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税理士は儲かる?年収データから見る税理士の実情とは。儲かる方法も解説

2024/11/08

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「税理士を目指しているけど、本当に稼げる資格なの?」 「資格取得まで数年以上かかるけど、儲からないってホント?」 税理士は稼げないとする主張も散見されますが、実際のところ、税理士は儲かります。

今回は、厚生労働省等の調査結果を元に、実際のデータから税理士の年収を解説し、なぜ儲かるのか、さらに儲ける方法までお伝えいたします。

税理士は儲かります!

結論から申しますと、税理士は儲かります。 何の資格も持っていない人が高収入を目的として税理士を目指すことは、間違いではありません。 実際の年収や儲かる理由を確認しましょう。

全業種の平均年収と税理士

国税庁による令和4年分民間給与実態統計調査によると、給与所得者の平均給与は458万円でした。 なお男性の平均給与は563万円で、女性の平均給与は314万円とのことです。 正社員かどうかという軸で見ると、正社員の平均給与は523万円、正社員以外の平均年収は201万円でした。

一方、厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、令和5年度における税理士の平均年収は746.7万円でした。この数値は令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成されたものです。つまり信頼性の高い数値であることが分かります。

項目 平均年収
全業種の平均年収
(令和4年分民間給与実態統計調査より)
458万円
税理士の平均年収
(職業情報提供サイトjobtagより)
746.7万円
この結果から、税理士の平均年収は全業種の平均年収の1.5倍以上であり、高収入であることが示されました。 なお全業種の男性の平均給与よりも、正社員の平均給与よりも、200万円程度高額です。

税理士が儲かる理由とは

税理士は全業種の中でも儲かる職業であることが示されました。 では、なぜ税理士は儲かるのでしょうか。 その理由は「強力な独占業務」と「税理士試験の難易度」にあると思われます。

税理士には、税務の代理、税務書類の作成、税務相談という3つの独占業務が定められています。これらの独占業務は企業にとって欠かせないものなのです。 たとえば年1回以上、税務署への提出が必要な法人の決算書を作成するにあたって、税理士の手を借りずに社内で行う企業はほんの一握りです。決算書作成は企業存続のために必要な作業であり、かつ独占業務が定められているため税理士に依頼するか、自社でまかなうかしかありません。

このような理由から、税理士には定期的に仕事が依頼される、つまり安定した報酬が約束されているのです。 次に、税理士試験の難易度も高収入につながっています。

税理士になるには、税理士試験に合格するか、弁護士資格や公認会計士資格を取得するか、国税庁等で一定以上勤務するかが求められます。多くの場合は税理士試験合格を目指すのですが、税理士試験は3大難関資格に数えられるほどの高難易度であり、誰もが合格できるものではありません。そのため税理士の人数はさほど多くはなく、依頼が集中するため給与も高くなるのです。

税理士の儲かる分野

税理士と言えども、儲かる分野と儲けにくい分野は存在します。 儲かる分野を把握し、どのような分野で活躍するかを厳選してください。

月次監査

月次監査とは、顧問先の企業を訪問して、記帳内容をチェックしたり、税務処理が適切かを確認する業務です。 記帳代行から依頼を受ける場合は、月次監査に変わり月次決算を行い、経営者に報告することになります。 経営者と面談するタイミングで税理士から税務上の相談に応じることも少なくありません。

月次監査は毎月行うものですので、安定的な報酬を獲得できます。 また毎月の決算を確認できるため、税務コンサルティングや補助金申請等の提案が可能です。そしてこのような付随業務は、報酬アップに直結します。

月次監査を実施している税理士事務所は非常に多く、ほとんどすべてと言っても過言ではありません。月次監査を実施するのは、安定した報酬と追加案件が取りやすくなるためなのです。

決算業務

決算業務とは、一般的に法人決算においての、法人税や消費税、事業税等の申告決算業務を指します。

決算業務は、月次監査と並んで多くの税理士事務所が担っている業務です。 前述のとおり、決算業務には法人税だけでなく消費税や事業税等の計算も含まれるため、決算業務だけを受けたとしてもまとまった報酬額になります。

また決算に対する報酬は企業の資本金や売上高に比例するケースが多く、大規模な企業であるほど高くなることが一般的です。 決算業務は税理士の独占業務ですので、他業種は参入できません。そのうえ需要は確実に継続するため、税理士が儲かる仕組みになっているのです。

相続

相続税や資産税の申告業務も儲かる分野です。 遺産が基礎控除額を下回る場合、相続税申告書の提出は基本的に不要です。

反対に言えば、基礎控除額を上回るような高額の遺産に対する申告業務が、税理士の業務の大半を占めることになります。 一般的に税理士の報酬は遺産額×数%と設定されているので、遺産総額が高額になるほど報酬は高くなります。 相続の発生頻度はそれほど多くないものの、一度の報酬額が高額になるため儲かる分野に違いありません。

税務コンサルティング

現在、最も儲かる可能性の高い分野です。 税務コンサルティングとは、税務に関するコンサルティングを提供することです。

通常の税務相談をさらに深掘りし、顧問先の経営指南まで行うものとお考えください。 通常の経営コンサルティングでは、経営全般に関するコンサルティングができても、税金や財務に着目したサポートまでは、なかなかできないものです。

その点、税務コンサルティングの場合、税務だけでなく経営にまで入り込んだ深いコンサルティングを提供することになります。 激務になることが多い反面、報酬額も高額で儲かる分野です。

補助金や助成金の申請サポート

小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金、特定求職者雇用開発助成金等の制度に申請するサポートを行う業務です。

成功報酬制であることが多く、補助や助成が決定した金額に対して数%程度が税理士事務所の報酬になります。

補助金等の申請は税理士だけでなく他士業でも受けられますが、経営者との結びつきが強いため、税理士に申請サポートを依頼する企業は少なくありません。 また成功報酬制なので企業側も依頼しやすく、税理士としても報酬に結びつけやすいのです。

儲かる税理士を目指すために

儲かる税理士となるためには、漠然と仕事に取り組むのではなく、儲かるように行動しなければなりません。 本項では、儲かる税理士になるための行動指針をいくつか紹介いたします。

大手税理士法人に転職する

令和5年賃金構造基本統計調査によると、企業規模別の税理士の平均年収は下記のようになりました。 賃金構造基本統計調査では、公認会計士と税理士の給与額が一括りにされていますが、給与に大差はないとされていることから、この数値を紹介いたします。

企業規模 平均年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)
1,000人以上 約922万円
100〜999人 約719万円
10〜99人 約706万円
企業規模合計 約747万円
※令和5年賃金構造基本統計調査第1表を加工

この結果から、企業規模が大きい方が高収入を得られるチャンスがあると分かります。 企業規模1,000人以上の大手税理士法人や、大手一般企業に転職し、収入を増やしましょう。

特化型税理士事務所に転職する

特化型税理士事務所もおすすめです。 相続特化型やコンサルティング特化型等、様々な特化型事務所が存在します。

特化型事務所はその分野に特化していることから作業効率が良く、しかもクライアントがさらにクライアントを呼んでくれるため仕事が途切れません。 特化型事務所でスキルを身につけながら、高収入を手に入れてください。

コミュニケーションスキルを身につける

コミュニケーションスキルを高めれば、どのような職場でも収入アップが狙えます。 たとえば担当クライアントへの付随業務の提案が通過すれば、あなたの報酬アップにつながるでしょう。

また所内での円滑なコミュニケーションに一役買うことで、昇給や昇格に結びつきやすくなります。 誰かと共に仕事をするのですから、コミュニケーションスキルはどこでも役立ちます。

ダブルライセンスを取得する

複数の資格を取得している状態をダブルライセンスと呼びます。 税理士と親和性の高い資格を取得することで、クライアントからの信頼感向上や業務の幅を広げるといった効果が期待できます。

たとえば、税理士と行政書士の資格を保有していると、スタートアップ企業に対して包括的なサポートが提供できます。 このように、ダブルライセンスは非常に強力です。ダブルライセンスを取得している人はそれほど多くないので、ある意味でブルーオーシャンです。興味のある資格にはどんどん挑戦してください。

副業を始める

税理士資格を生かした副業で、給与以外の収入を得る方法です。 税務系のYouTubeチャンネルを開設して広告収入を得る、書籍を執筆する、セミナーを開催する、ブログで収入を得る、インターネットを通じて税務相談を受ける等です。 ただし、現在税理士事務所等で働いている場合は、副業がOKかどうかを必ず確認してから開始してください。

独立開業する

独立開業も収入を増やせる可能性があります。 独立すれば、あなたの報酬額を決めるのはあなた自身です。ですから納得のいく報酬額を設定できます。

ただし、給与額を超える売上を出さなくてはなりません。 たとえば年収1,000万円を目指す場合、最低でも年商1,000万円が必要になります。 営業力が高い人や、チャレンジ精神旺盛の人、一度起業してみたい人等におすすめです。 税理士は専門性の高い職業なので、仮に独立開業に失敗しても再就職しやすいと言われています。 失敗しても取り返しがつきますので、怖気付かずに挑戦しましょう。

儲かる税理士事務所にするために

現在、税理士事務所等を運営している場合、より儲かる税理士事務所にするためにはどうすれば良いのでしょうか。 ここでは報酬アップにつながるヒントを紹介いたします。

客単価をアップさせる

最も取り組みやすいのが客単価のアップでしょう。 既存顧客に対して新たな業務を提案し、報酬額をアップさせます。

補助金申請等は一時のものではありますが提案しやすいので、まずはここから始めてはいかがでしょうか。

新規開拓に力を入れる

新規顧客の開拓に注力し、新しい顧問先獲得を目指します。 顧問税理士になれば定期的な収入が増えるため、税理士事務所の報酬アップには定期的な新規開拓が欠かせません。

営業力に不安があるならば、インターネットで広告を出す、営業代行を使う等を検討してみましょう。

特化型事務所に転向

多くの税理士事務所が、地域密着型で法人税決算等を中心としています。

しかし、この形態で売上が上がらないならば、近くにライバルとなる税理士事務所が多いのかもしれません。 思い切って特化型事務所に転向し、訴求する顧客を変えてみてはいかがでしょうか。 急な変更は難しいかもしれませんが、少しずつ特化部分を強調することで、ゆるやかな転向を目指します。

新規事業に手を広げる

税務業務だけでなく、他の分野に手を広げることで売上を上げる方法です。 たとえばダブルライセンスを生かして行政書士法人を立ち上げる、ITサポートを始める、まったく異なる業種で起業する、等。 新規事業立ち上げは失敗する恐れもありますが、成功すれば第2の収入の柱となってくれるでしょう。

スタッフの育成

スタッフの育成も売上向上に役立ちます。 スタッフは放っておくと自分で学び業務を進めますが、その方法や業務があなたの想定内とは限りません。 あなたがなってほしいスタッフの姿に導くためには、あなた自身が育成するのが最適です。

育成の結果あなたと同レベルの仕事ができるスタッフが生まれれば、売上は2倍に増えるでしょう。 スタッフの育成も売上アップのために大切なのです。

RPAの推進

RPAとは、パソコンで行う事務作業を自動化することです。 RPAを促進することで、入力業務等の単純作業と人件費を減らし、高度な業務に携わる時間を増やせます。

たとえばRPAにより事務作業を自動化した結果、時間の制約でできなかった税務コンサルティング業務を担えるようになったならば、売上アップは約束されたも同然です。

税理士は儲かる?-まとめ

税理士は儲かる職業です。全職業の平均給与よりも、200〜300万円程度高額であることがデータから読み取れます。 その理由は独占業務と試験の難関さです。

法律で独占業務が定められていることから、今後も仕事がなくなることはないでしょう。 安定した高収入を得たいならば、税理士は大変おすすめです。 ぜひ税理士試験に挑戦し、税理士としての新たな人生を切り開いてください。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。