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2024/12/23
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税理士試験を突破し実務経験を積んだ後、税理士として登録することではじめて税理士と名乗れます。
税理士の登録には「登録料」が必要です。つまりお金を払わなければなりません。
もし登録料があまりに高額ならば、税理士になる前から積み立てておくべきかもしれない、と考える人もいるでしょう。
そこで今回は、税理士の登録料について解説いたします。
登録料の他にかかる手数料等もまとめましたので、本記事を登録にかかる費用の準備にお使いください。
税理士の登録に必要な費用は最低17万円
税理士として登録するために必要となる費用は、20〜30万円程度です。
幅があるのは、地域によって税理士会の入会金や年会費が異なるためです。
税理士になるためには「税理士登録」「税理士会等入会」の両方をクリアする必要があります。
入会する税理士会等は税理士として活躍する地域で自動的に決まるため、安い税理士会を選択することは基本的にできません。
税理士登録に必要な費用 11万円〜
税理士に登録するためには、国に対して6万円の登録免許税と、日本税理士会連合会に対して5万円の登録手数料を支払います。合計11万円です。
登録免許税は、郵便局や日本銀行等で品川税務署あてに納付し、領収証書を税理士登録する際の申請書に貼り付けます。
登録手数料とは、日本税理士会連合会に備える税理士名簿に、税理士として登録するための手数料です。
登録手数料は、日本税理士会連合会が指定する方法で納付することになります。
登録申請時に必要となる費用は、登録免許税と登録手数料の他、必要書類として住民票の写しや写真、身分証明書等の発行と郵送にかかる費用です。
税理士会入会に必要な費用 6万円〜
税理士登録を受けると税理士会の会員となることが定められています。2024年9月現在、全国に15の税理士会があり、所属するためには入会金や年会費等の支払いが必要です。
たとえば東京税理士会の場合は下記のようになります。
名称 | 金額 |
---|---|
入会金等 | 入会金 40,000円 |
会館建設費 | 20,000円 |
年会費 | 81,000円 *一月あたり6,750円×該当月数 |
その他 | 支部会費等 |
また税理士会会費と共に、支部会費(年間36,000円程度)が必要になる地域もあるようです。
税理士会入会金や年会費等は、銀行振り込みまたは税理士証票伝達式の当日に現金で持参します。税理士会により対応が異なりますので、詳細は管轄の地域における税理士会に問い合わせてください。
税理士登録に必要な提出書類
税理士登録には、登録手数料等の費用だけでなく書類の提出も求められます。
必須書類だけでも膨大ですので、早めに動き出しましょう。
詳しい様式や書き方については、日本税理士会連合会のホームページにてご確認ください。
なお下記以外にも、登録調査の必要上、適宜書類の提出が求められる場合があります。
書類名 |
---|
税理士登録申請書 |
マイナンバーカードのコピーまたは身元確認書類 |
写真 |
本籍の記載のある世帯全員の住民票の写し |
資格を証する書類 |
履歴書(様式指定あり) |
誓約書(様式指定あり) |
税理士会会長宛の誓約書 |
直近2年分の確定申告書のコピーまたは住民税課税証明書 |
はがき |
提出該当者 | 書類名 |
---|---|
試験合格者、試験免除者 | 実務経験期間の充足を確認する書類等 |
開業税理士、新たに税理士法人を設立または従たる事務所を設置する社員税理士 | 税理士(法人)事務所の設置に関する書類 |
書類名 |
---|
会社の履歴事項全部証明書 |
無職期間の事情説明書 |
退職理由説明書 |
業務執行に関する誓約書 |
退職同意書 |
旧姓使用承認申請書 |
戸籍抄本または個人事項証明書 |
税理士法人の社員資格証明申請書 |
社員税理士・所属税理士同意書 |
税理士法人の定款の写し |
登録抹消した理由及び再登録する理由書 |
早期退職の理由書 |
税理士登録までの流れ
正式に税理士として登録されるまでには、申請してから約2ヶ月ほどかかります。
提出書類を揃える
上記の提出書類を揃えます。
書類を揃えて正確に記入するだけでも時間がかかりますので、早めに取り掛かりましょう。
提出先は登録する地域の税理士会です。
書類を揃えて登録免許税を納め、申請書を提出したら、税理士会から連絡が来るまで待ちましょう。
税理士会によっては、登録申請が受理された後、その後のスケジュールを案内してくれるようです。
面接や調査
実地調査や面接等が行われます。
面接の日程や開催場所については、登録申請が受理された後、はがき等で通知されます。
2週間程度の猶予がある場合だけでなく、数日後を指定されることもあるようです。
平日を指定されることもありますので、登録申請後は上司に一声かけておきましょう。
面接は圧迫面接のような固い雰囲気ではなく、和やかな雰囲気の中で実務経験の確認や書類上の点について質問されることになります。
なおパンデミックの時期には直接出向いての面接がなくなり、書類審査に切り替わったケースもあるようです。
登録完了
面接や調査が終わると、書類の不備や不足分の提出を促されます。請求された書類を揃えて早めに提出しましょう。
不備がなければ、はがきで登録通知が届きます。
この登録通知を受け取ると、晴れて税理士となれます。おめでとうございます!
なおこの数日後には、税理士証票伝達式が行われます。
税理士証票伝達式では、税理士のバッジを受け取り記念撮影等を行います。
税理士会とは
税理士と名乗るためには税理士名簿に登録しなければならず、その税理士名簿は日本税理士会連合会に備えられています。
そのため税理士となるためには、税理士会に入会しなければなりません。
日本税理士会連合会とは、税理士の義務の遵守や改善進歩のために、税理士法で設立が義務づけられている法人のことです。主務大臣は財務大臣です。
税理士会に所属するメリット
税理士と名乗るためには、税理士会に所属しなければなりません。入会金や年会費等の負担が発生しますが、下記のメリットを享受できます。
研修への参加
税理士会では定期的に研修が開催されており、入会している税理士ならば格安か無料で参加できます。税制改正等で新しい知識を定期的に増やしていかなければなりませんので、税理士向けの研修制度は役立つのではないでしょうか。
なお公開研究討論会も定期的に開催されています。
相談窓口からの新規顧客獲得
税理士会によっては、起業後間もない人や中小企業に対して、税金に関する無料相談を受け付けています。時には無料相談を皮切りに、顧問契約してくれる企業も出てくるでしょう。
営業がうまくいかなくても、知名度が低くても、相談窓口から新規顧客を獲得できるかもしれません。
税理士同士の交流
研修会等に参加すれば、その地区の税理士と出会い交流できます。税理士事務所の運営や顧客との駆け引き等、事務所内では話せないことも話し合えるでしょう。
しがらみのない同業者と出会える貴重な場として使えます。
税理士会に所属しないとどうなる
税理士会に所属しない場合、税理士試験に合格していようとも、実務経験があろうとも、税理士とは名乗れません。また税理士の独占業務も遂行できません。
たとえ税理士にふさわしい知識と経験があるとしても、税理士として活動できないのです。
逆に言えば「今は税理士として登録する時期ではない」「一般企業で税理士のような働き方をするだけなので資格は不要」とするならば、税理士会に登録する必要はありません。
税理士試験合格という実績は一生消えませんので、あなたのキャリアに税理士という肩書きが必要になった時に、改めて税理士会への所属を検討してください。
税理士登録後のキャリアプラン
税理士登録が完了した後のキャリアプランを考えてみましょう。
一般的には3つのルートに分かれます。
税理士法人等で勤務する
税理士事務所や税理士法人で、所属税理士として活躍します。
多くの税理士がこのキャリアプランを選択しており、就職及び転職活動を行っています。
主な業務内容は、税理士として顧問企業の巡回監査や法人決算、税務コンサルティング等です。
税理士の資格を保有しているので、独占業務も自身の名前で実施できます。
高度な税務業務に携われ、税理士資格手当がつくため無資格者より年収が上昇します。
一般企業で税理士として活躍する
一般企業の財務部や経理部等に配属され、会社員として働きながら税理士として活躍します。
多くは大企業に所属することになります。
給与テーブルがしっかり決められており、税理士資格手当の制度がない代わりに、平均給与が高かったり福利厚生が充実していたりするケースが多いようです。
通常時は部署の同僚と共に入力作業や資料作成等を行いますが、海外進出や連結決算、M&Aといった高度な業務を遂行するよう求められることもあります。
独立開業する
税理士事務所を開業し、その所長として活躍します。
1人でも自宅でも開業は可能なので、飲食店や小売店よりも開業資金は抑えられます。
また税理士という肩書きは強力ですので、融資審査も通過しやすく事務所を構えることも容易でしょう。
独立開業した場合の給与は自分で決められます。
しかし給与額以上の売上を出さなければならず、顧問先がいつ見つかるかは誰にも分かりません。
大成すれば年収1,000万円も夢ではありませんので、自分の城を持ちたい人はぜひ挑戦してください。
税理士として独立開業するために必要な費用
独立開業する場合、手持ちの費用が0円でも開業は可能です。
ただし「自宅を事務所兼用にする」「パソコンや会計ソフトは手持ちのものを使う」といった制約がかかります。
現実的には、会計ソフトやプリンターといった周辺機器の購入に50万円程度は必要でしょう。
また、税理士事務所が軌道に乗るまでの運転資金とあなたの生活費が必要になります。
運転資金は、自宅開業の場合でも100万円程度見込んでおくと安心できます。開業時には思わぬ出費がかさむものですので、多すぎるくらいがちょうど良いのです。
生活費は、半年分あると良いでしょう。
生活費は人それぞれですのでいくら必要とは言えませんが、半年分以上の生活費を事前に貯めておくことをおすすめします。
あえて税理士登録しない人もいる
税理士試験に合格し実務経験もクリアしているにもかかわらず、あえて税理士登録をしない人もいます。
たとえば以下のような場合です。
独占業務に携わらない場合
税理士登録をすると、税理士の独占業務ができるようになります。
税理士の独占業務とは「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つです。
税理士登録には少なくないお金がかかります。
地域によって20万円以上の初期費用が必要で、税理士を維持するならば年間8〜11万円程度の出費がかさみます。
独占業務に携わらないことがはっきりと分かっており、お金を節約したい場合には、税理士登録をしないという選択もあるでしょう。
特に、一般企業で税理士として活躍する企業内税理士は、税理士登録をしても資格手当が出ません。そのため税理士試験に合格しても税理士登録はしない、と選択する人もいるようです。
転職後に登録する場合
現時点では税理士の独占業務に携わっておらず、転職後に携わる場合、転職するまで税理士登録をしない、という人もいます。
現在、税理士の独占業務に携わっていないならば、お金をかけてまで登録する必要はないでしょう。
そこで転職先で必要とされる時まで、税理士登録を先伸ばしするものです。
この場合は、転職完了後に税理士登録することを忘れないようにご注意ください。
税理士の登録料-まとめ
税理士に登録するためには、登録免許税理士や登録手数料といった費用だけでなく、税理士会に籍を置くための費用も発生します。
その金額は地域によって増減するものの、20〜30万円前後に収まるようです。
税理士登録を完了させると、税理士と名乗れるようになり、税理士の独占業務を遂行できるようになります。
税理士として活躍するならば、税理士登録は避けては通れません。
一方で、税理士の独占業務に携わらず税理士という肩書きに執着しないのであれば、無理に登録する必要もないのです。
税理士試験の合格実績は一生消えません。つまりいつ税理士登録しても構わないのです。
あなたのキャリアプランを考えた時に、税理士という資格が必要になったタイミングで登録手続きを行ってください。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長