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税理士法人に新卒で入るには?注意点やポイントを解説

公開日:2025/05/01

最終更新日:2025/05/01

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「税理士法人って、記帳とか申告書作るだけでしょ?」
もしそう思っているなら、この記事でそのイメージが一新されるかもしれません。
実は、税理士法人こそ、専門性・人間力・経営視点のすべてを育てられる“成長の宝庫”
税理士試験の勉強と並行しながら、実務経験を積み、プロとしての力を養う場でもあります。

しかも、キャリアパスは一つじゃありません。
税務のスペシャリスト、チームを束ねるマネージャー、将来の独立も選択肢に。
本記事では、税理士法人で働く中で得られるリアルな「成長機会」と、 若手メンバーがどんな役割を担い、どうキャリアを描いていけるのかを徹底解説します。

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税理士法人とは?

税理士法人とは、複数の税理士が共同で設立する法人形態の事務所であり、税理士法に基づいて設立されます。個人の税理士とは異なり、法人として組織的に税務サービスを提供することができます。

2002年の法改正により設立可能となった比較的新しい形態

株式会社のような営利法人ではなく、税理士業務に特化した専門法人

社会的信用が高く、大規模案件への対応も可能

税理士法人の役割と重要性

項目 内容
税務代理 納税者の代理として申告・申請を行う
税務書類の作成 確定申告書、法人税申告書などの作成
税務相談 法人・個人の税務に関するアドバイス
経営支援 節税対策や事業承継、財務改善の提案
調査対応 税務調査への対応と事前の対策支援
なお、以下の理由にて重要とされております。

信頼性と組織力:個人では対応しきれない大規模法人や多拠点クライアントにも対応

専門性の高度化:法人内で資産税、国際税務、M&A支援などのスペシャリストが連携

安定性:継続的に顧問業務を行える体制が整っている

一般企業との違い

一般企業との違いは以下の通りです。

比較項目 税理士法人 一般企業
目的 税務業務の提供 商品・サービスの提供・販売
設立要件 登録税理士2名以上、社員税理士のみ 誰でも設立可能(定款・登記のみ)
法的根拠 税理士法 会社法
利益分配 社員税理士に限定 株主や出資者に分配
業務範囲 税務・会計関連に限定 法律上の制限なし


新卒で税理士法人に入るためのステップ

以下の流れで入社が決まります。

ステップ 内容
① 自己分析・業界研究 税理士法人の業務内容を理解し、自分の志望動機と適性を明確にする
② インターン参加 サマーインターン・1day業務体験などに参加し、現場理解と人脈づくり
③ エントリー・書類提出 ES・履歴書・成績証明書などを提出。税理士試験の科目合格者は有利
④ 選考(面接・筆記) 個別面接・グループディスカッション・SPIなど法人によって多様
⑤ 内定・入社 内定後に研修や配属面談あり。4月入社が一般的


必要な資格やスキル

その際、以下の資格及びスキルが必要とされています。

区分 詳細
学歴 大卒以上が基本。商学部・経済学部・法学部が中心だが他学部でも可
税理士試験 合格科目が1科目以上あると非常に有利。特に簿記論・財務諸表論は評価されやすい
ITスキル Excelスキル(VLOOKUP、ピボット)は必須レベル。会計ソフト(弥生・勘定奉行等)経験も歓迎
コミュ力 クライアント対応やチームワークが多いため、論理的な会話力と協調性が重視される
会計・税務知識 簿記2級以上は必須レベル。法人税や所得税の基礎を理解していると◎


応募書類の準備

応募書類のポイントは以下の通りです。

書類 ポイント
履歴書 志望動機と自己PRを簡潔に。空白期間があれば理由を説明できるようにしておく
エントリーシート(ES) 「なぜ税理士法人か」「なぜこの法人か」をセットで説明。志望理由は"成長"ではなく"貢献"に寄せると説得力が増す
成績証明書 会計・法律関連科目での好成績がアピール材料になる
資格証明書 簿記や税理士試験の合格証はコピー提出。TOEICなどもあると加点対象に


なお、ミツプロでは職務経歴書のテンプレート等も配布しています

面接でのポイント

面接でのポイントは以下の通りです。

質問例 回答のコツ
なぜ税理士法人? 「会計や税務を通じて中小企業を支援したい」「法制度に基づいた支援にやりがいを感じる」など明確な志望動機を
なぜうちの法人? 特定の取り組み(中堅企業支援、資産税特化、グローバル業務など)を調べてリンクさせる
チームで苦労した経験 実体験をベースに「問題 → 行動 → 結果 → 学び」の順で話す。論理性と協調性の両立をアピール
志望業務 法人税、資産税、相続などへの関心は具体的に。税務調査や経営支援への姿勢も評価対象


なお、面接の際には以下の点に注意が必要です。

税法の深い知識よりも「吸収力」「誠実さ」「素直さ」が重視される

ロジカルな受け答え(PREP法:結論→理由→具体例→まとめ)が効果的

「成長したい」だけでなく「顧客にどう貢献したいか」が言えると◎

税理士法人で働くメリットとデメリット

メリット・デメリット

税理士法人で働くメリットとデメリットは以下の通りです。

区分 内容
✅ メリット
組織力 チームでのサポート体制があり、未経験でも学びやすい環境
教育制度 OJTや研修が整っており、税務スキルを体系的に習得可能
業務範囲の広さ 法人税・資産税・相続・国際税務など幅広く経験できる
安定性 定期顧問契約が多く、景気に左右されにくい
試験サポート 勤務時間配慮・試験休暇あり(特に大手や中堅法人)
❌ デメリット
繁忙期の残業 確定申告や決算期(2〜5月、11〜12月など)は激務になりがち
細かい業務 書類チェックや記帳など地道で反復的な業務が多い
昇進に時間がかかることも 大規模法人ではポジションが詰まりがち
クライアントの都合に左右 急ぎ対応やクレームもあり、柔軟性が求められる


キャリアパス

キャリアパスは一般的に以下の様になっています。

年次 キャリアイメージ
1〜3年目 アシスタント/スタッフ(記帳代行、法人税申告補助、年末調整など)
3〜5年目 シニアスタッフ(顧問先を担当、税務調査対応、資産税業務など)
5〜8年目 マネージャー/リーダー(若手育成、部下管理、難解案件の主担当)
8年目以降 シニアマネージャー〜パートナー(営業、経営判断、採用にも関与)
分岐 ・独立して開業税理士へ
・上場企業や外資系の経理・財務職に転職
・会計系コンサルやFASへ転向


働きやすさと職場環境

職場環境の特徴は以下の通りです。

観点 内容
労働時間 繁忙期は残業あり/閑散期は比較的有給が取りやすい(バランス型)
働き方 最近はリモート対応・フレックスタイム制導入法人も増加中
男女比・育休制度 女性税理士も多く、産休・育休取得実績ありの法人が多数(特に中堅以上)
チーム体制 基本はチームで複数顧問先を担当。相談しやすい環境が整っている
成長機会 所内研修・外部研修・資格補助・試験休暇など、自己投資しやすい文化あり
評価制度 年次評価・試験合格・売上などによる昇給制度。透明性は法人により差あり


新卒として税理士法人を選ぶ際の注意点

新卒で税理士法人を選ぶ際は、「ネームバリュー」や「待遇」だけで判断してしまうと、入社後にギャップを感じやすいのが実情です。ここでは、選ぶ際の注意点・業界研究のコツ・企業文化との相性の見極め方について、実践的に整理して解説します。

観点 注意点 解説
業務内容の実態 「法人税」だけでなく、「記帳代行」や「年末調整」など地道な作業が中心のことも多い キラキラしたイメージと現場のギャップに注意
規模と業務の幅 大手は分業制・中小は一気通貫 「いろいろ経験したい」なら中堅〜中小の方が合う場合も
資格への配慮 試験休暇・残業削減などの支援制度があるか要確認 資格取得を目指すなら、働きながら勉強できる環境は重要
教育体制 「OJTだけ」ではなく、研修制度やレビュー体制があるか 成長速度に大きく関わるため、必ず確認すること
離職率・定着率 新卒がどれくらい残っているか、直近3年の離職率を聞いてみる 入ってから後悔しないための超重要情報
評価制度 実力評価か年功評価か、明確な昇格基準があるか キャリア志向の人ほど気にしたいポイント


業界研究の重要性

業界研究にて重要なポイントは以下の点です。

項目 具体例 ポイント
税理士法人の種類 ・BIG4系(PwC・KPMGなど)
・準大手(辻・山田)
・中堅〜地域密着型
規模によって業務内容・雰囲気・成長環境がまるで違う
業務の特徴 ・法人税、所得税、相続税、国際税務など
・記帳代行、税務調査、節税提案など
どの業務に強みがあるか、自分が伸ばしたい分野と合うか確認
志望動機の深掘り 「安定してるから」では弱い
→「税を通じて地域企業を支援したい」などに落とし込む
採用担当は“なぜうちなのか”を非常に重視している
業界の課題 ・税理士試験合格者の減少
・AI・自動化による業務の変化
これらのトピックに対して自分の考えを持っておくと面接で強い


企業文化への適応力

ミスマッチを防ぐために重要なポイントは以下の通りです。

観点 質問例 解説
働く人の雰囲気 「上司・先輩との距離感は?」「失敗したときのフォロー体制は?」 ストイック型か、ゆるやか型か、合う雰囲気を知る
コミュニケーションスタイル 「チームで仕事を進める?個人で任される?」 合わないと孤独を感じやすくなる
ワークライフバランス 「試験勉強と両立している人はどれくらい?」
「有休は取りやすい?」
働き方の実態とライフプランが合っているか
若手の裁量 「1年目でどこまで任される?」
「教育と実務のバランスは?」
放任型か、育成重視型かを見極めよう
評価の仕組み 「年次で昇給する?実力重視?」 実力を発揮したい人には大事な指標


税理士法人での成長機会

税理士法人は、実務経験 × 教育支援 × 資格取得支援がそろった成長に最適な環境です。

成長機会 内容 ポイント
実務経験 記帳・申告書作成・税務相談・調査対応など幅広い業務に携われる OJTでの現場経験が実務力を育てる
部門ローテーション 法人税・資産税・国際税務・経営支援など 専門領域を選ぶ前に複数分野を体験できる
資格取得支援 勤務時間の柔軟対応、試験休暇、受講料補助など 特に大手・中堅法人では制度が整っている
所内研修 税法改正・実務対応・マナーなどの所内研修 年次別・階層別で段階的にレベルアップ
外部研修 TAC・大原・税理士会などの外部セミナー参加支援 最新トレンドを学び、ネットワークも拡大できる


スキルアップとキャリアの実現

スキル領域 内容 キャリアへのつながり
税務スキル 法人税・所得税・消費税・相続税など、法令知識と実務対応力 スペシャリストとしての信頼と独立力を強化
コミュニケーション 顧問先への説明力、社内外の調整力 若手でも顧問先を任されるようになる
IT・会計ソフト Excel関数、会計ソフト(弥生・勘定奉行・freee等) デジタル時代に即した業務効率化・DX提案へつながる
経営分析力 月次分析・財務諸表の読み解き・経営助言 顧問契約の深化やコンサル業務への展開に有利
語学・国際感覚 国際税務・移転価格税制・外資系対応 BIG4やグローバル業務に挑戦できる武器に


メンバーとしての役割と貢献

若手スタッフ(1〜3年目)の役割

・記帳・年末調整・決算書作成・申告書作成補助などの実務処理

・上司の指示に忠実に従い、正確性・報連相を徹底

・クライアントの基本的な状況理解と資料管理

・チーム内での連携と協調性が大切

中堅スタッフ(3〜5年目)の役割

・顧問先のメイン担当者として窓口に

・税務判断の一次対応、調査対応などの中心に

・若手への指導やレビューを通じて教育的役割も担う

・チーム全体の進捗・品質管理にも関与

マネージャー以上の貢献

・顧問契約の提案・維持・拡大(営業的視点)

・チーム運営、人事評価、採用面接などの組織運営への参加

・特定分野のスペシャリスト(資産税、国際税務など)として社内の相談役

・クライアントと長期的な信頼関係を築き、コンサルティング領域に踏み込む

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まとめ

この記事では新卒で税理士法人に入社する際のポイントについて解説しました。

この記事がお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

税理士 平川 文菜(ねこころ)

税理士|熊本出身|2018年京都大学卒業| 在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。