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公開日:2026/02/20
最終更新日:2026/02/20
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簿記1級(日商簿記検定1級)では上場企業や大会社の会計処理、経営管理、経営分析等に必要な知識を問われます。求められるレベルが高い分、簿記1級は高度な会計知識を有する旨の証明につながります。そのため、簿記1級の取得が就職に有利であるのは事実といえるでしょう。
ただし、「簿記1級を取得すれば就活が上手くいく」は誤りです。高度な資格を取得していても、就職活動の進め方や求人の選び方によっては納得のいく就活ができない恐れがあります。
今回は簿記1級を活かせる就職先の例や、就職活動の失敗を防ぐために押さえるべき注意点などを解説します。
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前提|簿記1級はどのような資格?
はじめに、簿記1級がどのような資格であるかを紹介します。
簿記1級のレベル
簿記1級は経営管理や経営分析を行うために求められるレベルです。
2級までの知識を前提としつつ、新たに連結会計や特殊な会計取引、意思決定・経営戦略の策定に関する範囲も出題されます。上場企業や大会社の経理に必要な知識が問われるといえるでしょう。
直近5年分の合格率
続いて、直近5年分(2021年~2025年)の簿記1級の合格率を紹介します。
| 開催時期 | 合格率 |
| 2025年11月(171回) | 15.2% |
| 2025年6月(170回) | 14.0% |
| 2024年11月(168回) | 15.1% |
| 2024年6月(167回) | 10.5% |
| 2023年11月(165回) | 16.8% |
| 2023年6月(164回) | 12.5% |
| 2022年11月(162回) | 10.4% |
| 2022年6月(161回) | 10.1% |
| 2021年11月(159回) | 10.2% |
| 2021年6月(158回) | 9.8% |
出典:1級受験者データ(統一試験)|商工会議所の検定試験
合格率は10~17%程度です。2022年頃までは10%前後でしたが、近年は合格率が15%を超える回もいくつか見受けられます。
実質的には相対評価の試験
簿記1級の合格基準は全体で70%以上かつ1科目ごとの得点が40%以上です。しかし直近5年分の合格率に大きな変動はありません。開催回によって多少の変動はあるものの、10~17%の範囲に収まっています。
以上を踏まえると簿記1級は上位10~17%が合格者となるよう調整されていると考えられます。すなわち合格基準の定めはあるものの、実質的には相対評価の試験といえるでしょう。
勉強時間の目安
簿記1級の合格に必要な勉強時間の目安は700~1,000時間程度です。平日3時間、休日に5時間の勉強時間を続けたとしても半年以上はかかります。
参考として、会計関連の難関資格や簿記2級までの勉強時間の目安を紹介します。
| 資格 | 勉強時間の目安 |
| 日商簿記検定3級 | 80~150時間 |
| 日商簿記検定2級 |
簿記初学者:300~500時間 簿記3級の知識がある:150~250時間 |
| 全経簿記検定上級 | 500~700時間 |
| 税理士試験 |
簿記論・財務諸表論:400~600時間 法人税法・所得税法・相続税法:500~700時間 消費税法:200~300時間 その他:150~250時間 合計:3,000時間程度 |
| 公認会計士試験 |
短答式試験:1,000~1,500時間 論文式試験:1,500~2,000時間 |
上記5つのうち特に簿記1級と比較されることが多い資格は、全経簿記検定上級と税理士試験の簿記論です。全経簿記検定上級の勉強時間の目安は500~700時間、簿記論の勉強時間の目安は400~600時間と、いずれも簿記1級よりは少なめといわれています。
必要な勉強時間は人によるため一概にはいえないものの、簿記1級は会計関連の難関資格の中でも特に多くの勉強時間を要するといえるでしょう。
簿記1級は就職に有利!転職市場での高評価を期待できる
結論として、簿記1級が就職に有利であるのは事実です。就職に有利といえる理由として以下の3つが挙げられます。
・上場企業や大会社の経理、経営管理・経営分析等に必要な会計知識を有する旨を証明できる
・簿記1級を取得しているという事実が「目標に向けて努力を継続できる」「資格取得に向けて長期間にわたる勉強を続けた」ことの証明になる
・公認会計士や税理士等、より高度な資格への登竜門としての位置づけでもあるため、さらなるステップアップにもつながる
日商簿記検定は知名度が高く、2級を取得している時点で就職・転職に有利といわれています。簿記1級を取得していれば上場企業や大会社を含む多くの求人で高評価を得られるでしょう。
簿記1級を活かせる就職先の例
続いて、簿記1級を活かせる就職先の例を紹介します。
上場企業や大会社の経理・財務部門
上場企業や大会社の経理・財務部門では、簿記1級の勉強を通じて得た知識を仕事に直接活かせます。
非上場企業や中小企業に比べて、上場企業や大企業の経理・財務部門ではさらに高度な会計知識が必要です。実務だけで身につけるのは難しい部分も多いため、入社時点である程度の会計知識が求められます。
1つ下の級である簿記2級でも、上場企業や大企業で求められる会計知識を扱います。しかし上場企業や大企業の経理・財務職において、簿記2級は最低限必要なレベルです。「簿記2級があれば有利」というよりは、「簿記2級がなければ応募できない」イメージです。
簿記1級は非常に難易度が高く、会計業界や上場企業等の経理職でも取得していない人は珍しくありません。そのため上場企業や大会社の経理・財務部門への就職・転職活動で、簿記1級を明確なアピールポイントとして活用できます。
なお上場企業や大企業では、簿記1級を必須要件とする求人も存在します。簿記1級の取得によって応募できる求人の選択肢が増えるという意味でも、資格を取得するメリットは大きいといえるでしょう。
管理会計・経営企画
管理会計とは業績管理や意思決定などに活用する目的で社内向けに行う会計です。社内向けである管理会計と反対に、社外の利害関係者への報告を目的とした会計は財務会計といいます。
経営企画は企業の中長期的な経営戦略や事業戦略の策定等を行う職種です。経営層の意向を基に経営戦略等の立案を行うほか、具体的な行動計画に落とし込んで各部署へ周知する役割も担います。
管理会計および経営企画はいずれも意思決定や経営戦略に深く関係する仕事です。経営の根幹に関わる仕事であるため高いスキルが求められます。
そして前述のように、簿記1級では経営管理や経営分析を行うために必要なレベルの知識が問われます。すなわち簿記1級の勉強を通じて身につく知識は、管理会計や経営企画の仕事で直接活かせる可能性が高い
CFO候補ポジション
CFO(最高財務責任者)とは名前の通り財務面における最高責任者を意味する言葉です。経理・財務部門のトップというよりは、企業経営を財務面から支えるポジションであり、経営陣の一員でもあります。
CFOは経営陣であるため、外部から採用した人をいきなりCFOに就任させることは多くありません。しかし近年は高度な会計人材をCFO候補として採用し、経営陣に近いポジションで責任ある仕事を任せるケースも増えています。
財務の最高責任者という役割上、通常の経理・財務部門の担当者よりも高度な会計知識が求められます。そのため簿記1級の知識を活かせる場面も多いでしょう。
会計事務所
会計事務所とは会計や税務サービスの提供を専門とする事務所や法人の俗称です。税理士事務所や税理士法人、広義では監査法人も会計事務所に含まれます。
会計事務所で提供するサービスの性質上、会計事務所で働くには高度な会計知識が必要です。特に上場企業や大企業をクライアントとする会計事務所では、簿記1級の範囲である会計処理を日常的に扱う可能性もあります。
したがって、会計事務所への就職・転職でも簿記1級を活かせる可能性が高いです。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームとはクライアントの経営課題の解決に向けたアドバイスやサポートを行う組織です。業界や専門によって以下のように複数の種類に分けられます。
・総合
・戦略系
・会計系
・財務アドバイザリー(FAS)
・企業・事業再生
・組織・人事系
このうち会計系、FAS、企業・事業再生コンサルティングファームでは高度な会計知識が必要です。クライアントの現状分析や経営課題の把握をするためには細かな財務分析が必要であるため、会計の知識をもつ人材が求められます。
以上の理由から、会計系、FAS、企業・事業再生コンサルティングファームでも簿記1級を活かせる可能性が高いです。
注意|「簿記1級を取得している=就活が上手くいく」ではない
これまで紹介したように、簿記1級が就職に有利といえるのは事実です。特に前章で紹介した就職先であれば、転職活動での高評価や、簿記1級の知識を仕事で直接活かせるといった効果を期待できます。
しかし、「簿記1級を取得している=就活が上手くいく」ではありません。簿記1級をもっているという事実だけでは、就職活動が成功するとは限らないのです。
簿記1級を活かしつつ納得のいく就職活動を実現させるために押さえるべき注意点として以下の3つが挙げられます。
・自分の知識や経験を活かせる求人を選ぶ
中小企業や個人事務所等は高度な会計知識が不要で、簿記1級の知識を活かしきれない可能性があります。簿記1級を活かしたいのであれば、高度な会計知識が求められる求人を選びましょう
・自分のやりたい仕事に合わせた求人を選ぶ
一口に高度な会計知識が求められる職場といっても、仕事内容はそれぞれ異なります。自分のやりたい仕事に合わせて求人を選ぶことが大切です
・会計知識以外に求められるスキルも考慮する
求人によっては、一定以上の語学力や別の資格、特定の実務経験なども求められます。求人を入念に確認し、求められる要素と自分のスキルが一致しているか考慮しましょう
あなたの「適正年収」を調べてみませんか?
簡単な質問に答えるだけで、一般的な会計事務所ならいくら提示されるのかを即座に算出。「今の適正額」はもちろん、「資格を取得したら年収はどう変わるのか?」など、あなたの現在地と未来の可能性を診断します。
簿記1級取得者の就職‐まとめ
簿記1級は高度な会計知識を証明する資格です。そのため簿記1級を取得しているという事実は転職活動での高評価につながり、就職に有利といえるでしょう。
今回、簿記1級の知識を活かせる就職先として以下の例を挙げました。
・上場企業や大会社の経理・財務部門
・管理会計・経営企画
・CFO候補ポジション
・会計事務所
・コンサルティングファーム
仕事で簿記1級相当の会計知識を求められる場面もあるため、即戦力として活躍できる可能性もあります。
ただし、簿記1級をもっているという事実だけでは、就職活動が成功するとは限りません。納得のいく就職活動を実現するためには「簿記1級を活かせるか」「簿記1級が高評価につながるか」だけでなく、以下の注意点も押さえる必要があります。
・自分の知識や経験を活かせる求人を選ぶ
・自分のやりたい仕事に合わせた求人を選ぶ
・会計知識以外に求められるスキルも考慮する
今回紹介した内容を、ぜひ就職活動に活かしてください。
加藤慧大
株式会社ミツカルプロフェッショナル 代表取締役社長









