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米国税理士(EA)の将来性とキャリアパスを考える

公開日:2025/04/06

最終更新日:2025/04/06

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「米国で税務の専門家になりたい!」そんなあなたに最適な資格が EA(Enrolled Agent)です。
IRS(米国内国歳入庁)が直接認定する国家資格であり、全米どこでも通用します。
学歴・実務経験不要! 誰でも受験可能で、最短3〜6か月で取得できる手軽さが魅力。
「USCPAとの違いは?」「本当に稼げるの?」 そんな疑問にも詳しく解説します。
税務代理ができる唯一の資格として、会計事務所・企業の税務部門・独立開業と幅広いキャリアを実現。
AI時代でも生き残る税務専門家になれる理由とは?EAの将来性もチェック!
オンラインでの税務コンサルやリモートワークも可能で、自由な働き方を手に入れられます。

本記事ではEAの魅力、取得方法、キャリアパスまで徹底解説! 最後まで読めば、あなたもEA取得に一歩踏み出せるはずです。

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米国税理士(EA)とは?

EA(Enrolled Agent, 直訳すると「登録代理人」)は、米国内国歳入庁(IRS)が認定する税務専門家の資格です
米国の税務に特化しており、個人・法人の税務申告、税務相談、IRSとの交渉(税務代理)を行うことができます。

IRSが直接認定する国家資格であり、州ごとの制限がない(全米で有効)。
税務専門資格であり、会計や監査は含まれない(税務に特化)。
受験資格に学歴や実務経験は不要で、誰でも試験を受けられる。

EAとUSCPAの違い

項目 EA(Enrolled Agent) USCPA(米国公認会計士)
管轄機関 IRS(米国内国歳入庁) 各州の会計委員会(State Board of Accountancy)
専門分野 税務(Taxation)特化 会計、監査、税務、経営管理など
業務範囲 個人・法人の税務申告


・税務代理(IRSとの交渉)
・税務コンサルティング | - 財務諸表の監査・保証業務
・税務申告(ただし税務代理は不可)

EA資格を取得するメリット

EA資格は、税務専門家としてのキャリアを築く上で多くのメリットがあります。

1.IRS公認の税務専門家になれる

 ◦IRSが認める税務代理人として、クライアントの税務申告や税務交渉を行える。
 ◦CPA(公認会計士)でも税務代理はできないため、税務専門家としての強みがある。

2.全米どこでも活動できる

 ◦CPAは州ごとのライセンスが必要だが、EAは全国共通資格であるため、どの州でも業務ができる。

3.税務に特化したキャリアを築ける

 ◦企業の税務担当者、会計事務所、独立開業など、税務の専門家としての道が開ける。
 ◦CPAよりも試験範囲が狭いため、短期間で取得しやすい。

4.受験資格の制限がなく、短期間で取得可能

 ◦学歴や実務経験が不要で、誰でも受験できる。
 ◦3科目のみで合格率も比較的高いため、最短3か月~6か月で取得可能。

5.継続教育が比較的少なく済む

 ◦3年ごとに72時間のCPE(継続教育)を受ければよい(CPAは通常年間40時間必要)。

米国税理士(EA)の資格取得方法

EA(Enrolled Agent)資格を取得するには、以下の3つのステップが必要です。

1.SEE(Special Enrollment Examination)の合格

 ◦IRSが認定するEA試験(SEE)に合格する。
 ◦試験は3科目あり、好きな順番で受験可能。
  1.Individuals(個人税)
  2.Business(法人税・事業税)
  3.Representation, Practices & Procedures(税務代理・IRS手続き)
 ◦コンピュータベースの試験で、各科目100問(全て選択問題)。
 ◦1科目ずつ合格でき、2年間の有効期限内に3科目すべて合格すればOK

2.IRSへの申請(Form 23の提出)

 ◦3科目合格後、IRSに「Form 23」(EA登録申請書)を提出し、申請料($140)を支払う。
 ◦背景調査(Background Check) が行われ、問題なければEA資格が発行される。

3.継続教育(CPE)の履行

 ◦EA資格を維持するため、**3年ごとに72時間のCPE(継続教育)**を受講。
 ◦CPEには、倫理教育(Ethics)6時間が必須

EAを目指すためのステップバイステップガイド

ステップ 1: EA試験の概要を理解する

・EAはIRS認定の税務専門資格。
3科目の試験を合格すればOK(順番は自由)

ステップ 2: 学習計画を立てる

1科目につき1~2か月の学習が目安(3科目で3~6か月)。
✅ 1日1~2時間、週5日勉強すれば合格可能。

おすすめスケジュール(3か月プラン)

週数 学習内容
1~4週目 Individuals(個人税)
5~8週目 Business(法人税)
9~12週目 Representation(税務代理・IRS手続)


ステップ 3: 試験対策講座を選ぶ

Gleim → 定番の人気教材
Surgent → AI分析で短期合格狙い
Fast Forward Academy → 初学者向け

ステップ 4: 試験を申し込む

1.Prometricの公式サイトで受験申請
 → Prometric EA試験申し込み
2.各科目の受験料(約$203.50/科目)を支払う。
3.試験センターを選び、受験日を予約

ステップ 5: SEE(EA試験)を受験

・3科目合格すると、IRSから通知が来る。

ステップ 6: IRSへ登録申請

1.Form 23をIRSに提出し、登録申請する。
2.申請料 $140 を支払う
3.背景調査(Background Check)を経て、EA資格が発行される。

米国税理士(EA)のキャリアパス

EA(Enrolled Agent)は米国税務に特化した資格であり、取得後のキャリアパスとして以下のような選択肢があります

1.税務・会計事務所での勤務
2.企業の税務部門
3.独立開業(税務コンサルタント)
4.USCPA(米国公認会計士)やCFP(ファイナンシャルプランナー)へのステップアップ
5.国際税務・海外ビジネス支援

① 税務・会計事務所(Accounting & Tax Firms)

業務内容

・個人・法人の税務申告(Form 1040, 1120, 1065 など)
・IRSへの税務代理(Audit、税務調査対応)
・税務コンサルティング(節税対策、税務プランニング)


キャリアパス

・税務アナリスト(Tax Analyst) → シニア税務アドバイザー(Senior Tax Advisor) → 税務マネージャー(Tax Manager) → パートナー(Partner)

想定年収

・初年度: $50,000~$70,000
・経験5年: $80,000~$120,000
・マネージャークラス: $120,000~$200,000

こんな人におすすめ

✅ 税務の専門家としてキャリアを積みたい
✅ 将来的に税務事務所の経営を目指したい



② 企業の税務部門(Corporate Tax Department)

業務内容

・企業の税務コンプライアンス(Tax Compliance)
・米国内の税務申告と管理(Corporate Tax Returns)
・移転価格・国際税務の対応
・税務リスクマネジメント


キャリアパス

・税務スペシャリスト(Tax Specialist) → 税務マネージャー(Tax Manager) → 税務ディレクター(Tax Director) → CFO(最高財務責任者)

想定年収

・初年度: $60,000~$80,000
・マネージャー: $100,000~$150,000
・税務ディレクター: $150,000~$250,000

こんな人におすすめ

✅ 企業の安定した環境で働きたい
✅ 税務と経理のスキルを両方活かしたい
✅ 米国法人の税務業務に携わりたい


③ 独立開業(税務コンサルタント / Tax Consultant)

業務内容

・個人・中小企業の税務アドバイザー
・IRS税務代理サービス
・フリーランス向けの税務サポート
・海外クライアント向けの米国税務支援


収益モデル

・個人顧客の税務申告: 1件あたり$200~$800
・企業税務顧問契約: 年間$3,000~$15,000
・税務調査対応: 1案件$2,000~$10,000

キャリアの自由度

✅ フルタイム・副業どちらでも可能
✅ オンラインでの税務コンサルが可能
✅ 海外在住でも米国税務サービスを提供できる


年収イメージ

・個人税務(100~200件/年): $50,000~$100,000
・法人税務・コンサル: $100,000~$300,000
・成功事例(高収益): $300,000以上


こんな人におすすめ

✅ 独立・フリーランスで働きたい
✅ リモートワークで収益を得たい
✅ 日本在住でも米国税務を扱いたい


④ USCPA(米国公認会計士)やCFP(ファイナンシャルプランナー)へのステップアップ

EA資格を活かし、さらにUSCPA(米国公認会計士)やCFP(ファイナンシャルプランナー)の資格を取得することで、キャリアの選択肢が広がります

USCPAとの組み合わせ

・会計 + 税務の専門家として活躍
・税務+監査でより幅広いサービス提供が可能
・Big4(PwC, Deloitte, EY, KPMG)などの会計事務所でのキャリアアップ


CFPとの組み合わせ

・資産運用 + 税務のアドバイスが可能
・高所得者層向けの財務・税務プランニング
・金融機関や投資関連の税務コンサルティング


米国税理士(EA)の将来性

EA資格の需要と市場動向

EA(Enrolled Agent)は、米国内国歳入庁(IRS)公認の税務専門資格であり、近年需要が拡大しています。特に以下の要因から、市場でのニーズは高まり続けています

(1) 米国の税制が年々複雑化

税法改正の頻度が増加しており、専門家のサポートが不可欠。
Tax Cuts and Jobs Act(TCJA) Inflation Reduction Act などの税法改正が相次いでおり、個人・法人の税務対応が複雑化。
・素人が適切な税務申告をするのが困難になり、EAやCPAのサポートが必須に。

(2) IRSによる税務監査の強化

IRSが監査体制を強化しており、税務代理ができるEAの役割が拡大
・近年、IRSが監査件数を増加させており、特に中小企業・富裕層への監査が厳しくなっている。
EAはIRSとの交渉ができる唯一の資格(弁護士・CPA以外ではEAのみ)。

(3) 米国のフリーランス・リモートワーカーの増加

個人事業主・ギグワーカー(Uber、Airbnbなど)の増加により、個人税務サポートのニーズが急増。
・フリーランス向けの税務コンサルティングや節税対策アドバイスが求められる。
クラウド会計ソフト(QuickBooks, Xeroなど)の普及により、オンライン税務サービスの需要が高まる。

(4) 国際税務の重要性が増している

越境EC(Amazon, Shopify, eBayなど)を利用する事業者の増加
非居住者向けの税務対応(Form 1040NR, ITIN申請など)の需要拡大
米国外在住の米国市民(海外駐在員)の税務対応が必須(FBAR, FATCAなど)。

米国税理士の今後の展望

EA資格の今後の展望として、以下のようなトレンドが予想されます。

(1) AI・自動化が進む中での税務専門家の需要増

税務ソフト(TurboTax、H&R Block)やAIの発展により単純な税務業務は自動化される。
・しかし、AIでは対応できない「税務戦略」「税務調査対応」「国際税務」の需要は増大。
AI+EAの組み合わせで、より高度な税務アドバイザリー業務が可能。

(2) リモートワーク・オンライン税務サービスの拡大

・EAは対面業務が不要で、オンラインで完結する税務コンサルティングが可能
・海外在住の米国人や、日本企業の米国進出サポートなどの仕事が増加。
Zoom・クラウド会計ソフトの活用で、どこでも仕事ができる環境が整う。

(3) 国際税務のニーズ拡大

グローバル企業の移転価格税制対応のニーズが拡大。
海外在住の米国市民の税務コンプライアンス対応(FATCA, FBAR)。
日本企業の米国市場進出に伴う税務アドバイザリーの需要が増加。

(4) EA+USCPAのハイブリッドキャリア

・EAは税務専門資格、USCPAは会計・監査の専門資格
USCPA+EAを取得すると、会計・税務の両方に強い専門家になれる。
Big4や外資系企業の税務部門でキャリアアップ可能

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まとめ

この記事では米国税理士について記載させていただきました。

この記事がお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

税理士 平川 文菜(ねこころ)

税理士|熊本出身|2018年京都大学卒業| 在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。