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税理士登録に必要な実務経験を徹底解説!年数や業務内容とは?

公開日:2025/04/06

最終更新日:2025/04/06

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「税理士試験に合格=税理士になれる」ではありません! 実は、登録には実務経験や書類提出などの手続きが必要です。「実務経験2年」とは具体的に何を指すのか? 会計事務所、企業の経理部門、税務署勤務など、認められる業務とそうでない業務を解説します。

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税理士登録までに必要な手順は?

税理士として正式に活動するためには、税理士試験の合格だけでなく、税理士登録の手続きが必要です。主な手順は以下の通りです。

1.税理士試験の合格(または免除)
◦原則として、税理士試験の5科目合格が必要。
◦一定の要件を満たすと、一部科目免除が可能(大学院修了者など)。

2.実務経験の取得
◦税理士として登録するには、税務に関連する実務経験が求められる。

3.税理士会への入会
◦各都道府県の税理士会に入会しなければならない。

4.日本税理士会連合会への登録申請
◦必要書類を提出し、審査を受ける。

5.登録完了・税理士証票の交付
◦登録が完了すると、税理士証票が交付され、正式に税理士として活動できる。

税理士登録に必要な実務経験とは?

実務経験が必要な理由

税理士登録には、以下のいずれかの実務経験が必要とされています。

税理士業務に関する実務経験
 ◦税理士事務所(税理士法人含む)での勤務経験
 ◦会計事務所での税務関連業務
 ◦企業の経理部門での税務業務
 ◦国税庁・税務署での勤務経験

税理士試験免除者(大学院修了者)の実務経験
 ◦税理士試験の一部科目免除を受けた者(大学院で租税法や会計学を修了)も、一定の実務経験が必要。

実務経験が必要な理由

税理士は、企業や個人の税務申告や会計業務を扱うため、単なる試験の知識だけではなく、実務での対応力や税務手続きの経験が求められます。特に以下のような理由から、実務経験が必要とされています。

1.実際の税務業務を理解するため
 ◦納税者対応、税務調査、申告書作成などの実務を経験することで、理論だけでなく実際の業務を把握できる。

2.法改正や実務慣行に対応できるようにするため
 ◦税法は頻繁に改正されるため、最新の実務知識を身につけることが重要。

3.実務的な判断力を養うため
 ◦税務処理にはグレーゾーンも多く、実務経験を通じて適切な判断力を培う。

4.税理士業界のネットワークを作るため
 ◦実務経験を積む中で、先輩税理士や同僚とのつながりを作り、将来の開業や独立の助けとなる。

必要な実務経験の年数

2年以上の実務経験が必要とされています。(弁護士、会計士は除く)

実務要件はどのようにカウントする?

税理士登録に必要な実務経験(2年)は、日本税理士会連合会が定める基準に基づいてカウントされます。 「税務に関する業務」として認められる業務のみがカウントの対象になります。

カウント可能なもの

以下の業務は、税理士登録のための実務経験として認められます。

1. 税理士事務所・会計事務所での業務
・税理士や会計士のもとでの税務申告書の作成補助
・税務相談や顧客対応業務
・税務調査の立ち会い補助
・給与計算や年末調整業務
・法人税・所得税・消費税等の申告業務

2. 企業の経理・財務部門での税務関連業務
・企業の法人税・消費税・所得税に関する計算・申告業務
・決算書の作成(ただし、単なる帳簿入力作業のみではNG)
・税務調査への対応や税理士とのやりとり
・国際税務の対応(移転価格税制・海外子会社の税務管理など)

3. 税務署や国税庁での業務
・税務職員として法人税・所得税・消費税・相続税などの調査や指導業務
・税務行政の執行(課税・徴収など)

4. その他の税務業務
・租税に関する大学の研究・教育(教授・講師など)
・一定の公的機関(地方自治体の税務課など)での税務業務

カウントされないもの

以下の業務は、税理士登録の実務要件としてカウントされません。

1. 一般的な経理・会計業務
・日常的な仕訳入力や帳簿作成のみ
・単なる決算補助(税務申告に直接関係しないもの)

2. 税務と無関係な財務・管理業務
・予算管理や資金繰り
・経営企画や管理会計業務
・給与計算(年末調整などの税務処理を含まない場合)

3. コンサルティング業務
・経営コンサルティングや財務アドバイザリー(税務に関与しない場合)
・企業買収(M&A)支援業務で、税務計算や申告業務に携わっていない場合

4. その他の業務
・金融機関での融資業務
・ITシステム開発・管理(税務ソフトの導入支援などはNG)
・監査法人での監査業務(税務申告書作成に関与していない場合)

実務経験を証明する方法

税理士登録をする際に、実務経験を証明する書類の提出が求められます。具体的には、勤務先の税理士事務所や企業、官公庁などからの証明書を取得し、それを日本税理士会連合会に提出する必要があります。

証明に必要な書類

以下の書類が必要になります。

1. 実務経験証明書(税理士事務所・会計事務所・企業経理など)
「税理士業務従事(実務経験)証明書」(税理士会のフォーマットに沿ったもの)
・証明者(上司・代表者)の署名・押印が必要
・勤務期間、業務内容、勤務形態(フルタイム・パートタイムなど)が記載されていること
・申請者が関与した税務業務の詳細な記述(例:法人税・所得税・消費税申告、税務調査対応など)

2. 勤務証明書(在籍証明書)
・会社や事務所に在籍していたことを証明するもの
・勤務先の正式な社印・代表者印が必要
・在職期間が明記されていること

3. 雇用契約書または給与明細(必要に応じて)
・フルタイム・パートタイムの確認のために提出を求められる場合あり
・給与支払明細書や源泉徴収票などで雇用関係を証明する

4. 業務の詳細が分かる書類(必要に応じて)
・企業での税務申告書のコピー(自身が関与している証明として)
・税理士事務所でのクライアント向け税務資料(個人情報に配慮した形)

事務所からの証明書の取得方法

証明書をスムーズに取得するためには、以下の手順で進めるのがよいでしょう。

1. 勤務先の上司・代表者に依頼する
現在の勤務先の場合
 ◦ 上司や事務所の税理士に、税理士登録のために実務経験証明が必要であることを伝える
 ◦証明書のフォーマットを用意し、スムーズに記入してもらえるようにする
退職済みの勤務先の場合
 ◦退職後でも証明書を依頼できるか確認
 ◦可能であれば、電話やメールで事務所の担当者に連絡し、必要な書類を依頼

2. 書類を整え、税理士会に提出
・書類がそろったら、日本税理士会連合会または所属予定の税理士会に提出
・書類の不備がないか事前に確認する

実務要件がなくても登録できる場合は?

通常、税理士登録には 2年以上の実務経験 が必要ですが、特定の資格を有する者は実務経験なしで登録可能 です。その例として、弁護士公認会計士 が挙げられます。

弁護士及び弁護士となる資格を有する者

対象者
資格を有する者
司法試験合格後、司法修習を修了し、弁護士となる資格を有する者(弁護士登録していなくても可)

免除される理由
弁護士法 により税務業務を行うことが認められているため、別途実務経験を要しない。
租税訴訟や法律業務 で税務関連の知識を活かすことができるため。

必要書類
・司法試験合格証明書
・司法修習修了証明書(修了者のみ)
・日本弁護士連合会の弁護士登録証明書(登録済みの場合)

公認会計士及び公認会計士となる資格を有する者

対象者
公認会計士試験に合格し、公認会計士登録をしている者
公認会計士試験に合格し、3年間の実務補習を修了し、公認会計士となる資格を有する者(公認会計士登録前でも可)

免除される理由
会計監査業務や財務業務に精通 しており、税理士業務との関連が深い。
法人税・所得税・消費税などの税務知識が公認会計士試験で十分に問われる ため。

必要書類
・公認会計士試験合格証明書
・公認会計士登録証明書(登録済みの場合)
・日本公認会計士協会の実務補習修了証明書(未登録者の場合)

実務要件を得ることが出来るキャリアは?

税理士登録には 2年以上(試験免除者は3年以上) の税務実務経験が必要です。この経験を積めるキャリアには、BIG4、特化型会計事務所、個人会計事務所、一般事業会社、コンサルティングファーム などがあり、それぞれ特徴があります。

① BIG4(PwC、KPMG、EY、Deloitte)

実務経験を得られる可能性:高い
・BIG4の税務部門(Tax部門) に所属すれば、税理士業務に関与できる。
・国際税務、移転価格、M&A税務など高度な税務知識を習得可能。
法人税・所得税・消費税の申告書作成、税務調査対応 などの業務に従事できれば、実務要件を満たす。

注意点
監査部門(Audit)やアドバイザリー部門では実務経験にならない。
・M&A・財務コンサル部門は税務業務に関与しないケースがある。

おすすめの職種
Tax部門(法人税・所得税・消費税に関与)
国際税務(クロスボーダーの税務申告・移転価格対応)
タックスコンプライアンス(税務申告サポート業務)

② 特化型の会計事務所(税務特化型事務所・資産税専門事務所)

実務経験を得られる可能性:非常に高い
・資産税(相続税・贈与税)、事業承継、国際税務など、特定分野に特化した事務所での業務経験も実務要件として認められる。
法人税、所得税、消費税、相続税申告の実務経験が確実に得られる。
・顧客対応、税務調査立ち会いなど、税理士実務の実践経験を積みやすい。

注意点
・分野特化型の場合、特定の税目に偏る可能性がある(例:相続税専門だと法人税経験が少ない)。
・一般の会計業務(記帳代行など)ばかりやらされると、実務要件を満たさない可能性もある。

おすすめの職種
資産税専門税理士(相続・贈与税特化)
国際税務専門税理士
事業承継税制アドバイザー

③ 個人会計事務所(中小規模の税理士事務所)

実務経験を得られる可能性:非常に高い
・中小企業・個人事業主向けの税務申告業務が中心。
・記帳代行、決算業務、申告書作成、税務調査対応など、一連の税務業務を経験できる。
・代表税理士の直接指導 を受けながら税務業務を学べる。

注意点
・記帳代行や年末調整などの補助業務ばかりでは、十分な税務経験が積めない。
・事務所によっては、最新の税務知識や高度な税務スキルを学ぶ機会が少ない。

おすすめの職種
税理士補助業務(法人税・所得税の申告業務を行うポジション)
決算・税務申告担当者

④ 一般事業会社(企業の経理・財務部門)

実務経験を得られる可能性:企業による
・企業の経理部門で法人税・消費税の申告業務 に関与すれば、税理士登録の実務要件を満たせる。
・税務担当のポジションなら、法人税・消費税申告書の作成、税務調査対応、税効果会計業務 などの経験を積める。

注意点
税務に直接関与しない経理業務(記帳、資金繰り、管理会計など)は実務要件に含まれない。
給与計算や単なる仕訳業務のみではカウントされない。
企業の規模によっては、税務申告を外部の税理士に委託しており、実務経験が得られないこともある。

おすすめの職種
税務担当(法人税・消費税の申告業務を担当)
決算・税務申告チームのスタッフ

⑤ コンサルティングファーム(税務業務に関与する場合)

実務経験を得られる可能性:低め(例外あり)
税務コンサルティング業務に従事すれば、実務要件を満たす可能性がある。
・M&Aや事業再生の税務デューデリジェンス(税務リスク分析) に関与すると、税務業務の経験と認められることもある。

注意点
・一般的な経営コンサルティング、財務アドバイザリー業務 は税務業務と認められない。
税務申告業務に直接関与していないと、実務要件として認められない。
・BIG4のFAS(財務アドバイザリー)や戦略コンサルでは、実務経験とみなされない場合が多い。

おすすめの職種
M&A税務デューデリジェンス担当
移転価格税制アドバイザー
表にまとめると、以下の様になります。

キャリア 実務経験を得られる可能性 特徴
BIG4(Tax部門) ✅ 高い 国際税務・法人税・消費税・M&A税務など専門性が高い
特化型会計事務所 ✅ 非常に高い 資産税や国際税務など特定分野の専門知識を習得可
個人会計事務所 ✅ 非常に高い 税務申告業務を一通り経験可能
一般事業会社(経理・税務) ⚠️ 条件付き 法人税・消費税申告に関与すればOK
コンサルティングファーム ❌ 低い 一般的なコンサル業務では認められないが、税務デューデリなら可


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税理士登録に必要な実務経験 -まとめ

この記事では、税理士の実務経験について解説しました。
この記事が皆様のお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

税理士 平川 文菜(ねこころ)

税理士|熊本出身|2018年京都大学卒業| 在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。