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税理士に英語力は必要?語学力の高い税理士が活躍できるステージとは
税理士に英語力は必要?語学力の高い税理士が活躍できるステージとは
2024/11/20
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インターネットの発達を皮切りにグローバル化が一気に進んでいます。
そのため、これから税理士になる人、税理士として活躍していきたい人は、グローバル化に対応するために語学力が必要と言われています。
しかし語学力が税理士の仕事にどのように関係するのか想像がつかないかもしれません。
そこで今回は、税理士と語学力の関係を解説いたします。
結論から申しますと、語学力がなくても税理士として活躍できますが、語学力が高ければより活躍の場が広がります。
英語力がなくても税理士にはなれる
第一に、日本語以外の言語が理解できなくとも税理士にはなれます。
税理士には独占業務が設定されており、特に中小企業の存続には欠かせません。
そのため日本国内における税理士の業務がなくなることは考えにくく、国外に仕事を求めなくとも税理士として活躍できるため、語学力がなくとも税理士として活躍はできます。
ただし活躍の場は「日本国内」に限定されますし、外資系企業や、海外に支店を持っているまたは海外展開を検討している企業の顧問税理士になることは難しいでしょう。
税理士に英語力が求められる理由
英語力がなくても税理士になれると申しましたが、時代の流れから英語力のある税理士が求められていることに間違いはありません。
税理士に英語力が求められるようになった背景を理解しておきましょう。
グローバル化の促進
日本は島国であることから、立地的に海外進出もしくは海外からの日本進出がしにくい立ち位置にあります。そのため以前からも国際税務等が必要となるシーンはありましたが、それほど多くはありませんでした。
ところが現在はインターネットを中心としたグローバル化が進んでおり、国境の垣根を超えた取引が盛んに行われています。海外進出を決断する日本企業や、日本に進出する海外企業も増加しています。また日本国内にいながらにして海外と取引をする中小企業や個人事業主も珍しくなくなりました。 このようにグローバル化が急激に進んだことで、国内で活動する多くの税理士にも英語力が求められるようになったのです。取引先の国における税法を理解するためにも、最低限の英語力が必要ですから。
ITツールの普及
インターネットが爆発的に普及したことで、世界中の人々との取引が盛んになりました。 たとえば海外製のバッグや海外でしか流通していない商品等を日本国内にいながら買い求めることができます。
反対に、日本製の商品を日本にいながら海外の人向けに販売できるようになりました。
これまで国際取引は大企業を中心とした一部企業の独占状態だったものが、ITツールの普及により中小企業や個人事業主も簡単に実施できるようになり、海外との取引が急激に増加したのです。
英語力が高い税理士は、海外取引を行う中小企業や個人事業主等からも選ばれるようになりました。
税務業務への付加価値
これまで税理士の多くは「地元の中小企業の法人税申告」が中心でした。 記帳代行や年末調整等の付随業務も一括で請け負うことで、税理士としての業務は成り立っていたのです。
ところが手書きで計算していたものが、今や会計ソフトに置き換わり、会計ソフト自体も基本知識さえあれば誰でも入力できるようになりました。そのため自計化する企業が増加し記帳代行業務が減り、さらに月次決算をも不要とする企業が増えてきました。 これまでと同様の業務内容では、クライアントからこれまでどおりの報酬額をもらい受けられなくなってきたのです。
そこで税務業務に語学力という付加価値をプラスし、税理士の業務範囲を広げようとしています。英語力が高ければ、今まで以上に幅広い範囲の税務業務が担えるようになります。
税理士が英語力を活かせる業務
英語力の高い税理士が担える業務は多種多様に存在します。 下記のような専門的な税務業務だけでなく、単純に「英語でコミュニケーションが取れる税理士」としても歓迎されます。
国際税務
国際税務とは、国を跨いだ取引を行う際に発生する税務のことです。 日本と相手国の税法に基づいた税務業務が求められます。英語力がなければ相手国の税法を正しく理解できませんので、英語力が必須となる分野です。
税法を読むためのリーディング能力だけでなく、英語でクライアントに説明するためのコミュニケーション能力やライティング能力も必要です。 これまで必要とされるケースは大企業中心でしたが、上記のような理由から中小企業や個人事業主まで幅広い事業者が国際的な取引を行っており、需要は爆発的に増加しています。
移転価格コンサルティング
移転価格コンサルティングとは、関連企業間の国際取引において、販売価格を適正に定め、税理士の適正化を図ることです。 他国に拠点を置くグループ会社と取引を行う際には、その取引価格が公正でなければなりません。移転価格が適正でない場合、税務調査で指摘を受けたり追徴課税が科される恐れがあります。
業務内容としては、クライアントの業務内容の理解、同業他社の取引の分析、適正価格のアドバイス、税務調査のサポート等です。
相手国に出向くこともありますので、ビジネス英語は必要不可欠です。少なくとも読み書きと簡単な会話ができるようになっておきましょう。 難易度の高い業務ですが、それだけやりがいがあります。
国際資産税
国際資産税とは、海外資産や国際相続にまつわる分野です。
基本的には海外に資産を持っている日本人の相続や生前贈与等で必要になります。
かつて税金がやすい海外に資産を移し、課税を免れる手法が富裕層の間で流行しました。この時期に日本人の多額の資産が海外に流れたのです。
その後、税法が改正されて海外資産にも課税されることとなりました。このような経緯から、国際資産税という分野が確立され、富裕層のクライアントを中心に必要とされているのです。 また国際結婚が増加したことも、国際資産税の需要が高まっている要因の1つです。
IFRS導入支援
IFRSとは、国際財務報告基準のことで、国際会計基準審議会が策定する会計基準を指します。 日本で一般的に使用している会計基準は「日本会計基準」であり、IFRSではありません。
2005年にはEUの上場企業に対してIFRSの適用が義務付けられました。これを受けて日本でもIFRSの義務化を視野に入れ、2009年に任意適用が開始されました。現在、日本ではいまだIFRSは義務化されていませんが、世界120カ国以上で採用されており、IFRSの必要性が高まっています。
理由の1つは海外子会社を持つ日本企業の会計基準統一です。 グループ企業との会計基準を合わせることで、連結財務諸表を作成しやすくなり、グループ全体の経営状況を把握しやすくなります。
もう1つの理由は、海外投資家からの資金調達が容易になることです。
日本会計基準での財務諸表を公開しIFRSとの違いを提示したとしても、海外投資家に不安が残り、二の足を踏ませてしまう要因になります。
IFRSに変更することで、海外からも投資資金が集めやすくなるのです。
海外支店を持つ日本企業の経理担当
一般の企業に所属している税理士での、英語力があれば非常に有利になります。 国際取引や国際税務等に携わる機会が得られますし、海外支店で活躍する道もあるかもしれません。
また日本国内で働き続ける場合でも、海外出向者の源泉所得税、海外取引における消費税の計算、外国税額控除等の計算等を実施します。 英語力がなければ相手国の税法の理解が進みませんので、確実に必要となります。
外資系企業の税務顧問・企業内税理士
日本に進出してきた外資系企業の税務顧問や企業内税理士となる場合にも英語力が必要です。 まず本社の税法を知っておくために英語が必要です。
また外資系企業の重役は海外本社から出向してきた人であるケースが多いため、コミュニケーションにも英語力が必要です。 日本語を話せる人もいるでしょうが、英語が話せる方が好印象につながります。 会話を英語に統一している企業もありますので、英語力はあって損をすることはありません。
現地法人設立支援
日本企業等が海外進出する際にも英語力が役立ちます。 海外で法人を設立する場合、その国の税法を知る必要があります。
また現地調査やスキームの検討、現地での法人設立手続きの代行やサポート、現地法人の税務申告作成等、設立前から設立後にかけて全面的に支援を行います。 日本国内での起業サポートよりも複雑で大規模、税務以外の幅広い業務に携わることになります。
税理士が英語力を活かせる職場
英語力を活かして税理士が働くには、職場選びが重要です。 どのような働き方をしたいのか想像しながら読み進めてください。
大手税理士法人
BIG4を始めとした大手税理士法人では、国際税務等の専門的な分野も積極的に取り扱っています。 数多くの企業に対して国際税務等の高度な業務を実行したい人に最適です。 転職にはビジネスレベルの英語力が必須とされています。
一般の大企業
海外進出や国際取引、海外子会社との連結決算、IFRS導入等で活躍できます。 通常時には日本国内の経理や財務諸表作成等に携わることにもなるでしょう。 外資系企業の場合は日常のコミュニケーションも高い確率で英語が要求されます。
金融機関
特に外資系の投資銀行での需要が高い傾向にあります。 クライアントへの説明から、国際取引や国際的なM&A等で活躍できます。 日系の投資銀行であっても、国際税務等が必要になるため英語力が高いと歓迎されます。
コンサルティング会社
グローバル企業をクライアントとする大手コンサルティング会社では、税法の理解や説明等のために英語力が求められています。
そもそもコンサルティングと税理士は相性が良いため、英語力がなくても需要があります。一方で税理士からの人気も高いので、より理想的なコンサルティング会社に転職するのならば、英語力を磨きアピールすると良いでしょう。
税理士が英語力を鍛える方法
税理士に求められる英語力はビジネス会話やビジネス文書の読み書きができる程度です。 具体的にはTOEIC700点台を目指してください。 仕事を続けながら効果的に英語力を鍛える方法をいくつか紹介いたします。自分に合った方法で英語力を高めましょう。
オンライン英会話
パソコンやスマホを通じてマンツーマンレッスンが受けられるサービスです。 予約は必要ですが、自宅でも外出先のカフェでも、場所を選ばずにレッスンが受けられるため、忙しい社会人に適した勉強法と言えます。 閑散期にはレッスンを詰めて、繁忙期には少なめに、といった使い方が可能です。
専門学校や英会話教室
学校等に通って複数またはマンツーマンでレッスンを受けます。 通学時間を確保するのは大変かもしれませんが、共に学ぶ仲間がいることでやる気を継続させられる効果が期待できます。 また職場と家以外に出かける場所が増えるので、気分転換にもなります。 時間の融通が利く場合や、皆で楽しく学びたい人におすすめです。
eラーニング講座
パソコンやスマホを用いて1人で学習する方法です。 eラーニングの講座を契約し、好きな時間に好きなだけ学習を進められます。 プログラムがすでに用意されているので、それに沿って勉強します。 不明点は何度でもやり直せるため、自分のペースでコツコツ続けられますよ。 繁忙期と閑散期の残業時間の差が激しい人や、マイペースに学習したい人におすすめです。
参考書
英会話やビジネス英語の参考書を購入し、独学で学習を進める方法です。 最大のメリットはコストが最小限に抑えられることでしょう。 参考書は1冊5,000円もしませんので、資金面で困ることなく英語力を身につけられます。
薄い参考書ならばどこにでも持ち運べますので、電車の中や帰宅途中のカフェでも勉強できます。 ただし勉強を継続するにはモチベーションを高く維持する必要があります。自分なりのご褒美や目標等を設定して英語力向上に努めてください。
税理士に英語力は必要?-まとめ
英語力の高い税理士は非常に歓迎されます。 特に本記事で紹介した企業では、高く評価されるでしょう。 もちろん英語力がなくても税理士になれますが、グローバルに活躍したいならば英語力を磨くべきです。 目指すべき働き方に沿って、英語を勉強するか否か、どこに転職するのかをご判断ください。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長