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還付申告の準備と手続き【2025年最新版】

公開日:2025/02/27

最終更新日:2025/02/27

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「確定申告は納税するためのもの」と思っていませんか?

実は、納めすぎた税金を取り戻すための申告があるのをご存じでしょうか?

それが「還付申告」—払いすぎた税金を申請して返してもらう手続きです。

例えば、医療費控除ふるさと納税住宅ローン控除など、さまざまなケースで還付申告が可能です。

しかも、確定申告の時期を過ぎても5年間さかのぼって申請できるので、まだ間に合うかもしれません!

申告の方法はe-Tax(電子申告)や郵送・窓口提出など複数あり、自分に合ったやり方を選べます。

この記事では、還付申告の対象者・必要書類・申請方法をわかりやすく解説します。

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還付申告とは?

還付申告とは、納めすぎた税金を返してもらうための確定申告のことです。通常の確定申告は「税金を納める」目的ですが、還付申告は「税金を取り戻す」ために行います。

例えば、以下のような場合に還付申告が必要になります。

医療費控除(1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合)
ふるさと納税のワンストップ特例を利用しなかった場合
・住宅ローン控除の初年度
・年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合
・株式の譲渡損失を他の所得と損益通算する場合
・外国税額控除を適用する場合

確定申告と還付申告の違い

項目 確定申告 還付申告
目的 所得税の申告と納付 納めすぎた税金の還付
対象者 申告が必要な人(自営業者、給与所得2,000万円超の会社員、副業収入20万円超の人など) 納めすぎた税金を取り戻したい人
申告期間 通常2月16日~3月15日 翌年1月1日~5年間
税金の支払い・還付 追加で納税が発生することもある 還付金を受け取る


年末調整と還付申告の違い

項目 年末調整 還付申告
目的 会社員の税額を年末に調整する 個人で納めすぎた税金を申告して還付を受ける
手続きする人 会社(給与担当者が行う) 自分で税務署に申告
対象者 会社員・公務員(副業収入が少ない人) 年末調整を受けられなかった人や追加の控除を受けたい人
還付金の発生 年末調整で完了する場合が多い 年末調整で控除されなかった分を還付申告で取り戻す


還付申告の対象者は?

以下のような人が還付申告の対象になります。

医療費控除を受ける人
年間の医療費が一定額を超えた人(10万円または所得の5%を超える部分)

住宅ローン控除の初年度
住宅ローンを利用してマイホームを購入した人(2年目以降は年末調整で適用可)

ふるさと納税のワンストップ特例を使わなかった人
5自治体を超えた寄付やワンストップ特例を適用しなかった人

年の途中で退職し、再就職していない人
年末調整を受けずに所得税を払いすぎた場合

株や投資信託で損をした人
特定口座(源泉徴収あり)で損失が出た場合、損益通算で還付を受けられる場合がある

寄附金控除を受ける人
特定の団体への寄付を行った人(ふるさと納税を含む)

外国税額控除を受ける人
海外で源泉徴収された税金がある人(海外の配当収入など)

災害による雑損控除を受ける人
自然災害で被害を受けた場合に適用される控除を受ける場合

還付申告に必要な書類と取得方法

還付申告には、以下の書類が必要になります。取得方法も併せて紹介します。

① 確定申告書(還付申告用)

取得方法
 ◦国税庁の確定申告書等作成コーナーから作成・印刷
 ◦税務署で直接受け取る
 ◦コンビニのマルチコピー機(一部自治体対応)で印刷

② 源泉徴収票(会社員・パート・アルバイトの人)

取得方法
 ◦勤務先の経理・総務に依頼
 ◦退職済みの場合は元の勤務先に問い合わせ(紛失時は再発行可能)

③ 控除に関する証明書

控除を受ける場合は、以下の証明書が必要になります。

控除の種類 必要書類 取得方法
医療費控除 医療費の領収書 or 「医療費控除の明細書」 病院・薬局の領収書を保管 or 健康保険組合の「医療費通知書」
ふるさと納税(寄附金控除) 寄附金受領証明書 ふるさと納税先の自治体から発行
住宅ローン控除 住宅ローン年末残高証明書 金融機関(銀行・住宅ローン会社)から郵送
生命保険料控除 生命保険料控除証明書 保険会社から毎年10月~11月に送付
地震保険料控除 地震保険料控除証明書 保険会社から毎年送付
配偶者控除・扶養控除 家族の住民票(必要に応じて) 住民票は市区町村役場で取得
雑損控除(災害・盗難) 罹災証明書 役所・消防署から発行


④ マイナンバー関連書類

・マイナンバーカード(またはマイナンバー通知カード+本人確認書類)

⑤ 振込先の銀行口座情報

・還付金を受け取るために本人名義の銀行口座が必要。

国税庁から取得する書類

国税庁から取得できる代表的な書類は以下の通りです。

1. 納税証明書

過去の納税履歴を証明する書類で、還付申告には通常不要だが、税務調査やローン審査で必要になることがある。

2. 確定申告書(過去の控え)

確定申告の控えを紛失した場合、税務署で再発行可能(要本人確認)。

3. 源泉徴収票(税務署経由で確認)

会社が発行しない場合、税務署で相談できる。

4. 税務関係証明書

例えば「所得証明書」や「課税証明書」など。

納税証明書の取得方法

納税証明書は以下の方法で取得できます。

① 税務署で取得

必要なもの: 身分証明書、手数料(1通につき400円)
即日発行可(窓口対応)

② e-Tax(電子申告)で取得

オンライン申請後、郵送またはPDFダウンロード
・マイナンバーカードとICカードリーダー、またはマイナポータル連携が必要

③ コンビニ取得(対応自治体のみ)

マイナンバーカード対応のコンビニで取得可能
・自治体によって対応が異なるため要確認

還付申告の手続き方法は?

還付申告は以下の方法で手続きできます。

① e-Tax(電子申告)で申請

・マイナンバーカードを使用し、オンラインで完結
・申告後、最短2~3週間で還付される(紙提出より早い)。
確定申告書等作成コーナー(国税庁サイト)を利用。

② 税務署へ書類を郵送

確定申告書と必要書類を税務署へ郵送。
・還付まで約1~2ヶ月
かかる。

③ 税務署へ持参

・直接窓口に提出する方法。
・その場で確認してもらえるのでミスを防げるが、税務署が混雑する時期は待ち時間が発生する。

電子申告と用紙提出の違い

方法 e-Tax(電子申告) 用紙提出(郵送・窓口提出)
還付までの期間 2~3週間 1~2ヶ月
手続きの手間 オンラインで完結 書類の記入・郵送が必要
必要なもの マイナンバーカード、ICカードリーダー or マイナポータル連携 確定申告書、証明書類
受付時間 24時間対応 税務署の営業時間内
提出方法 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から送信 税務署へ郵送 or 窓口持参


おすすめ: 還付を早く受け取りたいならe-Tax(電子申告)!

国税庁のオンラインサービス利用方法

① 事前準備

 1.マイナンバーカードの準備
 2.ICカードリーダー(またはスマホのマイナポータル連携)
 3.e-Tax用の利用者識別番号(マイナンバーカードがあれば不要)

② 申請手順

 1.国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセス

 2.「作成開始」をクリックし、還付申告の種類を選択

 3.必要情報を入力
 ◦源泉徴収票の金額
 ◦控除証明書の情報
 ◦振込先の銀行口座

 4.電子署名(マイナンバーカード)を付与し送信

 5.送信完了後、受付結果(控え)を保存

還付申告書の提出先と提出方法

税務署への提出

還付申告書は、以下の方法で納税地(住民票の住所地)の管轄税務署に提出します。

提出方法 詳細
e-Tax(電子申告) - オンライン提出(国税庁「確定申告書等作成コーナー」から)
- 24時間受付(メンテナンス期間を除く)
- 還付が最も早い(約2~3週間)
郵送 - 確定申告書と必要書類を税務署へ送付
- 消印日が提出日として扱われる
- 還付まで約1~2ヶ月
税務署窓口へ直接持参 - 管轄の税務署の窓口へ提出
- 受付印をもらえる(控えが必要な場合は2部用意)
- 還付まで約1~2ヶ月


税理士に依頼する場合の注意点

メリット
書類作成を代行してもらえる(ミスを防げる)。
複雑な控除(不動産・株式・事業所得など)もスムーズに処理可能。
e-Taxで代理申告できる税理士も多い(還付が早い)。

注意点
1.報酬がかかる
 ◦還付額が少ない場合、手数料が高くつく可能性がある。
 ◦一般的な料金相場 → 1~5万円(申告内容の複雑さによる)。

2.税理士の選定
 ◦還付申告に強い税理士を選ぶこと(確定申告専門の事務所もある)。
 ◦事前に見積もりを確認する(無料相談を実施している税理士もあり)。

なお、確定申告時の税理士の選ぶ方については以下をご参照ください。



還付申告が受理されるまでの流れ

還付申告書の作成・提出
 ◦e-Taxなら即時受付、郵送・窓口提出なら1週間ほどで処理開始。

税務署での審査(内容確認)
 ◦医療費控除や住宅ローン控除などの書類をチェック
 ◦追加書類が必要な場合、税務署から連絡が来る。

還付金の計算と振込手続き
 ◦申告内容に問題がなければ還付手続き開始
 ◦税務署内での審査に約2~8週間かかる。

還付金の振り込み
 ◦登録した銀行口座に振り込まれる(還付金額が確定後、税務署から通知書が届く)

申告後の状況確認方法

e-Taxで提出した場合
1.e-Taxの「メッセージボックス」で進捗確認
 ◦e-Tax にログイン
 ◦「送信履歴」→「還付状況」をチェック
2.還付処理中の通知が届く
 ◦申告内容に不備がある場合、税務署から電子通知や電話で連絡がくる。

郵送・窓口提出の場合
税務署に問い合わせ
 ◦税務署に電話し、「還付申告の進捗確認」を依頼(申告時の控えが必要)。
 ◦申告後4週間以上経過しても通知がない場合、確認推奨。

還付金はいつ振り込まれる?

提出方法 還付までの期間(目安)
e-Tax(電子申告) 約2~3週間
税務署窓口・郵送 約1~2ヶ月


還付が遅れる原因
書類不備・記入ミス
・医療費控除・ふるさと納税などの証明書が足りない
・振込先口座の記載ミス

税務署の混雑
・2~3月は確定申告シーズンで処理が遅れる
・1月・4月以降なら比較的スムーズ

審査で問題が発生
・高額な医療費控除などで詳細な審査が必要な場合

早く還付金を受け取りたい場合 → e-Taxを利用し、1月中に申告するのがベスト!

還付申告は税理士に頼むべき?

還付申告は自分で行うことも可能ですが、税理士に依頼することで得られるメリットもあります。特に、還付額が大きくなる可能性がある人手続きをスムーズに進めたい人は、税理士のサポートを受けるのも一つの選択肢です。

税理士に頼むメリット

控除漏れを防ぎ、還付額を最大化できる
医療費控除・住宅ローン控除・寄附金控除など、適用可能な控除を漏れなくチェック。
・税理士の専門知識で、適切な節税対策を行える。

手続きがスムーズ&確実になる
・書類の記入ミスや添付書類の不足を防ぎ、スムーズに申告できる。
・申請が税務署でスムーズに通るため、還付金の受取が早くなる可能性も。

e-Taxでの申告を代行してもらえる
・電子申告(e-Tax)を利用することで、最短2~3週間で還付を受けられる。
ICカードリーダーやマイナンバー登録が不要になる(税理士が代理で対応)。

税務署からの問い合わせ対応を任せられる
税務署からの追加確認や質問に対し、税理士が対応してくれる。
・申告後に税務署とやりとりする手間が省ける。

過去の還付申告もスムーズに対応
還付申告は5年前まで遡って申請可能
・税理士なら、過去の控除漏れなどを発見し、過去の申告を適切に修正・申請できる。

税理士に頼むべき人

以下のような人は、税理士に頼むとメリットが大きいです。

還付額が大きくなる可能性がある人
医療費控除で高額な治療費を支払った(がん治療・不妊治療など)
住宅ローン控除の初年度で適用条件が複雑
ふるさと納税を多く利用している(ワンストップ特例を利用していない場合)
株式や投資信託で損益通算をする必要がある(複数口座を持っている)

申告が複雑で自分で計算するのが不安な人
年の途中で退職し、複数の勤務先がある(源泉徴収票が複数ある)
海外所得や外国税額控除がある
・災害による雑損控除など、特殊なケースがある


仕事が忙しくて手続きに時間をかけたくない人
確定申告の知識がない&手続きを簡単に済ませたい
・電子申告(e-Tax)を利用したいが、マイナンバーカードやICカードリーダーの準備が面倒


税務署からの問い合わせ対応を任せたい人
過去の申告内容に不安がある(ミスをしていないか確認したい)
税務署と直接やりとりしたくない(税理士が代行してくれる)

確定申告の相場については以下の記事をご参照ください。

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まとめ

今回は還付申告について説明させていただきました。

この記事が少しでもお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

平川 文菜(ねこころ)

熊本出身。2018年京都大学卒業。在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。