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税理士が独立開業を本気で成功させるためにするべきこと

2024/11/20

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独立開業を本気で成功させたい税理士の方だけご覧ください!

成功に必要なマインドと重要なやるべきことをお伝えします。

多くの税理士が目指すキャリアプランとして、独立開業があります。 独立開業した税理士は成功者というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、起業後の道程は、想像していた楽しいものとは異なり、厳しい経験となることも多く、独立を後悔する税理士もいます。
本記事は、税理士として独立開業を成功させるための、必要なマインドセットと具体的な準備行動について記載しています。あなたが税理士事務所を開業し、成功を本気で望んでいるのならば是非参考にしてください

税理士が独立開業前に考えるべきこと

税理士が独立開業前に考えるべき本当に大切なことは、必要な準備書類を考えることでも、必要な準備資金を数えることでも、事業計画数値を考えることでもありません。税理士として独立する前にまず考えるべきことは「なぜ独立したいのか」という目的意識を明確にすることです。

独立を決断する背景には「収入アップ」や「自由な働き方」という憧れがあるかもしれませんが、独立には責任やリスクも伴います。こうした現実的な面を理解した上で、独立に向けた覚悟を持つことが求められます。

独立後は組織に属していた環境から、経営者という孤独な環境に身を置くことになります。開業の目的が明確になっていると、困難な状況に直面した時や経営者としての孤独感を感じた際にあなたのモチベーション維持や前進力の源になります。

独立の目的を明確にするために考えるべき代表的なポイントを以下に挙げます。

長期的なビジョンを持つ

独立の目的を確実に果たすにはまず、事務所の長期的なビジョンを明確にすることが不可欠です。どのような顧客層にどんな税務サービスを提供していきたいかを考え、短期的な利益だけでなく、持続可能な経営を目指すための指針を持つことが重要です。明確なビジョンがあれば、日々の業務で迷わず判断でき、ブレのない事務所運営が可能となります。

ビジョンを考える時にはあなたが新しく税理士事務所を開業することで、顧問先や、地域社会、働く人がどのような理由で喜んでくれるのかを考えてみてください。それがあなたのやりがいにもなりますし、その想いが伝われば、年齢に関係なく従業員、顧問先、身内の方が協力したいと思えるようになることでしょう。

自分の強み・弱みを理解する

自身の強みと弱みを深く理解し、独立後の差別化ポイントを明確にすることが大切です。 自身の強みと弱みはビジョン達成のための方針、必要資金、準備するべき事項に変化をもたらします。

独立すれば顧客対応や営業、事務管理といった幅広い業務を一人でこなす必要があり、営業力やマーケティング力など専門スキル以外の能力も問われます。「相続税に強い」「法人税務に精通している」といった自分の得意分野を見つけ、それを補強・発揮できるよう準備を整えることが、独立を実現するために必要です。

自己の強みを理解する上で、気をつけるべきことは、顧客や組織の利益にならないものであれば、事業上の強みにはなりません。顧客が益する強みなのであれば、まだ見ぬ顧客に強く訴求し、圧倒的にその強みを伸ばしていくことをお勧めします。

一方、あなたの弱みが、成果を得る上で大きな影響を及ぼすものでなければ、他人に任せるか、思い切って捨てることが得策です。 重要なことは、事業を成功させる上での強みと弱みを把握することにあります。

強みと弱みを考えることは、自分自身を客観的に振り返る良い機会になります。事業上、影響を及ぼす弱みは、どのように補完するか、どのように強化していくかを計画立てて考えて実行していきましょう。

目指す事務所規模を明確にする

独立後の事務所の運営において、どの程度の顧客を抱えたいのか、またはどのような業務形態で運営していくのかを明確にしておくことで、目指す事務所規模の目標を立てることができます。 事務所をどれくらいの規模にしていきたいかを考慮することで、必要な資金を正確に試算し、計画的な準備を進めることが可能になります。

例えば、個人事務所として少人数で運営するのか、将来的にはスタッフを増やしてチームでの業務を行うのか、これによって必要な資金や初期投資が変わってきます。

さらに、開業にかかる事務所開設費用や運転資金、また顧客基盤が安定するまでの資金を計算する際に、事務所の規模を意識しておくことが、経営の安定性に寄与します。事務所の成長に向けた資金準備ができていれば、目標に向かってスムーズに進むことができるでしょう。資金計画を立てる際には、事務所の規模を見据えた具体的なビジョンが必要です。

税理士が独立開業前に立てるべき目標数値と戦略立案

目的とビジョンを明確にした後は、達成の戦略と方法を探っていきます。 すぐに答えが出る人は、相当な経験値と知識量に富み、発想が湧き出る人しかいませんので安心してください。先ずは思いついたことを携帯などにメモしていきましょう。

あなたの顧客である経営者の方に、創業時からの経緯や、ビジネスを成功させてきた考え方や方法を聞くことも一助になります。本を手当たり次第、読むことでも構いません。知識が不足しているとアイデアが浮かびにくいのです。知識を増やしながら、毎日考え続けていくと思いつくようになります。痛み苦しむからこそ、個人事業主の方や経営者の気持ちや痛み、そして、ありがたみがわかるようになります。

方針がある程度、形成されてきたら、第3者の視点になり違和感や矛盾に気づいた点を改修しながら、一貫性を強くし、具体的な方法まで詰めていきます。

3年後の目標数値と事業数値計画をつくる

既に顧問先に経営支援をされていた税理士の方であれば、3年間の数値計画を作成することは簡単かもしれません。

重要なことは、なぜその数値計画なのかを話せるように毎月の売上と利益に根拠をもたせることです。中小企業程の組織であれば、計画を立てる際は売上金額から考えるのではなく、利益から考えていきます。月、年間でどのくらいの利益を出したいのかを明確にします。自分が得たい利益、年収そして、返済費用、内部留保したい資金を考えます。必ずしも、右肩あがりにする必要はありません。事業が伸長する過程で投資機会がありますので、その際は踊り場をもうけます。その数値に対して、次は、単価から顧客数を割り出していきます。そうすると必要な継続顧客数と新規獲得顧客数の値が見えてきます。

集客計画と人員増加計画をつくる

税理士事務所の独立開業の成功のためにやるべきことは何よりも集客です。リスクを少しでも減らすためにも、理想の状態は事務所の開業時に既に顧問先があることです。顧問先がないイコール、収益がないということなので自己資金もしくは融資金を毎月減少させていくことになります。

独立は一生で何度もある体験ではありません。人によっては、キャリアの集大成になるでしょうし、自由になるための一生に一度の機会になるでしょう。集客や営業が苦手だからと言っている場合ではありません。事業計画に合わせてだした半年間の毎月の必要新規受諾数に対して、新規顧客となり得る企業や個人事業主の方の見込み数は、どの程度必要になるかを考えます。

人員増加計画とは事業の成長計画にあわせて、いつ、どのような能力値をもった人材が必要なのかを考慮して、どのようにして人員を増やすかを計画することです。リスクや費用を抑えるために、家族経営も方法の一つではありますが、将来的に組織を成長することを望むのであれば得策ではありません。はたまた雇用したいときに、科目合格者や、キャリア経験者を雇用できるほど人材採用は甘くはありません。採用の勉強も事前にインプットしておくことで、漠然とした不安は低減していきます。

税理士が独立前に身に着けるべきスキルとマインドセット

税理士として独立する際に求められるのは、税務スキルだけでなく、経営者としてのスキルやマインドセットです。独立後、成功するためには以下の能力を備えておくとよいでしょう。

マーケティング力と営業力

独立直後の税理士にとって最大の課題は、顧客獲得です。自分のサービスをどう知ってもらい、興味を持ってもらうかが成否を分けます。SNSやホームページの活用、専門セミナーや異業種交流会での人脈作りなど、様々なチャネルを活用して営業活動を行うスキルが求められます。顧客と直接会話し、ニーズを把握した上で提案する営業力は事務所の成長に不可欠です。

時間管理能力と自己管理能力

独立後は、スケジュール管理が重要です。業務は多岐にわたるため、効率的に業務を進める自己管理ができないと仕事の質が落ちるリスクがあります。納期の厳しい税務業務では、作業の優先順位をつけ、効率的なスケジュール管理を行う力が必要です。加えて、体調管理やメンタルケアも自己管理の一環として意識しましょう。

リーダーシップと柔軟性

顧客の多様なニーズに対応し、事務所の方向性をリードするリーダーシップが不可欠です。また、顧客の急な要望やトラブルにも柔軟に対応することで、信頼関係を築くことができます。特に、柔軟な思考でトラブルに対応する力は顧客の満足度向上に直結します。

ポジティブで前向きなマインドセット

独立には常にリスクがつきものですが、挑戦を恐れず成長を続けるマインドセットが成功の鍵です。逆境を前向きに捉え、次の成長機会とする姿勢があれば、困難を乗り越える力が身につきます。

税理士が独立開業前に知っておきたいリスクと対策

独立は魅力的ですが、計画なしに進めるとリスクも伴います。ここでは、代表的なリスクとその対策を見ていきましょう。

資金不足のリスク

開業後すぐに収益が安定しない可能性があります。特に初年度は顧客基盤を固めるまでの資金繰りが厳しいケースが多いです。事前に運転資金を確保し、必要であれば融資を検討するなど、キャッシュフローを安定させる手段を講じましょう。

顧客開拓の難しさ

競争が激しい税理士業界では、顧客を獲得するための努力が欠かせません。広告や紹介、ネットワーキングを通じて、新規顧客獲得の戦略を練り、開業前から実際にアプローチを始めるとスムーズです。

理想は開業当月から収益が上がる状態であり、生活費が充足される程の利益を出せるようにしておくことです。できる限り、開業リスクを低減するために事前準備を行いましょう。

顧客獲得のリスクを減らすための取り組みとして、まずは見込み顧客となる企業を紹介してくれる銀行や経営者とのつながりを持つように営業をかけてください。既につながりが強ければ、更に関係性を構築しておくとよいでしょう。

営業が苦手で、失敗をしたとしても悔いている暇はありません。あなたの楽しい独立開業ライフのために事前に失敗は重ねていきましょう。開業後に失敗をするより、事前に失敗を沢山したほうが良いのです。

次に広告ですが、HPを作成するだけでは集客が困難であることを理解してください。顧客は自らあなたの事務所を訪れてはくれません。WEB広告とSEOの知識を勉強するようにしてください。自身で広告をする必要はないですが、無知のままでは、支援してくれる取引先会社や、職員の方に指導ができずに放置になってしまいます。

開業当初は資金に限りがあるので何度も失敗することはできません。次項目以降は、開業前に準備するべきことを流れにそって記載しています。無理に流れに沿って準備しなくても構いません。しかし、開業後にするのか、開業前にするのかで、あなたのビジョンの達成スピードが変わるとともに、あなたの独立税理士としての年収も変わってくることは留意してください。

運営スキルの未熟さ

専門知識があっても、運営管理のスキルが不足しているとトラブルに直面することもあります。資金管理やスタッフ教育など、経営者としてのスキルも積極的に学ぶことで、安定的な運営が可能になります。

法律や業界動向への対応力

税制の改正や規制の変更が頻繁に行われるため、最新の情報をキャッチアップする姿勢が必要です。これを怠ると、顧客への提案や助言が不十分になるリスクもあります。業界のセミナーや勉強会に参加し、常に最新情報を把握する習慣を身につけましょう。

税理士の独立開業-まとめ

税理士資格を取得するためには相当な勉強時間が必要でした。それ以上に、税理士事務所を独立開業して成功させるための経営の勉強時間は必要です。自分の生活費用分を稼ぐだけであれば、困難とまでは言いませんが、事業と組織を毎年成長させていくのであれば、経験のない努力が必要になります。
しかし、経営知識をインプットして、行動に移し、内省と改善を繰りかえしていくことで、必ずあなたの理想に近づくことができます。新しい目指すべき将来も描けます。

この記事を参考に、新しい船出を楽しんで頂ければと思います。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。