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公開日:2025/05/09
最終更新日:2025/05/10

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事業承継は、企業の未来を左右する非常に重要なプロセスです。しかし、計画的に進めるためには専門的なサポートが必要です。そこで、事業承継コンサルタントの役割が注目されています。コンサルタントは、経営権の移行から後継者の育成、さらには税務や法務の対策まで、幅広いサポートを提供します。適切なコンサルタント選びが事業承継の成功を左右するため、選定には慎重を期すべきです。
本記事では、事業承継コンサルタントの選び方や信頼できるコンサルタントを見極めるポイントを詳しく解説します。
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事業承継コンサルタントとは?
事業承継コンサルタントは、企業や事業のオーナーが次世代に事業を引き継ぐ過程を支援する専門家です。この役割は、オーナーシップの移行や経営権の継承に関わる戦略的なアドバイスや実務的なサポートを提供します。事業承継は経営の継続性を保つために重要なプロセスであり、単なる経営権の移譲だけでなく、組織の文化やビジョンを次世代に伝えることが求められます。
事業承継コンサルタントの役割
・承継計画の策定: 事業承継のプロセスを計画的に進めるための戦略を立てます。具体的には、どのタイミングでどのように事業を引き継ぐのか、後継者選定やその育成方法、財務面での調整を行います。
・後継者選定と育成: 後継者を選定し、育成するためのプランを策定します。経営者として必要なスキルや知識を持つ人物を見つけ、その人物が企業文化を引き継げるようにサポートします。
・税務・法務対策: 事業承継における税負担や法的な問題を解決するために、最適な税務戦略や法的手続きのアドバイスを行います。例えば、贈与税や相続税を軽減する方法についてのアドバイスを提供します。
・経営の引き継ぎ: 経営ノウハウやビジョンを引き継ぐための支援を行います。後継者が企業の経営方針を理解し、引き継いだ後にスムーズに経営を進められるように支援します。
・ファイナンシャルプランニング: 事業承継後の企業の資金調達や運営資金の確保に関して、適切なプランニングを行います。
なぜ事業承継コンサルタントが必要なのか
1.事業承継の難しさ: 事業承継は感情的にも複雑なプロセスです。特に中小企業の場合、オーナーが直接経営していることが多く、後継者選定や企業文化の維持が難しいです。専門的な支援がなければ、事業の引き継ぎがスムーズにいかないこともあります。
2.後継者の育成不足: 後継者がまだ経営経験が浅い場合、専門的なサポートが必要です。事業承継コンサルタントは後継者の教育や経験を積ませるためのプランニングをサポートします。
3.税務や法務の複雑さ: 事業承継に伴う税務や法的手続きは非常に複雑です。これらを正しく理解し、適切な対策を講じることができるのは事業承継の専門家であるコンサルタントの役割です。
4.企業の持続的成長: 事業承継を成功させることで、企業の持続的な成長を確保できます。事業承継コンサルタントは、その成長を維持するために必要な戦略を提供します。
5.経営権の安定性: 後継者がしっかりと経営権を引き継ぐためのサポートを行うことで、企業の経営が安定し、継続的な発展が可能になります。
事業承継コンサルタントは、企業が次世代に経営を引き継ぐ際に重要な役割を果たし、企業の存続と成長をサポートします。
事業承継コンサルタントが提供するサービス
経営支援とコンサルティング
・経営戦略の見直し: 事業承継の際に企業の経営戦略を見直し、現状分析を行います。これにより、今後の経営方針を後継者と共有し、実行可能なビジョンを提供します。
・業務プロセスの改善: 経営の効率化や生産性向上のために業務プロセスを改善するための提案を行います。後継者が引き継いだ際にスムーズに運営できるよう、業務の改善をサポートします。
・財務アドバイザリー: 事業承継に伴う財務面のアドバイスを行い、負担が過度にならないように財務構造を見直します。特に事業承継後の資金調達やキャッシュフロー管理についての支援が重要です。
・組織運営のアドバイス: 後継者が企業を運営するための組織運営やリーダーシップに関する助言を行います。新しい経営者が実務をスムーズに行えるように、役割分担や組織文化を調整します。
後継者育成とサポート
・後継者選定: 適切な後継者を選定するために、現経営者とともに後継者候補の評価を行います。選定においては、経営に必要なスキルやリーダーシップを持つ人物を見極めます。
・育成プランの策定: 後継者が経営者として成功するためのトレーニングプログラムや教育計画を作成します。これには、経営スキル、財務知識、人材育成スキルなどが含まれます。
・実務経験の提供: 後継者が実際に企業運営に関わりながら、経営に必要な経験を積むことができるよう、実務に携わる機会を提供します。
・メンタリングとサポート: 後継者が経営を引き継ぐ過程で直面する課題に対して、メンタリングやサポートを行います。これにより、後継者が自信を持って経営に取り組めるよう支援します。
株式・株の管理と対策
・株式の評価と承継計画: 事業承継に伴う株式の評価を行い、後継者への株式移転計画を立てます。この際、企業の価値を正確に把握し、適切な価格で株式が譲渡されるようにします。
・贈与・相続税対策: 事業承継時に発生する可能性のある贈与税や相続税の負担を軽減するために、適切な税務対策を講じます。具体的には、株式の分割や贈与のタイミング、相続税の対策方法などを提案します。
・株式の移転手続き: 株式譲渡に伴う手続きや法的なアドバイスを行います。後継者が株式を受け継ぐ際の手続きが円滑に進むよう、法的なアドバイスを提供します。
・オーナーシップの分散や管理方法: 企業がオーナーシップを分散している場合、株主間での合意形成や調整を行い、円滑な株主管理を支援します。また、企業におけるオーナーシップの移行に伴うストラテジーも提供します。
事業承継の成功事例
・株式会社ニトリ(日本)
◦概要: ニトリは、日本の家具業界で有名な企業です。創業者の似鳥昭雄氏から後継者である次男に事業を引き継ぐ過程で、継承の成功例として注目されています。
◦成功のポイント:
・後継者の育成: 事業承継前から、次男は現場経験を積みながら経営手腕を学び、実務に携わる機会が多かったことが重要な要因です。
・独自の経営戦略: 創業者の経営理念を引き継ぎつつ、次世代の市場や消費者動向に合わせた経営戦略を導入しました。特に、商品の質と価格帯の両立を目指し、低価格で高品質な商品を提供し、広く認知されました。
・企業文化の維持: 創業時の企業文化を維持し、企業内の風土や理念を次世代のリーダーにしっかりと引き継ぎました。
・トヨタ自動車(日本)
◦概要: トヨタ自動車は、創業者の豊田喜一郎氏から現在の社長である豊田章男氏に事業が引き継がれました。トヨタは、グローバル企業として、事業承継が非常に注目される事例の一つです。
◦成功のポイント:
・家族経営からのプロ経営者への移行: 初期の家族経営から、専門知識を持つプロ経営者に経営を移行させる過程で、外部の経営者を導入し、経営のプロフェッショナリズムを高めました。
・イノベーションと技術革新の継承: 技術革新や生産性向上を重視し、後継者が前社長の理念を引き継ぎつつ、新しい技術の導入やグローバル展開を加速させました。
・経営の透明性と管理体制の強化: 事業承継と同時に、経営の透明性を高め、ガバナンス体制を強化することで、信頼性のある経営を実現しました。
事業承継の流れと手続き
事業承継には計画的なアプローチと複数の段階が関与します。事業承継をスムーズに行うための基本的なステップを以下に説明します。
事業承継の基本ステップ
・現状分析と目標設定: 企業の現状(財務状況、業績、組織構造など)を分析し、事業承継の目標を設定します。
・後継者選定と育成計画: 事業を引き継ぐ後継者を選定し、その後継者に必要なスキルや経験を積ませるための育成計画を策定します。
・承継方法の選択: 株式譲渡、贈与、売却、相続など、どの方法で事業を承継するかを決定します。
・税務対策と資産整理: 事業承継に伴う税負担を軽減するために、税務対策や資産の整理を行います。
・法的手続きの実施: 承継計画に基づいて、必要な法的手続きを行います。契約書の作成や株式譲渡の実施などが含まれます。
・事業承継後のサポート: 事業承継後に、後継者を支援し、スムーズに経営が引き継がれるようにフォローアップを行います。
税務対策と法律面の注意点
1. 税務対策
・贈与税・相続税対策: 事業承継において、贈与税や相続税が発生する可能性があります。税負担を軽減するために、株式の分割や生前贈与などの方法を検討します。これにより、相続税の負担を減らし、後継者にスムーズに事業を引き継げます。
・特例措置の活用: 例えば、事業承継税制を活用することで、一定の条件を満たす場合に税負担を軽減できます。これには、事業承継の際に一定の期間内に後継者に株式を譲渡するなどの条件があります。
・事業承継前の準備: 事業承継に備えて、事業の評価や贈与のスケジュールを事前に整理し、税負担を最小限に抑える方法を計画的に進めます。
2. 法律面の注意点
・契約書の作成: 事業承継の過程で、株式譲渡契約書や売買契約書など、必要な契約書をしっかりと作成します。これにより、後々のトラブルを避けることができます。
・商法や会社法の遵守: 株式譲渡や事業承継に関する手続きが法的に正しいものであることを確認します。特に、会社法や商法の規定に従う必要があります。
・知的財産権の管理: 企業が保有する知的財産権(特許、商標、著作権など)の承継についても、適切な手続きを行うことが求められます。
・従業員の取り扱い: 従業員の雇用契約や福利厚生など、事業承継後の労働条件についても整備する必要があります。
事業承継コンサルタントの選び方
事業承継は企業にとって重要な決断であり、適切なコンサルタントを選ぶことがその成否を左右します。事業承継コンサルタントを選ぶ際には、以下のポイントと注意事項を押さえることが重要です。
選ぶ際のポイントと注意事項
・専門知識と経験
◦専門性: 事業承継に関する深い専門知識を持っていることが最も重要です。税務、法務、財務、経営戦略など、事業承継には複数の分野の知識が必要です。コンサルタントがこれらの分野に精通しているかどうかを確認しましょう。
◦実績: 事業承継に関する実績が豊富なコンサルタントを選びます。過去に成功事例を多数手掛けている場合、そのノウハウを活かして、よりスムーズな事業承継が実現できます。
・コミュニケーション能力
◦事業承継は経営者の意向や企業文化、後継者の特性を反映させるため、コンサルタントと経営者、後継者との良好なコミュニケーションが不可欠です。コンサルタントが親身に意見を聞き、共感し、適切なアドバイスを提供できるかを重視します。
◦コンサルタントの説明がわかりやすく、質問に対して十分に応答してくれるかどうかも大切なポイントです。
・アプローチと柔軟性
◦オーダーメイドの提案: 各企業は状況が異なり、標準的な方法で事業承継を進めることは難しいため、コンサルタントが企業ごとにカスタマイズしたアプローチを提供できるかどうかを確認します。
◦柔軟な対応: 事業承継は進行中に予期せぬ問題が発生することもあります。コンサルタントがその状況に柔軟に対応し、最適な解決策を見つけられるかが重要です。
・費用とサービス内容の明確さ
◦コンサルタントの料金体系が明確であることも選ぶ際の大事なポイントです。事業承継は長期間にわたる場合が多いため、予算に合わせて適切な料金設定がなされているかを確認します。
◦追加費用や予想外のコストが発生しないよう、事前にサービス内容と費用について十分に話し合い、明確にしておくことが重要です。
・信頼性と評判
◦評判や口コミ: 事業承継コンサルタントの評判を事前に調べ、過去に成功したクライアントのフィードバックを参考にすることが有益です。信頼できる人からの紹介や口コミがあれば、信頼性が高いと考えられます。
◦認定資格や業界団体の所属: 事業承継コンサルタントが業界団体に所属していたり、専門的な資格を有している場合、より信頼性が高いと評価できます。
信頼できるコンサルタントの見極め方
・実績と事例を確認する
◦事業承継を実際に成功させた事例を求め、その実績に基づいたアプローチを説明できるコンサルタントは信頼できます。過去のクライアントの成功事例を教えてもらい、その事例が自社に適応可能かどうかを確認します。
・第三者からの推薦や紹介を重視する
◦他の経営者やビジネスパートナーからの推薦を受けたコンサルタントは信頼できる可能性が高いです。また、弁護士や会計士など他の専門家から紹介されたコンサルタントも信頼度が高いです。
・契約書や提供サービスの明文化
◦コンサルタントが提供するサービス内容を明確に書面で提供しているかどうかも信頼性を見極めるポイントです。業務内容、料金体系、期間などが契約書でしっかりと明文化されていると安心です。
・透明性と誠実さ
◦コンサルタントが、企業の状況や後継者の特性に基づいて誠実にアドバイスを提供しているかを観察します。必要ないサービスを勧めるのではなく、実際のニーズに基づいて合理的な提案をしているかが重要です。
・柔軟性と対応力
◦事業承継には予期しない問題が生じることがあります。その際に、柔軟に対応し、問題解決に向けて最善の方法を提案できるコンサルタントは信頼に値します。対応力を見極めるために、過去のクライアントとのコミュニケーションやフォローアップがどのように行われていたかも確認すると良いでしょう。
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まとめ
この記事では事業承継コンサルタントについて解説させていただきました。
この記事がお役に立てば幸いです。

税理士 平川 文菜(ねこころ)