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税理士事務所に新卒で入所したい!仕事内容・年収・キャリアパスを徹底解説

公開日:2025/10/03

最終更新日:2025/10/03

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「税理士事務所って新卒でも入社できるの?」
「仕事内容がイメージできない」
「資格がないと働けないんじゃないの?」

そんな疑問を持つ学生や就活生は多いはずです。

実は、税理士事務所は資格を持っていない新卒人材も採用対象にしています。むしろ、入社してから実務を通じて知識をつけ、税理士試験の勉強を続ける若手が多くいます。

この記事では、税理士事務所に新卒で入社する人向けに、仕事内容・年収・キャリアパスの全体像を解説します。

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税理士事務所とは?新卒でも働けるのか

税理士事務所の役割

税理士事務所は、法人や個人事業主の
税務申告(法人税・所得税・消費税)
会計処理(仕訳・決算書作成)
経営サポート(節税・資金繰りアドバイス)
を行う専門事務所です。

規模はさまざまで、
・従業員数数名の小規模事務所
・職員数数十名以上の中堅事務所
・BIG4税理士法人のような大手
と幅があります。

新卒採用はあるのか?

「資格がないと無理では?」と思われがちですが、資格なし新卒採用は珍しくありません
特に地方の中小事務所では「若手人材を育てたい」というニーズが強く、新卒採用は毎年行われています。

むしろ、社会人経験がない分、事務所のカラーに染まりやすく「教育しやすい」と歓迎されるケースもあります。

税理士事務所の新卒採用事情

1. 募集対象

税理士事務所では、幅広い学歴の新卒人材を採用対象としています。

大学卒
経済学部・商学部・会計学部などが中心ですが、文系全般からの採用も多いです。
例えば法学部出身者も「税法に強い」という評価を受けやすいです。
理系出身者は少数派ですが、近年は数学力や分析力を評価する事務所も増えています。

短大卒・専門学校卒
会計・簿記・ビジネス系コースであれば、実務に直結するスキルを持っているとみなされるため有利です。
特に「簿記検定取得済み」「会計ソフトの使用経験あり」といった具体的なスキルを証明できる人材は歓迎されます。

大学院卒
将来的に税理士を目指す人にとっては有利。研究テーマが会計・税務関連だと評価ポイントになります。

まとめると「学歴よりも会計知識と実務スキルへの適性」が重視されるといえます。

2. 求められる資格

税理士事務所への新卒入社にあたり、必須資格はありません。ただし以下があると大きく差がつきます。

日商簿記検定2級以上
書類選考の通過率が上がる。事務所によっては「応募条件」と明記しているところもあります。

税理士試験の受験資格保有者
例えば「簿記論」「財務諸表論」など基礎2科目の合格者は即戦力候補として評価されやすいです

その他の関連資格
 ◦FP(ファイナンシャル・プランナー):個人顧客へのコンサル業務で有利
 ◦ITパスポート・MOS:デジタルツール活用力を示せる
 ◦TOEICスコア:大手税理士法人では国際税務部門に配属される可能性も

「資格がなくても入れる」けれど、「簿記を持っているか否か」で待遇や選考突破率が大きく変わるのが実情です。

3. 採用フロー

(1) 書類選考

・履歴書やエントリーシートに加え、簿記などの資格を重視されることが多いです。
・自己PRでは「数字に強い」「コツコツ作業が得意」「資格取得意欲がある」といった要素が評価されやすいです。

(2) 面接(1~2回)

中小事務所:所長税理士や先輩職員が面接官となり、「人柄」「誠実さ」「素直さ」を見られます。
大手事務所:人事担当やマネージャーが担当。一般企業同様に志望動機・自己分析・キャリアビジョンまで問われます。
・よくある質問例:
 ◦「なぜ税理士事務所を志望したのか?」
 ◦「簿記を勉強していて面白いと思った部分は?」
 ◦「どんなキャリアを描いているか?」

(3) 適性検査

・一部の事務所では計算テスト(四則演算や仕訳問題)、Excelスキルチェックを行う場合があります。
・特に大手法人はSPI・CAB・簿記模擬問題など、一般企業並みの適性検査を課すことがあります。

4. 採用の特徴

大手(BIG4系列など)

採用人数:毎年数十名規模。春採用・秋採用の2回体制も多い。
評価ポイント:大学ブランド・英語力・論理的思考力。
配属:国際税務、移転価格、M&A支援など専門部署に配属される可能性。
待遇:初任給25~28万円+資格手当。研修制度が充実。

中小事務所

採用人数:1~3名程度。小規模なら新卒採用そのものがない年もある。
評価ポイント:「人柄」「地道に努力できるか」。資格よりも「真面目さ」を重視する傾向が強い。
仕事内容:入社直後から幅広く担当できる。大手より早く実務経験を積める点がメリット。
待遇:初任給20~23万円前後。教育体制は事務所によって差が大きい。

新卒で入社したときの仕事内容

新卒で入社した職員は、まず「税理士補助」として実務を覚えていきます。

◆ 新卒入社直後:基礎業務を徹底的に学ぶ段階

新卒で入社した職員は、まず「税理士補助」として、会計や税務の基礎となる事務作業からスタートします。これは、顧客の数字を正しく処理するために欠かせない重要な土台です。

初年度の業務イメージ

記帳代行
 顧客から預かった領収書・請求書・通帳コピーなどをもとに、会計ソフトへ仕訳入力を行います。
 → 単純作業に見えますが、勘定科目の選び方や仕訳ルールを学ぶための最初のステップです。

資料整理
 顧客が持参・郵送してくる証憑を種類ごとに仕分けし、整理します。
 → 「何が経費になるのか」「どんな書類が不足しているか」を学ぶ機会になります。

決算補助
 試算表と通帳残高の突合、仕訳誤りの修正などを担当。
 → 会計の流れを理解し、数字の整合性を見る目が養われます。

申告書作成補助
 法人税・消費税などの申告書を先輩の指示通りに作成
 → 税法知識を実務に落とし込む経験が積めます。

年末調整・確定申告(繁忙期)
 12月〜3月は大繁忙期。給与所得者の年末調整や個人事業主の確定申告を大量にこなします。
 → 「数をこなす経験」で処理スピードが一気に鍛えられる時期です。

◆ 2〜3年目:一人で顧客対応ができる段階へ

数年経験を積むと、事務所によっては「担当顧客」を任されるようになります。

2〜3年目以降の業務

担当顧客を持つ
 数社〜十数社を担当し、月次処理や決算を一通り任されます。
 → 「自分の仕事=顧客の経営に直結している」と実感できるフェーズです。

月次巡回監査
 顧客の事務所や店舗を訪問し、帳簿や領収書を確認。
 → 実際の現場を見て、経営者と対話しながら数字を修正・改善するスキルを身につけます。

経営者との打ち合わせ同席
 所長や先輩と一緒に顧客訪問に同行し、決算内容の説明や今後の資金繰りなどを議論。
 → ここで経営者との信頼関係の築き方を学びます。

節税・資金繰りの簡単なアドバイス
 「交際費の扱い」「減価償却の方法」など、簡単な節税アドバイスを担当することも。
 → 徐々に“作業員”から“相談相手”へと役割が変化していきます

新卒での年収・給与相場

初任給の目安(事務所規模別)

初任給の目安は以下の通り、事務所の規模により大きく異なります。

中小事務所(従業員10名以下の規模)
 ◦月給:20~23万円
 ◦賞与:年1~2回(業績連動、1~2か月分程度が多い)
 ◦年収:300万円前後
 ◦特徴:幅広い業務を早く経験できる一方、給与水準は低め。教育体制は事務所によって差がある。

中堅事務所(従業員30~100名規模)
 ◦月給:23~25万円
 ◦賞与:年2回(2~4か月分程度)
 ◦年収:330~370万円程度
 ◦特徴:給与は中小より高めで安定。研修制度があり、キャリアパスも比較的明確。

大手税理士法人(BIG4系列など)
 ◦月給:25~28万円
 ◦賞与:年2回(3~6か月分+業績賞与あり)
 ◦年収:400万円前後
 ◦特徴:待遇は業界トップクラス。英語や専門知識を活かせる配属先がある。残業代は全額支給のケースが多く、実際の年収はもう少し上振れすることも。

昇給・モデル年収(目安)

昇給・年収のモデルケースは以下の通りです。
1年目:年収300~400万円(規模により差)
3年目:年収350~450万円
 ◦一人で顧客を担当できるようになると、基本給が上がりやすい
5年目:年収450~600万円
 ◦主任クラスとしてチームをまとめる立場になると、責任とともに給与も上昇
10年目(税理士資格あり):年収700~1,000万円超も可能

資格手当の仕組み

税理士事務所では、税理士試験の科目合格ごとに「資格手当」が支給される制度が一般的です。

例)
・簿記論合格 → 月1万円UP
・財務諸表論合格 → 月1万円UP
・法人税法合格 → 月1.5万円UP

5科目合格すれば、月給が5~7万円上乗せされることもあり、年収にして60~80万円ほどの差がつきます。

この制度は、「働きながら勉強する人を応援する仕組み」として多くの事務所で導入されています。

賞与・残業代について

賞与・残業代についても事務所ごとに異なります

・中小事務所:賞与は業績連動で「寸志」程度の場合もあり、安定しない。
・中堅事務所:賞与は年2回、基本給の2~4か月分が目安。
・大手税理士法人:業績賞与込みで5~6か月分支給されることも。残業代は全額支給のケースが多く、繁忙期は残業代だけで10~20万円つくこともある。

注意点と将来性

注意点と将来性については以下の通りです。

注意点
 ◦一般企業の総合職に比べると、初任給は低め。
 ◦「地味で堅実」な給与体系が多く、入社直後から高年収は期待しにくい。
将来性
 ◦科目合格を重ねるごとに昇給スピードが上がる。
 ◦税理士資格を取得すれば、独立して年収1,000万円超えも現実的。
 ◦一般企業の経理や外資コンサルに転職すれば、年収600~800万円台へ一気にジャンプするケースもある。

まとめると、以下の通りです。

事務所規模 月給 賞与 年収目安 特徴
中小事務所(従業員10名以下) 20~23万円 年1~2回(1~2か月分程度) 約300万円 幅広い業務を早く経験できるが給与水準は低め。教育体制に差あり。
中堅事務所(30~100名規模) 23~25万円 年2回(2~4か月分) 約330~370万円 中小より高めで安定。研修制度やキャリアパスが整備されやすい。
大手税理士法人(BIG4など) 25~28万円 年2回(3~6か月分+業績賞与あり) 約400万円 業界トップクラスの待遇。英語力や専門知識を活かせる部署あり。残業代全額支給が多く、実際は年収が上振れする場合も。

税理士事務所で得られるスキル

税理士事務所では以下のスキルが求められます。

会計スキル:仕訳、決算書、申告書作成の実務
数字を読む力:財務分析・資金繰りの理解
顧客対応力:経営者との会話や課題解決スキル
法律知識:税法・会社法・民法など広範囲
PCスキル:Excel・会計ソフト・クラウド会計ツール

これらは税理士事務所だけでなく、一般企業の経理・財務にも直結するスキルです。

キャリアパスの選択肢

代表的な進路

1.税理士資格を取り、独立開業
2.事務所で昇進し、マネージャー・パートナーへ
3.一般企業へ転職(経理・財務・経営企画)
4.コンサルティング会社へ(M&A、国際税務など)
5.スタートアップ企業のCFOになる道

「専門性」を身につければ、キャリアの幅は大きく広がります。

税理士事務所に新卒で入社するメリット・デメリット

メリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

・若いうちから専門スキルが身につく
・経営者と直接関わる経験ができる
・資格取得に有利(実務経験+勉強両立)

デメリット

・繁忙期は残業が多い
・初任給が低め
・教育体制が整っていない事務所もある

新卒で就活する際のポイント・採用対策

新卒で税理士事務所に就職活動をする際のポイント・採用に向けた対策は以下の通りです。

区分 内容 補足・具体例
資格面 - 簿記2級以上はほぼ必須
- 税理士試験の科目合格があれば強力なアピール
簿記2級は応募条件になる場合あり。「簿記論・財務諸表論」合格者は優遇されやすい
志望動機の例 - 「将来は税理士を目指し、企業支援に携わりたい」
- 「数字を通じて中小企業の経営を支えたい」
事務作業だけでなく、企業支援や経営への関心を示すと効果的
面接での評価ポイント - コツコツ努力できるか
- 細かい作業を丁寧にできるか
- 向上心があるか
「地道な作業が得意」「資格勉強を継続している」など具体例を交えて伝えると評価アップ

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税理士事務所に新卒で入所したい -まとめ

この記事では新卒で税理士事務所に入所したい人向けに重要な点をまとめさせていただきました。

この記事がお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

税理士 平川 文菜(ねこころ)

税理士|熊本出身|2018年京都大学卒業| 在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。