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思わずうなずく!会計事務所あるある

2024/09/11

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会計事務所は一般企業とは少し異なる特殊な職場ですから、働いている人にしか分からない、通じない常識やあるあるネタの宝庫です。
今回はそんな会計事務所あるあるをまとめました。
あなたが働く会計事務所では、いくつ当てはまりますか?

会計事務所の仕事あるある

会計事務所全体のあるあるネタをまとめました。
思わずウンウンとうなずいてしまうものがあるかもしれません。

休日にもクライアントから連絡

求人票にも事務所のサイトにも「○曜日は休日」と記載されているけれど、実際に働いてみると休日でも構わずクライアントからの連絡を受け、急ぎであれば休日返上で業務にあたります。定期的に連絡されることが多いので、そろそろかと身構えて満足に休めないことも。
会計事務所のクライアントはその大半が中小企業。平日の日中は本業に勤しんでおられるので、税理士との面談や財務諸表の確認等を休日に回すクライアントも少なくありません。

そのため、休日にクライアントから連絡を受けることは珍しくないのです。
ただし現在では働き方改革等が進んでおり、休日出勤が禁止、仕事用のスマホやPCを自宅に持ち帰らせない事務所も増えてきました。
あと10年もすれば「あるある」ではなくなるかもしれません。

繁忙期は残業確定

年末調整等の12月〜1月頃、確定申告直前の3月上旬、法人決算が集中する5月頃は会計事務所の繁忙期です。
普段はのんびりしている事務所でも、繁忙期は大忙し。確定で残業が発生します。 どの仕事も締め切りが決まっていますので、遅れることは許されません。

大量の仕事を締め切りに間に合うように、そしてミスしないよう細心の注意を払いながら短期間で仕上げるため、目は血走って口数も少なくなります。閑散期の1.5〜2倍程度の残業が発生し、仕事が片付いた後は魂が口から抜け出るかと錯覚するくらいドッと疲れます。

しかし繁忙期を過ぎればご褒美が待っています。ボーナスです。6月と12月の年2回のボーナスは繁忙期を切り抜けたご褒美です。確定申告後にボーナスを支給する事務所の場合は年3回。ボーナスというご褒美のために、全国の税理士は繁忙期も頑張っています。

「決算書作成だけ」が仕事

法人税の月次決算と年次決算が仕事の99%を占めており「税理士でなくてもできるのでは?」という不満もあるでしょう。
何年もかけて勉強し、難関である税理士試験に合格したにもかかわらず、扱う仕事が法人決算に限定されてしまい、税理士としてこれでいいのか?と思いながらも現状を打破できずに仕事を続けている、という状態です。

地域密着型の小規模会計事務所では、地域の中小企業の法人税決算を主な業務としていることも少なくありません。法人税決算は税務知識のない個人が行うには難しく、かつ税理士の独占業務であるため、多くの会計事務所では業務の中心に据えています。

安定的に報酬を得るための手段として当然と言えば当然なのですが、税理士としてはもっと高度で幅広い仕事に携わりたくなるものです。

同じことの繰り返しで飽きてくる

「今月は○○商事の決算、来月は△△食品の決算、再来月は確定申告の書類を提出してもらうよう促して…」
このように、税理士の仕事は1年単位でほぼ確定しています。

また毎月の業務も、会計スタッフが作成した財務諸表のチェックとクライアントとの面談が中心で、突発的な仕事はほとんど入ってきません。たまに新規クライアントを受け入れて新たな業務が発生する程度です。

数年も在籍すれば繁忙期にも慣れて、ルーチンワークのように感じる人もいるようです。税理士としての知識や経験が頭打ちになり、仕事自体に飽きてしまいます。
税理士に限らず、仕事とは同じような作業を繰り返しながら専門性を高めてプロとして活躍するものです。

しかしもはや成長の余地もないと感じるようなら、今よりも高度な案件を扱う会計事務所に転職する時期なのかもしれません。

高度で難解な仕事を取ってくると怒られる

小規模な会計事務所は所長の意向が強く反映され、所長の一声で全てが決まります。
そのため所長の考えに反するならば、たとえ新しい案件を取ってこれたとしても、評価されないケースもあるようです。

たとえば個人で事業を営む新規クライアントの資産税、既存クライアントから未来会計の依頼、国際税務の計算等。
小規模が故に手が回らなくなるという理由もあるのでしょうが、仕事を取ってきても叱られるなら、積極的に営業しようとは思えなくなります。
結果として、現在事務所で実施している業務以外には受けず、新規クライアントも増えないことになり、クライアント数が減ってしまいます。

あと1科目に合格できない

税理士試験合格まであと1科目なのに合格できず悶々としている人も多いものです。
税理士になれるまであと一歩のところまで来ているのになかなか合格できず、悔しい思いをしています。

時には税理士を羨ましく感じたり、僻んでしまったりすることも。税理士と比較して1人で落ち込む日も増えていくものです。
勉強疲れを自覚できているならば、まず1日ゆっくり休んでみましょう。リフレッシュすれば、勉強も仕事もはかどるかもしれませんよ。

会計事務所の人間関係あるある

人間関係にもあるあるは存在します。
会計事務所だからこそ起こるあるあるを集めました。

ワンマン所長に振り回される

数人規模の小さな税理士事務所では、所長の意向が絶対です。
そのため所長に振り回されることも。
よくあるのが朝令暮改で「あれやっといて」からの「やっぱりこっちに変更」です。
税理士やスタッフの言葉に耳を傾けてくれる所長もいますが、そうでない所長ですと大変です。所長の手足のごとく動き回らなければなりません。

時には所長が休暇や接待等でいない間に所長代理を任されることもあるでしょう。
引継ぎをしてくれるなら問題ありませんが、丸投げされるとアタフタするほかなく、万が一トラブルが発生した場合は所長に連絡するためだけの連絡係になることも。
所長との相性が良ければ難なく乗り越えられるでしょう。しかし相性が良くなければ地獄のような日々になってしまいます。

資料提供が遅いクライアントのために残業

資料提供が早いクライアントと遅いクライアントは大抵決まっており、特定のクライアントのために残業するというケースも稀ではありません。

資料提供の早いクライアントから先に仕上げ、遅いクライアントからの資料提供が届いたらすぐに取り掛かれるように準備するのが毎年の風物詩になっている事務所もあるようです。
締め切りは動かせませんので、クライアントの資料を待つためだけに残業することもしばしば。そしてクライアント企業の担当者が変更になることで見違えるほど資料提供が早くなることも会計事務所あるあるです。

女性が多い

会計事務所全体で見ると、女性の方が圧倒的に大人数です。
税理士自体は男性が多いのですが、内勤の会計スタッフはほとんどが女性。パートであったり正社員であったりは事務所によりますが、女性が多数を占めます。

会計スタッフの主な仕事は記帳代行や電話の取次等。細かな数字を正確に入力したり、柔和な物腰で会話をしたりするのは女性の方が得意なのかもしれません。
大きめの事務所では、税理士数人に対して会計スタッフ数十人というところもあるようです。
「税理士は男性の仕事。だから税理士事務所は男性の職場」と考えている人がいれば現実に驚くことでしょう。

そして会計スタッフをないがしろにすると痛い目を見ることになります。クライアントだけでなく、社内の人間関係も大切にしたいところです。

所長が高齢で閉鎖の不安

現在の日本では、後継者がおらず悩んでいる高齢の経営者が増加していると言われています。会計事務所も例に漏れず、所長が高齢なのに後継者がおらず、事務所を閉鎖しないかハラハラしている税理士もいるようです。

日本税理士連合会「データで見る税理士のリアル。」によると、20代の税理士が0.6%に対して、60代以降の税理士が53.8%でした。税理士自体の年齢層が高齢なのです。
定年関係なく一生涯使える資格ですので生涯現役で働き続けられますが、高齢ですと突然倒れた時に事務所をどうするのか心配になります。

厚生労働省の令和4年簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.05年、女性は87.09年です。80歳を過ぎてなお後継者を指名しないならば、その事務所は一代きりで畳むつもりなのかもしれません。
引用:日本税理士会連合会_データでみる税理士のリアル。
引用:厚生労働省_令和4年簡易生命表

会計事務所の転職あるある

求人表の記載内容や転職直後のあるあるをまとめました。
一般企業から転職する人には驚きの連続かもしれません。

教育制度がない

小規模であるほど教育制度が設定されていません。前任者からの引継ぎで全ての教育が終了し、税理士業務にあたることになります。そのため新卒や職歴の浅い人は受け入れられず、少なくとも3年以上の税理士実務経験が求められる傾向にあるようです。
仮に税理士になって1年程度の実務経験で転職する場合、小規模な会計事務所では敬遠されるかもしれません。

一方で、大規模でなくとも教育制度をしっかり整えている事務所も存在します。このような事務所は拡大予定であり、経験が浅くてもじっくり教育するつもりで求人を出しています。
税理士経験の浅い人は、教育制度が徹底している事務所がおすすめです。

評価制度・昇給制度がない

小さな事務所では、昇給も昇格も所長の考え1つで決まってしまいます。
たとえば保険商品の販売実績があっても所長の機嫌を損ねると昇給しない、特別なことは何もしていないけれど所長に気に入られて昇給する、といった具合です。
所長の機嫌で昇給昇格が決定するので、実績よりも所長に気に入られるかどうかが重要になってしまいます。

その根元は、評価制度が存在しないことです。そのため昇給も昇格もしない事務所もあるようです。
会計事務所の規模が大きいほどしっかりした評価制度が定められています。

給与や福利厚生に大きな差がある

給与や福利厚生は、会計事務所によって差が激しいものです。
そのため同じ税理士でも、所属している事務所によって報酬額や待遇が大きく異なります。
「隣の事務所の税理士は自分より多めにもらっているらしい」という噂を耳に挟むと、自分は適正な報酬をもらっているのかと疑問がよぎる瞬間もあるでしょう。

このような理由で転職活動を開始する人は少なくありません。
なお待遇が良いからといって激務とは限りませんので、求人情報は仕事内容や休日等までしっかりと読み込んでください。

会計事務所を辞めたくなった時は

これまであるあるネタをまとめましたが、ブラックな会計事務所のネタが大半でした。 「もうこんな事務所辞めてやる!」と思った時は、いったん冷静になって何をすべきか考えてみましょう。

なぜ会計事務所を目指したのか思い出す

会計事務所に入職した理由を思い出してみましょう。
税理士として経営者の味方になりたい、地域経済の活性化に貢献したい、専門的な業務に携わりたい等、様々な理由があったはずです。

どのような理由であれ、前向きな理由で税理士になり、会計事務所を目指したのではないでしょうか。その初心を思い出してください。
そして、その初心はいま所属している会計事務所でなければ実現できないことでしょうか。それとも別の事務所や独立開業しても叶うことでしょうか。

会計事務所は1つだけではありません。無数に存在する会計事務所の中から、あなたに合った事務所を選択すべきなのです。

自分の市場価値を把握する

税理士資格だけでなく、これまでの実務経験等も含めたあなたの市場価値を把握しましょう。
やり方は簡単です。まず資格や学歴等を書き出します。次に社会人になってからの実務経験を洗い出します。その情報を元に、求人情報を読み込みます。

もしも現在より良い待遇の求人が出されていたら、実際の市場価値より低い待遇を受けていると判断できます。
反対に、求人情報よりも良い待遇を受けているのならば、その事務所はあなたを高く評価していると考えられます。

転職先を探す

どうしても今の会計事務所が合わないならば、転職先を探しましょう。
税理士ならば会計事務所や税理士法人だけでなく、一般企業の経理部等にも転職できます。 幅広い選択肢の中から、あなたと相性の良い職場を選んでください。
じっくりと時間をかけて、複数の企業を比較検討するのがポイントです。

まとめ

会計事務所で働いている税理士ならば「あるある」とうなずくものが1つや2つはあったのではないでしょうか。
特にブラックな会計事務所では、一般企業ではありえないような常識がまかり通っているものです。

今回のあるあるネタを通して「今の事務所はブラックだなあ」と感じたならば、早めの転職をご検討ください。ホワイトな会計事務所は増えてきつつあります。
まずは求人情報を覗いてみましょう。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。