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2025/01/15
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「確定申告のシーズンだけど、どのように価格設定をしたらいいのだろう」と悩む税理士の方も多いかもしれません。
今回の記事では、税理士が確定申告を行う際の相場や注意点を解説させていただきます。
税理士に確定申告を受託する費用の相場
個人事業主と会社員で異なる費用
まず、個人か、会社員かで確定申告の費用は異なります
。
個人事業主
◦費用相場:5万円~20万円程度
◦特徴:売上規模や経費計上の複雑さによって異なる。
・シンプルな帳簿の場合は5万円~10万円程度
。
・複雑な帳簿や青色申告で税務調整が多い場合は10万円~20万円
。
◦頻出業務:帳簿チェック、必要書類の作成、青色申告の控除計算など。
会社員(給与所得者)
◦費用相場:1万円~5万円程度
◦特徴:一般的に会社員の確定申告は複雑ではないため、費用が安くなる。
・住宅ローン控除や医療費控除のみの場合は1万円~2万円。
・副業収入がある場合でも3万円~5万円程度が多い。
項目 | 個人事業主の費用相場 | 会社員の費用相場 | 補足 |
---|---|---|---|
業態別の費用 | 5万円~20万円 | 1万円~5万円 | 個人事業主は帳簿の複雑さで変動。会社員は住宅ローン控除などで低価格。 |
売上規模による費用の違い
売上規模により費用の違いも生じます。
売上規模が小さい(年100万円~300万円)
◦費用:5万円~10万円程度
◦記帳業務が簡素であるため、費用が抑えられる。
売上規模が中規模(年300万円~1,000万円)
◦費用:10万円~15万円程度
◦経費の種類や帳簿作成の手間が増えるため費用が上がる。
売上規模が大規模(年1,000万円以上)
◦費用:15万円~30万円程度
◦消費税申告や複雑な仕訳が必要になる場合があり、高額になる。
売上規模 | 費用相場 | 補足 |
---|---|---|
年100万円~300万円 | 5万円~10万円 | 記帳が簡単で費用が抑えられる。 |
年300万円~1,000万円 | 10万円~15万円 | 経費計上が増え、手間がかかる。 |
年1,000万円以上 | 15万円~30万円 | 消費税申告や複雑な仕訳が必要になる。 |
依頼する業務範囲による影響
依頼する内容に応じても影響が出ます。
基本業務のみ(帳簿チェック+確定申告書作成)
◦費用:1万円~10万円程度
(会社員は低価格帯、個人事業主は高価格帯)
記帳代行+確定申告書作成
◦費用:10万円~20万円程度
◦記帳代行を依頼すると業務量が増えるため費用が上がる。
節税アドバイス込み
◦費用:15万円~30万円程度
◦節税策や控除の最適化を含めた対応の場合は費用が高くなる。
依頼する業務範囲 | 個人事業主の費用相場 | 会社員の費用相場 | 補足 |
---|---|---|---|
基本業務(帳簿チェック+申告書作成) | 5万円~10万円 | 1万円~3万円 | シンプルな申告書の作成が中心。 |
記帳代行+申告書作成 | 10万円~20万円 | - | 記帳代行を含む場合、費用が上昇。 |
節税アドバイス込み | 15万円~30万円 | - | 節税策や控除の最適化を含む場合、高額になる。 |
その他、以下の観点においても違いが生じます。
青色申告 vs 白色申告
◦青色申告の方が申請書類が複雑なため、費用が高くなる 傾向。
確定申告の締切間近
◦繁忙期の依頼(1月~3月)は費用が高くなる 可能性。
オンライン vs 対面
◦オンラインで依頼する場合は、費用が安くなる 場合が多い(3割程度)。
その他の要因 | 個人事業主の費用相場 | 会社員の費用相場 | 補足 |
---|---|---|---|
青色申告 vs 白色申告 | 青色申告の方が高額 | - | 書類の複雑さにより費用が異なる。 |
繁忙期(1月~3月)の依頼 | 通常より高額になる | 通常より高額になる | 確定申告の締切間近では費用が上がる傾向。 |
オンライン vs 対面 | 3割程度安くなる傾向 | 3割程度安くなる傾向 | オンライン対応は費用が抑えられる場合が多い。 |
確定申告を税理士に依頼するメリットとは
時間の節約と手間の軽減
まず、税務知識がない場合でも、書類作成や帳簿チェック、申告書の提出などを税理士が代行するため、自分で対応する時間と労力を大幅に削減
できます。
特に個人事業主の場合、日常業務に集中できる時間が増えるため、ビジネスの効率化につながります。
具体例
◦複雑な経費計上や帳簿付け、青色申告特有の控除計算を税理士が行うことで、ミスを防ぎつつ作業時間を節約。
◦申告書の電子提出(e-Tax)も税理士が代行するため、手続きの負担が軽減。
正確な申告と信頼性の向上
専門家による正確な計算と税法に基づく申告により、税務調査のリスクを減らし、信頼性が向上
します。
税法改正に対応した最新の知識で申告が行われるため、申告ミスやペナルティを防ぐことが可能です。
具体例
◦経費として認められる項目を適切に判断して申告書を作成し、過剰な税負担を避ける。
◦複雑な控除や特例(例:医療費控除、住宅ローン控除)の適用が漏れることを防ぐ。
節税対策のアドバイス
税理士による税負担を最小限に抑えるための節税策の提案
も、税理士に依頼をするメリットのうちの一つです。
青色申告の特典を最大限に活用したり、減価償却費や経費の計上を適切にアドバイスしてくれるため、長期的な節税効果が期待できます。
具体例
◦必要経費として計上できる支出の具体例を提示し、利益を圧縮することで所得税を軽減。
◦将来的な資金繰りや設備投資の計画を税務の観点からサポートし、税金面での最適な判断をアドバイス。
メリット | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
1. 時間の節約と手間の軽減 | 書類作成や申告業務を代行してもらい、業務負担を軽減。 | 帳簿付けやe-Tax申告を任せることで、日常業務に集中できる。 |
2. 正確な申告と信頼性の向上 | 専門知識に基づく申告でミスを防ぎ、税務調査のリスクを軽減。 | 控除や経費計上を正確に行い、過剰な税負担を防ぐ。 |
3. 節税対策のアドバイス | 税負担を最小限に抑える節税策を提案。 | 経費計上のアドバイスや将来を見据えた資金計画の税務支援。 |
税理士が依頼を受けた方が良いケース
売上が1,000万円を超える場合
年間売上が1,000万円を超える場合、消費税の申告義務が発生する可能性
があります(課税事業者に該当)。
消費税の計算は複雑で、適切な控除(仕入税額控除など)を適用するための知識が必要
です。
売上や経費の仕訳が増加し、帳簿管理や税務処理の負担が大きくなるため、専門家の助けが重要です。
具体例
・法人化した事業者が、初めて消費税の申告を行う場合。
・大規模な事業を運営しており、経費や収益の項目が多岐にわたる場合。
相続財産がある場合
相続税の申告は、相続財産の評価方法や相続人間での分割協議など、非常に複雑な手続き
が求められます。適切な控除(例:配偶者控除、小規模宅地等の特例)を利用することで、大幅な節税が可能です。過少申告や評価ミスによる税務署からの指摘を防ぐため、専門家の関与が不可欠です。
具体例
・不動産や株式など、多岐にわたる資産を相続する場合。
・複数の相続人がいる場合で、遺産分割協議が複雑になるケース。
所得や控除の種類が多い場合
不動産所得、副業収入、投資所得(株式・FX)など、複数の所得がある場合、税務申告が煩雑
になります。各種控除(医療費控除、寄附金控除、住宅ローン控除など)の適用条件を正確に判断する必要があります。税法改正の影響を受けやすいため、最新情報に基づく申告が重要
です。
具体例
・副業で収入があり、給与所得と事業所得の両方を申告する場合。
・投資や不動産収入が複数の国や地域で発生し、海外税務対応が必要な場合。
ケース | 理由 | 具体例 |
---|---|---|
1. 売上が1,000万円を超える場合 | 消費税の申告義務が発生し、計算や控除の適用が複雑。帳簿管理の負担が増加。 | 課税事業者の消費税申告や、大規模な経費管理が必要な事業者。 |
2. 相続財産がある場合 | 相続税の評価や控除、遺産分割の調整が必要で、ミスによるペナルティを防ぐため。 | 不動産や金融資産を相続した場合、複数の相続人で調整が必要な場合。 |
3. 所得や控除の種類が多い場合 | 所得が複数ある場合や、各種控除の条件を正確に判断する必要がある。 | 副業収入、投資所得、不動産収入があり、複雑な税務処理が求められるケース。 |
受託する際の注意点
必要な書類の準備状況の確認
申告に必要な書類が揃っていない場合、業務の進行が遅れるだけでなく、正確な申告が困難
になります。
不備がある場合は、早期に顧客へ修正や追加提出を依頼することが重要
です。
具体的な注意点
【個人事業主の場合】◦売上帳、経費帳、領収書、請求書、銀行口座の入出金明細。
◦青色申告の場合、仕訳帳や総勘定元帳。
【会社員の場合】
◦年末調整の源泉徴収票、医療費の領収書、寄附金控除に必要な証明書。
対応策
・書類リストを事前に顧客に提示し、確認済みリストを作成する。・必要に応じて、提出書類の期限を設ける。
受託するタイミングの重要性
確定申告のピーク期間(1月~3月)は税理士事務所が繁忙期となるため、スケジュール管理が重要
です。遅いタイミングでの受託は業務量の増加やミスのリスクを伴います。
具体的な注意点
早期契約の推奨◦申告期間の開始前(11月~12月)に受託し、余裕を持ったスケジュールを確保。
繁忙期の追加料金設定
◦繁忙期に対応する場合、追加料金を明確に提示しておくことで顧客とのトラブルを防ぐ。
業務範囲の事前明確化
◦受託する業務範囲(記帳代行、節税相談、申告書作成など)を明確にし、対応可能な案件に絞る。
契約内容の確認と合意
業務内容や費用、納期を明確にし、双方が合意しておくことでトラブルを防止
します。業務範囲外の対応に関しては、追加料金や別契約を設定する必要があります。
契約書作成
◦業務範囲、報酬額、支払期限、業務完了時期を明記。
◦顧客が準備する必要のある書類や、税理士が行う具体的な業務を詳細に記載。
キャンセルポリシーの設定
◦顧客が業務途中でキャンセルした場合の料金や条件を明記。
守秘義務の確認
◦顧客の個人情報や取引情報の取り扱いについて、守秘義務を契約書に明記。
注意点 | 具体的内容 | 対応策 |
---|---|---|
1. 必要な書類の準備状況 | 顧客が必要書類を準備していない場合、業務進行に支障が出る。 | 必要書類リストを事前に提示し、期限を設けて準備状況を確認する。 |
2. 受託するタイミング | 繁忙期(1月~3月)は業務量が増え、遅い受託はミスのリスクが高まる。 | 11月~12月の早期契約を推奨し、繁忙期の案件には追加料金を設定。 |
3. 契約内容の確認と合意 | 業務範囲や報酬、納期が曖昧だとトラブルの原因となる。 | 契約書に詳細を明記し、業務範囲外の対応は追加料金や別契約とする条件を設定。 |
税理士の確定申告費用相場-まとめ
この記事では、税理士が確定申告業務を受ける場合の費用相場や留意点について記載をしました。
確定申告を税理士に依頼する際の費用相場は、業態や業務範囲、売上規模によって異なります。個人事業主の場合は5万円~20万円、会社員は1万円~5万円程度が目安です。税理士に依頼するメリットは、時間の節約、正確な申告、そして節税アドバイスが得られる点です。受託する際は必要書類の準備状況、受託時期、契約内容の明確化が重要で、特に繁忙期には早期契約や追加料金設定が推奨されます。また、契約書で業務範囲や守秘義務を明確にし、トラブルを防ぐことが大切です。
この記事が確定申告報酬の決定を行う際の材料になれば幸いです。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長