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公開日:2025/12/12
最終更新日:2025/12/12
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日商簿記2級は会計業界や経理職への就職・転職に有利な資格の1つであり、取得を目指す人も多いです。そんな日商簿記2級について「独学でも合格できる?」「コストを抑えるために独学で勉強したい」と考える人も多いでしょう。
結論として、日商簿記2級の独学合格は可能ではあるものの難易度が高いです。今回は日商簿記2級の独学が難しい理由や勉強の進め方、勉強のポイントについて解説します。
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日商簿記2級|独学合格の難易度が高い理由
最初に紹介したように、日商簿記2級に独学で合格することは可能ではあり、実際に独学で合格した人も多いです。
ただし独学の場合、予備校や通信講座を利用する場合よりも難易度は高くなります。この章では日商簿記2級の独学合格の難易度が高い理由を3つ紹介します。
出題範囲が広い
簿記2級の独学が難しいといえる理由の1つが出題範囲の広さです。
簿記2級は簿記3級では扱われない「工業簿記・原価計算」が出題されます。商業簿記・会計学とは性質が大きく異なるため、ゼロから1人で勉強するとどうしても躓いてしまう可能性が高いです。
商業簿記・会計学の出題範囲も3級より広く、専門性も高くなります。このように独学では高度かつ幅広い内容をすべて自分1人で学習する必要があるため、どうしても難易度が高くなります。
モチベーションが落ちやすい
独学は予備校や通信講座を利用する場合に比べてモチベーションが落ちやすい学習方法です。
モチベーションが落ちやすい理由として以下の3つが挙げられます。
・疑問点が発生した時に誰にも質問できないため学習が止まってしまいやすい
・ほかの受験生の存在を意識しにくい
・学習スケジュールがズレた後の立て直しがしにくい
簿記2級は出題範囲が広いため、数ヵ月間コツコツと勉強し続ける必要があります。しかし独学はモチベーションが落ちやすいため、途中で挫折してしまう可能性も高いです。
教材選びも自分で行う必要がある
独学の場合、教材選びも自分で行う必要があります。インプット用のテキストから問題集、予想問題まですべて自分でそろえる必要があり、教材選びだけでも負担となります。
なお2025年11月現在、日商簿記2級の過去問は公開されていません。過去問を確認できない以上、独学では問題の傾向を把握すること自体が難しいといえるでしょう。
日商簿記2級の独学をおすすめできるケース
日商簿記2級の独学は難易度が高いとはいえ、人によっては独学が向いている可能性もあります。この章では日商簿記2級の独学をおすすめできるケースを3つ紹介します。
簿記2級相当の学習経験や実務経験がある
大学や専門学校等で簿記2級で出題されるような内容の学習経験がある人は既に簿記の知識がある程度身についた状態です。また、会計事務所や経理の実務経験がある人も、仕事を通じて簿記2級相当の知識を習得している可能性があります。
そのため、簿記2級の受験に向けた勉強を独学でも問題なくこなせる可能性が高いでしょう。
自分のペースで勉強したい
予備校や通信講座の場合はスケジュールがある程度定まっています。「今月は忙しいから来月まとまった勉強時間を確保する」「今週は○時間、来週は●時間勉強する」等、柔軟性の高いスケジュールを組むのは難しいです。
独学は勉強のスケジュールや勉強する時間・場所などをすべて自分で決められます。そのため、自分のペースで勉強したい人には独学がおすすめです。
なるべくコストを抑えたい
予備校や通信講座の受講料の相場は2万円~10万円程度です。受講料に加えて試験の受験料が5,500円と、どうしてもコストがかかります。
一方、独学で発生するのは教材費と受験料のみです。購入する教材の種類や数にもよりますが、予備校や通信講座を利用する場合よりもコストを抑えられます。なるべくコストを抑えたいと考える人にも独学が適しているでしょう。
日商簿記2級|独学での勉強の進め方
日商簿記2級を独学で勉強する場合の進め方を5つのステップに分けて紹介します。
ステップ1|試験日から逆算して大まかなスケジュールを組む
まずは試験日から逆算して大まかなスケジュールを組みましょう。
詳しくは後述しますが、簿記2級の学習スケジュールは大きく4つの工程に分けられます。
1.3級の範囲の復習(不要なケースも有)
2.簿記2級の範囲を一通り終わらせる
3.問題演習を繰り返す
4.予想問題を解く
試験日までの残り期間および確保できる勉強時間をもとに、それぞれの工程にどれだけの期間を充てられるか考えましょう。
ステップ2|簿記3級の範囲の復習をする
以下の2つに該当する場合、簿記2級の勉強を始める前に簿記3級の範囲の復習が必要です。
・簿記3級に合格してから期間が空いており、その間は簿記に触れていない
・会計事務所や経理など、簿記の知識を活かせる職種に就いていない
(仕事でも簿記に触れていない)
簿記2級は簿記3級の範囲を理解していることが前提となります。上記に該当する場合、簿記2級の学習に必要な前提知識が不足している状態である可能性が高いです。
いきなり簿記2級の勉強を始めても非効率なため、まずは簿記3級の範囲を復習しましょう。
ステップ3|簿記2級の範囲を一通り終わらせる
いよいよ本格的に簿記2級の出題範囲の学習を始めます。
まずは簿記2級の範囲を一通り終わらせます。簿記2級は範囲が広いため、一つひとつの論点を完璧にしてから次に進むのでは時間がかかりすぎる可能性が高いです。また、最初の頃に勉強した内容を忘れてしまい、改めて学習が必要になる恐れもあります。
いきなり完璧にしようとせず、まずは全範囲をなるべく早く一周して簿記2級の概要をつかみましょう。各論点をじっくりこなすよりも、全範囲をこなすサイクルを短期間で複数回こなす方が効果的です。
とはいえ、すべてのサイクルで「わからない部分は放置し、とりあえず先に進むことを優先」という勉強方法では理解が深まりません。あくまで1つのやり方ですが、以下のような勉強方法がおすすめです。
・1周目
教材を一周し概要を把握する
・2周目
内容を理解することを意識しながら教材を読み、例題や練習問題にかける時間を増やす。重要そうな部分や苦手と感じる部分はマークする
・3周目以降
全範囲を勉強することを前提としつつ、重要論点や苦手分野に重きを置く
サイクルを回すごとに少しずつアウトプットや苦手分野の学習の優先順位を高めていくイメージです。
ステップ4|問題演習を繰り返す
インプットが完了した後はひたすら問題演習を繰り返します。
苦手論点や何度も間違えてしまった問題をスムーズに解けるぐらいまで仕上げるのが理想です。「基礎がついていない」「インプットが足りない」等と感じた場合はステップ3に戻ることも検討しましょう。
ステップ5|予想問題を解く
本試験の出題形式および難易度に慣れるため、予想問題(模擬試験)を解くための時間も確保する必要があります。本番の1ヵ月半~1ヵ月前には予想問題を解き始めるのが理想です。
予想問題を解く中で理解が甘い論点や苦手論点が発覚した場合は、テキストおよび基礎問題に戻って改めて学び直す必要があります。
日商簿記2級|独学で勉強する際のポイント
最後に、日商簿記2級の勉強を独学で進める際に押さえるべきポイントを3つ紹介します。
余裕をもったスケジュールを組む
独学の場合は自分のペースで自由に勉強が可能です。そのため短期間での合格を目指して余裕のないスケジュールを組もうとするケースもみられます。
しかし前述のように、日商簿記2級の独学は難易度が高いです。モチベーションが落ちる・疑問点の解消に時間がかかる等の理由から、スケジュールがズレてしまうケースは珍しくありません。
余裕のないスケジュールでは少しのズレがその後に大きく影響し、スケジュールの立て直しができなくなるリスクが高いです。独学で勉強時間を自由に設定できるからこそ、余裕のあるスケジュールを立てることを意識しましょう。
工業簿記・原価計算の勉強から始める
勉強の進め方に特別な決まりはありませんが、工業簿記・原価計算の勉強から始めることをおすすめします。工業簿記・原価計算から始めた方が良いといえる理由は以下の3つです。
・簿記3級では扱われない分野だからこそ早めに慣れる必要がある
・工業簿記・原価計算は苦手に感じる人が多く、商業簿記・会計学よりも必要な勉強時間が長くなる可能性が高い
・難易度自体はそれほど高くないため、早いうちに理解を深めておけば後の勉強が楽になる
工業簿記・原価計算は商業簿記・会計学と性質が異なるため苦手に感じる受験生が多いです。しかし簿記2級で初めて出題される分野ということで、難易度自体はそれほど高くありません。基礎的な内容をしっかり理解できれば得点源にできる可能性すらあります。
以上の理由から、工業簿記・原価計算から勉強を始めるのがおすすめです。
予想問題や模擬試験を多く解く
簿記2級の勉強を独学で進める場合、予想問題や模擬試験を多く解くことを意識する必要があります。
簿記2級の試験時間は90分で、試験のボリュームに比べて短い時間です。そのため最初のうちは適切な時間配分ができず時間が足りなくなるケースが多くみられます。
時間配分のコツを掴むには本試験の形式に慣れるのが一番です。しかし独学では問題演習や苦手論点の学習に時間を割きがちで、予想問題や模擬試験が後回しになりやすいです。
独学だからこそ、予想問題や模擬試験の時間を意識的に確保する必要があります。
あなたの「適正年収」を調べてみませんか?
簡単な質問に答えるだけで、一般的な会計事務所ならいくら提示されるのかを即座に算出。「今の適正額」はもちろん、「資格を取得したら年収はどう変わるのか?」など、あなたの現在地と未来の可能性を診断します。
日商簿記2級の独学合格は可能?-まとめ
日商簿記2級の独学は可能ではあるものの、予備校や通信講座を利用する場合よりも難易度が高いのも事実です。
しかし、自分のペースで勉強したい等の理由から独学が向いている人もいるでしょう。簿記2級の勉強を独学で進めるのであれば、独学ならではのポイントを押さえることが大切です。
簿記2級の独学は難しいとはいえ、独学で合格した人も多く存在します。すなわち、決して不可能・非現実的な選択肢ではありません。今回紹介した内容を押さえた上で計画的に勉強を進めていき、簿記2級の独学合格を実現させましょう。
高梨 茉奈(たかなし まな)
めざせ!TAX MASTER パーソナリティ









