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税理士になるメリット3選!資格取得までの道のりも徹底解説

2024/08/29

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国家資格の中でも難関であると言われる税理士資格。資格取得に必要な時間は約4,000時間と言われています。では、多くの時間を費やして税理士になるメリットはあるのでしょうか?

この記事では、税理士になるメリットや、資格取得までの道のりを徹底解説いたします。

税理士になるメリット3選

それでは早速、税理士になるメリットを3つご紹介いたします。

就職先・転職先に困らない

1つ目のメリットとして、税理士資格を保有することで、就職先・転職先に困らないといった点が挙げられます。主な就職先としては「税理士事務所/会計事務所」「税理士法人」「BIG4」が挙げられますが、「金融機関」や「一般企業」にて働く税理士も増加傾向にあります。

また、現在税理士の就職・転職市場は売り手市場となっており、求人数に対して求職者が少なくなっています。
現在、税理士の平均年齢は60歳を超えており、業界全体の高齢化が進んでいることから若手税理士の需要は高く、非常に有利な状況で就職・転職活動が行えるでしょう。

独立開業が可能

税理士試験に合格後、実務経験を2年以上積むことで日本税理士会連合会に税理士として登録することが出来ます。そして、税理士として登録を行うことで独立して開業することも可能となります。独立開業することで、働く時間や場所を自分自身で決めることができるほか、自分自身の強みを活かした業務内容を行うことが出来る点や、自分が頑張った分だけ収入に反映されるためやりがいを感じることが出来るなどのメリットもあります。

また、個人によって異なりますが、勤務税理士や企業内税理士と比べて開業税理士の年収は高い傾向にあるため、年収アップを目指すことも可能となります。

定年退職が無い

多くの企業では60歳~65歳を境に退職を迎えることが一般的ですが、税理士はその限りではありません。知識と経験を活かし続けることが可能で、生涯現役を目指すことも可能です。また、税法は日々変化するため、常に新しい知識を学び、自己成長を続けることができるのも魅力の一つです。

以上のようなメリットがあるため、税理士は多くの人々にとって魅力的な職業と言えるでしょう。しかし、その一方で、税理士になるためには税理士資格を取得することが必須となります。次の章では、その道のりを詳しく解説します。

税理士になるには?資格取得までの道のりを解説

税理士になるためには、まずは税理士試験に合格することが不可欠です。しかし、試験に合格するだけでは税理士として名乗ることはできません。

本項では、具体的な試験の内容や受験資格、税理士登録方法について詳しく解説していきます。

受験資格

令和5年度(第73回)税理士試験から、受験資格が次の通り緩和されています。

・会計学に属する科目(簿記論・財務諸表論)については、受験資格の制限がなくなり、どなたでも受験が可能となりました。

・税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)については、学識、資格、職歴といった様々な分野の受験資格を定めており、いずれか一つの要件を満たせば、受験資格を有することになります。

学識による受験資格

  • ①:大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
  • ②:大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
  • ③:一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
  • ④:司法試験合格者
  • ⑤:公認会計士試験の短答式試験に合格した者

資格による受験資格

  • ①:日商簿記検定1級合格者
  • ②:全経簿記検定上級合格者

職歴による受験資格

  • ①:法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
  • ②:銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
  • ③:税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者

上記の受験資格を満たすことで、ようやく税理士試験を受けることが出来ます。
引用:国税庁_税理士試験受験資格の概要

税理士試験について

税理士試験は大きく分けて2つの受験科目から構成されています。会計学に関する知識を要する「会計科目」と税法に関する「税法科目」があります。各科目の受験科目は以下の通りです。

カテゴリー 科目 必須条件
会計科目 簿記論 全科目必須
財務諸表論
税法科目 法人税法 所得税法または法人税法のいずれか必須
所得税法
消費税法 消費税法または酒税法のいずれか一方のみ選択可
酒税法
相続税法 任意
国税徴収法 任意
住民税 住民税又は事業税のいずれか一方のみ選択可
事業税
固定資産税 任意

税理士試験の受験科目は「簿記論」「財務諸表論」「法人税法」「所得税」「消費税法」「酒税法」「相続税法」「国税徴収法」「住民税」「事業税」「固定資産税」の11科目あり、この中から5科目を合格することで、税理士試験にに合格したことになります。
5科目の合格に期限は設定されておらず、5科目が合格になった時点で税理士試験に合格したことになります。

また、税理士試験には「免除制度」といった一定条件に達すると試験を免除することが出来る制度があります。主な制度は以下の通りです。

学位による免除
修士又は博士の学位を授与された者は、試験の一部が免除されます。
国税従事者における免除
10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法に属する科目が免除されます。
23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計学に属する科目が免除されます。
引用:日本税理士連合会_税理士の資格取得

試験日時

令和6年度(第74回)税理士試験の日程及び試験科目は以下の通りです。
詳しい日程や最新情報については、国税庁のHPをご確認ください。
引用:国税庁_試験日程・試験科目について

日付 時間 科目
8月6日(火) 9時から11時 簿記論
12時30分から14時30分 財務諸表論
15時30分から17時30分 消費税法又は酒税法
8月7日(水) 9時から11時 法人税法
12時から14時 相続税法
15時から17時 所得税法
8月8日(木) 9時から11時 国税徴収法
12時から14時 固定資産税
15時から17時 住民税又は事業税

税理士登録について

税理士として勤務する場合には、試験に合格した後に日本税理士会連合会に税理士登録をする必要があります。登録するには、税理士試験に合格後、税務署、税理士法人、会計事務所などで税に関する業務を2年以上行うことが必須となります。

以上のように、➀受験資格を取得する➁税理士試験に5科目合格する③税に関する業務を2年以上行う④税理士名簿に登録されるといった道のりを経て、ようやく税理士として仕事をすることが可能となります。

税理士資格とのダブルライセンスにおすすめな資格

税理士資格は、他の資格と併せ持つことにより更に担当できる業務の幅が広がります。 ここでは、おすすめの資格を3つご紹介いたします。

社会保険労務士

この資格は、労働者の福祉を守るための社会保険制度に関する知識や労働法規について深く理解していることを証明するもので、労働者の権利や福祉を守るための重要な役割を果たします。

社会保険労務士の独占業務には「行政機関等に提出する申請書や届出書などの作成」「書類提出や申請の代行」が挙げられます。税理士資格と併せ持つことで会計・税務、労務・社会保険の業務がワンストップで完了することが可能となります。

また、税理士と社会保険労務士のダブルライセンスは、税法と労働法の両方を理解している専門家として、企業からの信頼も厚く、ビジネスの幅を広げるための強力な武器となります。

中小企業診断士

中小企業診断士は企業の経営全般に関するアドバイスを行う専門家です。税理士と中小企業診断士のダブルライセンスを持つことで、企業の経営課題を幅広くカバーし、より具体的かつ総合的な提案が可能となります。税務だけでなく、経営全体を視野に入れたアドバイスが求められる現代のビジネスシーンで、この組み合わせの価値はかなり高いです。

行政書士

税理士資格を持つことで、行政書士試験が免除され手続きのみで行政書士になることが可能です。
行政書士の独占業務は「官公署に提出する書類および事実証明・権利義務に関する書類の作成代理」があります。特に不動産登記や遺産分割協議などの手続きを行う際には行政書士の独占業務が求められます。税理士と行政書士を併せ持つことによる場合、以下の業務をワンストップにて提供することが可能となります。

業務内容 サービス詳細
法人設立サポート 法人設立時の定款作成や許認可申請(行政書士業務)、設立後の税務相談や税務申告(税理士業務)
相続手続の総合サポート 相続税の申告(税理士業務)と遺産分割協議書の作成や相続手続(行政書士業務)
建設業許可申請と経理指導 建設業許可の申請(行政書士業務)と建設業者の経理・税務指導(税理士業務)

上記の表では、主な3つの業務についてピックアップしました。
税理士と行政書士は親和性が高い資格のひとつです。2つの資格を併せ持つことにより、業務の幅をさらに拡大することが可能となり、クライアントに対して付加価値の高い業務を提供することができます。

まとめ

税理士として仕事をするには、難易度の高い試験に合格した後、2年の実務経験が必須となるためかなり長い時間を費やします。しかし、税理士の仕事は、単に税法への深い理解を持つだけでなく、お客様の税務問題を解決するほか、クライアントの経営に関しても直接関わることができるため、やりがいを感じることができます。

税理士資格を保有することで、転職や就職を有利に進めることができるほか、難易度が高い資格であることから「税理士」という価値の高い肩書がつくため税理士になるメリットはかなり大きいでしょう。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。