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会計コンサルタント業界のトレンドと今後の展望【最新情報】

公開日:2025/05/02

最終更新日:2025/05/02

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会計の知識を使って、もっと経営に深く関わる仕事がしたい。
そう考えたことがあるなら、「会計コンサルタント」というキャリアは見逃せません。
単なる帳簿の管理ではなく、企業の未来を“数字”からデザインする──それが彼らの役割です。
財務分析、M&A、IPO、そしてグリーン会計まで──幅広い領域で活躍する専門家たち。
テクノロジーの進化やサステナビリティへの関心が高まる中、その重要性はますます拡大しています。
「経営に強い会計人」として活躍したい人にとって、今こそチャンスです。
この記事では、会計コンサルタントの基本的な役割から最新トレンド、必要なスキルやキャリアパスまで、体系的に解説します。

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会計コンサルタントとは?その基本的な役割と重要性

● 定義

会計コンサルタントとは、企業の財務・会計に関する専門的なアドバイスを提供するプロフェッショナルです。単なる帳簿管理ではなく、企業の経営課題に対して「数値」をもとに戦略的な解決策を提示する役割を担います。

● 基本的な役割

1.財務分析・経営診断
 企業の財務諸表を分析し、経営課題やリスクの洗い出しを行う。

2.業務改善の提案
 会計業務の効率化(例:ERP導入やDX支援など)をサポートし、経理部門の生産性向上に寄与。

3.M&A・組織再編支援
 企業買収や統合時の財務デューデリジェンス、ポストM&A統合のアドバイザリーを実施。

4.IFRS導入・会計基準対応
 グローバル企業において、国際会計基準(IFRS)への移行や新会計基準対応を支援。

5.IPO支援
 上場準備企業に対し、内部統制構築や財務報告体制の整備を支援。

会計コンサルタントの仕事内容

主な業務領域 具体的な仕事内容例
財務アドバイザリー 財務DD、企業価値評価、M&A支援など
経営管理体制構築 管理会計の仕組み作り、KPI設計
会計基準対応支援 IFRS導入、日本基準→国際基準の移行
内部統制・監査対応 J-SOX対応、内部統制制度の構築
業務改革(BPR) 経理プロセスの見直し、自動化支援
テクノロジー導入支援 ERP(SAP・Oracle等)の導入コンサル
上場支援 IPO準備における体制構築・資料作成


業界内での位置づけと影響力

● 経営層の意思決定を左右する存在
 企業の財務戦略に直結する分析・提言を行うため、CEOやCFOと直接対話する機会も多く、意思決定プロセスに強く関与します。

● 会計士とコンサルタントの橋渡し
 公認会計士の監査的立場と、経営コンサルタントの戦略的視点の中間に位置し、実務的かつ現実的な改善案を提示できる点が特徴

● 多様な業界に対応可能
 製造業、金融業、小売業など、業種を問わず財務は不可欠なため、活躍フィールドは広い。特にDXやグローバル化が進む中、会計コンサルタントの需要は拡大傾向

会計コンサルタント業界の最新トレンド

会計コンサルタント業界は、近年のテクノロジーの進化や社会的要請の変化に伴い、大きな変革を遂げています。以下に、最新のトレンドとして「AIとテクノロジーの進化がもたらす変化」と「持続可能性とグリーン会計の台頭」について詳しく解説します。

AIとテクノロジーの進化がもたらす変化

業務の自動化と効率化

AI技術の進化により、会計コンサルタント業務の多くが自動化されています。例えば、記帳や仕訳処理などの定型業務はAIによって迅速かつ正確に行われるようになり、これによりコンサルタントは戦略的な業務に集中できるようになっています。

高度なデータ分析と意思決定支援

AIを活用した予測分析により、キャッシュフローのシミュレーションやM&Aプロセスの効率化が実現されています。これにより、企業の財務戦略の質が向上し、迅速な意思決定が可能となっています。

新たなビジネスモデルの創出

大手コンサルティングファームは、AIを活用した新しいサービスモデルを導入しています。例えば、デロイトやEYは、AIエージェントを活用したプラットフォームを開発し、業務の効率化と新たな価値提供を実現しています。

持続可能性とグリーン会計の台頭

サステナビリティ情報の保証業務の重要性

企業のサステナビリティ活動が注目される中、環境データの信頼性を確保するための第三者保証業務が拡大しています。これにより、会計コンサルタントは環境会計の知識を活用し、企業の持続可能な価値創造を支援しています。

脱炭素社会への対応支援

ビッグ4と呼ばれる大手会計系コンサルティングファームは、脱炭素社会の実現に向けたサービスを強化しています。例えば、KPMGジャパンは「サステナブルバリュー・ジャパン」という組織を立ち上げ、企業の脱炭素戦略を支援しています。

サステナビリティ経営の推進

企業は、社会課題の解決を通じて新たな市場を創出する「攻め」のサステナビリティ経営を求められています。コンサルタントは、企業がサステナビリティを経営戦略に組み込む支援を行い、持続可能なビジネスモデルの構築をサポートしています。

トレンド 内容 影響・対策
AIとテクノロジーの進化 AI-OCRによる記帳・仕訳の自動化、AIによる税務リスク診断、AIチャットボットによるクライアント対応の効率化が進展しています。 会計事務所は、これらの技術を積極的に導入し、業務効率化とサービス品質の向上を図る必要があります。
クラウドベースの金融ソリューションの需要増加 クラウド技術の普及により、リモートでのサービス提供が標準化し、企業はクラウドベースの会計システムを導入しています。 コンサルタントは、クラウド技術に精通し、クライアントのクラウド移行をサポートするスキルが求められます。
サステナビリティとESGへの対応強化 ESG(環境・社会・ガバナンス)関連の規制強化に伴い、企業はサステナビリティ情報の開示や戦略策定を求められています。 コンサルタントは、ESGに関する専門知識を深め、企業のサステナビリティ戦略の策定・実行を支援する役割が重要となります。
アウトソーシングサービスの需要拡大 財務・会計業務のアウトソーシングが増加し、専門的なコンサルティングサービスへの需要が高まっています。 コンサルティングファームは、専門性を高め、多様なニーズに応えるサービス提供が求められます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 企業はデジタル技術を活用した業務改革を進めており、会計分野でもDXが重要視されています。 コンサルタントは、DXに関する知識と経験を持ち、クライアントのデジタル化を支援する必要があります。


会計コンサルタントになるための資格とスキル

必要な資格と取得方法

会計コンサルタントとして必須の資格はありませんが、以下のような資格を保有していると、信頼性・専門性が高まり、キャリアの幅が広がります

資格名 内容・メリット 取得方法
公認会計士(CPA) 監査・会計の最高峰。大手コンサルファームでの採用が有利。 国家試験合格(短答式→論文式)、実務経験2年以上
税理士 税務・会計・法人経営支援で強みを発揮。中小企業支援に強い。 税理士試験(5科目)または会計士合格後登録
USCPA(米国公認会計士) 英語×会計でグローバル案件に強い。外資系や海外案件で有利。 米国州ごとに異なる。大学卒+4科目試験合格+実務要件
簿記検定(日商簿記2級・1級) 基礎力の証明。実務未経験者や若手の足がかりに。 各地の商工会議所で受験可。学習期間:2級で3ヶ月~
中小企業診断士 経営コンサル寄りのスキルを証明。財務・戦略のバランスが◎ 1次試験→2次試験→実務補習後に登録

※上記に加えて「TOEIC」「MBA」などが評価されるケースもあります(特にグローバル案件で)。

求められるスキルセット

会計知識だけでなく、クライアントとの折衝や業務改善に必要な多様なスキルが必要です。

スキル領域 具体例
会計・財務の専門知識 財務諸表分析、IFRS・日本基準の理解、管理会計、原価計算など
業務改善・IT知識 ERP(SAP、Oracle)導入、業務フロー改善、DX・RPAの知識
論理的思考力 数値に基づく仮説立案、ロジックツリー、MECEなどのフレームワーク
コミュニケーション能力 クライアントとのヒアリング、報告書作成、プレゼンテーション
プロジェクトマネジメント力 複数の関係者を調整しながらスケジュール・品質管理
英語力(※特にUSCPA保有者) グローバル案件や外資系企業向け提案において強みになる


会計コンサルタントのキャリアパスと転職市場

会計コンサルタントは、専門性の高い職種である一方、キャリアの多様性や将来性にも恵まれています。

キャリアのステップアップ方法

【典型的なキャリアパス】

① 若手スタッフ/アソシエイト(0~3年)
 ↓
② コンサルタント(3~5年)
 ↓
③ シニアコンサルタント/マネージャー(5~8年)
 ↓
④ シニアマネージャー/ディレクター(8~12年)
 ↓
⑤ パートナー/プリンシパル(10年~)

【キャリアの多様な分岐先】

分岐先 概要
事業会社の経理・財務部門 コンサルで培ったスキルを活かし、CFO候補として転職
スタートアップCFO 財務戦略・資金調達に強い人材として重宝される
監査法人/税理士法人へ回帰 コンサルの経験を武器に上位ポジションで再挑戦
独立・起業 中小企業向け会計コンサルやDX支援など
海外案件・外資系ファームへ USCPAや英語力があれば、グローバル案件でキャリア拡大


転職市場における需要と供給

【需要側の状況】

需要は高水準で安定:特に以下の領域でニーズが高まっています。
 ◦DX・業務改革系(経理DX、ERP導入支援など)
 ◦サステナビリティ/ESG会計支援(非財務情報の開示支援)
 ◦M&A・事業再編支援(財務DD、PMI支援など)
 ◦IPO支援(成長企業の資本市場進出支援)

BIG4系・独立系ファームが積極採用中:経験者だけでなくポテンシャル人材も歓迎の傾向あり。

【供給側の状況】

・会計士・税理士資格者の供給は限定的
 → 特に20~30代の実務経験者は売り手市場

未経験からの参入も可能(日商簿記2級+ロジカル思考力などでポテンシャル採用)
 → 会計士試験の勉強経験がある未登録者、金融機関出身者などがチャレンジする例も多数。

【年収の目安(東京圏・BIG4系)】

ポジション 年収レンジ
アソシエイト 450万〜700万円
コンサルタント 600万〜900万円
マネージャー 900万〜1,300万円
シニアマネージャー以上 1,300万円〜2,000万円超


成功する会計コンサルタントの特徴

成功する会計コンサルタントには、共通した素質や行動特性があります。また、実務現場では数々のチャレンジを乗り越え、クライアントと信頼関係を築いていく中で、具体的な成功事例も数多く生まれています。以下に詳しく解説します。

素質・能力 説明
論理的思考力 問題の構造を整理し、数字から仮説を立てて論理的に展開できる力。MECE・ロジックツリーなどのフレームワークを自然に使いこなせる。
対人スキル(共感力と説得力) 数字に強いだけでなく、「人に伝える」「相手の事情を汲む」能力が重要。経営者の懐に入れる力が鍵。
継続学習意欲 会計基準、テクノロジー、業界動向など、常に変化する分野で学び続ける姿勢。
自走力・主体性 言われたことだけをやるのではなく、「自分から課題を見つけて提案する」姿勢。
チームワークと協調性 プロジェクトはチーム戦。若手でも主体的に動きつつ、周囲を巻き込む力が必要。


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まとめ

この記事では会計コンサルタントについてまとめさせていただきました。

この記事が皆様のお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

税理士 平川 文菜(ねこころ)

税理士|熊本出身|2018年京都大学卒業| 在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。