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公開日:2025/10/03
最終更新日:2025/10/03

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「税理士はどのくらい稼げるのか?」「独立したら売上はどの程度見込めるのか?」
こうした疑問は、これから税理士を目指す人や独立開業を考えている税理士にとって大きな関心事です。
本記事では、税理士の平均売上の実態を規模別・働き方別に整理し、独立やキャリア設計の参考になるデータや傾向をわかりやすく解説します。
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規模別にみる税理士の平均売上
税理士の売上=顧問料+申告業務報酬+スポット案件
税理士事務所の売上は、主に以下の3つから構成されます。
1.顧問料(毎月の月次顧問契約)
2.決算・申告業務報酬(法人税・消費税・所得税の申告書作成)
3.スポット案件(相続税申告、融資支援、補助金申請、M&Aなど)
1. 個人税理士(ひとり事務所)
個人で独立して事務所を運営する税理士の平均年商は、2,000万~3,000万円程度とされています。もちろん状況によって幅があり、独立したてや副業的に活動している場合は1,000万円未満にとどまるケースもあります。この段階では、顧問先は数件から10件程度に限られるのが一般的です。
一方で、顧問先が20~40件前後にまで増えると、年商は1,000万~3,000万円に安定。さらに、相続や資金調達、補助金申請などのスポット案件を積極的に取り込む税理士は、3,000万円超の年商を実現することも珍しくありません。
個人事務所の場合、売上は「営業力」と「専門性」に大きく左右されます。特に相続案件は1件あたり100万~300万円の報酬となることが多く、数件受託するだけでも年商を大きく押し上げる要因となります。
2. 小規模税理士事務所(職員数1~10名未満)
小規模ながらスタッフを抱えて事務所を運営する場合、平均年商は5,000万~1億円程度に拡大します。
職員数が3~4名程度にとどまる場合は、年商は5,000万円以下に収まるケースが多く、代表税理士の営業力やネットワークへの依存度が高いのが実態です。スタッフが5~7名規模になると、法人顧問先を50~100社規模で安定的に確保でき、売上は5,000万~8,000万円に到達します。さらにスタッフを増員し、入力や申告作業を分業化・効率化できれば、年商は1億円前後に達することも可能です。
この規模の事務所は、属人的な経営から組織的な経営へと移行する「過渡期」にあります。クラウド会計やRPA、AIを活用した業務効率化、あるいは広告やWeb集客を積極的に取り入れることで、売上に大きな差が生まれるのも特徴です。
3. 中規模税理士法人(職員数30~50名規模)
中規模クラスになると、平均年商は3億~10億円前後まで拡大します。
職員数が30名規模であれば、地域密着型の安定した法人として年商3億円程度を確保できます。さらに大都市圏で積極的に成長している法人では、相続や事業承継、M&Aといった高付加価値案件を取り込み、5億円規模の売上に到達するケースも少なくありません。複数拠点を持ち、資金調達支援やIPO準備支援など幅広いサービスを提供できる法人では、年商10億円規模に達することもあります。
この規模になると、案件獲得は代表税理士個人の営業力ではなく、組織としてのブランド力が中心になります。「総合経営支援サービス」を掲げ、税務顧問にとどまらずコンサルティング領域まで踏み込む事務所が増えているのも特徴です。
4. 大手税理士法人(職員数100名以上)
職員数が100名以上となる大手税理士法人では、平均年商は数十億円~100億円超に達します。
地域の大手クラスであれば、上場企業や医療法人などの大口顧客を抱え、20~30億円規模の年商を誇ります。全国展開している法人では、相続やM&Aに加え、組織再編や国際税務といった高難度分野を得意とし、50億円規模まで拡大します。そしてBig4系の税理士法人などグローバル案件を多数抱える法人では、100億円超の売上を上げる例も見られます。
このクラスになると、税理士法人はもはや「士業の事務所」という枠を超え、総合プロフェッショナルファームに近い存在です。税務顧問だけでなく、コンサルティングや人事労務、法務分野の提携まで領域を広げ、幅広いニーズに対応しています。
表にまとめると以下の通りです。
規模 | 職員数 | 平均年商 | 特徴 |
---|---|---|---|
個人事務所 | 1名 | 2,000万~3,000万円 | 営業力・専門性で大きな差。相続・スポット案件がカギ。 |
小規模事務所 | 1~10名未満 | 5,000万~1億円 | 分業体制を整えつつ、顧問先100社規模に拡大。 |
中規模法人 | 30~50名 | 3億~10億円前後 | 組織的に運営。相続・M&A・IPO支援も手掛ける。 |
大手法人 | 100名以上 | 数十億~100億円超 | Big4や地域大手。国際税務・組織再編など高付加価値案件。 |
働き方別にみる税理士の収入差
1. 独立開業税理士
独立して事務所を構える税理士の平均年収は800万~1,200万円前後といわれています。これはあくまで「平均値」であり、実際には300万円台から3,000万円超まで幅があります。
売上規模は、ほぼ顧問先の数と単価に依存します。例えば、月額3万円の顧問契約を30件持つだけで年商1,080万円となり、ここから人件費や事務所経費を差し引いた金額が税理士本人の収入となります。
成功している独立税理士は、単なる顧問業務に留まらず、相続税申告(1件100万~300万円)や資金調達・補助金申請(成功報酬型で数十万円~数百万円)、さらにスタートアップ支援(資金繰り・株式発行・M&A前後の税務アドバイス)といった専門特化分野で高単価案件を獲得しています。
2. 税理士法人勤務(職員)
税理士法人に勤務する場合、平均年収は500万~800万円程度が一般的です。
勤務税理士は、売上は法人全体のものになるため、個人としての収入は給与ベースになります。初任給は一般企業の経理職とさほど変わらず300万~400万円台スタートですが、経験を積むことで課長・マネージャークラスで600万~800万円前後、さらに法人の幹部やパートナーに昇進すると1,000万円以上に到達するケースもあります。
特に大手税理士法人やBig4系では、外資系企業や上場企業の案件を担当できる分、給与水準も高め。30代で年収800万円を超える人も少なくありません。ただしその分、業務量や労働時間は膨大で、繁忙期には深夜・休日対応も珍しくないという実態もあります。
3. フリーランス型税理士(副業・業務委託)
最近増えているのが、フリーランス型で活動する税理士です。
クラウド会計ソフトやオンライン業務の普及により、在宅で全国のクライアントを担当する働き方が可能になりました。
平均年収は300万~600万円程度で、独立開業と比べると控えめですが、子育てや他ビジネスとの両立を重視する人に選ばれる傾向があります。案件は主に「記帳代行」「確定申告」「単発の税務相談」が中心で、プラットフォーム経由(ココナラ・クラウドワークス・税務相談マッチングサービスなど)で受注するケースが多いです。
ただし、フリーランス型は案件の安定確保が課題で、継続顧問契約がなければ収入が不安定になりがちです。安定的に収入を得るためには、
・特定分野での専門性(例:不動産投資家向け、海外取引のある個人向けなど)
・SNSやブログでの情報発信による集客
・他士業やコンサルタントとのネットワーク連携
が不可欠となります。
税理士の売上を伸ばすためのポイント
1. 顧問契約の単価アップ
従来型の「月額顧問料+決算料」の料金体系だけでは、単価を大きく引き上げるのは難しいのが現状です。そこで重要になるのが、付加サービスの追加です。
たとえば、
・クラウド会計導入サポート
freeeやマネーフォワードクラウドを導入・設定し、経理担当者に運用方法を指導するサービスは、1社あたり数万円〜十数万円の追加報酬を得やすい。
・経営コンサルティング(資金繰り・補助金申請)
資金繰り改善のアドバイスや補助金の申請支援は、顧問先にとって直接的なメリットが大きいため、月額顧問料に+1万~3万円の上乗せが可能。補助金支援では、成功報酬型(採択額の5~15%)を採用することで、1件数十万円以上の収入になるケースもある。
このように、「税務顧問+経営支援」というスタイルに変えることで、顧問契約の単価を自然に引き上げることができます。
2. 高付加価値業務へのシフト
税理士の収入を飛躍的に伸ばす最大のカギは、高単価のスポット案件を取り込めるかどうかにあります。
・相続税申告
1件あたり100万~300万円の報酬が見込める。複数件を担当するだけで、年商に数百万~数千万円の上乗せが可能。特に都市部では需要が安定的に存在。
・M&A支援
売却企業の規模に応じて、数百万円~数千万円の報酬になる。近年は中小企業の事業承継ニーズ増加により、税理士にとって大きな成長領域。
・国際税務
移転価格税制や海外子会社の税務対応など、専門性が高い分、通常顧問料の数倍単価を設定可能。外資系企業やグローバル展開する顧客を抱えれば、安定的かつ高収益が期待できる。
このように、高付加価値領域に進出するかどうかで、年商が数千万単位で変わることもあります。
3. DX・自動化の活用
売上を伸ばすには「新しい案件を増やす」だけでなく、「効率を高める」ことも欠かせません。
・クラウド会計ソフトの導入
入力作業の自動化により、従来の作業時間を数分の一に短縮可能。これにより、同じ人員で2倍以上の顧客を担当できるようになる。
・AI活用
仕訳提案や請求書データの自動読み取り、申告書のチェックなどをAIで効率化すれば、人件費を抑えつつ売上を維持・拡大できる。
・浮いた時間の再投資
単純作業を減らした分の時間を、営業活動や高付加価値業務(経営コンサル・相続・M&Aなど)に振り分けることで、「粗利率の高い売上」を増やせる。
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税理士の平均売上はいくら? -まとめ
税理士の売り上げについては、
・個人事務所:年商1,000万~3,000万円
・小規模法人:3,000万~8,000万円
・中規模法人:1億円超
・大手法人:数十億円~100億円超
と、働き方次第で、売上も収入も大きく変動します。
特にこれからは、「単純作業」から「付加価値業務」へシフトできるかが、売上拡大のカギになります。
この記事がお役に立てば幸いです。

税理士 平川 文菜(ねこころ)