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税理士試験の合格率や難易度は!合格するためのポイント~合格後の流れも解説します

2025/01/01

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税理士になるためには、基本的に税理士試験に合格し、2年以上の実務経験を積まなくてはなりません。 そこで本記事では、税理士試験の概要や合格率、勉強法、そして合格してから税理士登録をするまでの流れを解説いたします。 本記事をお読みいただければ、税理士になる道筋がスッと理解できますよ。

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税理士試験の概要

税理士試験は、税理士となるための試験です。 3大難関試験に数えられるほどの高難易度で合格が難しい反面、科目合格制や免除制度が設けられています。

試験科目

税理士試験は11科目からなり、そのうち5科目に合格することが求められます。 必修科目も定められているため、一定の強制力があります。

科目 ポイント 令和5年度の受験者数(人)
簿記論 必修科目 16,093
財務諸表論 必修科目 13,230
所得税法 選択必修 1,202
法人税法 選択必修 3,550
相続税法 2,428
消費税法 酒税法と選択 6,756
酒税法 消費税法と選択 463
国税徴収法 1,646
住民税 事業税と選択 462
事業税 住民税と選択 250
固定資産税 846
上記のとおり、簿記論と財務諸表論、所得税法または法人税法を選択しなければなりません。 後述しますが、これら4科目は試験範囲が膨大で、他の科目よりも勉強時間が必要です。 免除制度を利用すると、必修科目を含む最大3科目が免除されます。上手に利用して、短期間での合格を目指しましょう。

科目合格制度

科目合格制度とは、一度合格した科目は以降も合格したものとされる制度です。 つまり二度以上同じ科目に合格する必要はありません。

たとえば1回の受験で2科目合格した場合、その2科目は一生涯合格したものとされます。翌年以降は残りの3科目の合格に集中できるのです。

反対に、行政書士の試験等は、一部の科目が合格点以上であってもその合格を引き継げません。行政書士試験そのものに合格するまで、何度でも合格点以上を取らなくてはならないのです。
その点で、税理士試験は科目合格制度が設定されているために、勉強科目を絞り込めるというメリットがあります。

科目免除制度

税理士試験は一定の要件を満たすと受験を免除されます。 主な免除要件は「一定要件の修士または博士の学位を授与された者」および「一定以上税務署に勤務した国税従事者」です。 このうち利用しやすいのは修士または博士の学位を授与されることでしょう。そこで、学位による免除についてまとめました。

<税理士試験の免除科目とその主な要件>

免除科目 主な免除要件
税法2科目免除 税法に属する科目等に関する研究により、修士の学位を授与され国税審議会の認定を受けた場合
会計学1科目免除 会計学に属する科目等に関する研究により、修士の学位を授与され国税審議会の認定を受けた場合
税法2科目+会計学1科目免除 上記2つの要件を満たした場合
会計学2科目免除 税法に属する科目等に関する研究により博士の学位を授与された場合
税法3科目免除 税法に属する科目等に関する研究により博士の学位を授与された場合
税理士法第7条及び第8条より

修士でも博士でも、大学院で税法または会計学に関する研究を行い学位を授与されることが必要です。 税法や会計学にまったく関連性のない研究で学位を授与されたとしても、税理士試験の免除とはなりません。そのため、免除を受けるために進学する場合は、大学院選びにじゅうぶんご注意ください。

受験日

年1回、例年8月中旬頃に行われます。 試験日程は連続した3日間で、その中から受験する科目の日程に参加します。 例年であれば簿記論と財務諸表論が1日目、税法が2日目と3日目に行われます。 令和6年(2024年)度は、8/6〜8/8でした。

合格発表は例年11月頃です。 受験してから3カ月程度で結果が分かります。 なお受験申込の受付期間は例年4月から5月上旬頃です。 忘れずに申込を行いましょう。

受験料

受験料は受験申込科目数に応じて下記のようになっています。 願書の所定箇所に、受験料相当額の収入印紙を貼り付けましょう。 現金や郵便切手等では受け付けてもらえません。

受験申込科目数 受験料
1科目 4,000円
2科目 5,500円
3科目 7,000円
4科目 8,500円
5科目 10,000円
収入印紙は郵便局や法務局で購入できます。コンビニでも買えますが200円程度の低額しか扱っていないケースが多いため、税理士試験の受験料支払いに用いる場合は、郵便局か法務局の窓口での購入が適しています。

税理士試験の合格率

令和5年度税理士試験の科目別合格率は以下のとおりです。

科目 合格率(%)
簿記論 17.4
財務諸表論 28.1
所得税法 13.8
法人税法 14.0
相続税法 11.8
消費税法 11.9
酒税法 12.7
国税徴収法 13.9
住民税 14.7
事業税 16.4
固定資産税 17.3
国税庁:令和5年度度(第73回)税理士試験結果表(科目別)

財務諸表論の合格率が突出して高くなっていますが、例年の合格率は15%前後です。今後の合格率も15%前後で推移すると思われます。

どの科目も15%前後の合格率で推移しています。100人受験すると15人が合格し、85人が不合格になるイメージです。

税理士試験の難易度

科目合格率は15%前後と、資格試験の中でもトップクラスの難易度を誇ります。 税理士試験5科目合格までに要する年月は平均8年と言われることもあり、簡単とは決して言えません。

実際に、4科目めの合格が果たせずに、3科目合格で諦める人もいるほどです。 考え方を逆転させるならば、難関資格である税理士試験に合格できれば、税理士という手に職を得たことになり、高収入を得られるチャンスにもなるのです。 税理士試験に合格するには少なくとも数年間の勉強が必要ですが、それに見合う収入があなたを待っているでしょう。

税理士試験の科目別勉強時間目安

税理士試験全体の勉強時間は4,000時間程度と言われています。 科目別の勉強時間目安は下記のとおりです。

ただし、あくまでも目安であり、税務の知識が深い人はこれより短期間で習得できる可能性があります。反対に、簿記等の知識がまったくない人は、目安よりも長時間の勉強が必要になるかもしれません。 目安時間にとらわれずに、自分の理解度で勉強のペースを保ってください。

科目 合格までの勉強時間目安
簿記論 500時間
財務諸表論 500時間
所得税法 1,000時間
法人税法 1,000時間
相続税法 500時間
消費税法 500時間
酒税法 200時間
国税徴収法 200時間
住民税 300時間
事業税 300時間
固定資産税 300時間

税理士試験に合格するためのポイント

税理士試験は長期戦ですので、合格までのスケジュールを立てて、コツコツと勉強を進めることが重要です。

長期学習計画を立てる

いつまでに合格したいのかを検討して日々の勉強時間に落とし込むか、毎日の勉強時間から合格予定年度を計算しましょう。

1日の勉強時間を長めに取ると合格までの期間は短くなるでしょうが、無理は続きませんのでスケジュールを何度も調整することになるかもしれません。 自分にとって無理のない計画を立てることが最も重要です。 またライフイベントや家族との時間、自分のプライベート時間等も確保してください。

家族や職場の理解を得る

自分の勉強時間を確保するには、家族や職場の理解が必要不可欠です。 家庭では、勉強時間を確保するため、家事や育児をパートナーや親に任せることになります。勉強したいからと一言伝えておくだけでも、家庭内の不仲を回避できるでしょう。

職場でも上司や同僚に、勉強したいから残業はあまりできないと伝えておいてください。 試験に挑戦する数年間は、仕事量をセーブしてもらえるかもしれません。 周囲からの理解は、あなたの勉強時間と勉強の質に影響します。言えない理由がなければ、自分から申告しておくことをおすすめします。

免除制度を活用する

特に社会人になってから税理士を目指す場合、勉強時間が学生ほど取れません。また各科目の合格率は15%程度と低いため、不合格になる恐れが高いもの。 そこでおすすめしたいのが、免除制度の活用です。

税理士試験の免除制度は、本記事で紹介した修士号と博士号授与の他にも設定されています。利用できる免除制度はどんどん活用しましょう。

なお最終学歴が高校卒業であっても、大学院に入学できるケースもあります。修士号を取得して、学歴と科目免除を一気に手に入れてください。

専門スクールを利用する

独学でも合格は可能ですが、効率的に学習を進めるならば専門スクールを利用しましょう。

専門スクールでは、講師が要点を押さえた授業を行ってくれます。また疑問点は質問できるので、理解度が高まります。 税理士試験の受験生同士で交流することで、モチベーション維持にも役立ちます。 受講料や通学時間を検討し、自分に合った専門スクールを選択してください。

残業が少ない勤務先に転職する

残業が多い職場では、平日に勉強しにくいものです。 社会人が勉強に充てられる時間は主に①休日②平日夜間③通勤時間の3つ。 このうち平日夜間の勉強時間がゼロになると、合格までの年数は延びてしまいます。

また残業による疲労で休日に勉強できないことも考えられますので、残業が多い職場に勤めながら勉強するのは、極めて不利なのです。 合格までの平均年数は約8年。残業の少ない職場に転職して8年間働きながら勉強し、合格後に再び転職するかを検討してはいかがでしょうか。

税理士試験合格後の流れ

晴れて税理士試験に合格できたなら、後は2年以上の実務経験を積み、税理士登録を行うことで税理士になれます。

実務経験をクリアする

税理士になるためには、基本的に税理士試験の合格と、2年以上の実務経験が必要です。 この実務経験は、税理士試験合格の前後どちらでも構いません。 税理士事務所等で実務経験を積みながら税理士試験に挑戦している場合は、試験合格前から実務経験を満たしていることになります。

なお実務経験と認められる業務は「租税に関する事務又は会計に関する事務で政令で定めるもの」でなければなりません。 国税庁の法令解釈通達第2条<税理士業務>関係によると、下記のような事務が該当するとのことです。

<実務経験に該当する事務>
・簿記上の取引について、簿記の原則に従い取引仕訳を行う事務
・仕訳帳等から各勘定への転記事務
・元帳を整理し、日計表又は月計表を作成して、その記録の正否を判断する事務
・決算手続に関する事務
・財務諸表の作成に関する事務
・帳簿組織を立案し、又は原始記録と帳簿記入の事項とを照合点検する事務

上記の業務を通算2年以上担っていれば、税理士事務所での事務業務でなくとも実務経験として認められます。

反対に、税理士事務所で働いていたとしても、上記に該当しなければ実務経験と認められません。たとえば「簿記会計に関する知識がなくてもできる単純な事務をいい、電子計算機を使用して行う単純な入出力事務」は、特別な判断を要しない機会的事務とみなされ、実務経験とは認められません。

税理士登録を行う

税理士試験に合格し、2年以上の実務経験を経た後、日本税理士会連合会の税理士名簿に登録することで、ようやく税理士と名乗れることになります。 試験合格と実務経験だけで、自動的に税理士になることはできません。税理士として活躍するならば、必ず登録を行ってください。

税理士登録は、必要書類を提出し、調査や審査に合格することで決定されます。 主な必要書類は以下のとおりです。準備するだけでも時間を要しますので、余裕を持って取り掛かりましょう。

<税理士登録に必要な主要書類>
・税理士登録申請書
・登録免許税領収証書
・登録手数料
・写真
・住民票の写し
・身分証明書
・資格を証する書類
・履歴書
・誓約書
・税理士会会長宛の誓約書
・確定申告書のコピーまたは住民税課税証明書2年分
・はがき
・実務経験期間の充足を確認できる書類

上記の他にも必要に応じて提出する書類が定められています。 詳細は、日本税理士会連合会が公開している「税理士登録の手引」最新版をご確認ください。

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税理士試験の合格率&難易度-まとめ

税理士試験は勉強時間4,000時間程度、かつ合格率も15%前後であり、簡単に合格できる試験ではありません。

しかしながら免除制度や科目合格制を上手に利用することで、効率的に試験をクリアし、税理士として登録できるでしょう。 本記事を参考に、税理士試験合格までのスケジュールを組んでみてください。 今日から勉強を開始して、できるだけ早く税理士の資格を獲得しましょう。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。