簿記論の合格には、一般的に500時間から1000時間の勉強時間が必要 とされています。ただし、既に日商簿記1級を取得している場合は、300時間から400時間程度で済むとも言われています。個人の計算能力や学習状況によって必要な勉強時間は異なるため、自身の状況に合わせた学習計画を立てることが重要です。

簿記論と日商簿記は何が違う?

簿記論は日商簿記と何が違うのか?という質問が良くありますが、両者は試験で問われるテーマや問題の難易度が異なります。

以下に簿記論と日商簿記について違いをまとめました。

項目 日商簿記 簿記論
定義 会計の基本スキルを学ぶ 税理士試験の科目として簿記を深く学ぶ
対象範囲 商業簿記、工業簿記(原価計算含む) 商業簿記、工業簿記(原価計算除外)
試験実施者 日本商工会議所(例:日商簿記検定) 国税審議会(税理士試験)
試験内容 理論+計算問題 計算問題のみ
難易度 初級~上級(3級~1級) 専門的で高難度(1級以上の内容)
合格基準 70%以上で合格 60%以上(相対評価あり)
学習時間 2級:100~200時間
1級:500時間
500~1000時間(1級保持者は300時間)
実務活用 基本的な経理・会計業務に役立つ 高度な会計処理や税務業務に必要

【簿記論】オススメの勉強方法をご紹介!

簿記論は、難易度が高い科目なので、計画的かつ効率的に取り組むことが大切です。

1. 基本の理解を徹底する

・テキストを活用
最初は公式テキストや受験対策本で基礎知識を固めましょう。複式簿記の基本原理や、商業簿記・工業簿記のルールを理解することが重要です。

・動画講義を活用
難解な内容は、予備校の講義動画やYouTubeの解説動画を活用すると効率的です。

2. 問題演習を繰り返す

・過去問を解く
簿記論の出題傾向をつかむために、過去問を繰り返し解きます。特に、第3問(総合問題)は必ず対策を行いましょう。

・市販の問題集
TACやクレアールなどの専門書を使い、計算スピードを鍛えます。

・間違いノートを作成
自分が間違えた問題や、理解が曖昧な部分をノートにまとめて復習に役立てます。

3. 時間配分を意識した模擬試験

・制限時間内に解く練習
簿記論は出題量が多く、時間内に全て解くのが難しいため、時間配分を意識して模擬試験形式で練習します。

・弱点補強
特に時間がかかる項目(例:決算整理仕訳)を重点的に練習しましょう。

4. 理解を深める工夫


・理論を図解する
仕訳や財務諸表を図に描いて、流れを視覚的に把握します。

・友人やSNSで質問
分からない箇所は、オンラインの勉強コミュニティや友人に質問して解消します。

5. 学習計画を立てる

・目標時間を設定
簿記論の学習には、最低500~1000時間が必要です。1日2~3時間を目安に学習計画を立てましょう。

・スケジュールを細分化
テーマごとに1週間単位のスケジュールを作成し、進捗を確認します。

6. 予備校や通信講座の活用

・効率重視
独学が難しい場合、TACや大原簿記学校、オンライン講座(例:アガルート、スタディング)を活用すると効率的です。

7. メンタルケア

・小さな目標を設定
問題集を1冊終わらせるなど、達成感を得られる目標を立ててモチベーションを維持しましょう。

・休息を取る
計算問題ばかりだと疲れるため、適度に休憩を挟んでリフレッシュします。

財務諸表論とは?

財務諸表論は、税理士試験の必須科目の一つで、企業の財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)の作成方法や、その基礎となる会計理論を学ぶ科目 です。具体的には、会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法における計算規定、会社計算規則、財務諸表等の用語・様式および作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式および作成方法に関する規則などが対象となります。

財務諸表論の出題内容

試験は大きく「理論問題」と「計算問題」に分かれています。

・理論問題(50点): 会計原則や企業会計基準に関する論述や選択問題が出題されます。具体的には、会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法中計算等に関する規定、会社計算規則、財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則などが含まれます。

・計算問題(50点): 財務諸表の作成や数値の計算に関する問題が出題されます。簿記論の第三問と似た問題が出題されますが、財務諸表(損益計算書・貸借対照表)を作成するための「表示科目」や「表示区分」を考慮しながら解答する点が特徴です。

財務諸表論の難易度と合格率

財務諸表論の合格率は年度によって変動しますが、概ね15%前後 とされています。ただし、直近の2024年だと合格率は8% でした。このように、年度によって合格率は大幅に変わることがあります

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和6年 13,665名 1,099名 8.00%
令和5年 13,260名 3,726名 28.10%
令和4年 10,118名 1,502名 14.80%
令和3年 9,198名 2,196名 23.90%
令和2年 8,568名 1,630名 19.00%
令和元年 9,268名 1,753名 18.90%

財務諸表論の合格基準

税理士試験の合格基準は、一般的に満点の60%以上の得点とされています。ただし、実際の合格は相対評価で決定されるため、上位約15%に入ることが必要 です。そのため、60点以上の得点を目指すことが重要ですが、年度や試験の難易度によって必要な得点は変動する可能性があります。

合格するために必要な勉強時間

財務諸表論の合格には、一般的に600~1,000時間の学習時間が必要 とされています。日商簿記1級の知識がある場合は、必要な学習時間が短縮されることもあります。また、簿記論と財務諸表論は関連性が高いため、同時に学習することで効率的に理解を深めることができます。

財務諸表論は、会計の理論と実務の双方を深く理解することが求められる科目です。計画的な学習と継続的な問題演習を実施することが大切です。

【財務諸表論】オススメの勉強方法をご紹介!

以下で、効果的な勉強方法を紹介させていただきます。

1. 理論と計算を分けて学習する

財務諸表論では、「理論問題」と「計算問題」の2つの分野があるため、分けて学習することで効率が上がります。

理論の勉強法
・基礎の理解
会計原則や企業会計基準を、テキストや問題集を使って丁寧に学ぶ。苦手な箇所は動画講義で補足する。
・暗記と応用の両立
理論は暗記だけでなく、応用力を鍛えることが重要。過去問や予想問題を繰り返して、実際の試験形式に慣れる。
・まとめノート作成
頻出項目や重要な論点をノートに整理し、試験直前の復習に役立てる。

計算の勉強法
・財務諸表作成の練習
貸借対照表や損益計算書を作成するプロセスを繰り返し練習。仕訳の流れを正確に把握する。
・スピードを重視
制限時間内に解けるよう、タイマーを使って練習。特に総合問題の練習が重要。
・問題集の反復練習
TACや大原の問題集を1冊徹底的にやり込む。

2. 理論暗記のコツ

・ポイントをフレーズ化
難しい用語や原則は、覚えやすいフレーズや語呂合わせを使って暗記。
・アウトプット重視
書いて覚えるだけでなく、声に出して説明することで記憶の定着が良くなる。
・頻出項目を優先
過去問を分析し、試験によく出る論点から取り組む。

3. 模擬試験で実践力を鍛える

・時間内に解答する練習
実際の試験と同じ環境で、模擬試験を受けて時間配分の感覚を養う。
・弱点の補強
模試でミスが多かった分野を重点的に復習する。

4. おすすめ教材・ツール

・テキスト: TACや大原簿記学校の公式教材を利用。
・問題集: 過去問集や財務諸表論専用の計算問題集。
・オンライン講座: アガルートやスタディングなどの動画講座。

5. 理論と計算をバランスよく勉強する

片方に偏らず、理論と計算を交互に学ぶことで、試験全体の得点力が向上します。疲れやすい計算問題と暗記中心の理論を組み合わせて学習を進めましょう。

6. メンタルケアと継続の工夫

・小さな達成感を得る
問題集を1周終わらせるなど、達成感を積み重ねてモチベーションを維持。
・休息を大切にする
暗記や計算は集中力を使うので、適度な休憩を挟むことで効率を高める。

簿記論と財務諸表論はどちらから始めるべき?

簿記論と財務諸表論のどちらから始めるべきかは、目指すペースや学習スタイルによりますが、一般的には以下の観点で判断することが多いです。

1. 簿記論から始めるメリット

・基礎的な知識の習得
簿記論は、仕訳や帳簿の記録方法などの会計の基礎を学ぶ科目です。簿記論で学ぶ内容は財務諸表論の理解にも直結するため、先に簿記論を学ぶとスムーズです。
・実践的なスキルを磨ける
簿記論では、実際の問題を解きながら会計処理を学ぶため、手を動かしながら実務的な感覚を養えます。
・財務諸表論の理解を助ける
財務諸表論は理論が中心ですが、簿記論で仕訳や帳簿の構造を理解していると、理論がより具体的にイメージできます。

2. 財務諸表論から始めるメリット

・理論が得意なら効率的
財務諸表論は理論を中心に学ぶため、文章を読んで理解するのが得意な人には向いています。簿記論よりも座学中心の学習になることが多いです。
・全体像を先に把握できる
財務諸表論では財務諸表(貸借対照表や損益計算書)全体の意味や構造を学ぶため、会計の大枠を先に知りたい場合は適しています。

3. 並行して学習する場合

簿記論と財務諸表論は試験でも内容がリンクしているため、並行して学ぶのも一つの方法です。
・簿記論で学んだ仕訳や処理を財務諸表論での理論と結びつけることで、双方の理解が深まります。
・ただし、時間や学習負担が増えるため、計画的に進める必要があります。

どちらがおすすめか

初心者の場合は簿記論から始めるのがおすすめです。
簿記論で仕訳や帳簿の基礎を固めると、財務諸表論で学ぶ理論がより理解しやすくなります。また、簿記論の問題演習で実際の会計処理の流れを体感することで、試験対策の実践力も身につきます。

学習順序 メリット デメリット
簿記論 会計の基礎を習得でき、実践的なスキルが身につく。
仕訳や帳簿記録など、財務諸表論にも活かせる知識が得られる。
実務的な処理の感覚を養えるため、理解が定着しやすい。
問題演習の量が多く、手を動かす作業が中心になるため、
理論が得意な人には負担に感じることもある。
財務諸表論 財務諸表の全体像を先に学ぶことで、
会計の大枠を理解できる。
理論中心のため、文章理解が得意な人に向いている。
試験対策としては比較的スムーズに始められる。
簿記論で学ぶべき基礎(仕訳や帳簿)がないと
具体的なイメージがわかず、
理解に時間がかかる場合がある。
実践的な問題演習が少ないため、
簿記論を後から学ぶ際に実務との結びつきが弱く感じることもある。
同時進行 簿記論で学ぶ仕訳や帳簿の知識を
財務諸表論の理論に即座に結びつけることができ、
相互に理解が深まる。時間を効率的に使うことができる。
学習内容が多く、計画的に進めないと
混乱や学習ペースの遅れが生じる可能性がある。
片方が遅れるともう片方にも影響が出やすい。

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税理士試験の必須科目 簿記論・財務諸表論-まとめ

今回は、簿記論や財務諸表論の合格を目指す方に向けて、
- 簿記論と財務諸表論の合格率の実態
- 試験の難易度に関する詳細な分析
- 効率的な学習方法の提案
上記について、お話してきました。

簿記論と財務諸表論は、資格取得を目指す方にとって重要なステップです。合格率の情報や試験の難易度を知ることは、試験対策を立てる上で非常に役立ちます。特に、難易度が高いと感じる方も多いでしょうが、それに対する具体的な対策を知ることで、学習の効率を上げることが可能です。

この記事を通じて、不安や疑問を少しでも解消できたなら幸いです。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。