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税理士に向いている人・向いていない人とは?必要なスキルも紹介

2024/11/15

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税理士試験の勉強やキャリア構築に取り組む前に、自分が税理士に向いているかどうかを知っておくと時間を有効に使えます。本記事では税理士に向いている人の具体的な特徴に加え、向いていない人の特徴や必要とされるスキルも解説いたします。

税理士に向いている人の特徴

税理士は試験合格後も勉強し続け、知識のアップデートを行い、最新情報を元にお客様に提案、還元していかなくてはなりません。このような業務が継続できる人の特徴として下記のようなものが挙げられます。

コミュニケーション力がある

税理士は数字を追い続けているようなイメージを持つ方もいますが、実はコミュニケーション能力が重要な職業です。例えば、導き出した数値を元に、クライアントである経営者や経理担当者に書類の内容や会社の現状を説明したり、クライアントからの質問や要望を受け、それに回答したりします。

また、会計事務所や税理士法人に就職すれば、社内の同僚や先輩とのチームワークが求められます。特に相続税やM&Aといった大規模な業務では、チームで役割分担して業務にあたることも珍しくありません。もちろんコミュニケーション能力に自信がなくても税理士としての業務は遂行できるでしょう。しかし、コミュニケーション能力が高いとクライアントとの信頼関係も築きやすく、社内でもチームワークが取りやすくなります。

スケジュール管理ができる

一般的に、税理士は多くのクライアントを抱え、財務諸表の作成や訪問等をこなします。 仕訳入力等の作業は別スタッフが実施してくれる事務所もありますが、税理士本人が行う事もあります。クライアント数に比例して業務量が増加していきますので、稼いでいる税理士ほど多忙になります。しかし税理士1人1人に秘書がつくわけではないので、自分自身で管理する必要があるのです。もし訪問日を失念したとしたら、それは税理士自身のみならず、所属する会計事務所等への信頼も失墜します。

また、税理士は納期限や書類の提出期限に合わせてスケジュールを組み立てます。 期限に遅れるとクライアントが不利益を被る恐れが高いので、厳守しなければなりません。 スケジュール管理が1社だけならそれほど大きな問題は発生しないでしょう。しかし担当するクライアントは通常20〜30社です。期限に間に合うようにすべてのクライアントの業務を実行していくのは簡単ではありません。 そのため税理士にはスケジュール管理能力も必要なのです。

勉強が好き

税理士試験に合格するには、数年にも及ぶ勉強が必要と言われています。しかし試験合格後も、税理士は勉強を続けなければなりません。 毎年の税制改正、税法以外の法律改正、世界情勢の変化等を常にキャッチし、情報をアップデートし続けます。 法律や社会情勢が変化すればクライアントの要望も変化します。税理士が「知りません」「これから調べます」では話になりません。税理士からクライアントに提案できるよう、事前に情報を入手しておく必要があるのです。

税務やクライアントの要望に限らず、クライアントの事業内容や通信手段等も変化していきます。たとえばクライアントがインターネットを介した事業展開を始めることもあるでしょう。また訪問ではなくオンライン会議を希望するクライアントが増加する可能性もあります。

このような情報のアップデートは、税理士を辞めるその日まで続きます。常に新しい情報に触れることが好きな人は、税理士に向いていると言えるでしょう。

細かい作業をコツコツできる

クライアントとのコミュニケーションも大切ですが、仕訳入力や数字を読む作業、申告書作成作業等のデスクワークも大切です。 計算ミスや転記ミス等があれば、納税額に誤りが発生すると、クライアントに迷惑をかけてしまいます。 たとえ1円であっても誤りがあれば正確な申告や納税ができなくなるためです。 税理士事務所によっては仕訳や入力作業を別のスタッフが行うこともありますが、それでも正確に数字を読む力や分析力は必要です。

なお数字に向き合う作業は1分や1時間程度ではまず終わりません。半日、1日、1週間程度かけて行うこともあります。

地味な作業ではありますが、税務業務の根幹でもある業務です。正確に、コツコツと作業が続けられることも重要なのです。

正義感・倫理観がある

時にはクライアントから、節税の枠を超えた脱税スレスレのご要望を受けることもあるでしょう。クライアントは1円でも納税額を抑制したいものです。 しかし税理士は法律の範囲内で提案を行い、それ以上の要望に関しては「できない」と説得しなければなりません。

税理士は正確な納税を心がける必要があります。税理士法第一条にも、「(前略)租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」とされています。 クライアントの要望はできるだけ聞き入れるべきではあるものの、それは税法の範囲内での話です。税法を逸脱しようとしているのならば、税理士は損失を被るとしても止めなければならないのです。

よくあるのは節税相談です。法律に則した節税であれば実行しても問題ありません。しかし伝聞やインターネット上の裏付けのない情報を鵜呑みにして、法律の範囲を超えた節税をクライアントから提案されるケースも少なくないのです。

正義感や倫理観をしっかり持っている人こそ、税理士に向いています。

税理士に向いていない人の特徴

税理士は多くのクライアントを抱え、申告書等を正確に作成し、コミュニケーションを取りながら業務を進めます。これらの業務を同時進行できない人は、あまり税理士には向いていないのかもしれません。

数字を扱うのが苦手

財務諸表や申告書はほぼ全てが数字です。金額の入力とその内容の精査、誤りがないかのダブルチェック、各勘定科目の分析等、すべて数字が絡んできます。 そしてこれらの業務は日常的に行うことで、クライアントの訪問がない日は基本的に1日中行います。 数字と向き合うことに苦手意識があったり、数字を見続けるのが苦痛であったりするならば、通常業務が苦痛となってしまうかもしれません。

税理士は数字そのものや分析した結果を元にクライアントに対して説明や提案を行います。 たとえ仕訳入力や計算、分析を他のスタッフが行ってくれたとしても、その数字に関して自分の言葉で説明しなければならないのです。したがって数字を扱うのが苦手な場合は、社内での業務だけでなく、クライアントとの面談にも苦痛を感じてしまいます。

クライアントに寄り添えない

自分の意見を押し通してしまう、相手が発言している最中に口を挟んでしまう、クライアントの要望を否定してしまう等、クライアントに寄り添えないならば、税理士の業務は難しいでしょう。

税務の範囲においては税理士の方が知識量が多いので、クライアントに対して高圧的になってしまうこともあるようです。しかしクライアントからしてみれば、高圧的な税理士と友好的な関係を築くのは難しいものです。

クライアントと信頼関係が築けなければ、今後の業務に支障が出るばかりか、他の税理士に乗り換えられることも考えられます。

なお高齢の税理士と若い経営者の間でこのような事態になりやすく、若い税理士の場合は比較的受け入れてもらいやすいようです。とはいえ若さ故に周囲が見えなくなることもありますので、常に注意しておきましょう。

クライアントの立場になり、クライアントに親身に寄り添い、話をしっかり聞き入れ、経営の伴走者となることが税理士に求められています。

マルチタスクが苦手

税理士は仕訳入力や月次決算といった通常業務と共に、法人決算の申告業務等を並行してこなします。繁忙期になると上記に加えて年末調整や個人の確定申告等の業務も加わり、その業務量は閑散期の数倍に及ぶこともあるでしょう。

しかし繁忙期であってもミスは許されませんし、納期限が動かせないのですべて期日までに仕上げなければなりません。20〜30社の業務を同じ期日までに仕上げるには、スケジュールを立てて慌てず正確に、1つずつ業務に取り組む必要があります。

マルチタスクが苦手な場合、やらなければならない業務に圧倒されて何も進まなくなってしまったり、納期限を失念してしまったりしてクライアントに迷惑をかける懸念も発生します。 反対に、多くの業務を同時並行で進められるならば、そのスキルは大いに役立つでしょう。

集中力がない

税務業務は正確性とスピードが大切です。 入力や計算、分析は正確性が最も大切です。しかし時間をかけてゆっくりと作業していては納期限にもクライアントの変化にも対応できません。したがって業務を正確かつスピーディに仕上げる必要があります。そのためには集中力が不可欠です。

クライアントへの訪問がない日には、1日中数字を見ながら分析や転記等の作業に取り組むことになるでしょう。会計ソフトやパソコンに向かって、計算や分析を長時間行うのです。1日中でも、数字を見続けていられる集中力が必要です。 また集中力に欠けて計算を誤ると、正しく納税できずクライアントに迷惑がかかってしまいます。

数字を扱い続けられる集中力がないと、税理士としては致命的です。

ストレスを抱え込んでしまう

税理士には責任感も必要ですが、過剰な責任感からストレスを感じやすい人には、長く続けられないかもしれません。

税理士からの提案次第で、クライアント企業の業績が変動することはよく起こります。 業績が上向いたときは良いですが、業績が悪化した場合は叱責をいただくこともあるでしょう。 また申告直前に必要書類を提出するクライアントも少なくありませんので、スケジュールどおりに業務が進まないことも頻繁に起こります。

特に繁忙期は残業時間も増加する傾向にありますので、心身ともに疲労が溜まる時期です。 ストレス耐性の高さも、税理士に必要なのです。

税理士に必要なスキルから読み解く向いている人

税理士には、大きく3つのスキルが求められます。 以下のスキルをすでに持っていたり、これから身に着けることに対して前向きな方は税理士に向いているといえるでしょう。
どれも必須と言っても過言ではないスキルですので、転職前から身につけておきましょう。

コミュニケーション力

クライアントや社内の同僚とコミュニケーションを取る機会が多いため、コミュニケーション能力は不可欠と言えます。

クライアントに寄り添い、傾聴し、要望を掘り起こして提案につなげるのです。 社内でも会計スタッフや他部署との連携は必須です。税理士はクライアントを各担当するケースが多いものですが、それでも1人ですべての業務をこなすわけではありません。相続税や事業承継といった難しい案件を取り扱う場合は、チームを組む場合もあります。

適切にコミュニケーションを取る能力は税理士に必要不可欠なのです。

計算・分析力

数字を読み、計算や分析する時間は業務時間の大半を占めます。 最新の税法を読みながら会計ソフトや電卓で数値を計算し、節税できないか頭を悩ませることもあるでしょう。 計算・分析した結果はクライアントに報告するものですから、誤りがあってはいけません。 また正確に分析した結果を踏まえて、今後の経営方針等についてクライアントに提案したり、アドバイスをしたりします。

時には営業成績に直結することもあるため、クライアントの信頼を勝ち取るためにも必要なスキルなのです。

営業力

クライアントが自ら税理士事務所の戸を叩いてくれることもなくはないですが、それほど多くはないでしょう。 自分のクライアントを増やすためには、税理士が自分から営業しなければばらないのです。

最初は先輩の担当している企業を分けてもらうことになるでしょうが、営業しなければそれ以上のクライアントは獲得できません。したがって税理士として活躍していくには営業力も必要なのです。 営業が苦手、営業したくないという人もいるかもしれませんが、税理士として活躍するには避けて通れません。

クライアントに紹介してもらう、経営者と出会う機会を作る等して、引く手数多の税理士を目指してください。

税理士に向いている人-まとめ

税理士に向いているのは、コミュニケーション能力の高い人やコツコツと作業を継続できる人です。本記事で紹介しましたすべての内容を網羅していれば、税理士として大成できる可能性を秘めています。 しかし向いていない要素を多少持っていたとしても、これから努力でカバーすることは可能です。持っているスキルは今後も伸ばし、必要となるスキルはこれから習得しましょう。

より良い税理士となり、クライアントの信頼と素晴らしいキャリアを勝ち取ってください。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。