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女性が税理士になるメリットとは?働き方から年収まで徹底解説!
2024/10/17
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近年、女性税理士の割合が増加傾向にあります。 この記事では、女性が税理士を目指すメリットや就職先、そして平均年収まで解説していきます。
税理士の仕事内容
税理士は税務のプロフェッショナルと言われており、クライアントの税務申告業務、記帳代行、税務相談、決算業務などを行っています。その中でも、「税務書類の作成」「税務代理」「税務相談」は税理士しか行うことができない独占業務であり、これらの業務には幅広い税務知識が必要になります。
また、税制は毎年改正されるため、そのたびに知識のアップデートを行う必要があります。日々の業務をこなしながら、税制についての勉強が必要であり、税理士はかなり多忙であることが分かります。 では、ライフスタイルが比較的変動しやすい女性が多忙な税理士になるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
女性が税理士になるメリットとは?
ここでは、女性が税理士になるメリットを4つのポイントに絞って説明します。
手に職をつけられる
まず1つ目のポイントとして、税理士は「手に職をつけられる仕事」であることが挙げられます。
国家資格である税理士資格は、かなり難易度が高いと言われています。税理士として登録するまでにはかなりの時間と労力を必要としますが、税理士という肩書があるだけで、税務に関するスペシャリストであると証明できます。そのため、ライフステージが変わった際にも、就職活動を有利に進めることができるのです。
高収入を目指すことが出来る
税理士の仕事は、税務・会計に関する専門的な知識を有するため、それに伴った高水準な給与であることが一般的です。一般労働者と比較しても、税理士の収入は安定しており、経験を積むことでさらに高額な報酬を得ることも可能となります。資格を取得するまでにかなりの時間と努力が必要ですが、その投資は将来的な収入の増加という形で報われます。
ライフステージに合わせた柔軟な働き方が可能
現代の働き方改革により、税理士という職業はますます柔軟な働き方が求められるようになりました。特に女性にとって、結婚や出産、育児といったライフステージの変化に対応できる職業選択が重要です。その点、税理士は非常に適した職業であると言えます。
まず、税理士事務所や法人では、フレックスタイム制や在宅勤務制度を積極的に取り入れているところが多く、自分のライフスタイルに合わせて働ける環境が整っています。これにより、育児中の女性でも家庭と仕事を両立させやすくなります。
育休・産休制度が整っている
税理士業界は女性のキャリアアップを支援する制度も充実しています。例えば、育児休業や産前産後休業制度が整備されているため、安心して出産や育児に専念できる環境が整っています。これにより、出産後に職場復帰する際のハードルが低くなり、長期的なキャリア形成が可能となります。
以上のように、女性が税理士を目指すメリットには、ライフステージによって環境が変化した際にも、安定した収入を得ながらライフスタイルに合わせた環境で働くことができる点があります。 では、税理士を目指すデメリットはあるのでしょうか?
女性が税理士を目指すデメリットとは?
この章では、女性が税理士を目指す際のデメリットについて解説します。
税理士資格取得までに時間を有する
税理士資格を取得するまでには、平均で3年から5年程度かかると言われています。さらに、税理士として働くためには、税理士登録が必要であり、登録には「会計に関する業務の2年以上の実務経験」が必要になります。
そのため、税理士として働けるまでには約3年から7年程度はかかることを念頭に置いておきましょう。また、税理士資格は難易度の高い資格であるため、時間をかけて勉強をしても、合格できない可能性もあります。税理士を目指す際には、自身のキャリアプランを明確にして綿密なスケジュール設定を行うことが重要です。
繁忙期の拘束時間が長い
税理士業界は、繁忙期と閑散期がハッキリわかれています。繁忙期とは、主に年末調整や確定申告の時期を指しますが、この期間中、税理士はクライアントからの依頼が急増し、通常の業務に加え、膨大な量の税務書類を処理しなければなりません。閑散期の平均残業時間は30時間程度であるのに対して、繁忙期の平均残業時間は約40時間と言われており、場合によっては80時間を超えてしまうこともあるのです。
そのため、繁忙期には定時を超えて終電ギリギリまで仕事をしている人が多くみられるほか、休日返上で働くことも珍しくありません。これにより、仕事とプライベートのバランスを保つことが難しくなる可能性があります。 以上の2つが税理士を目指すデメリットです。メリットとデメリットを把握したうえで、今後のキャリアプランを明確にしていくことが大切です。
女性税理士の就職先
税理士資格を取得した後、どのような就職先が考えられるでしょうか? ここでは主要な就職先を5つご紹介いたします。
税理士事務所
税理士事務所は、税理士が最も一般的に就職する先の一つです。ここでは、主に中小企業や個人事業主向けの税務申告や経理サポート、税務相談などの業務を行います。税理士事務所で働くことの最大の魅力は、幅広い税務知識と実務経験を積むことができる点です。クライアントの業種や規模が多様であるため、さまざまなケーススタディに触れる機会が多く、税務のエキスパートとしてのスキルを磨くことができます。
また、税理士事務所は比較的小規模であることが多く、税理士がクライアントと直接コミュニケーションをとる機会が多いことも特徴の1つです。
税理士事務所での経験は、将来的に独立開業を目指す税理士にとって非常に価値のあるものです。クライアントのニーズを直接感じ取り、その対応策を実践することで、独立後の経営に必要なスキルを身につけることできます。税務の基礎から応用まで、幅広い知識を習得できる税理士事務所は、税理士としてのキャリアをスタートさせるには最適な環境であると言えます。
税理士法人
税理士法人は、2名以上の税理士が所属している法人です。税理士法人は、個人の税理士事務所と比べて規模が大きく、より多くのクライアントや多様な業種の幅広い業務に対応することが可能です。税理士法人の特徴としては、専門分野ごとにチームが編成されていることが多く、税務相談、決算業務、財務コンサルティング、相続税対策など、クライアントのニーズに応じた高度なサービスを提供しています。
税理士法人で働くメリットの一つは、スキルアップの機会が豊富であることです。多様な案件に触れることで、税務の知識や実務経験を広げることができ、専門性を高めることができます。その一方で、税理士法人での仕事には高い専門性が求められるため、その分、自己研鑽が欠かせません。新しい税法や規制に対応するために、常に最新の情報をキャッチアップし続ける必要があります。税理士法人での勤務は、多様な業務経験と安定した職場環境を求める税理士にとって非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
一般企業
税理士の資格を持つ人が一般企業で働くことには多くのメリットがあります。一般企業は通常、税務だけでなく、財務や経理、経営企画など多岐にわたる業務を担当することが求められます。これにより、税理士としての専門知識を活かしつつ、広範なビジネススキルを身につけることができます。
また、一般企業で働くことで、安定した給与と福利厚生を得られる点が大きな魅力です。特に大企業では、税理士としての専門知識を活用して、経営戦略やコスト削減策の提案など、経営に直接関与する機会が増えます。
さらに、一般企業では、税務に関連する業務だけでなく、他の部署との連携も多くあります。このような環境では、コミュニケーション能力やスケジュール調整力が重要となり、これらのスキルを磨くことができます。
加えて、税理士事務所や税理士法人では、確定申告の時期や決算期に集中して業務が増えることが一般的ですが、一般企業ではこれらの業務が分散しているため、年間を通じて安定した働き方が可能です。一般企業での経験は、将来的に独立開業を目指す際にも大いに役立ちます。企業内で得た広範な業務経験と人脈は、独立後の運営においても価値のあるものとなるでしょう。
金融機関
金融機関では税務に関する専門知識を活用して、法人や個人の顧客に対して税務関連のアドバイスを提供します。
具体的には、税務申告書の作成、税務調査対応、節税対策の立案などが主な業務内容となります。また、金融機関の内部での税務リスク管理やコンプライアンスの強化にも関与することが求められます。
さらに、金融機関では多くの場合、他の専門職と協働する機会が多く、例えば会計士や弁護士、ファイナンシャルプランナーなどと連携して複雑な案件をこなします。
これにより、幅広い専門知識とスキルを身につけることができるため、キャリアの幅が広がります。金融機関での勤務は、他の就職先と比較して比較的安定しており、待遇や福利厚生が充実していることが一般的です。例えば、健康保険や退職金制度、社員研修制度などが整っているため、長期的なキャリアプランを描きやすい環境があります。また、金融機関は大企業が多く、安定した収入や昇進の機会も期待できます。
一方で、金融機関での勤務には高い専門性と責任が求められるため、継続的な学習とスキルアップが必要です。特に、税法や金融商品に関する最新情報を常に把握し、実務に反映させることが必要になります。
独立開業
独立開業をしている税理士は、全体の70%を占めていると言われています。独立開業の最大の魅力は、自由度の高さと高収入の可能性です。自分自身の経営能力や努力次第で収入を大きく伸ばすことができるため、成功すれば非常に高い収入を得ることが可能です。
また、自分のペースで仕事を進められるため、ライフスタイルに合わせた働き方ができるのも大きなメリットです。例えば、子育て中の方であれば、柔軟な時間管理が可能となり、家庭との両立がしやすくなります。しかし、独立開業をするためには、専門知識やスキルだけでなく、顧客との信頼関係構築やマーケティング戦略、営業力も必要です。
さらに、独立開業にはリスクも伴います。初期投資や運転資金の確保が必要であり、経営初期の段階では収入が不安定になることもあります。そのため、事前にしっかりとしたビジネスプランを立て、リスク管理を徹底することが重要です。
女性税理士の働き方について
就職先だけでなく、働き方にも多くの種類があります。フルタイム勤務
フルタイム勤務は、税理士として働く一般的な働き方の一つです。 基本的には週5日、1日8時間程度の勤務を行い、クライアントの税務申告や会計業務、財務コンサルティングなどの業務を担当します。フルタイム勤務の最大の利点は、安定した収入と雇用保障が得られることです。特に、税理士事務所や税理士法人に所属する場合、社会保険や年金制度などの福利厚生も充実していることが多く、長期的なキャリアパスを築く上でまず視野にいれる働き方であると言えます。
一方で、フルタイム勤務にはデメリットも存在します。特に、税務申告の時期や決算期などの繁忙期には、長時間労働が避けられない場合があります。 このような状況では、ワークライフバランスが崩れやすく、ストレスが溜まりやすいことも考えられます。
そのため、自己管理能力やストレス耐性が求められる場面も少なくありません。さらに、フルタイム勤務は固定の勤務時間に縛られるため、家庭の事情や個人的な理由で柔軟な働き方を希望する場合には、難しい場合もあります。しかし、最近では多くの企業がフレックスタイム制度やリモートワークを導入し、働き方の多様性を認める動きが広がっています。そのため、就職する際に、自由な働き方ができるのか確認をすることが重要です。
パートタイム勤務
パートタイム勤務は、フルタイム勤務と比べて、決まった時間に働く必要がなく、家庭やプライベートの事情に合わせてスケジュールを調整できる点が大きな魅力です。例えば、小さなお子さんがいる女性や、介護が必要な家族がいる方にとって、パートタイム勤務は非常に魅力のある選択肢となります。
また、パートタイム勤務には多様な選択肢が存在します。 一部の税理士事務所や企業では、週に数日だけ勤務する形態や、1日の中で数時間だけ働く形態など、様々な勤務時間の設定が可能です。これにより、働く時間を自由に設定できるため、自分のライフスタイルに合った働き方を実現することができます。
しかし、フルタイム勤務とパートタイム勤務では給与額や待遇面でかなりの差があります。そのため、お金と時間のどちらを優先するのかをよく検討する必要があります。
在宅勤務
近年、税理士業界でもクラウド会計ソフトやオンラインコミュニケーションツールの普及により、在宅勤務が可能となりました。 在宅勤務のメリットとしてまず、通勤時間がないためその時間も有効に使えることが挙げられます。これにより、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなり、特に子育て中の女性や介護を必要とする家庭環境にいる人々にとって大きな魅力となります。
また、自宅というリラックスした環境で作業することで、集中力が向上し、効率的に業務を進めることができます。多くの税理士業務はパソコンとインターネットがあれば完結するため、物理的な場所にとらわれずに働けるのです。さらに、クライアントとの打ち合わせもリモートで行えるため、全国どこにいても対応が可能です。
ただし、在宅勤務には自己管理能力が求められます。オフィスにいるときのような上司や同僚の目がないため、自分でスケジュールを立て、計画的に業務を進める必要があります。また、家庭内の誘惑や雑音など、集中を妨げる要素も考慮しなければなりません。 仕事と生活の境界を明確にするために、専用の作業スペースを設けることが推奨されます。在宅勤務は、柔軟な働き方を実現しつつも高い自己管理能力が求められる働き方です。
自分自身が在宅でも集中して勤務を行えるのか確かめるために、最初から完全在宅の就職先を探すのではなく、まずは週1日から2日在宅勤務を行える事務所で働くことをおすすめします。
女性税理士の平均年収
厚生労働省が発表した「令和5年(2023年)賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、税理士の平均年収は約780万円と報告されています。 この数値は、性別や年齢で分かれていない数値です。では、男女で年収に差はあるのでしょうか? ここでは、男女別、年齢別、企業規模別に分けて深掘りしていきます。
【男女別】平均年収
「令和5年(2023年)賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、男性税理士の平均年収は890万円であるのに対して、女性税理士の平均年収は670万円となっています。この約220万円の差は、さまざまな要因によるものと考えられます。
まず、考えられる要因として、男女間でのキャリアパスの違いがあります。男性税理士は比較的早い段階から管理職やリーダーシップポジションに就く傾向があり、それが年収の上昇に寄与している可能性があります。
一方、女性税理士はライフステージに応じた働き方を選択することが多く、育児や介護などの家庭の事情によりフルタイム勤務が難しい場合もあります。このため、年収に差が生じることがあるのです。しかし、士業業界は基本的に実力主義の世界であり、女性であっても役職がついて年収1,000万円以上稼いでいる方もいらっしゃいます。
数字だけを見ると男女差別があるように感じますが、成果によって明確な評価が受けられる業界であるため、あまり気にする必要はないでしょう。
【年代別】女性税理士の平均年収
年代別の平均年収は以下のとおりです。
年代 | 女性税理士の平均年収 |
---|---|
20代 | 403万円 |
30代 | 669万円 |
40代 | 723.5万円 |
50代 | 821.5万円 |
60代 | 519.5万円 |
70代以上 | 326万円 |
これは、税理士としての経験が豊富になり、クライアントとの信頼関係が深まることで、より高い報酬を得ることができるためです。具体的には、30代や40代ではまだキャリア形成の途上にあり、クライアントの数や業務の幅が限られることが多いですが、50代に差し掛かるとその制約が少なくなります。
また、税理士法人や大手企業の経理部門、さらには独立開業するなど、様々なキャリアパスが考えられ、その選択肢が広がることで収入も増加します。一方で、60代に入ると年収がやや減少する傾向があります。これは、リタイアや業務量の減少、あるいは健康上の理由などによるものです。
ただし、長年の経験と信頼を活かして、コンサルタントやアドバイザーとして活動することで、依然として高い収入を維持することも可能です。 結論として、税理士の年収は、50代がピークであり、その後はやや減少するものの、依然として高い水準を維持します。これは、税理士としての経験やスキル、そして信頼関係が収入に直結するためです。したがって、長期的な視点でキャリアを築くことが、税理士として成功するための鍵となります。
税理士の年収事情については以下の記事でより詳しく解説しておりますので、気になる方は是非ご覧ください
税理士の平均年収はいくら?男女別や年齢別の平均年収を徹底解説!
まとめ
本記事では、税理士の仕事内容から女性がこの職業を選ぶメリット、そしてデメリットに至るまで幅広く取り上げました。手に職をつけられ、高収入を期待できるだけでなく、ライフステージに合わせた柔軟な働き方や育休・産休制度の利用ができるため、税理士は女性におすすめの職業であると言えます。
しかし、税理士を目指すには資格取得までに時間がかかり、繁忙期には拘束時間が長くなるといったデメリットも存在します。就職先としては、税理士事務所、税理士法人、一般企業、金融機関、さらには独立開業と多岐にわたり、それぞれに特徴と利点があります。働き方においても、フルタイム勤務、パートタイム勤務、在宅勤務など柔軟な選択肢が提供されているのが魅力です。
総じて、税理士という職業は専門知識を活かして多様な働き方ができる反面、資格取得や繁忙期の負担などを考慮する必要があります。
最後に、税理士を目指すかどうかを決定する際には、自分のライフスタイルやキャリア目標に合った働き方や就職先を慎重に選ぶことが重要です。税理士の資格を取得することは、大きな達成感と共に多くのキャリアチャンスをもたらしますが、それに伴う時間や労力についても理解しておく必要があります。 税理士を目指す女性にとって、この情報が役立つことを願っています。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長