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税理士は残業が多い?長時間労働の理由と年間スケジュールを徹底解説。
2024/08/29
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税理士事務所での勤務は、特に残業時間が長いというイメージがあります。そこで本記事では、税理士事務所で働く際の残業時間について詳しく解説します。
まず一部で語られる「税理士事務所の残業時間は本当に多いのか?」という疑問について検証し、その原因を深掘りしていきます。
この記事を通じて、税理士事務所で働く上での実情を理解し、あなたのキャリア選択に役立てていただければ幸いです。
税理士事務所の残業時間は本当に長い?
まずは、税理士事務所の残業時間が本当に多いのか、平均残業時間を見てみましょう。
税理士事務所の平均残業時間
税理士は、繁忙期以外は基本的に定時出社、定時退社が一般的です。しかし、繁忙期になると残業時間がかなり多くなり、1か月の平均残業時間が40時間を超えてくるほか、場合によっては80時間を超えてしまうほど多忙となる可能性があります。
また、クライアントの急な要望等で残業が発生する場合もあるため、定時を超えても終電時間ギリギリまで業務をしている方も一定数いるようです。
税理士事務所で残業が発生する理由とは
税理士事務所での残業が多いとされる理由は、何が挙げられるでしょうか。 まず、確定申告の期間や決算期には、顧客からのコンサルティングや資料作成の依頼が増えます。これらの業務は締切が厳格であり、その期間中に必要な業績を達成するためには残業が避けられません。
さらに、税理士事務所の業務は、細かい数字のチェックや複雑な計算など、高度な専門性と集中力を要するため、予想以上の時間を要することがあります。また、顧客への対応やコミュニケーションも重要な業務の一部で、これらに時間を割くことも残業時間の増加に寄与しています。
しかし、その一方で、労働時間の管理や業務効率化に取り組んでいる事務所もあり、全ての事務所が多くの残業を強いるわけではありません。次の章では、税理士の年間スケジュールと、具体的にどのような事務所が多くの残業時間を発生させているのか、その特徴について詳しく見ていきましょう。
税理士の年間スケジュール
月別の税理士の年間スケジュールは以下の通りです。
月 | 活動内容 |
---|---|
1月 | 年末調整の処理・従業員の年末調整を完了し、源泉徴収票を発行。 給与支払報告書の提出:市区町村に対して給与支払い報告書を提出。 法定調書合計表の提出:税務署に法定調書合計表を提出。 |
2月 | 確定申告の準備:個人事業主やフリーランスの確定申告の準備を開始。 確定申告の書類作成:クライアントの書類を整理し、必要な資料を収集。 |
3月 | 所得税の確定申告:所得税の確定申告期限は3月15日まで。税理士はこの時期にクライアントの申告を完了させる。 個人事業主の消費税申告:個人事業主の消費税申告も同じく3月末が期限。 |
4月 | 法人の年度末決算準備:3月決算の法人に対して、決算準備を開始 |
5月 | 法人の決算・申告:3月決算の法人は5月末までに法人税の申告を行う。 固定資産税の申告:固定資産税の申告を行う。 |
6月 | 法人税の申告書作成:3月決算以外の法人の申告書作成も進行。 |
7月 | 税務署への支払い手続き:各種税金の支払い手続き。 所得税の中間申告:所得税の中間申告を行う。 |
8月 | 夏季休暇:多くの税理士事務所が夏季休暇を取る。 半期の振り返りと計画立案:上半期の振り返りと下半期の計画を立てる。 |
9月 | 個人事業主の中間申告:個人事業主の所得税や消費税の中間申告。 |
10月 | 年末調整の準備:年末調整に向けた準備を開始。 |
11月 | 年末調整の書類確認:年末調整のための書類を確認し、従業員から必要な情報を収集。 |
12月 | 年末調整の実施:年末調整を実施し、給与計算と合わせて調整を行う。 |
この年間スケジュールは一般的なものであり、具体的な業務内容や時期は税理士事務所やクライアントの業種、規模によって異なる場合もあります。また、税制改正や特別な税務調査等の対応も必要になる場合もあります。
残業時間が多い税理士事務所の特徴
ここでは、残業が多い税理士事務所の特徴について、3つご紹介いたします。
IT導入が出来ていない
税理士事務所における残業時間の増加の一因として、IT導入が遅れていることが挙げられます。現在、業務の効率化と生産性の向上のためにあらゆる企業でIT技術の活用が求められています。
しかし、税理士事務所の中にはまだ紙ベースの業務が主流で、手作業によるデータ入力が行われている場合があります。この結果、業務プロセスが非効率化し、同じ作業を何度も行う必要が出てきます。これは、時間を奪い、結果として残業時間が増加する原因となります。
さらに、作業ミスが発生した場合、それを修正するための追加の時間が必要となります。また、IT技術を活用しないことで、情報の共有や管理が難しくなります。これにより、業務の進行状況が把握しにくくなる可能性があり、結果として業務遅延や混乱を引き起こし、さらなる残業を招く可能性もあります。
これらの理由から、IT導入が遅れている税理士事務所では、業務の効率化が進まず、結果として残業時間が増加する可能性が高いと言えます。
求人が年中出ている
税理士事務所の中には、求人が年中掲載されているところがあります。これは一見、事業が順調に拡大している証拠のように思えますが、実はそれだけではありません。税理士事務所の求人が絶えず出ている理由の一つに、離職率の高さが挙げられます。多くの場合、離職率が高い事務所は、労働環境が厳しいことを示しています。
特に、残業時間が多い事務所では、従業員の過労が深刻な問題となり、結果として離職率が上がることが多いのです。
教育制度が整っていない
教育制度が整っていない事務所も、残業時間が多くなる傾向にあります。新人や若手スタッフが業務を覚えるためには、熟練した上司や先輩からの指導が不可欠です。
しかし、教育制度が確立されていない事務所では、そのような指導体制が十分に整っていないため、スタッフ一人ひとりが自己流で業務をこなすことになります。これが、作業効率の低下やミスの原因となり、結果的には残業時間の増加につながるのです。
残業時間を削減するためには?
残業時間を削減するための有効な方法を探るためには、まず具体的にどのような状況で残業が発生しているのかを理解することが重要です。その上で、工程の効率化やタスクの優先順位付け、また適切なITツールの導入など、事務所の運営を見直すことが求められます。
まず、事務所の業務フローを詳細に見直し、非効率な部分を見つけ出すことが大切です。たとえば、繁忙期にはどのような業務が増え、それが残業の原因となっているのかを特定します。その上で、それらの業務を効率化するための手段を探ることが重要です。これには、業務の自動化やアウトソーシングも考慮に入れる必要があります。
また、タスクの優先順位付けを明確にすることも残業時間削減への第一歩となります。すべての業務が同じ優先度を持つわけではないため、どのタスクを先に行い、どのタスクを後回しにするかを明確にすることで効率的な業務遂行が可能となります。さらに、適切なITツールの導入も残業時間の削減に寄与します。例えば、クラウド会計ソフトや業務管理ツールなどを活用することで、データの入力や確認作業を効率化し、業務のスムーズな進行を支えることができます。
これらの方法を通じて、残業時間の削減と共に、事務所全体の業務効率も向上させることが可能となります。しかし、これらの改善策を実行するためには、事務所全体の理解と協力が必要となるため、職場の風土や意識改革も忘れずに行うことが重要です。
まとめ
この記事では、税理士事務所の残業の実態や、残業が多い事務所の見極め方について詳しくご紹介いたしました。
税理士事務所への転職を検討する際は、税理士業界の繁忙期について理解をしておくことや、残業時間が多い事務所の特徴をおさえておくことで、ワークライフバランスを実現させることが可能となります。
税理士事務所への転職を考えている方、またはすでに転職を決意している方にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長