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月次決算とは?月次決算を成功させるための実践ポイントを税理士が解説

公開日:2025/04/10

最終更新日:2026/04/22

月次決算とは?月次決算を成功させるための実践ポイントを税理士が解説

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「月次決算、毎月行っているけどもそこでの注意点は?」と疑問に思う方も多いでしょう。

この記事では月次決算でのポイント・注意点と確認のためのチェックリストのひな型をご紹介します。

月次決算に関わる方のお役に立てば幸いです。

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月次決算とは?

月次決算(げつじけっさん)とは、企業が毎月の業績を把握するために行う決算処理のことです。通常、年度末に行われる「本決算」とは異なり、月ごとに財務状況を確認し、経営判断に役立てることを目的としています。

月次決算の基本的な概念

月次決算は、毎月の収益と費用を集計し、損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)を作成するプロセスです。通常、以下のような作業が含まれます。

1.売上・収益の集計
 ◦売上データの整理と確認
 ◦売上計上のタイミングの適正化

2.費用の整理と計上
 ◦仕入れや経費の計上
 ◦減価償却費や人件費の計上
 ◦未払費用や前払費用の処理

3.勘定科目の確認と調整
 ◦各勘定科目の残高確認
 ◦仮払金・未収入金・未払金の整理
 ◦売掛金・買掛金の管理

4.試算表(トライアルバランス)の作成
 ◦貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)を作成し、企業の財務状況を把握する

月次決算の目的と重要性

目的

1.経営状況の可視化
 ◦月ごとの利益やコストを把握し、経営改善のためのデータを提供する。

2.早期の問題発見と対策
 ◦収益の変動やコスト増加などの異常値を早期に察知し、迅速に対応できる。

3.予算と実績の比較
 ◦予算と実績を比較し、経営戦略の修正や適正な資金管理を行う。

4.資金繰りの管理
 ◦キャッシュフローを適切に管理し、資金ショートを防ぐ。

5.ステークホルダーへの報告
 ◦経営陣、投資家、金融機関などへの説明資料として活用される。

重要性

・経営の意思決定を迅速化
毎月の業績を正確に把握することで、経営者は迅速かつ適切な意思決定ができる。

・正確な財務管理
資金繰りや利益率の推移を把握し、財務リスクを軽減できる。

・年度決算のスムーズな進行
月次で決算処理を行うことで、年度末の決算作業の負担を軽減できる。

・内部統制の強化
定期的な財務チェックにより、不正会計や記帳ミスを防ぐ効果がある。

月次決算の流れ

月次決算は、毎月の経営状況を把握し、適切な経営判断を行うために必要なプロセスです。以下の流れで進められるのが一般的です。

① 事前準備

月次決算をスムーズに進めるために、あらかじめ必要な資料やデータを整理しておきます。

・請求書・領収書の整理
 ◦売上や経費に関する請求書・領収書を集める
 ◦電子帳簿保存法などのルールに沿って適切に管理
・会計ソフト・システムの更新
 ◦売上・仕入・経費のデータを最新の状態にする
 ◦仕訳データを適切に入力する

② 売上・収益の計上

・当月の売上データを集計し、売上計上のルールに従って処理する
・売掛金の確認(未回収売上がないか確認)
・売上の確定処理を行い、帳簿に記録する

③ 費用・仕入の計上

・仕入や経費を集計し、発生主義に基づいて計上
・人件費、賃借料、水道光熱費、広告費などの経費を適切な勘定科目で処理
・減価償却費の計上
 ◦固定資産の減価償却費を計算し、適切に仕訳を行う

④ 勘定科目の整理・調整

・未払い費用・未収収益の確認
 ◦発生したがまだ支払いや収入がない取引を適切に計上
・前払費用・前受収益の調整
 ◦来月以降に影響するもの(例:前払保険料)を適正に処理
・貸倒引当金・棚卸資産の評価
 ◦売掛金の回収可能性を確認し、必要に応じて貸倒引当金を計上
 ◦期末の棚卸資産の評価を実施

⑤ 試算表(PL・BS)の作成

・損益計算書(PL, Profit & Loss Statement) の作成
 ◦月間の売上と費用を整理し、営業利益・経常利益・当期純利益を算出
・貸借対照表(BS, Balance Sheet) の作成
 ◦資産・負債・純資産の最新の状況を反映
・キャッシュフローの確認
 ◦資金繰りの健全性を確認し、必要に応じて調整

⑥ 月次決算のレビューと分析

・部門別・プロジェクト別の収支分析
 ◦予算と実績の比較を行い、差異の要因を分析
・経営層への報告
 ◦財務データを経営者や関係部門に共有し、意思決定の材料とする
・改善策の検討
 ◦コスト削減や利益率向上のための施策を検討

⑦ 修正処理と確定

・仕訳ミスや不整合の修正
 ◦月次決算の数字に誤りがないか最終チェック
・最終承認後、決算データを確定
 ◦経営層や財務責任者が承認し、確定させる

⑧ 月次決算報告・資料作成

・財務報告書の作成
 ◦必要に応じて、月次財務報告書や経営報告書を作成
・会議での報告・今後の方針決定
 ◦経営会議や部門会議で決算結果を共有し、次月以降の経営方針を決定

表にまとめると以下の様になります。

ステップ 作業内容 ポイント・注意点
① 事前準備 - 請求書・領収書の整理
- 会計ソフトのデータ更新
- 電子帳簿保存法に準拠
- データの正確性を確認
② 売上・収益の計上 - 売上データの集計・計上
- 売掛金の確認
- 売上計上基準(発生主義)を守る
- 未回収売掛金をチェック
③ 費用・仕入の計上 - 仕入や経費の計上
- 人件費・減価償却費の処理
- 期間対応を正しく行う
- 仮払費用・未払費用の精査
④ 勘定科目の整理・調整 - 未払費用・未収収益の確認
- 前払費用・前受収益の調整
- 科目ごとの適正な処理を徹底
⑤ 試算表(PL・BS)の作成 - 損益計算書(PL)作成
- 貸借対照表(BS)作成
- 予算と実績の差異を分析
⑥ 月次決算のレビューと分析 - 部門別・プロジェクト別収支の分析
- 経営層への報告
- 重要なKPIや財務指標をチェック
⑦ 修正処理と確定 - 仕訳ミスの修正
- 最終確認・承認
- データの整合性を最終確認
⑧ 月次決算報告・資料作成 - 財務報告書の作成
- 経営会議での報告
- 経営判断の材料として活用


月次決算を効率的に行うためのポイント

月次決算をスムーズかつ正確に行うためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

カテゴリ 具体的なポイント 期待できる効果
① 事前準備の徹底 - 必要な書類(請求書・領収書など)をリアルタイムで整理
- 会計ソフトやERPシステムを活用し、データを自動取得
- 書類の抜け漏れを防ぐ
- 作業時間を短縮
② 業務フローの標準化 - 業務マニュアルを作成し、担当者ごとの業務の属人化を防ぐ
- タスク管理ツールを活用して進捗を可視化
- 作業の効率化
- 担当者交代時の引き継ぎが容易
③ データ入力の自動化 - 会計ソフトやRPAを活用して仕訳を自動化
- クレジットカードや銀行データと会計システムを連携
- 人為的ミスを削減
- 手作業の負担を軽減
④ 勘定科目の事前チェック - 毎月決まった経費(賃貸料・人件費など)は定型仕訳を活用
- 仕訳のテンプレートを作成し、誤入力を防ぐ
- 仕訳ミスを減らす
- 修正作業の手間を削減
⑤ 費用・売上の適正な計上 - 発生主義に基づき、費用・売上を正しく計上
- 月末締め処理の締切を統一する
- 正確な財務データを確保
- 経営判断の精度向上
⑥ 試算表のリアルタイム更新 - クラウド会計ソフトを活用し、リアルタイムで財務データを更新
- ダッシュボードで月次の数値を可視化
- 最新の財務状況を即時把握
- 経営者の意思決定を支援
⑦ 事前のレビューと調整 - 勘定科目の誤りや異常値を事前にチェック
- 必要に応じて税理士・会計士と連携し、不明点を確認
- 修正作業の負担軽減
- 決算の正確性向上
⑧ 月次決算の早期化 - 決算スケジュールを明確化し、締切を厳守する
- 経理部門と関連部門(営業・購買など)の連携を強化
- 月次決算の迅速化
- 経営会議での活用を促進


月次決算の注意点は?

月次決算を適切に行うためには、以下のポイントに注意する必要があります。

1. 正確なデータ入力を徹底する

月次決算では、売上や費用のデータを正確に記録することが重要です。
入力ミスや記帳漏れがあると、経営判断を誤る原因になります。
特に、売上の計上タイミングや経費の仕訳ミスが起こりやすいため、発生主義に基づいた正確な処理を行うようにしましょう。

2. 勘定科目の一貫性を保つ

毎月の決算処理において、同じ取引が異なる勘定科目に計上されると、財務状況の比較が難しくなります。
勘定科目の使用ルールを明確にし、一貫した処理を行うことが重要です。
また、新たな取引が発生した際には、適切な勘定科目を事前に設定しておくとスムーズに対応できます。

3. 売上と費用の計上基準を統一する

企業の会計処理には、発生主義(取引が発生した時点で計上)と現金主義(入金・出金のタイミングで計上)の2種類の方法があります。
月次決算では、通常、発生主義に基づいて売上や費用を計上します。
例えば、売上は「請求書を発行した時点」ではなく「商品を出荷した時点」で計上するなど、ルールを統一しておくことが重要です。

4. 未払費用・未収収益の管理を徹底する

未払費用(まだ支払っていないが当月の費用として計上すべきもの)や未収収益(まだ入金されていないが当月の売上として計上すべきもの)は、適切に管理する必要があります。
これらを見落とすと、正しい利益が把握できず、翌月以降の決算にも影響を及ぼす可能性があります。

5. 仕訳の自動化・効率化を進める

毎月同じ仕訳を繰り返し手作業で入力していると、作業負担が大きくなります。
会計ソフトの自動仕訳機能を活用したり、定型仕訳を事前に登録することで、ミスを防ぎながら効率よく処理を行いましょう。
また、銀行口座やクレジットカードの明細データと会計ソフトを連携させることで、取引データを自動取り込みできるため、手作業の負担を減らすことができます。

6. 関連部門との情報共有を徹底する

経理部門だけでなく、営業部門や購買部門とも連携し、売上・仕入データの共有をスムーズに行うことが大切です。
例えば、営業部門が請求書の発行を遅らせると、売上の計上も遅れてしまい、月次決算の締めが遅くなる可能性があります。
事前に締切を設けて情報を収集し、スケジュールを守るようにしましょう。

7. 異常値の確認を怠らない

月次決算では、前月や前年同月のデータと比較し、売上や費用に異常な変動がないか確認することが重要です。
特に、以下のような点に注意しましょう:

・予算と大きく乖離している項目はないか
・売上・仕入・人件費などの増減が極端でないか
・突然の赤字や黒字になっていないか

異常値が見つかった場合は、仕訳ミスや計上漏れがないか再確認しましょう。

8. 適切なタイミングで確定する

月次決算を早く終わらせることは重要ですが、正確性を犠牲にしてまで急ぐべきではありません。
一定のチェック体制を整え、誤ったデータのまま決算を確定させないようにしましょう。
特に、経営者やステークホルダーに報告する前に、最終確認を行うことが重要です。

9. 税務・法務リスクを意識する

税務や法務に関わる取引は、専門家と相談しながら慎重に処理する必要があります。
例えば、交際費や寄付金の計上ルール、消費税の適用範囲など、誤った処理をすると税務調査の対象になる可能性があります。

月次決算チェックリストの作り方とサンプル

月次決算のチェックリストを作成することで、ミスを防ぎ、業務の標準化・効率化を図ることができます。
以下に、作り方の手順とサンプルチェックリストを紹介します。

月次決算チェックリストの作り方

1.主要な決算作業をリストアップする
 ◦売上、費用、人件費、仕訳、帳簿の確認など、必要なタスクを洗い出します。

2,作業の担当者を明確にする
 ◦各タスクごとに、担当者(経理、営業、購買など)を設定し、責任を明確化します。

3.締切(デッドライン)を設定する
 ◦月次決算を遅れなく完了させるために、作業ごとの期限を決めます。

4.確認事項を具体的にする
 ◦「売上の計上を確認する」だけでなく、「発生主義に基づき売上計上が適切か確認」など、具体的な内容にする。

5.異常値チェックを含める
 ◦先月や前年と比較して、売上・経費の異常値がないかを確認するチェックを組み込む。

6.最終承認・報告のステップを設ける
 ◦決算データの最終確認を行い、経営者や関係部門へ報告する手順を明確にする。

サンプル

【基本情報】
対象月:______
作成者:______
承認者:______
締切日:______

カテゴリ チェック項目 担当者 完了状況(✔/×)
売上計上 売上データの入力・確認(売掛金の計上) 営業・経理 □
発生主義に基づいた売上計上の適正確認 経理 □
売掛金の回収予定確認(未回収リスト作成) 経理 □
費用計上 仕入・経費の計上(発生主義ベース) 購買・経理 □
水道光熱費・通信費・賃借料などの計上 経理 □
人件費の計上(給与・社会保険・賞与) 人事・経理 □
減価償却費の計上 経理 □
勘定科目チェック 未払費用・未収収益の適正計上 経理 □
前払費用・前受収益の計上処理 経理 □
貸倒引当金の計上(売掛金の回収可能性チェック) 経理 □
試算表の作成 損益計算書(PL)の作成・確認 経理 □
貸借対照表(BS)の作成・確認 経理 □
キャッシュフローの確認(資金繰りチェック) 経理 □
異常値チェック 前月・前年と比較して異常値がないか確認 経理 □
売上、経費、利益率などの大幅な変動の原因分析 経理・財務 □
最終承認・報告 仕訳・試算表の最終確認 経理責任者 □
経営陣への報告資料作成 経理 □
経営会議での報告 経理・経営者 □

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月次決算を成功させるための実践的な方法とポイント -まとめ

この記事では月次決算について取り扱いました。

この記事がお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

税理士 平川 文菜(ねこころ)

税理士|熊本出身|2018年京都大学卒業| 在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。