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税理士の仕事がなくなると囁かれる理由とは?10年後に生き残る税理士になる秘訣

2024/12/23

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巷では「税理士の仕事は将来的になくなる」と言われています。
この記事では、税理士の仕事がなくなると言われる理由や、今後も活躍し続けるための秘訣、10年後にも税理士として働くために必要なポイントをご紹介いたします。
税理士業界や将来の不安を抱えている方は、是非ご一読ください。

税理士の仕事がなくなると囁かれる理由2選

結論から言うと、税理士の仕事がなくなることはありません。
しかし、業界では「税理士の仕事がなくなる」と言う話をよく耳にします。
では、一体なぜ税理士の仕事に将来性が無いと言われているのでしょうか。

AI研究学者が「税理士の仕事がなくなる」と発表

2013年、オックスフォード大学のAI研究学者であるマイケル・オズボーンが「税理士の仕事はAIにより奪われる」と発表しています。
これは「THE FUTURE OF EMPLOYMENT」(雇用の未来)という論文にて発表されており、AIが導入されることで、702にもわたる職種がAIにより仕事が奪われると記載しています。
その702職種に、税務・会計に関する「確定申告書の作成・提出」「データ入力係」「簿記・会計・監査の担当者」「給与支払い担当者」という項目が含まれていたのです。

当時は、これらの仕事がAIに務まるハズはないだろうと言われていました。
しかし、デジタル政府の先駆者として知られるエストニアでは、今、すでに税理士の仕事が大幅に削減され、税理士はコンサルティング業務や高度な財務アドバイスのみにシフトしているのです。
このようなことから、税理士の仕事がなくなると囁かれているのです。

AI普及による税務申告・記帳代行の非属人化

AI技術の進化は、税務申告や記帳代行の非属人化を加速させています。
AIは大量のデータを瞬時に分析し、正確な結果を提供する能力を持つため、人間の手を借りずに複雑な税務計算を行うことが可能です。これにより、従来の税理士が行っていた作業の多くが自動化され、効率化が図られています。

また、AIは常に最新の税法や規則に基づいてアップデートされるため、税務の誤りを最小限に抑えることができます。こうした技術の進化は、税理士業務の一部をソフトウェアに委ねることを可能にし、人件費削減にも寄与しています。

さらに、AIの活用によってリアルタイムでのデータ分析が可能になり、企業は迅速に経営判断を下すことができるようになります。
ここだけを聞くと、「税理士の業務は全てAIに奪われるのでは?」と不安になる方もいるのではないでしょうか。

税理士の業務内容

ここで、改めて税理士の業務内容について振り返っていきましょう。

税理士の業務は多岐にわたり、主に税務代理、税務書類の作成、税務相談の三つの独占業務を中心に行われています。

まず、税務代理とは、納税者に代わって税務署との交渉や手続き全般を行うことを指します。これにより、納税者は税務に関する複雑な手続きから解放され、安心して事業運営に専念できます。

次に、税務書類の作成は、法人税や所得税の確定申告書をはじめ、各種税務書類を正確に作成することです。この業務では、法令に基づいた正確な計算と記載が求められ、税理士の専門知識が不可欠です。

最後に、税務相談は、顧客の税務に関する疑問や課題に対して、的確なアドバイスを提供することです。これには、税法の最新情報を常にアップデートし、顧客のビジネスや個人の状況に応じた最適な提案を行うことが求められます。

これらの業務を通じて、税理士は顧客の税務コンプライアンスを確保し、最適な税務戦略を策定する重要な役割を担っています。
また、近年では、経営アドバイザーとしての役割も期待されており、資金繰りの改善や事業計画の策定支援など、税務以外の分野での価値提供も行われています。

このように、税理士はその専門性を活かし、密にクライアントとコミュニケーションを図り多様なニーズに応えることで、顧客の信頼を得ているのです。

税理士の業務はなくならない

以上のように、税理士の仕事は必ずコミュニケーションが必要となります。そのため、すべての税務業務がAIに取って代わられるわけではありません。AIにはまだ解決できない、複雑なケースや独自の判断やコミュニケーションが求められる場面も存在します。このような領域では、税理士の専門知識と経験が必要とされ続けるでしょう。

したがって、AIの進化によって税理士の役割が変わることがあっても、完全に仕事がなくなるというわけではなく、むしろその役割はエストニアの事例のように、より専門的かつ高度なものへとシフトしていく可能性があります。]

税理士は、AIを活用して効率を高めつつ、AIにはない人間の判断力やコミュニケーション能力を駆使することで、より高付加価値なサービスを提供することが求められています。

10年後も生き残る税理士になるために

税理士の仕事がAIに全て奪われることはありません。しかし、記帳代行のみしか行わないなど、コミュニケーションや高度な知識を必要としない業務を行っている場合には、仕事がなくなる可能性もあるのです。

では、10年後に生き残る税理士になるためにはどうすればよいのでしょうか?

専門性を高める

税理士が10年後も生き残るためには、専門性の向上が不可欠です。
税務分野は法律や規制の改正が頻繁に行われるため、常に最新の知識を持っていることが求められます。特に、国際税務や相続税、事業承継の分野では複雑なケースが増えており、これらに精通している税理士は市場で価値が高まります。

専門性を高める手段として、継続的な学習と資格取得が挙げられます。
例えば、国際税務の知識を深めるために海外の税制について学ぶ、あるいは相続税の専門家として認定されるための資格を取得するといった方法があります。
その他、各分野に特化したサービスを提供する事務所に転職する方法もあります。自分の身をもって学習することで、より専門性を高めることができるでしょう。

また、特定の業種に特化することも一つの戦略です。
医療機関やIT企業、飲食業界など、業種ごとに税務処理や財務計画のニーズは異なります。これら特定の分野に特化することで、クライアントに対してより的確なアドバイスを提供でき、他の税理士との差別化を図ることができます。

さらに、専門性を高めることで、クライアントとの信頼関係も強化され、長期的な関係を築く助けとなります。
専門性の向上は時間と努力を要しますが、その結果として得られる信頼やスキルは、税理士としてのキャリアに大きなプラスとなります。技術の進化によって求められる能力が変化する中で、専門性を高めることは、変化に対応しながら成長し続けるための基盤となるでしょう。

AIにはない、人間の強みを活かす

AIの進化により、多くの業務が自動化されつつありますが、人間ならではの強みを活かすことが、税理士としての存在意義を高める鍵となります。 AIが得意とするのは膨大なデータ処理や計算ですが、税理士にはそれを超える能力が求められます。

まず、クライアントとの信頼関係を築くコミュニケーション力があります。税務に関する複雑な法律や制度を分かりやすく説明し、クライアントのニーズを深く理解することはAIには真似できません。

また、状況に応じた創造的な問題解決能力も重要です。税務戦略を立案する際には、クライアントの個別状況や長期的な目標を考慮した柔軟な対応が求められます。

さらに、倫理観や法令順守の姿勢も、人間特有の判断力が必要とされる分野です。税理士が持つこれらの人間的な要素を磨くことで、AIに代替されない唯一無二の価値を提供し続けることができます。

このようにして、AI時代においても税理士という職業の重要性を保持し、10年後も生き残るための基盤を築くことが可能となるのです。

他税理士との連携

税理士業界で生き残るためには、他の税理士との連携がますます重要になっています。
競争が激化する中、単独での活動は限界があり、多様なクライアントのニーズに応えるためには、協力関係を築くことが大切です。連携により、それぞれの専門分野や強みを活かしたサービスの提供が可能となり、クライアントにとっても価値のある選択肢となります。

また、他税理士との信頼関係が築けることで、クライアントの紹介や案件の共同受注といったビジネスチャンスも増加します。連携は、競争力の強化だけでなく、顧客満足度の向上にも繋がる重要な戦略です。

そして、連携を成功させるためには、コミュニケーション能力や協調性が求められます。相手の意見を尊重し、共通の目標に向かって協力する姿勢が、長期的なパートナーシップを築く鍵となります。
また、こうした連携は、税理士としてのブランド力を高めることにも寄与します。
多様なネットワークを築くことで、自身の業務範囲を広げ、クライアントに対しても信頼性を高めることができるのです。連携を通じて、10年後も選ばれる税理士となるための基盤を築きましょう。

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税理士の仕事は無くなる?-まとめ

税理士の仕事がAIの進化によって危機に瀕しているという意見がありますが、実際にはそう簡単に消滅するものではありません。むしろ、AIの進化を活用しながら、より高度な専門知識を持つ税理士が求められる時代が到来しています。
この記事では、税理士の将来に対する懸念を払拭し、10年後も生き残るための具体的な戦略を解説しました。

まず、専門性を高めることが重要です。税務の知識だけでなく、金融、法律、経営戦略など幅広い分野に精通することで、クライアントに対してより包括的なアドバイスを提供できます。このような専門性は、AIがいかに進化しても簡単に取って代わることができないものです。

さらに、AIにはない人間の強みを活かすことが必要です。コミュニケーション能力や共感力を生かして、クライアントとの信頼関係を築き上げることが、税理士にとって大きな差別化要因となります。AIでは対応できない複雑な人間関係や、微妙なニュアンスを理解し、適切に対応する能力は、人間にしかできない部分です。

また、他の税理士との連携も重要です。異なる専門分野を持つ税理士同士が協力することで、より幅広いサービスを提供でき、個々の税理士の強みを最大限に発揮できます。

これらのポイントを押さえ、時代の変化に柔軟に対応できる税理士こそが、10年後も活躍できる存在となるでしょう。
今後も、自身のスキルを磨き続け、AIと共存しながら成長していくことが求められます。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。