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公開日:2026/01/15
最終更新日:2026/01/15
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令和8年度(2026年度)税制改正大綱において、賃上げ促進税制は制度創設以来の大きな転換点を迎えることとなりました。
改正の方針は、企業規模に応じた適用の厳格化と分離です。大企業向け措置は適用期限を待たずに廃止される一方、中堅企業は要件強化を経て終了、中小企業は制度維持となるものの、一部要件の見直しが行われます。
特に実務上留意すべき点は、全区分共通で教育訓練費の上乗せ要件が廃止されることです。これにより、中小企業においても最大税額控除率が低下する影響が生じます。
本記事では、賃上げ促進税制の企業規模ごとの変更内容、教育訓練費要件廃止の背景、および関連する中小企業支援税制(交際費・少額減価償却資産)の改正点について解説します。
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企業区分の定義と適用期限の変更スケジュール
今回の改正では、資本金および従業員数に基づく企業規模によって、適用可否や期限が明確に区分されました。特に大企業においては令和8年度以降、本税制の適用ができなくなる点に注意が必要です。
企業規模別の定義と改正内容
[表: 企業区分ごとの改正内容一覧]
| 区分 | 定義(目安) | 改正内容 | 適用期限 |
| 大企業 | 資本金1億円超 かつ 従業員数2,000人超 | 前倒しで廃止 | 2026年(令和8年)3月末で終了 |
| 中堅企業 | 資本金1億円超 かつ 従業員数2,000人以下 | 要件厳格化を経て終了 | 2027年(令和9年)3月末で終了 |
| 中小企業 | 資本金1億円以下 |
現行制度を維持 (一部要件見直しあり) |
2027年(令和9年)3月末まで維持(その後は見直し検討) |
大企業向け措置の早期廃止について
大企業向け措置が本来の適用期限(2027年3月末)を待たずに廃止される背景には、コーポレートガバナンス改革の進展があります。大綱では、人的資本への投資(賃上げ)は株主からも求められる当然の責務であるとの認識が示されました。 また、税制優遇による雇用の固定化が、成長分野への労働移動を阻害しているとの指摘も踏まえ、政策的な誘導措置としての役割を終了することとなりました。
教育訓練費の上乗せ要件の廃止
企業規模に関わらず実務上のインパクトが大きい変更点が、教育訓練費の増加に伴う税額控除率の上乗せ要件の廃止です。
廃止の背景:会計検査院による指摘
これまで、教育訓練費を対前年度比で一定以上増加させた場合、賃上げ額全体に対する税額控除率を上乗せする措置が設けられていました。しかし、この計算構造に対し会計検査院から不適切であるとの指摘がなされました。
具体的には、教育訓練費の増加額自体が少額であっても、要件を満たせば賃上げ額全体に乗じる控除率が加算されるため、企業が負担した教育訓練費の増加額よりも、それによって得られる減税額の方が大きくなるという逆転現象が発生していました。これが制度として不適切であると判断され、今回の廃止に至りました。
中小企業における最大税額控除率の変動
中小企業向け措置は現行維持とされていますが、前述の教育訓練費要件の廃止に伴い、実質的な最大税額控除率は低下します。これまで最大45%としていた控除率のシミュレーションを見直す必要があります。
最大税額控除率の内訳と変化[表: 中小企業向け措置の控除率比較]
| 区分 | 改正前(現行) | 改正後(令和8年度以降) |
|
① 賃上げ要件 (給与等支給額の増加) |
15% ~ 30% | 15% ~ 30%(維持) |
|
② 教育訓練費要件 (教育訓練費の増加) |
+10% | 廃止 |
|
③ 子育て・女性活躍要件 (くるみん・えるぼし認定) |
+5% | +5%(維持) |
| 合計(最大控除率) | 45% | 35% |
このように、教育訓練費による加算分(10%)が廃止されるため、令和8年度以降の最大控除率は35%となります。教育訓練費の増加を前提とした税額控除の試算を行っている場合は、計画の修正が必要です。
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賃上げ促進税制はどう変わる? -まとめ-
令和8年度税制改正により、賃上げ促進税制の適用関係は以下の通り整理されます。
大企業:2026年3月期(または適用期限到来)をもって制度適用終了。次年度以降の税効果見積もりに反映が必要。
中堅企業:令和8年度は要件厳格化の上で継続、その後廃止。
中小企業:制度は継続されるが、教育訓練費要件の廃止により最大控除率が低下(45%→35%)。
特に中小企業においては、賃上げ税制の控除率低下を補う観点からも、基準額が引き上げられた少額減価償却資産の特例や、維持された交際費枠を適切に活用し、総合的なタックスプランニングを行うことが求められます。
加藤慧大
株式会社ミツカルプロフェッショナル 代表取締役社長









