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公開日:2025/02/21
最終更新日:2025/02/21

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税理士を目指すなら避けて通れない“簿財”。
勉強を始めたものの、計算スピードの壁や膨大な理論に苦戦していませんか?
実は、多くの受験生が同じ悩みを抱えています。
本記事では、簿財の試験内容や効率的な学習法をわかりやすく解説します!
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簿財とは何か?
「簿財」とは、税理士試験の科目である「簿記論」と「財務諸表論」の略称です。税理士試験は合格するまでに複数年かかることが一般的ですが、簿財は税理士試験の5科目のうち、会計学に関する基礎的な2科目であり、最初に受験する人が多いです。
簿記論では、仕訳や決算整理、会計処理の実務能力が問われ、財務諸表論では、会計基準や財務諸表の作成原則などの理論的な理解が求められます。
この2科目に合格すると、税理士試験の残り3科目(税法科目)に専念しやすくなるため、税理士を目指す人にとって重要なステップとなります。また、公認会計士試験や日商簿記1級の学習とも関連が深く、企業の経理担当者や会計事務所勤務者にとっても役立つ知識です。
簿財の試験内容は?
簿記論と財務諸表論は、税理士試験の会計学科目に分類され、どちらも記述式の試験です。
簿記論は、会計処理の実務能力を問う科目で、仕訳、決算整理、財務諸表の作成、原価計算などが出題されます。計算問題が中心ですが、最近は会計基準の知識を問う理論問題の割合が増えています。
財務諸表論は、企業会計原則や企業会計基準の理解を試す科目で、理論問題が中心です。具体的には、財務諸表の目的、会計処理の原則、減損会計、リース会計、収益認識基準などが出題されます。
簿財の受験資格は?
税理士試験の受験資格は、学歴・職歴・資格のいずれかを満たす必要がありますが、簿財(簿記論・財務諸表論)に限っては、2023年度の試験から受験資格が不要となりました。
従来は、大学や短大で会計学・法律学の単位を取得していることや、実務経験が必要でしたが、現在は簿財のみであれば、誰でも受験できます。
一方、税法科目(法人税法や所得税法など)を受験するには、依然として受験資格が必要であり、大学・短大での履修や実務経験が求められます。
これにより、大学生や社会人が早い段階で簿財を受験し、税理士試験の進捗を早めることが可能になりました。
受験資格が緩和された背景
税理士試験の受験資格緩和は、税理士業界の人材不足が大きな要因です。
税理士の高齢化が進み、業界全体で若手の確保が課題となっている中、受験者数の減少が問題視されていました。特に、大学の履修要件がネックとなり、受験資格を満たさない人が税理士を目指せない状況があったため、ハードルを下げる施策が必要とされました。
また、近年の会計業界では、IT技術の発展による業務効率化が進み、単純な会計処理だけでなく、経営コンサルティングや財務アドバイザリーの需要が増えています。このような環境の変化も、より多くの人材を業界に呼び込む必要性を高めた一因となりました。
そこで、まずは簿財に関して受験資格を撤廃し、幅広い層が試験に挑戦できるようにしたのです。
受験資格が緩和されたことによるメリット
簿財の受験資格が不要になったことで、次のようなメリットがあります。
1.受験者の増加と若年層の参入
大学1・2年生や高校卒業後すぐの人でも受験できるようになり、税理士を目指す人が早期に試験に挑戦できるようになりました。これにより、税理士のキャリアを早くスタートでき、税理士試験の長期間にわたる学習負担を軽減できます。
2.実力があれば誰でも挑戦可能
これまでは大学の履修要件を満たさないと受験できませんでしたが、簿記2級や独学で十分な知識を身につけた人でも受験可能になりました。これにより、学歴に関係なく、意欲のある人が税理士を目指しやすくなりました。
3.企業の経理や会計業務のスキル向上
簿財の知識は税理士試験だけでなく、経理・財務の業務にも直結します。受験資格が緩和されたことで、一般企業の経理担当者や会計事務所で働く人が、スキルアップのために気軽に受験できるようになりました。
4.試験への段階的な挑戦が可能
簿財を早めに合格すれば、税法科目の勉強に集中できる時間が増え、試験の負担を軽減できます。特に、税理士試験は5科目合格までに平均7~8年かかることが多いため、早期に2科目をクリアできるのは大きなメリットです。
このように、
受験資格の緩和は、税理士志望者の増加や業界の活性化につながる重要な施策となっています。
簿財の難易度は?
簿記論と財務諸表論は、
税理士試験の中でも基礎的な科目ですが、決して簡単ではありません。特に簿記論はスピーディーな計算力が求められ、財務諸表論は会計基準の深い理解が必要になります。そのため、しっかりとした学習計画と演習量が重要となります。
簿記論の合格率・難易度
簿記論の合格率は例年15~20%程度で推移しています。試験では仕訳や決算整理、試算表の作成などが中心となり、短時間で正確に計算するスキルが求められます。日商簿記1級と比較して、より実務的な内容が多く、スピードと正確性の両方が合格の鍵となります。
財務諸表論の合格率・難易度
2024年の財務諸表論の合格率は8.0%と大きく低下しました(前年は28.1%)。この試験は、企業会計基準や財務諸表の構造を理解し、理論的な説明ができる力が問われます。記述式の問題が多く、正確な用語を用いた論述が求められるため、単なる暗記ではなく、深い理解と応用力が重要となります。
簿財はどんな問題が出題される?
簿記論
簿記論は主に 計算問題 が中心で、企業の取引を記録し、財務諸表を作成する力を問われます。具体的な出題内容は以下の通りです。
(1) 仕訳・総勘定元帳
・企業の取引を仕訳し、適切に記録する問題・仕訳の誤りを修正する問題
・決算整理仕訳(減価償却、引当金、売上原価の算定など)
(2) 財務諸表の作成
・貸借対照表(BS)・損益計算書(PL)の作成・キャッシュ・フロー計算書(CF)の作成(出題頻度はやや低め)
・精算表や試算表の作成
(3) 特殊論点
・連結財務諸表(支配・非支配、内部取引の消去など)・税効果会計(法人税等の会計処理) ・リース会計(ファイナンス・オペレーティングリース)
・収益認識基準(契約ベースでの収益認識)
(4) 原価計算
・製造業の原価計算(直接原価計算・全部原価計算)・部門別配賦、等級別総合原価計算、標準原価計算
・工事進行基準・完成基準
財務諸表論
財務諸表論は主に 理論問題 が中心ですが、計算問題も含まれます。会計基準や制度の理解を問われるのが特徴です。
(1) 会計基準・概念フレームワーク
・企業会計原則・企業会計基準 資産・負債の認識基準・収益認識基準(顧客との契約に基づく収益認識)
(2) 財務諸表の意義と作成基準
・貸借対照表(BS)の構成要素・損益計算書(PL)の表示区分
・包括利益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書の作成基準
(3) 個別論点
・金融商品会計(有価証券、デリバティブ)・減損会計(資産の回収可能性評価)
・退職給付会計(確定給付・確定拠出)
・税効果会計(繰延税金資産・負債)
・リース会計(IFRSとの違い)
(4) 記述式問題(理論)
・「○○に関する会計処理について、企業会計原則・企業会計基準の観点から説明せよ」・「収益認識基準において、顧客との契約に基づく収益認識の原則を説明せよ」
・「減損会計の考え方について、回収可能価額の観点から論じよ」
それぞれの共通点・相違点をまとめると、以下の様になります。

簿記何級レベルが必要?
日商簿記2級の知識があれば、簿財の基礎的な部分は理解できます。ただし、試験範囲の広さや難易度の違いを考慮すると、日商簿記1級レベルの学習経験があった方がスムーズに合格を目指せます。
特に財務諸表論の理論は、簿記2級には含まれていないため、簿記論よりも難易度が上がります。
簿財科目合格者の転職市場における評価は?
簿財の科目合格者であるメリットは?
1.経理・会計業務への転職で有利
◦企業の経理部門や会計事務所で「実務スキルがある」と評価されやすい。
2.税理士試験のステップとして重要
◦簿財合格後に税法科目に専念できるため、税理士を目指す人にとっては必須。
3.日商簿記1級より実務寄りの評価を得られる
◦簿記1級は会計知識の証明だが、簿財は「税理士試験の一部合格」としての価値がある。
4.会計コンサルや監査法人へのアピール材料になる
◦会計分野に興味があることを示せるため、実務未経験者でも有利になる場合がある。
何科目合格すると転職に有利になる?
・簿財2科目のみ
→ 経理職、会計事務所の未経験者枠なら評価されるが、税務専門職としては弱い。
・税法1科目+簿財
→ 会計事務所では即戦力に近づくが、経験がないと強みになりにくい。
・3~4科目合格
→ 税理士事務所や経理職の採用で「税理士試験の見込みあり」として高評価。
・5科目合格(税理士資格取得)
→ 転職市場での評価が一気に上がり、独立開業やコンサル業務も可能になる。
税理士事務所でのニーズは?
税理士事務所では、会計処理や確定申告の実務をこなせる人材が求められるため、簿財合格者は一定の評価を得られます。
特に、記帳代行や法人決算業務を担当する場合、簿記論の計算力や財務諸表論の会計知識が役立ちます。
ただし、税務申告や税務相談を担当するには税法科目の合格が必要になるため、簿財のみでは補助業務が中心になります。
コンサルティングファームにおけるニーズは?
コンサルティングファームでは、税務・財務アドバイザリー業務を行う部署で、簿財の知識が活かせる場合があります。
特に、M&A、企業再編、財務デューデリジェンスの業務では、会計基準や財務諸表の分析力が求められます。
ただし、コンサルでは会計以外のスキル(戦略思考、ITリテラシー、英語力など)も重要視されるため、簿財合格だけでの転職は難しく、実務経験や他資格と組み合わせることが推奨されます。
働きがいのある会計事務所特選

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簿財の最新情報【2025年最新版】-まとめ
本記事では簿記論および財務諸表論の略称である簿財について解説させていただきました。
本記事がお役に立てば幸いです。

平川 文菜(ねこころ)