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公開日:2026/02/09
最終更新日:2026/02/09
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会計事務所の現場におけるAI活用は、これまで「調べ物」や「文章作成」が中心でした。しかし、Anthropic社が発表した新機能「Claude Cowork」とそこに結合されたFinanceプラグインの登場により、会計事務所や経理の現場における月次決算の自動化が一気に進む可能性を秘めています。
AIは「相談相手」から、会計ソフトやExcelを自ら操作し、経理業務を完結させる実務担当者へと進化しようとしています。本稿では、発表されたばかりのClaude CoworkのFinanceプラグインが、会計事務所の月次決算業務をどう自動化し、変革していくのかを解説します。
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Claude CoworkとFinanceプラグインとは?
Claude Coworkは、Anthropic社が新たに提供を開始した自律型AIエージェントの実行基盤です。
Claude Coworkが画期的なのは、その自律性にあります。 従来のチャットボット型のAIはあくまで「対話」するためのツールであり、実務を行うには人間がその回答をコピー&ペースとするなどの工程が必須でした。
対してClaude Coworkは、ユーザーの許可に基づき、PC上のフォルダや業務アプリケーションにAIが直接アクセスし、操作を実行するための環境です。AI自身がタスクの手順を計画し、ファイルを編集したりシステムに入力したりする「自律的な動き」が可能になります。
ここに、今回同時発表された公式拡張機能「Financeプラグイン」を組み合わせることで、Claudeは会計・財務の専門スキルを実行できるようになります。まさに、事務所にデジタルな実務経験者が一人入社してくるような感覚と言えるでしょう。PCを操作する基盤(Cowork)と専門知識(Financeプラグイン)が組み合わさることで、初めて経理業務の完全な自動化が実現します。
新機能で何ができる?5つの標準スキル
Financeプラグインの導入により、複雑な指示文(プロンプト)を考える必要はなくなりました。あらかじめ実装された以下の「専用コマンド」を入力するだけで、AIは専門家レベルの処理を淡々と遂行します。
以下はFinanceプラグインに備わっている5つの標準スキルです。
・仕訳の自動起票 (/journal-entry)
発生主義に基づいた仕訳はもちろん、固定資産の減価償却、前払費用の按分、給与仕訳などを、借方・貸方の整合性を保ったまま自動で作成します。
・残高照合・突合 (/reconciliation)
通帳と帳簿の突き合わせや、補助簿との照合といった「消込作業」を自動化します。AIは差異(アンマッチ)だけを特定して報告するため、人間は判断業務に集中できます。
・月次推移・P/L生成 (/income-statement)
単なる集計ではありません。前月比や前年同月比などの比較分析を加えた損益計算書を生成し、異常値がないかの一次チェックまで済ませてくれます。
・予実・差異分析 (/variance-analysis)
「なぜ予算と乖離したのか?」その要因(ドライバー)をAIがドリルダウン分析。クライアントへ報告するためのレポート原案まで作成します。
・内部統制対応 (/sox-testing)
SOX法(内部統制)に基づく監査手続を支援。テスト調書やワークペーパーの作成を補助し、監査対応の工数を大幅に削減します。
MCPが実現する会計ソフトとの連結
特筆すべきは、Anthropic社が提唱するMCP(Model Context Protocol)という新しい接続規格です。 これは、Claudeを外部システムと安全に「直結」させるための技術です。
これまで、AIにデータを渡すには「CSVをダウンロードして貼り付ける」手間が必要でした。しかし、MCPに対応したClaudeは、マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計、あるいはNetSuiteなどのERPと直接通信することができます。
FinanceプラグインはこのMCP技術を利用して、会計ソフト内の最新データをリアルタイムに取得し、経理業務の自動化を実行します。面倒なデータ移行をゼロにするこの仕組みこそが、次世代のスタンダードです。
現場はどう変わる? 月次決算の新しいフロー
この技術が浸透すれば、会計事務所の月次業務は劇的に効率化されます。
【Before】
通帳と仕訳を一明細ずつ目で追い、入力ミスを探す日々。
【After】
/reconciliation で突合は一瞬。人間はAIが報告してきた「不明明細」を確認するだけ。
【Before】
試算表ができた後、慌てて異常値を探し、報告資料を作る。
【After】
/variance-analysis により、試算表の完成と同時に「分析レポート案」がすでに手元にある。
「集計・転記・チェック」といった単純作業はAIが担い、職員は「AIの成果物の承認」と「顧問先への提案」に注力する。これがこれからの月次決算フロートなっていく可能性を秘めています。
税務担当者に求められる「ガバナンス」という能力
経理業務のAI自動化が進む中で、担当者の役割は「作業者」から「監督者」へとシフトします。そこで重要になるのがガバナンス能力です。
・プロセスの承認: Claude Coworkは重要な処理の前に、必ず人間の承認を求めます。その処理が税務的に適正か、プロの目でジャッジする能力が問われます。
・監査証跡の確保: AIが「なぜその仕訳を切ったのか」。その根拠(Audit Trail)を確認し、税務調査に耐えうる透明性を担保するのは、人間の責任です。
単純作業を自律型AIに任せ、人間は人間にしかできない付加価値業務へシフトする。この体制をいち早く構築できるかどうかが、今後の事務所経営のポイントとなるでしょう。
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Claude CoworkのFinanceプラグインで会計実務はどう変わるのか -まとめ-
Claude CoworkとFinanceプラグインの登場は、会計実務における一つの到達点と言えます。 これまで多くの時間を奪っていた「転記」「集計」「突合」といった単純作業は、自律型AIが担う領域へと完全に移行します。
しかし、これは会計事務所にとって決して脅威ではありません。むしろ、業界全体の課題である慢性的な人手不足を解消し、職員を「人間にしかできない付加価値業務」――すなわち、高度な税務判断や経営者への伴走支援へとシフトさせる絶好の機会です。
AIを恐れるのではなく、頼れる「同僚」としてチームに迎え入れること。そして、AIが処理した数字を正しく監督(ガバナンス)する体制を整えること。 この変革にいち早く踏み出した事務所こそが、これからの時代に顧客から選ばれるパートナーとなるでしょう。
加藤慧大
株式会社ミツカルプロフェッショナル 代表取締役社長









