ミツプロに会員登録する
3つのメリット

無料で会員登録する

INDEX

おすすめ記事

記事を全て見る

不動産鑑定士と税理士、どちらのキャリアが将来有望か?業界動向を分析

公開日:2025/06/07

最終更新日:2025/06/07

INDEX

税理士と不動産鑑定士、どちらも資産に強い国家資格。
でも、もしこの2つを掛け合わせたら、どんなキャリアが広がると思いますか?

相続税申告も、不動産の評価も、1人で完結できる希少な存在。
「士業×士業」の掛け算で、提供価値は2倍にも3倍にも膨らみます。
開業して高単価の資産税案件を受けるもよし、企業で専門職として活躍するもよし。
さらに最近では、自治体支援や富裕層向けコンサルなど、新たなニーズも増加中。
資格を「名刺の肩書き」で終わらせるのはもったいない時代です。

この記事では、不動産鑑定士と税理士ダブルライセンスを活かした具体的なキャリアやビジネスモデルを、事例とともに徹底解説します。

会員限定公開!【2025年版】
働きがいのある会計事務所特選
2025年版 働きがいのある会計事務所特選
優良事務所90社のインタビューから、税理士業界の最新動向と事務所選びのポイントを凝縮した業界専門誌を無料公開中!
ミツプロ会員は会計事務所勤務に役立つ限定コンテンツをいつでも閲覧できます。

⇒無料で会員登録して雑誌を見る

税理士と不動産鑑定士のダブルライセンスの魅力

ダブルライセンスの価値とは?

税理士と不動産鑑定士は、いずれも「資産価値の専門家」という共通点を持つ国家資格です。この2つを組み合わせることで、特に相続・事業承継・M&A・不動産関連税務などの分野で強力な専門性を発揮できます。

主な魅力

ワンストップ対応が可能に
相続税申告で「不動産評価の鑑定」→「相続税計算」まで一人で完結できる。

差別化された高付加価値サービスの提供
単一資格者との差別化になり、難解な案件の依頼が増える。

高単価業務への対応力
収益性の高い「鑑定評価書+税務申告」セットの案件を受注できる。

資産家や企業オーナーの長期顧客化
節税・不動産活用・承継など総合アドバイザーとして関係性を強化。

両資格取得のメリットとデメリット

視点 メリット デメリット
専門性 不動産と税務の両面から評価・アドバイスが可能 両分野の実務知識を日々アップデートする必要
収益性 高単価案件(相続・M&A等)の受注が可能 鑑定士業務の単価は下落傾向にある場合も
信頼性 クライアントからの信頼度が高まる 「専門がぼやける」と見られる可能性も
資格取得コスト 多様な案件で回収しやすい 資格取得・登録・維持費用が高い

ダブルライセンス取得で広がるキャリアの可能性

独立開業での高付加価値型事務所

・「資産税+不動産評価」を主軸にした独立開業が可能。
・法人クライアントや富裕層の個人顧客からの引き合い多数。

企業内士業・金融機関での活躍

・銀行・信託銀行・不動産会社などで「税務+不動産評価」のスキルを活かす。
・M&AやCRE戦略、資産査定などで重宝される。

専門家ネットワークの構築と講師業

・両資格を活かしたセミナー・執筆・コンサルティング業務。
・同業他士業との連携による紹介・共催案件の増加。

税理士試験と不動産鑑定士試験の比較

税理士試験と不動産鑑定士試験は、どちらも高度な専門性を求められる国家資格試験ですが、試験制度・受験資格・出題範囲・難易度には大きな違いがあります。それぞれの特徴を以下に整理します。

1. 試験制度の違い

税理士試験は「科目合格制」で、年1回の試験で1科目ずつ合格を積み上げていく形式です。一方、不動産鑑定士試験は「短答式試験 → 論文式試験」という段階的な選抜方式です。

税理士試験

・5科目合格で資格取得
・科目合格は一生有効
・働きながらでも受験しやすい

不動産鑑定士試験

・年1回の短答式試験と論文式試験で合格を目指す
・最終合格後、1年間程度の実務修習が必要
・短期集中型で挑戦する人も多い

2. 受験資格の違い

税理士試験

・誰でも受けられるわけではない
・以下のいずれかが必要:
 ◦会計系の学歴(例:大学で商学・経済学専攻)
 ◦2年以上の会計実務経験
 ◦簿記論・財務諸表論の合格

不動産鑑定士試験

・年齢・学歴不問
・誰でも受験可能(実務修習は合格後)

3. 試験内容の違い

税理士試験(全5科目)

・【必須】簿記論、財務諸表論(会計)
・【選択】税法科目3つ(所得税法、法人税法、相続税法など)

不動産鑑定士試験

・【短答式試験】:不動産鑑定理論
・【論文式試験】:不動産鑑定理論、民法、会計学、経済学

4. 合格率・難易度の違い

税理士試験

・科目合格率:各科目10〜20%
・全5科目合格者は毎年数百名程度
・働きながら合格まで平均5〜7年かかることも

不動産鑑定士試験

・短答式:20〜30%、論文式:10〜15%
・最終合格率は約7〜10%
・合格までの平均は2〜4年

5. 学習時間の目安

資格取得までに必要とされる学習時間は以下の通りです。

税理士試験:合計 約4,000~6,000時間
 ◦会計2科目:約1,500時間
 ◦税法3科目:約3,000~4,000時間

不動産鑑定士試験:合計 約3,000~4,000時間
 ◦短答+論文+演習+論述対策込み

項目 税理士試験 不動産鑑定士試験
試験制度 科目合格制(5科目)年1回実施 ステップ制(短答式→論文式)年1回実施
受験資格 会計系の学歴・実務経験等が必要 誰でも受験可能(年齢・学歴不問)
試験内容 必須:簿記論・財務諸表論
選択:税法3科目(所得・法人・相続など)
短答式:鑑定理論・経済学・会計学
論文式:鑑定理論・演習・民法など
合格率(全体) 年間科目合格率:約10〜20%/科目
合格者の累積合格率は約2〜3%
短答式:約20〜30%
論文式:約10〜15%
最終合格率:約7〜10%
平均合格年数 3〜7年程度(働きながらが多い) 2〜4年程度(大学在学中合格者も増加中)
合格までの目安学習時間 約4,000〜6,000時間(5科目) 約3,000〜4,000時間

効率的な試験勉強法と合格への道

資格試験においては、「時間をかける=合格する」ではありません。特に社会人やダブルライセンス志望者は、「いかに効率よく点に結びつく勉強をするか」が最重要です。

1. 短期間で結果を出すための勉強方法

❶ 合格から逆算した学習スケジュールを立てる

・試験日→模試日→完成期→応用期→基礎期の順に「マイルストーン」を設ける
・目標から逆算して、月単位・週単位で進捗管理

❷ インプットとアウトプットの「8:2→2:8」へのシフト

・初期は基礎テキストの精読中心(8割インプット)
・中盤からは問題演習・過去問・答練を重視(8割アウトプット)
・「覚えるより、使う」を意識

❸ 苦手を残さない「弱点潰しノート」の活用

・間違えた問題・忘れがちな理論は1冊に集約
・試験直前期はそのノートのみで総復習可能にする

❹ 学習の質を高める「時間帯別学習戦略」

・朝:理論暗記(集中力が高い)
・昼:計算演習(作業系に近い)
・夜:過去問分析・復習(軽めのアウトプット)

❺ 模試と答練を「本番」として使う

・時間配分、出題傾向、精神的プレッシャーへの耐性を鍛える
・結果よりも「どこで何を間違えたか」の分析が重要

2. 受験生が陥りやすい失敗とその対策

❌ 失敗①:テキストを何度も読むだけで満足する

対策:問題演習と復習を中心に。アウトプットしない知識は定着しない。

❌ 失敗②:スケジュール倒れになる

対策:週ごとの見直しと「3日ルール」(遅れは3日以内に取り戻す)を設定。

❌ 失敗③:完璧を目指してしまう

対策:「7割主義」でOK。完璧主義は回転数を下げ、結果的に非効率。

❌ 失敗④:試験直前まで新しいことに手を出す

対策:1ヶ月前からは「やるべきことを減らす」ことに集中。反復重視。

❌ 失敗⑤:勉強法をコロコロ変える

対策:「3週間は継続」が原則。すぐ効果が出なくても、一定期間は試す。


3. 合格者が実践している「勝てる習慣」

毎朝30分の理論音読で暗記を習慣化
・SNSやYouTubeは夜のみ・タイマーで制限
・勉強仲間と模試後に点数を比較して競争心を維持
・学習記録アプリや手帳で「見える化」して達成感を得る

税理士と不動産鑑定士の資格取得後のキャリア

税理士と不動産鑑定士のダブルライセンスは、「資産税×不動産評価」という組合せから、個人資産家・企業・金融機関・行政など多様なニーズに対応できます。取得後の進路は大きく「事務所勤務」か「独立開業」の2択ですが、それぞれに特徴と可能性があります。

1. 事務所勤務の選択肢

税理士法人・鑑定法人での勤務

税理士法人(資産税部門)
 ◦相続税・贈与税申告+不動産評価の内製化が可能
 ◦鑑定士資格者として重宝され、昇進や高報酬につながる

不動産鑑定法人(金融・法務分野)
 ◦鑑定評価書+税務の視点からレポートを作成
 ◦M&A・CRE戦略・再生案件など、企業案件にも携われる

金融・不動産・信託会社等への就職

・不動産を保有する企業での内部評価や税務対策
・金融機関の資産査定部門、信託銀行の不動産チームなど

キャリアパス 概要 主な業務内容 メリット 向いている人
税理士法人(資産税部門) 相続税+不動産評価に特化した業務 財産評価・税務申告・土地鑑定書の作成 実務経験が積める/高単価案件に携われる 専門性を深めたい/法人で安定したい
不動産鑑定法人 金融や法務分野の評価業務中心 鑑定評価書の作成/M&AやCRE支援 鑑定士資格が強く活かせる/幅広い案件に対応 不動産の理論を活かしたい人
金融・不動産企業 内部評価や資産戦略立案に関与 税務対応/資産査定/不動産評価 法人組織で働ける/待遇安定 民間企業で働きたい人

2. 独立開業の選択肢

【王道】資産税+不動産鑑定のハイブリッド事務所

・相続税申告+不動産鑑定評価書をワンストップで提供
・不動産評価だけ外注する税理士との差別化が可能
・顧問契約だけでなく「プロジェクト型報酬」も受けやすい

【専門特化】相続・事業承継専門のコンサル型事務所

・富裕層向けに、土地評価の最適化+組織再編+税制対策を提供
・中小企業の持株会社設立や自社株対策にも強い提案が可能

区分 キャリアパス 概要 主な業務内容 メリット 向いている人
資産税+鑑定のW事務所 相続税+評価をワンストップ提供 相続税申告/土地評価/鑑定レポート作成 他士業との差別化/高単価 開業で自分の強みを活かしたい人
事業承継特化型事務所 企業オーナー向けの承継対策に特化 組織再編/自社株対策/事業承継支援 高付加価値コンサル型業務が可能 富裕層支援・経営相談に強みを出したい人

3. 資格を活かした新しいビジネスモデルの提案

税理士と不動産鑑定士という「資産に強い2大国家資格」を活かせば、従来の枠にとらわれないビジネスモデルも構築可能です。

① 高齢者資産の"見える化"コンサル

・高齢者の保有資産を定期的に評価(不動産・預金・株式など)
・相続・贈与・資産管理のアドバイスを長期契約で提供
・「家族信託」「遺言書作成」「生前贈与」のサポートも一体化

② 不動産投資家・法人向け資産分析レポートサービス

・節税+キャッシュフロー+含み益+鑑定評価をまとめて可視化
・会計+税務+評価のプロとして、物件取得前後の助言が可能

③ 地方自治体・公共団体向けアドバイザリー

・公共施設の評価・再編支援(PFI・PPP・公有地活用)
・地方創生や空き家対策に特化した自治体支援業務

④ Webメディア・講師業・情報発信

・相続・不動産・税務をテーマにした専門メディア運営
・書籍出版・セミナー講師・YouTube・X発信による信頼獲得+集客
・ChatGPTなどを活用した自動化サービスの設計・販売

新ビジネスモデル 概要 提供サービス 対象 メリット
高齢者資産の可視化支援 生前整理・信託・相続対策の包括支援 不動産評価/相続設計/資産管理 高齢者/家族 長期契約化しやすい/信頼関係を築ける
投資家向け分析レポート 節税+資産運用支援の専門レポート提供 キャッシュフロー・評価・税効果の分析 不動産投資家/法人 継続契約・顧問化しやすい
自治体向け評価支援 公共施設再編や空き家対策を支援 公共不動産の評価・再活用計画策定 自治体/官公庁 社会的意義が大きく、受託の実績になる
Webメディア・情報発信 発信を通じた信頼獲得&集客 セミナー・SNS・YouTube・執筆 一般・士業・企業 集客・知名度アップ/マネタイズ可能

会員限定公開!【2025年版】
働きがいのある会計事務所特選
2025年版 働きがいのある会計事務所特選
優良事務所90社のインタビューから、税理士業界の最新動向と事務所選びのポイントを凝縮した業界専門誌を無料公開中!
ミツプロ会員は会計事務所勤務に役立つ限定コンテンツをいつでも閲覧できます。

⇒無料で会員登録して雑誌を見る

まとめ

この記事では税理士と不動産鑑定士について取り上げました。

この記事がお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

税理士 平川 文菜(ねこころ)

税理士|熊本出身|2018年京都大学卒業| 在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。