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顧問税理士とは?業務内容・費用・必要性をわかりやすく解説

公開日:2025/10/17

最終更新日:2025/10/17

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企業経営において欠かせない存在が「顧問税理士」です。日々の会計処理から決算・税務申告、さらには経営相談まで幅広くサポートする専門家として、多くの中小企業・個人事業主が顧問契約を結んでいます。
本記事では、顧問税理士の役割・費用相場・必要性を、初めて検討する方にも分かりやすく解説します。

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顧問税理士とは?

顧問税理士とは、企業や個人事業主と継続的な契約を結び、日常的な会計・税務・経営相談をサポートする税理士のことです。
「毎月の会計チェック」「決算・申告の代理」「税務調査への対応」などを包括的に担うため、経営の“数字面”を支えるパートナーと言えます。

顧問税理士の主な業務内容

顧問税理士の役割は大きく 「会計・記帳指導」「税務申告・手続き」「経営サポート」 に分けられます。
単なる帳簿付けや申告代行にとどまらず、経営者の意思決定を支える数字やアドバイスを提供する点が大きな特徴です。

会計・記帳指導

まず、顧問税理士の基本業務となるのが「会計・記帳指導」です。
領収書・請求書・通帳をもとにした仕訳内容を確認し、誤りがあれば修正を行います。これにより、常に正確な会計データを維持でき、金融機関からの信頼性も高まります。

さらに、freeeやマネーフォワードといったクラウド会計ソフトの導入や操作方法の指導にも対応。経理作業を効率化し、リアルタイムでの数字把握を可能にします。
加えて、毎月の損益や資金繰りを分かりやすく示した試算表・月次レポートを作成することで、経営者は数字を根拠とした迅速な意思決定ができるようになります。

税務申告・手続き

次に重要となるのが「税務申告・手続き」です。
法人税・所得税・消費税といった各種申告書を正確に作成・提出し、申告漏れや加算税などのリスクを回避します。

また、税務署や自治体からの照会や書類提出、さらには交渉といった官公庁対応を税理士が代行してくれるため、経営者が煩雑な手続きを自ら行う必要がありません。
さらに、万一の税務調査では税理士が立ち会い、調査官とのやり取りを支援。不安を軽減し、不利な追徴課税を防ぐ役割を果たしてくれます。

経営サポート

顧問税理士は、単なる会計・税務処理の専門家にとどまらず、経営を支える「伴走者」としても機能します。
たとえば資金繰りの改善アドバイスでは、キャッシュフロー計画を立案し、資金ショートを未然に防ぐことで黒字倒産のリスクを回避し、安定した経営を実現します。

さらに、日本政策金融公庫や民間金融機関への融資申請、各種補助金申請のサポートを行うことで、資金調達の成功率を高め、成長のための投資に資金を充てられる環境を整えます
加えて、役員報酬の最適化や控除・特例の活用など、節税スキームを提案。過不足のない納税を実現し、利益を最大限手元に残せる点も大きなメリットです。

区分 主な業務 詳細内容 経営者へのメリット
会計・記帳指導 仕訳チェック 領収書・請求書・通帳をもとにした仕訳内容を確認し、誤りを修正 正しい会計データを維持し、金融機関からの信頼を確保できる
クラウド会計導入支援 freee・マネーフォワード等のクラウド会計ソフト導入、操作指導 経理作業の効率化・リアルタイムでの数字把握が可能
試算表・月次レポート作成 毎月の損益や資金繰りを分かりやすく可視化 数字を基にした迅速な経営判断が可能になる
税務申告・手続き 税務申告書の作成・提出 法人税・所得税・消費税など各種税務申告書を正確に作成・提出 申告漏れや罰則リスクを回避し、適正納税を実現
官公庁対応代行 税務署や自治体からの照会、書類提出、交渉を代行 経営者が煩雑な手続きを行う必要がなくなる
税務調査立ち合い 税務調査に同席し、調査官とのやり取りを支援 不安を軽減し、不利な追徴課税を防ぐ
経営サポート 資金繰り改善アドバイス キャッシュフロー計画の立案、資金ショート防止の提案 黒字倒産リスクを防ぎ、安定した経営を維持できる
補助金・融資サポート 日本政策金融公庫や金融機関への融資申請、補助金申請支援 資金調達の成功率を高め、成長投資に資金を充てられる
節税スキーム提案 役員報酬の最適化、各種控除・特例の活用 過不足のない納税を実現し、利益を最大限手元に残せる

顧問税理士の費用相場

顧問料は事業規模や依頼内容によって大きく変動しますが、一般的な相場は以下の通りです。

事業規模 月額顧問料 決算料 特徴
個人事業主(小規模) 1~3万円 5~10万円 記帳代行や青色申告サポートが中心
小規模法人(年商1億円未満) 2~5万円 10~20万円 月次試算表や資金繰り相談も含む
中規模法人(年商数億円規模) 5~10万円 20~50万円 経営コンサル・資金調達支援を加えることも多い
大規模法人 応相談 応相談 国際税務・M&Aなど高付加価値業務が中心

※上記はあくまで目安。記帳代行の有無、訪問頻度、特殊業務の依頼によって費用は変動します。

顧問税理士が必要な理由

1. 本業に集中できる

経営者にとって最も重要なのは、売上を伸ばし事業を拡大することです。
しかし、日々の仕訳や領収書整理、申告書作成などの会計・税務業務は非常に煩雑で時間を取られます。
顧問税理士に任せることで、経営者は 「経理に追われる毎日」から解放され、自分の得意分野である営業・商品開発・顧客対応に集中できる ようになります。
特に少人数で経営している中小企業にとっては、人的リソースを本業に振り向けられる点が大きなメリットです。

2. 法令遵守とリスク回避

日本の税法は毎年改正され、複雑さを増しています。知らないうちに違反してしまうリスクも珍しくありません。
顧問税理士がいれば、最新の法令を踏まえて申告書を作成し、 「申告漏れ・過少申告加算税・延滞税」などの余計な負担を避けることが可能 です。
また、税務署からのお尋ねや調査にも適切に対応できるため、安心して経営に取り組めます。
特に成長段階の企業や新規事業立ち上げ時は、税法対応のミスが命取りになるため、プロのサポートが不可欠です。

3. 資金繰り・経営判断の強化

経営において「お金の流れ」をコントロールできるかどうかは、存続を左右します。
顧問税理士は月次試算表やキャッシュフロー表を提供し、 「黒字なのに資金ショート」といった事態を未然に防止 します。
さらに、数字の分析から「どの事業が利益を生んでいるのか」「経費削減の余地はどこにあるか」といった洞察も得られるため、経営判断が格段に精緻になります。
融資申請や補助金活用においても、数字の裏付けを持って交渉できるため、資金調達の成功率が上がります。

4. 税務調査の安心感

税務調査は、企業にとって精神的にも時間的にも大きな負担となります。
顧問税理士が立ち会えば、調査官とのやり取りを代理し、 「不必要な追徴課税を防ぐ」「経営者が過度なストレスを抱えない」 ことが可能です。
特に税務調査では、専門的な知識がないと不利な回答をしてしまうリスクがありますが、税理士が盾となってくれるため安心です。
➡ 顧問契約をしていないと、調査直前に慌てて税理士を探すことになり、不利な状況で交渉せざるを得ないケースも多いため、日頃からの顧問契約は「保険」としても有効です。

顧問税理士を選ぶポイント

顧問税理士はどこに依頼しても同じ、というわけではありません。
税理士によって得意分野・対応スタイル・料金体系は大きく異なります。
だからこそ「自社に合った専門家」を選ぶことが、経営の安心感や満足度に直結します。

以下の4つの観点を重視すると失敗しにくくなります。

1. 業種に強いかどうか

税務の基礎知識は共通ですが、業種によって会計処理や税務リスクは異なります。
 ・飲食業:売上管理・原価率・アルバイトの労務対応など、日常の管理が重要
 ・IT業:ソフトウェア開発費の資産計上、クラウドサービスの売上計上ルールなど専門性が必要
 ・建設業:工事進行基準や長期契約の収益計上がポイント
その業種に精通した税理士を選ぶことで、 無駄のない経理・税務処理と、業界特有のアドバイス を受けられます。

2. クラウド会計やDXに対応しているか

現代の経理業務はクラウド会計ソフトや自動化ツールの活用が当たり前になりつつあります。
 ・freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計に対応 しているか
 ・チャット・オンライン会議ツールを活用 できるか
 ・ペーパーレスでの書類共有 に対応しているか
こうした対応力がある税理士なら、経理の手間を大幅に削減でき、リアルタイムで数字を把握する体制を構築できます。

3. コミュニケーションの取りやすさ

数字に関する相談はタイムリーであることが重要です。
 ・メールやチャットのレスポンスが早いか
 ・専門用語ではなく、分かりやすい言葉で説明してくれるか
 ・定期的な面談やオンライン相談に対応しているか
「相談しやすさ」=「信頼関係の築きやすさ」 に直結します。特に創業期や資金繰りに悩む時期には、スピーディーな対応が心強いサポートになります。

4. 料金体系の明確さ

顧問料や決算料は事務所ごとに差があります。
 ・月額顧問料に含まれるサービス内容が明確か
 ・記帳代行や年末調整など、追加料金の発生条件がはっきりしているか
 ・「相談は無料」「一定回数まで訪問込み」などのルールが分かりやすいか
料金体系が不明確だと、契約後に「思ったより高かった」とトラブルにつながります。
契約前に必ず見積もりやサービス範囲を確認しましょう。

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顧問税理士とは? まとめ

顧問税理士は、日常の会計・税務だけでなく、経営の相談相手としても大きな存在です。
「経理に時間を取られすぎている」「数字をもっと経営に活かしたい」と感じている経営者ほど、顧問契約のメリットは大きいでしょう。

税務の正確性と安心感を確保しつつ、経営の伴走者となる顧問税理士をぜひ検討してみてください。

この記事がお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

税理士 平川 文菜(ねこころ)

税理士|熊本出身|2018年京都大学卒業| 在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。