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設備投資促進税制とは?大規模・高付加価値化投資への即時償却・税額控除を解説【令和8年度税制改正大綱】

公開日:2026/01/15

最終更新日:2026/01/15

設備投資促進税制とは【2026年度税制改正大綱】

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令和8年度(2026年度)税制改正大綱において、企業の国内投資意欲を強力に後押しする施策として、「特定生産性向上設備等投資促進税制(仮称・大規模設備投資促進のための措置)」の創設が示されました。

円安や地政学リスクを背景とした生産拠点の国内回帰や、産業競争力を高める高付加価値化を加速させるため、国は「大規模かつ高収益な投資」に対して、即時償却などの強力な税制メリットを用意しました。

本記事では、新制度の概要と、適用を受けるための厳格な基準(投資額35億円以上・ROI 15%以上)、および即時償却と税額控除の選択有利不利について解説します。

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設備投資促進税制の概要:背景とメリット

本制度は、企業が生産性向上や競争力強化に資する設備投資を行った場合に、法人税等の負担を軽減する措置です。 令和8年度改正では、従来の枠組みに加え、特に国内での大規模投資や高付加価値化につながるプロジェクトを対象とした新区分が創設されます。

実施の背景:国内回帰と生産性向上

本制度が推進される背景には、日本経済が直面する2つの課題があります。

1.サプライチェーンの強靭化(国内回帰)
海外に依存していた生産拠点を国内に戻し、供給網を安定させる動きが加速しています。これを支援するため、国内に工場や物流拠点を新設・増設する企業を税制面でバックアップします。

2.労働生産性の向上(高付加価値化) :
人口減少による人手不足を解消するためには、省人化ロボットやAI、高機能な製造ラインへの投資が不可欠です。単なる老朽更新ではない、高い付加価値(利益)を生む前向きな投資を促す狙いがあります。

制度活用のメリット

本税制を活用する最大のメリットは、設備投資にかかるキャッシュアウトの実質的な負担を軽減できる点にあります。 具体的には、設備の取得価額全額をその年の経費にする即時償却や、取得価額の一定割合(7%)を法人税から直接引く税額控除といった節税手段を選択できます。

適用を受けるための基準

今回新設される大規模区分においては、高い政策効果を担保するため、従来の中小企業向け投資促進税制とは比較にならないほど厳格な適用要件が設けられています。

① 投資額の下限:35億円以上

本措置の対象となるのは、文字通り大規模な投資プロジェクトです。 具体的には、投資額の下限が35億円以上(中小企業者等は5億円以上)と設定されました。 これは、単体の機械購入ではなく、新工場の建設や製造ラインの抜本的な刷新など、企業運命を左右するレベルの大型投資案件のみを対象とすることを意味します。中堅・大企業による国内回帰プロジェクトや、地域経済に波及効果のある巨額投資を想定しています。

② ROI(投資利益率)要件:15%以上

さらに注目すべきは、投資の収益性に対する要求水準の高さです。 計画認定においては、投資計画期間内における年平均のROI(Return On Investment:投資利益率)が15%以上となる見込みであることが求められます。

ROI 15%という数字は、一般的な製造業の平均的な利益率を大きく上回る水準です。つまり、単に設備を新しくするだけでは認められず、その投資によって革新的な生産性向上を実現し、極めて高い付加価値(利益)を生み出すビジネスモデルへの転換が必須条件となります。

③ 事前計画の認定プロセス

これらの基準を満たすことを証明するため、企業は設備取得前に詳細な「導入計画」等を主務大臣へ提出し、認定を受ける必要があります。計画書には、投資総額の根拠に加え、どのようにしてROI 15%という高い収益性を達成するのか、具体的な積算根拠と事業シナリオの提示が求められます。

適用メリット(即時償却 or 税額控除)

上記の厳しい要件をクリアし、認定を受けたプロジェクトについては、以下のいずれか有利な措置を選択して適用できます。

A. 即時償却(キャッシュフロー重視)

取得価額の全額(100%)を、設備を取得して事業に使用した年度の経費(損金)として一括計上できます。

メリット
35億円以上の巨額投資であれば、その減価償却費も莫大ですが、それを初年度に一括計上することで、当期の法人税支払額を劇的に圧縮できます。初期のキャッシュフローを大幅に改善し、借入金の返済原資確保に寄与します。

注意点
あくまで課税の繰り延べ(支払いの先送り)効果である点は変わりません。翌年度以降の償却費負担がなくなる点も考慮が必要です。

B. 税額控除(トータルの節税重視)

取得価額の7%を、その年の法人税額から直接差し引くことができます。

メリット
例えば投資額が40億円の場合、2.8億円(40億円×7%)が法人税から直接減額されます。これは経費化(節税効果約30%)とは異なり、純粋なキャッシュのプラスとなるため、トータルの納税額を減らす効果があります。

注意点
その年の法人税額の20%相当額までといった控除上限があります。投資額が巨額であるため、単年度で控除しきれない額が発生する可能性がありますが、繰越控除措置(最大4年間など ※要件による)を活用することで無駄なく消化する計画が必要です。

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設備投資促進税制とは? -まとめ-

令和8年度税制改正で示された特定生産性向上設備等投資促進税制(大規模区分)は、投資下限35億円以上、ROI 15%以上という非常に高いハードルが設定されています。これは国からの、高収益体質への転換に対する強い要請といえます。

この制度の適用を目指す場合、単なる経理・税務部門だけの話ではなく、経営企画や製造部門を巻き込んだ全社的なプロジェクトとして、緻密な事業計画を策定する必要があります。

即時償却による資金繰りメリットを取るか、税額控除(7%)による総コスト削減を取るかの判断を含め、投資構想の初期段階から専門家を交えたシミュレーションを行うことが不可欠です。

執筆 ・ 監修

加藤慧大

株式会社ミツカルプロフェッショナル 代表取締役社長

株式会社ミツカルプロフェッショナル代表取締役社長。 税理士・社労士事務所に特化した人材紹介およびコンサルティング事業を展開。月間2,000名以上の税務・労務担当者の登録、年間300件以上の事務所人事相談の実績を持り、年200%以上の成長を継続中。