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税理士試験合格のために簿記1級は必要?税理士試験と簿記1級の違いを徹底解説!

2025/01/15

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税理士と簿記1級、一見経理や会計、税務といえば共通点があるように感じますが、税理士を目指すために簿記1級は必要なのでしょうか?

この記事では、簿記1級を取得することで税理士試験が有利に働くのか、試験の概要や取得するメリットについて解説していきます。
簿記1級の取得を検討されている方や、簿記と税理士試験の違いについて知りたい方は、是非参考にしてみてください。

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簿記1級の試験内容

簿記1級試験は全国で毎年6月の第2日曜日と、11月の第3日曜日の年2回で行われます。

商工会議所のホームページには、簿記1級の出題範囲が掲載されています。 出題内容は、商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4科目になります。 商業簿記は、販売活動や購買活動など、企業の取引先との取引を記録、計算できる技能を見る試験です。

一方、工業簿記は企業内の部門別や製品別に資源の投入を記録、計算できる技能を見る試験になります。 簿記1級は内容を見ると一目瞭然で、法人に特化した会計や経理、税務などをマスターできる試験とも言えます。 各科目90分の試験で、全ての合計が70%以上取れていればクリアです。 ただし、合計が70%を取れていれば良いのではなく、1科目ごとに見ると、40%以上の得点が必要になります。

年2回あるので、税理士試験よりも1回チャンスが多く、1科目ごとに見ると得点率が低いのも特徴です。

税理士試験の概要

税理士試験は、5科目の学科試験に合格することで資格を得ることができます。
試験は年に1回、8月上旬に全国に12~16か所ある各国税局、国税事務所の所在地などで行われます。

5科目とは、簿記論と財務諸表論という会計学に関する2科目と所得税法、法人税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、事業税もしくは住民税、固定資産税という税法に関する科目の中から3科目選択しなければなりません。
それも、所得税法もしくは法人税法は必修科目なので、どちらか1科目は選択となります。

合格基準点は全て60%以上と言われており、取得した科目は生涯有効となるため5科目一気に合格する必要はなく、1科目ずつ合格すればよい試験です。 合格率は毎年全受験者の約10%~20%程度であり、合格率を見ると、それだけ難易度が高い試験だということが分かります。

また、過去問題をしっかりやってから受けても、毎回新傾向の問題があり、全てが対策できるわけではないというところが難しい部分になります。
特に法改正や時事問題など、何か税理士科目に通じることについて改変があった年は要注意です。

出題内容も大体は提示されますが、簿記1級のように全てが過去問通りというわけにはいきませんので、全てを鵜呑みにしてはいけません。普段から新聞やニュース、テレビやインターネットなどの情報収集も欠かせません。
将来、税理士になった場合も世の中の変化に適応できる能力も求められます。 試験を受ける段階から下準備という意味でも、時事問題に興味関心を持っておくと良いでしょう。

簿記1級と税理士試験の科目比較

ここまで簿記1級と税理士試験の概要を説明しました。
この章では、簿記1級に合格することで取得が有利になる税理士試験の科目とその理由やそれぞれの違いや共通点について説明します。

簿記1級取得で有利になる科目とその理由

簿記1級の工業簿記と商業簿記は両者共に、簿記論の内容とかなり被っているため、簿記1級を取得することで簿記論の勉強を有利に進めることができるでしょう。 簿記論の工業簿記は簿記1級より出題数が少なく、逆に商業簿記は出題数が多いというイメージになります。 簿記1級を取得していれば、税理士試験の必修科目である簿記論の取得は短い時間で進められるでしょう。

また、財務諸表論の取得も有利に進めることが出来ます。年数によって出題内容の変動はありますが、 簿記1級を持っていることで、財務諸表論の約70%はカバーできていると考えて良いでしょう。 実際に、財務諸表論の計算問題は、簿記1級で学ぶ仕訳や計算の基礎知識が重要であると言われています。 簿記1級取得で身につけた知識を活かして勉強することで、短い時間で財務諸表論の取得が可能となるでしょう。

簿記1級と税理士資格の違い

簿記1級と税理士資格は、どちらも会計や税務に関する知識を求められる資格ですが、その目的や出題範囲には大きな違いがあります。

まず、簿記1級は主に企業の財務会計に焦点を当てた資格であり、企業内部での経理業務を円滑に行うための知識が出題範囲となっています。これに対し、税理士資格は税務に特化しており、個人や法人の税務代理や税務相談、税務書類の作成を行うことができる国家資格であり、将来税理士を目指す人が多く取得する試験となっています。

また、試験の構成や難易度にも違いがあります。簿記1級は日本商工会議所が主催し、企業会計原則に基づく会計処理や原価計算に関する深い理解を求められます。一方、税理士試験は国税庁が所管し、簿記会計以外にも法人税法、所得税法、相続税法など、多岐にわたる専門的な税法科目の理解が必要です。試験の合格率も税理士試験の方が低く、長期間の準備が求められます。

さらに、資格取得後のキャリアパスにも違いが見られます。簿記1級を取得すると、企業の経理部門や会計事務所での実務に役立てることができ、場合によっては無資格者の管理職よりも頼られる存在となる可能性もあります。 その一方で税理士は独立開業や税務コンサルタントとしての活動が可能であり、税務に関するプロフェッショナルとしての地位を築くことができます。

このように、簿記1級と税理士資格は、それぞれ異なる専門性があるため、今後のキャリアプランを考えたうえでどの資格が必要であるか検討する必要があります。

簿記1級と税理士資格の共通点

簿記1級試験と税理士資格の違いと共通点について比較していきます。
前述した通り、税理士試験の中でも簿記1級の試験内容に関わってくる科目は、簿記論と財務諸表論になります。

簿記1級はより専門的に経理、会計、税務に対する知識を極める内容で、税理士試験の簿記論や財務諸表論はもう少し概要的な部分と言ってもいいでしょう。 簿記1級を取得し、簿記や財務諸表論から学習を始め、残りの3科目の学習に入っていくことで、税理士を目指す人にとってスムーズに学習が進むと考えられます。

簿記1級取得のメリット

簿記1級の取得は、キャリアにおいて大きなメリットをもたらします。

まず第一に、簿記1級は日本商工会議所が認定する資格の中で最も高度なものであり、簿記1級を保有することで高度な会計知識を持っていることの証明となります。これにより、会計や経理に関わる職種での就職や転職活動において、他の候補者に対して優位に立つことができます。特に、企業の経理部門や会計事務所、さらには公認会計士や税理士を目指す場合において、簿記1級の資格は大いに評価されるでしょう。

また、簿記1級の知識は実務においても非常に役立ちます。企業の財務状況を正確に把握し、分析する能力は、経営戦略の立案や改善提案において重要な役割であると言えます。 これらのメリットにより、簿記1級は、多くの企業の経理部門や会計事務所での勤務を目指す方にとって価値ある資格となっているのです。

税理士資格取得のメリット

税理士資格を取得することには多くのメリットがあります。

まず、税理士試験は国家資格であり、資格取得により企業や個人の税務申告や税務相談において信頼性が高まります。 資格保有者は独立開業が可能であり、自分のペースで仕事を進められる自由度が得ることができます。さらに、企業内でのキャリアアップにも有利で、特に経理部門や財務部門においては重要な役割を担うことができます。

資格取得により、税務だけでなく、経営や財務戦略のアドバイザーとしての役割を果たすことができ、顧客や企業からの信頼を得やすくなります。報酬面でも安定しており、専門性が高い分野であるため、他の職種に比べて高収入が期待できます。 このように、税理士資格を取得することで専門職としての価値を高めることもできるのです。

簿記1級の難易度と勉強時間

難易度と合格率

近年の簿記1級試験の合格率を見ると、8~9%ぐらいという結果が出ています。
簿記1級の4科目の試験で1科目あたり440以上の得点で、全ての合計が70%以上超えていることが必須条件になっています。
1級にもなると難易度はかなり高く、日本商工会議所が認定する資格の中で最も高度であると言われています。

合格に必要な勉強時間

簿記1級試験に合格するために、必要な勉強時間は知識の有無によって大きく異なります。

まず、簿記の試験自体が初めてという人ですと、800~1000時間かかると言います。
簿記2級を取得している人は、500~700時間とかなり時間が変わってきます。
全く知識がないところからの勉強は、かなり時間がかかることがお分かりいただけると思います。 段階的に知識や資格を積み上げて取得していくということからも、簿記3級、簿記2級と受験していくことをおすすめします。

1つ1つの出題内容は異なりますが、大きなくくりで考えると、どの知識も必要で簿記1級につながるからです。
簿記3級、簿記2級レベルであれば、商業科がある学校の高校生でも取得している実績がありますので、市販の問題集を書店で購入して勉強する方法も有効です。
どうしても1人で独学するのが心配な人は、予備校や塾、通信教育なども利用できます。

税理士試験の難易度と勉強時間

難易度と合格率

税理士試験の合格率は例年20%前後で推移しており、2024年税理士試験の合格率は16.6%でした。 合格の基準は各科目ともに合計点が60%以上であることと定められています。
国家資格の中でも高難易度な資格であるといわれるほど、取得するのが難しく税理士試験合格までにかかる年数は平均8∼10年といわれています。

合格に必要な勉強時間

税理士試験は非常に難易度が高く、合格までに必要とされる勉強時間は相当なものです。
一般的に、税理士試験の合格に必要な勉強時間は、科目ごとに200時間から1,000時間程度とされています。しかしこの必要勉強時間はあくまでも目安であり、税務の知識が深い人はこれより短期間で取得できる可能性もあります。 試験は5科目合格制であり、各科目でこの勉強時間を要することから、合計で3,000時間から5,000時間程度の学習が必要になることが多いです。例えば法人税法や所得税法などの難易度の高い科目では、より多くの時間を割く場合もあります。

税理士試験は働きながら受験する人も多く、限られた時間を有効に使うためには、毎日のスケジュールに学習時間を組み込み、計画的に進めることが求められます。特に、試験の直前期には集中的な勉強が必要となるため、早期からの準備が合格への鍵となります。

独学での合格は非常に難しく、予備校やオンライン講座を利用することをおすすめします。これにより、効率的な学習方法や最新の試験情報を得ることができ、合格に向けた戦略を立てやすくなります。また、過去問を繰り返し解くことで、試験の出題傾向を把握し、実践的な対応力を養うことも重要です。これらの努力を継続することで、合格への道が開かれるでしょう。

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税理士試験と簿記1級の違い-まとめ

どちらも経理、会計、財務という面で共通しているところも多く、簿記1級を取得していることで学科試験に有利になることも間違いありません。

基本的には一般企業や経理職に就く予定である場合には日商簿記1級を目指し、税理士を目指して会計事務所や税理士事務所での勤務を希望する場合には税理士試験取得を目指すなど、自身のキャリアプランに沿って受験するか否か決定する事が大切です。

税理士試験と簿記1級のどちらも高難易度な資格であることから、転職も有利に働くため取得して損することはありません。 自身のキャリアプランを一度見直して取得の必要があるのか検討しましょう。

執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。